デル・テクノロジーズは2023年12月15日、モバイルノートPC「Inspiron 13」の新モデルを発表した。外見の変更はないが、インテルが発表したばかりの新世代プロセッサー「インテル Core Ultra プロセッサー」シリーズをいち早く搭載している。その特徴に迫ろう。
アーキテクチャーを一新した新プロセッサー「コードネーム:Meteor Lake」を搭載する「Inspiron 13」が登場した
最初に、本製品の中核となるインテルの新CPU「インテル Core Ultra プロセッサー」の概要と特徴を解説しよう。まず、従来の「インテル Core i」シリーズと名称が異なる新シリーズであることから察せられるように、アーキテクチャーを一新したシリーズだ。インテルによると「クライアントSoC アーキテクチャーにおける40 年間で最大の転換」というほど従来とは設計思想が異なる。
大きな特徴として、複数のシリコンチップを立体的に組み合わせた3Dパッケージング技術「Foveros(フォベロス)」を使った「タイル・アーキテクチャー」という独自の構造を採用していることがあげられる。従来の類似するパッケージング技術は効率が悪く、優位性も低かった。だが、「Foveros」は高効率が特徴で、従来の「120%の電力効率向上を実現している。
従来のチップセットに近い「SoC」タイルは、低消費電力のCPUコア「E-core」を独立して持つのが特徴だ
「インテル Core Ultra プロセッサー」では、具体的にどのようなシリコンチップが統合されるのだろうか。まず、従来のCPUに近いチップである「コンピューティングタイル」、それに加えて、従来のチップセットに近い「SoCタイル」、AI処理を行う「NPU」、描画を行う「グラフィックス・タイル」、入出力を管理する「I/Oタイル」などが統合されている。
いくつかのシリコンチップをひとつにまとめる「タイル・アーキテクチャー」を採用する
なお「SoC」タイルには、「コンピューティングタイル」とは別に効率にすぐれたCPUコア「E-core」を内包しているため、軽量な処理であれば「コンピューティングタイル」を迂回できる。
また、描画を受け持つ「グラフィックス・タイル」は、Xe-LPGアーキテクチャーに基づく8個のXeコア、128個のベクターエンジン、2個のジオメトリエンジンを備えるうえに、モバイル向けの組み込みGPUとしては初となる8個のレイトレーシングユニットが加わっている。これらによって、従来の「Xe LP」と比較して2倍の処理性能を備えており、外付けGPUである「Xe HPG」とほぼ同レベル描画性能を実現しているとインテルは主張している。なお、「NPU」は、従来CPUが行っていたAI処理を高効率で行えるため、電力消費の削減やクラウドサーバーを使わないセキュリティ向上が期待できる。
カメラの影響で発色が偏ってしまったが、今回発売される「インテル Core Ultra プロセッサー」を搭載する「Inspiron 13」は、プラチナシルバーとライトピンクの2色展開となる
そんな「インテル Core Ultra プロセッサー」を搭載するノートPCとして「Inspiron 13」が、本日よりデルの受注生産モデルとして公式サイトで発売受付が開始された。
ボディや基本的なハードウェアは従来の「Inspiron 13」シリーズを踏襲している。ディスプレイは2560×1600のQHD+表示に対応する13インチの液晶ディスプレイで、2基のThunderbolt 4.0ポート、HDMI 1.4端子、USB Type-Aポートを備え、Wi-Fi 6Eに対応する。なお、ハードウェアに変更はないが米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」の認定を受けて、タフネスボディであることが改めてアピールされている。なお、メモリーはLPDDR5x(6400MT/s)をオンボードで16GB搭載し、増設は不可となる。
今回発売されるのは、「インテル Core Ultra 5 プロセッサー125H | 16GB(LPDDR5x 6400MT/s) | 512GB SSD |Intel Arc グラフィックス| Wi-Fi 6E」モデル(税込147,000円)と、「インテル Core Ultra 7 プロセッサー155H | 16GB(LPDDR5x 6400MT/s) | 1TB SSD |Intel Arc グラフィックス|Wi-Fi 6E」(税込167,000円)の2機種。なお、家電量販店でも2024年1月下旬より発売される見込みで、直販サイトでも1月下旬をめどに即納モデルを用意する予定だ。
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