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コスパが魅力のAndroidタブレット最新動向を解説! 使い方・選び方の注意点も

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多くの人が関係する、スマートフォンやモバイル通信とお金にまつわる話題を解説していく「スマホとおカネの気になるハナシ」。今回は、近ごろ注目を集めるAndroidタブレットを取り上げる。人気のiPadに対してコスパにすぐれるのが魅力だが、使い方や選び方には注意しておきたい点がある。

手ごろな価格が魅力のAndroidタブレット。近ごろ増えた背景や選ぶ場合の注意点を解説する

手ごろな価格が魅力のAndroidタブレット。近ごろ増えた背景や選ぶ場合の注意点を解説する

新モデルなしのiPadのいっぽうでAndroidタブレットが急増

円安でスマートフォンの値段が大幅に上がり、魅力的なモデルも減少した2023年。そのいっぽうで、実はタブレットに関しては日本国内に投入されるモデル数が増え、充実度が高まった1年だった……と話すと首をかしげてしまう人も多いかもしれない。

なぜなら日本で最も人気のタブレットである、アップルのiPadシリーズは2023年、「Pro」「Air」「mini」も含め新モデルがひとつも投入されていないからだ。それに加えてiPadシリーズは2022年に円安を受けての値上げが相次ぎ、値段が高騰している。新モデルが出ていないにもかかわらず高止まり傾向であることから、2023年はiPadが買いづらい1年だったことは間違いないだろう。

だが、Androidタブレットに目を移すと、大きな盛り上がりを見せた1年だったことがわかる。

Androidタブレットといえば、国内では一時、提供するメーカーが激減して低価格・低性能モデルしか投入されなくなるなど、市場崩壊が危惧される状況にさえあった。だが、コロナ禍により、家で使うスマートデバイスとしてタブレットの需要が再び高まって以降状況が一変。特に2023年に入ってからは、複数の海外メーカーが再び製品の展開に力を入れるようになったのである。

加えて、OSのAndroid側も、「Android 12L」でタブレットなどの大画面で使いやすいインターフェイスを実現。「Android 13」ではそれを継承してタブレットでの使い勝手に重点を置いた改善が進められた。こうしたOSの改善もAndroidタブレットの製品急増に大きく影響したと考えられる。

高性能機から子ども向けまで幅広い製品が投入された

2023年は、複数の海外メーカーからハイエンド、ミドル、ローエンドまで非常に幅広い種類のAndroidタブレットが投入された。なかでも多くの新モデルを投入し、タブレットの販売拡大に力を入れているのがサムスン電子だ。

同社も長らく日本市場へのAndroidタブレット投入を見送ってきたメーカーのひとつだが、2022年にハイエンド向けの「Galaxy Tab S8」シリーズの一部モデルを投入して以降、国内展開に再び力を入れるようになった。2023年には非常に高性能な「Galaxy Tab S9」シリーズ3機種「Galaxy Tab S9」「Galaxy Tab S9+」「Galaxy Tab S9 Ultra」をすべて国内に投入。このことからも力の入れ具合を見て取ることができるだろう。

サムスン電子は国内のタブレット市場開拓に再び力を入れており、2023年にはハイエンドの「Galaxy Tab S9」シリーズ3機種すべてを日本市場に投入している

サムスン電子は国内のタブレット市場開拓に再び力を入れており、2023年にはハイエンドの「Galaxy Tab S9」シリーズ3機種すべてを日本市場に投入している

加えてサムスン電子は、ミドルクラスの「Galaxy Tab S9 FE」「Galaxy Tab S9 FE+」や、エントリーモデルの「Galaxy Tab S6 Lite」「Galaxy Tab A9+」も相次いで投入。ラインアップを一気に充実させ、タブレットで停滞傾向にあるアップルの隙を突きシェア拡大を図ろうとしている様子がうかがえる。

Googleも、同社の「Pixel」シリーズとして初のタブレット「Pixel Tablet」を投入。チップセットに独自の「Tensor G2」を搭載し、AI技術を活用したさまざまな機能が利用できるのに加え、同梱の充電スピーカーホルダーに取り付けることでスマートディスプレイのように活用できるなど、スマートホームのハブとして利用できることでも注目を集めた。

Googleは「Pixel」シリーズとして初となるタブレット「Pixel Tablet」を発売。同梱の充電スピーカーホルダーに装着してスマートディスプレイ感覚で利用できるなど、家庭内での利用に重点を置いた設計を採用している

Googleは「Pixel」シリーズとして初となるタブレット「Pixel Tablet」を発売。同梱の充電スピーカーホルダーに装着してスマートディスプレイ感覚で利用できるなど、家庭内での利用に重点を置いた設計を採用している

ほかにも、シャオミは2023年に、ハイエンド向けのAndroidタブレット「Xiaomi Pad 6」と、エントリー向け「Redmi Pad SE」を国内に投入。シャオミらしい低価格で積極的な市場開拓に乗り出している。

シャオミも2023年に複数のタブレットを国内投入しており、エントリークラスの「Redmi Pad SE」は21,800円(税込)という低価格で注目を集めた

シャオミも2023年に複数のタブレットを国内投入しており、エントリークラスの「Redmi Pad SE」は21,800円(税込)という低価格で注目を集めた

また、オッポも2023年に、ディスプレイ比率が7:5とA4用紙に近い「白銀比」であることを特徴としたハイエンドモデル「OPPO Pad 2」を国内投入。当初はクラウドファンディングによる期間限定での販売にとどまっていたが、2023年10月20日からは一般販売も実施され、現在は量販店などでも購入可能だ。

オッポのハイエンドタブレット「OPPO Pad 2」は当初クラウドファンディングでの限定販売だったが、その後一般販売へと切り替わり購入しやすくなった

オッポのハイエンドタブレット「OPPO Pad 2」は当初クラウドファンディングでの限定販売だったが、その後一般販売へと切り替わり購入しやすくなった

そしてもうひとつ、タブレットの充実を図っているのが、独自OSを採用したタブレットを展開しているAmazonだ。同社は2023年に、主力のタブレット「Fire」シリーズの新モデルとして「Fire HD 10」を投入しただけでなく、その派生モデルとして子ども向けの「Fire HD 10キッズモデル」「Fire HD 10キッズプロ」も投入している。

「Fire HD 10キッズモデル」は幼児向け、「Fire HD 10キッズプロ」は小学生向けのタブレット。いずれも、子どもが安全に使えるようにカバーやインターフェイスが工夫されているほか、子ども向けのサブスクリプションサービス「Amazon Kids+」を1年分付与するなど、子どもの利用に力が入れられている。端末のバリエーションを増やすことで利用者層の拡大を図るのが、同社の狙いと言えるだろう。

Amazonは2023年、タブレットの新モデルとして、「Fire HD 10」のほか、子ども向けの「Fire HD 10キッズモデル」「Fire HD 10キッズプロ」も発売している

Amazonは2023年、タブレットの新モデルとして、「Fire HD 10」のほか、子ども向けの「Fire HD 10キッズモデル」「Fire HD 10キッズプロ」も発売している

ペンデバイスやキーボードカバーなど周辺機器も増加

Androidタブレットの国内展開に力を入れ始めた海外メーカーは、タブレットの利用の幅を広げるために周辺機器の充実も図っている。

iPadで人気の周辺機器といえば、ペンデバイスの「Apple Pencil」やキーボードカバーの「Magic Keyboard」だが、Androidタブレットのメーカーも、ミドルクラス以上を中心に専用のペンやキーボードカバーを提供するケースが増えている。

専用のペンによる手書き入力に対応するデバイスは増えており、なかにはサムスン電子の「Galaxy Tab S6 Lite」のように、ミドル〜エントリークラスながら標準でペンが付属するケースもある

専用のペンによる手書き入力に対応するデバイスは増えており、なかにはサムスン電子の「Galaxy Tab S6 Lite」のように、ミドル〜エントリークラスながら標準でペンが付属するケースもある

ただし、周辺機器によってはiPadほどの充実度でないものもある。たとえば、海外メーカーが手掛けるAndroidタブレットの純正キーボードカバーについては、基本的に日本語配列ではなく英語配列のものにとどまっている。国内での販売台数を考慮すると日本語キーボードを用意するのはまだ難しいのだろう。ただ、英語配列とはいえ専用設計なので使い勝手はよく、本体に直接装着できるなど一体感も強いことからメリットは大きいと言える。

「OPPO Pad2」の別売オプションとして販売されているキーボードカバー「Smart Touchpad Keyboard」。英語配列ではあるが、タッチパッドも付いておりノートパソコンのような操作が可能だ

「OPPO Pad2」の別売オプションとして販売されているキーボードカバー「Smart Touchpad Keyboard」。英語配列ではあるが、タッチパッドも付いておりノートパソコンのような操作が可能だ

iPadの代わりにAndroidタブレットを選ぶ場合の注意点

ラインアップが急増したことから、消費者がAndroidタブレットを選択肢に加えてよい状況となりつつあることは間違いない。

iPadは価格高騰が著しいだけに、安価なタブレットがほしいのでAndroidタブレットに注目しているという人は多いのではないだろうか。幸い、コンテンツの側から見ると、「Kindle」や「Netflix」を筆頭に、ほとんどのコンテンツサービスは、手持ちのアカウントを複数のデバイスで併用できるため、コンテンツ視聴用としてならさほど問題なく使うことができる。

ただ、iPadを選ぶ場合よりも、性能面をしっかり把握したほうがよいだろう。Androidタブレットは価格帯による性能の違いがiPadシリーズよりも大きいのだ。

とりわけ低価格のエントリークラスのタブレットは、4Gスマートフォンなどで使われている性能が低いチップセットを搭載し、メモリーも最小限に抑えていることがほとんど。それゆえ動画や電子書籍を楽しんだり、SNSなど軽いアプリを利用する分には問題ないが、3Dゲームなど本体に高い性能が求められるアプリを使ったり、同時に多くのアプリを動かしたりすると、途端にパフォーマンス不足で不満を抱くことが多くなる。

そしてもうひとつ注意したいのは、タブレットに対応したアプリの少なさだ。iPadシリーズは大画面を生かしたビジネスやコンテンツ制作に関するアプリが非常に充実しているのだが、Androidタブレットなどはそうした分野のアプリがかなり少ない。特にビジネス・クリエイティブでの活用を期待すると対応アプリが提供されておらず、有効活用できなかった……ということにもなりかねない。

アプリが存在しても重要な機能が違うこともある。たとえば、AndroidタブレットのLINEアプリでは、iPad版にある同一アカウントの同期機能がないためサブ端末としては利用できない。ゲームにおいても異なるOS間でアカウント引継ぎを行うと一部のアイテムが移行されない場合がある。購入前によく使うアプリが提供されているか、提供されていてもどんな制約があるかをしっかりチェックしておくことが必要だ。

AndroidタブレットはiPadと比べクリエイティブ・ビジネス関連のアプリの充実度が低いことから、サムスン電子は同社のタブレットにクリエイティブ関連のアプリを対応させることにも力を入れている

AndroidタブレットはiPadと比べクリエイティブ・ビジネス関連のアプリの充実度が低いことから、サムスン電子は同社のタブレットにクリエイティブ関連のアプリを対応させることにも力を入れている

アプリが提供されていたとしても、アプリ側がタブレットのインターフェイスに対応しておらず、使い勝手が悪くなってしまうケースもある。縦画面を前提としたスマートフォンのアプリを、横画面での利用が多いタブレットで使うのはかなり不便なだけに、こちらも可能なようであれば利用したいアプリを事前にチェックしておきたい。

Androidタブレットは利用目的とグレードを吟味して選ぼう

Androidタブレットが増加し、iPad以外の選択肢が増えたことが消費者にメリットをもたらしたことは間違いない。だが、利用環境が整備されてきたものの、iPadと同じ環境を期待するには時期尚早なところがある。iPadはエントリーモデルや旧モデルでもある程度何でもこなすことができるが、Androidはまだそういうわけにはいかない。製品のグレードによって「できることが違う」ためだ。

かいつまんで言うと、Androidタブレットのエントリーモデルは、動画や電子書籍などを「見る」、音楽を「聴く」ことができる。ミドルクラス以上のモデルは、それらに加えて、周辺機器などを活用して文書やイラストなどを「作る」ことができる。ハイエンドモデルは、「見る」「聴く」「作る」それぞれの性能を高めたうえに、ゲームなどより高性能が求められるニーズを想定したものだ。

Androidタブレットを購入する際は、対応するアプリや周辺機器を考慮しながら、利用目的とグレードを吟味して選ぶのが大切と言えるだろう。

佐野正弘
Writer
佐野正弘
福島県出身。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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