ハイエンドスマートフォンがほしい、でも予算が足らない。そんな場合は、1世代前の旧モデルを検討してみてはいかがでしょうか? 価格は最新モデルの約半分あるいはそれ以下で、性能は最新モデルのおおむね8割なのでコスパは抜群。もちろん、性能は最新のミドルクラスを大きく上回ります。格安ハイエンドスマホを選ぶ際の注意点を解説しつつ、8製品を紹介します。
スマートフォンの値上がりは、現在も続いています。ハイエンドスマートフォンの中には20万円に迫るものが増えており、今や誰もが気軽に買えるものではありません。
そうした状況の中、性能と価格のバランスを重視して1世代前のハイエンドモデルを選ぶ動きがあります。最新モデルと比べると約2割減の処理性能を備えつつ圧倒的に安価。5万円台から選べるので、断然お得な選択肢です(2023年12月下旬における価格.comの最安価格による)。
ゲームを目的にする場合、本特集で取り上げる製品なら、一般的なミドルレンジスマホとの違いを感じられるでしょう。先に触れた「最新のハイエンドモデルと2割ほどの性能差」を実感できるのは、一部の重量級のゲームを高画質設定で動作させた場合くらいです。逆に言えば、ほとんどのゲームは、そこまでの高性能は求められていません。
ハイエンドスマートフォンのもうひとつの重要な用途であるカメラ性能については、確かに年々進化しているので旧モデルよりも最新モデルのほうが有利です。しかし、近ごろは望遠機能やオートフォーカスの進化が中心で、画質については1世代古い程度では、そこまではっきりとした違いはありません。価格の近いミドルレンジ機よりも画像処理の能力が高いため、画質は総じて良好です。
2022年登場のハイエンドSoC「Snapdragon 8 Gen1」。本記事で紹介する格安ハイエンドスマートフォンの多くに搭載されている
最新モデルと比較して不利なのは、ソフトウェアのサポート期間でしょう。これは発売直後の最新モデルのほうが有利。ただし、ソフトウェアのサポート期間は、2年から4年とメーカーによって幅があります。この期間がより長いものなら、デメリットは緩和できます。なお、ここで取り上げる製品は、OSバージョンアップのサポート情報も記載しています。
また、ここで取り上げる製品の多くが、2021年末に登場したハイエンドSoC「Snapdragon 8 Gen1」を搭載しています。このSoCは、高性能ないっぽうで、発熱が多くバッテリー持ちも総じてよくありません。最新型で効率にすぐれた「Snapdragon 8 Gen2」とはこの点において大きな違いがあります。
人気の高い「Xperia 5」シリーズの2022年モデル。ハイエンドSoC「Snapdragon 8 Gen 1」の搭載など基本性能は通信事業者向けモデルと共通していますが、SIMフリーモデルは256GBの大容量ストレージを備えています。上位機種「Xperia 1」シリーズとはオートフォーカスの性能に差がありましたが、本機はAIを取り入れて追尾性を高めたオートフォーカス機能を備え、その差が少し縮まっています。
プリインストールされるOSは、Android 12。「Xperia」シリーズはバージョンアップの方針を明確にしていませんが、2回のOSバージョンアップを行うことが近年では一般的。なお、Android 13が配布済みです。
2022年に登場したモトローラのフラッグシップモデル。ハイエンドSoC「Snapdragon 8 Gen 1」を備え、ディスプレイは144Hzの高速駆動やHDR10+対応しています。同梱の充電器を使った68Wの急速充電など、ハイエンドにふさわしい機能も搭載。メインカメラは、広角カメラと超広角兼マクロカメラのデュアルカメラで、いずれも5000万画素の高画素です。なお、下記の「motorola edge 40」と異なり、おサイフケータイは非対応で、防水性能も水しぶきがかかる程度の防滴対応にとどまっています。
搭載されるOSはAndroid 12。セキュリティアップデートは3年を保証しています。いっぽう、OSのバージョンアップは2回の予定ですでにAndroid 13は配布済みです。
2023年7月に登場したハイエンドスマートフォン。搭載されるSoC「MediaTek Dimensity 8020」はハイエンド向けとしてはやや性能が低め。そのいっぽうで、144Hz駆動の有機ELディスプレイやIP68相当の水没まで対応する防水・防塵性能、おサイフケータイ対応、同梱の充電器を使った68W の急速充電、15Wワイヤレス対応など、機能はかなり充実しています。
搭載されるOSはAndroid 13。セキュリティアップデートは5年(正確には2028年1月まで)という長期間を保証しています。いっぽう、OSのバージョンアップは最低1回の保証ですが、「moto edge」シリーズの過去モデルを見る限りでは、2回のバージョンアップが実施されています。
NOTHINGは、イギリスに拠点を置く新興のスマートデバイスメーカー。「Phone (1)」は同社初のスマートフォンです。透明の背面に、900個のLEDを並べた「Glyph Interface(グリフ・インターフェイス)」が備わり、着信や通知を知らせてくれるというデザインが特徴です。また、OSの最適化を高めることでスムーズな動作を実現しているほか、ワイヤレス充電やHDR10+対応など高性能機にふさわしい機能も備えています。なお、おサイフケータイには対応していません。
プリインストールされるOSは、Android 12ベースの「NothingOS」。現在Android 13ベースの「Nothing OS 2.X」が配布されています。なお、OSのバージョンアップは最低でも3回実施する方針です。
人気の高い「Pixel 7a」のベースとなる、2022年に登場したハイエンドスマートフォン。背面にガラスが使われているほか、ひと回り大きな6.3インチディスプレイを採用するなど「Pixel 7a」よりも凝った作りのボディです。カメラも、こちらのほうが撮像素子のサイズが大きく、画質面で余裕があります。また、広角カメラに、より高精度なピント合わせも実現するレーザー検出オートフォーカス機能を搭載するなど機能面でも細かな違いがあります。
プリインストールされるOSはAndroid 13。3回のバージョンアップを保証しており、すでにAndroid 14が配布されています。セキュリティアップデートは2027年10月まで配布される予定です。
「Zenfone」シリーズは今や貴重な小型のハイエンドシリーズ。「Zenfone 9」は、2022年に登場した1世代前のモデルです。IP65/IP68の高い防水・防塵性能に加えて、おサイフケータイ対応、ハイエンドでは少数派のヘッドホン端子搭載など使い勝手のよい高機能を備えるのもポイントです。広角カメラは6軸のジンバルモジュールを備えており、手ブレを抑えた動画・静止画の撮影が可能。搭載されるSoC「Snapdragon 8+ Gen 1」は、製造をサムスンからTSMCに変更したことで、クロックアップを行いつつ発熱を抑えています。
プリインストールされるOSはAndroid 12。バージョンアップは2回で、すでにAndroid 13は配布済みです。
2022年10月に登場したゲーミングスマートフォン。165Hz駆動という超高速ディスプレイや、超音波センサーを使ったショルダーボタンを備え、ゲームをより快適にプレイできるように設計されています。搭載されるSoCは「Snapdragon 8+ Gen1」で、12GBの大容量メモリーを組み合わせます。
プリインストールされるOSはAndroid 12。バージョンアップは2回で、すでにAndroid 13は配布済みです。
2022年末に登場したシャオミのハイエンドスマートフォン。約2億画素という超高精細のメインカメラや同梱の充電器を使った120Wの超高速充電などシャオミの技術力を終結した1台です。搭載されるSoCは「Snapdragon 8+ Gen 1」。おサイフケータイ対応ですが、IP53の飛沫防水にとどまっており、水没の耐性はありません。
プリインストールされるOSは、Android 12ベースのMIUI 13。OSバージョンアップは3回の予定ですでに1回目のAndroid 13は配布済みです。セキュリティアップデートは発売後4年となっています。