レビュー

「MacBook Air」のM3チップ搭載モデルを速攻レビュー! Mac入門モデルとして実力は?

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アップルが最新の「M3チップ」を搭載した「MacBook Air」の13インチモデルと15インチモデルを発表した。2024年3月4日(米国時間)に突然発表され、驚いた人も多いのではないだろうか。3月8日に発売される13インチモデルを短時間ではあるが、試すことができたのでレビューをお届けしたい。

「M3チップ」を搭載した「MacBook Air」の13インチモデル。今回試したのは、酸化被膜シールを採用したミッドナイトというカラーのモデルだ。アップルストア価格は164,800円(税込)から

「M3チップ」を搭載した「MacBook Air」の13インチモデル。今回試したのは、酸化被膜シールを採用したミッドナイトというカラーのモデルだ。アップルストア価格は164,800円(税込)から

見た目のデザインは変わらず、機能面もM2モデルを踏襲

アップルは昨年2023年10月に「M3チップ」を搭載した「MacBook Pro」を発表しており、「MacBook Air」など、ほかのモデルにも最新チップが搭載されるのは自然な流れだ(「M3 Max」搭載の「MacBook Pro」のレビュー記事はこちら)。

13インチモデル、15インチモデルともに、「M2チップ」を搭載した従来モデル(M2モデル)から見た目のデザインの変更はない。M2モデルの発売は、13インチモデルが2022年7月、15インチモデルが2023年6月。どちらも角張った新デザインのもので、モデルチェンジは今回が1回目ということで、デザインは踏襲している。

画面サイズや解像度(各種スペック)、1080pのFaceTime HDカメラ、MagSafe 3、バックライト Magic Keyboardなども、M2モデルと同じだ。

カラーはスターライト、スペースグレイ、シルバー、ミッドナイトの4色を用意。ミッドナイトは指紋の付着を減らす酸化皮膜シールを採用するのがM2モデルとの違いだ。酸化皮膜シールは、最新の「MacBook Pro」のスペースブラックに採用されたものと同じだ。

今回試したモデルはこのミッドナイトで、黒に近い紺色という雰囲気。酸化皮膜シールの効果は、完全に指紋が付かないというものではなく、付きにくく、落としやすいという印象だ。メガネ拭きなどでさっと拭けばきれいになる。

酸化皮膜シールを採用したミッドナイト。指紋がまったく付かないことはなく、付きにくく、落としやすいという印象

酸化皮膜シールを採用したミッドナイト。指紋がまったく付かないことはなく、付きにくく、落としやすいという印象

実際に手にすると、薄さと軽さが際立つ。厚さ1.13cm、重量1.24kgだが、数値以上に薄くて軽く感じられる。もちろん、見た目もスマート。カバンにすっきりと収まるし、学校や会社、カフェなどいろいろところに持ち運びたくなるデザインだ。

13.6型のディスプレイも高品質で見やすい。日常使いはもちろん、「Apple TV+」などエンタメを楽しむのにも向いている。ネット動画やゲームをもっと大きな画面で楽しみたいという人は15.3型の15インチモデルを選ぶといいだろう。15インチモデルも重量は1.51kgと軽量なので、持ち運ぶのにも苦労しない。

角張ったフォルムだが、エッジは滑らかで持ちやすい。厚さ1.13cm、重量1.24kgとスリムで軽量なボディだ

角張ったフォルムだが、エッジは滑らかで持ちやすい。厚さ1.13cm、重量1.24kgとスリムで軽量なボディだ

外部インターフェイスはThunderbolt 3/ USB 4×2、MagSafe 3、3.5mmヘッドホン出力/マイク入力と、M2モデルと変わっていない。「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」(10コアGPU搭載M3と512GBストレージを選択した場合に付属、8コアGPU搭載M3の場合はオプションで変更可能)も変わらず。MagSage 3ケーブルはファブリックで覆われており、丸めやすく取り扱いがしやすい

外部インターフェイスはThunderbolt 3/ USB 4×2、MagSafe 3、3.5mmヘッドホン出力/マイク入力と、M2モデルと変わっていない。「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」(10コアGPU搭載M3と512GBストレージを選択した場合に付属、8コアGPU搭載M3の場合はオプションで変更可能)も変わらず。MagSage 3ケーブルはファブリックで覆われており、丸めやすく取り回しがしやすい

ディスプレイは「13.6型Liquid Retinaディスプレイ」。液晶ではあるが、鮮やかな表示で、画面の色合いを自動で調整してくれる「True Toneテクノロジー」も備える

ディスプレイは「13.6型Liquid Retinaディスプレイ」。液晶ではあるが、鮮やかな表示で、画面の色合いを自動で調整してくれる「True Toneテクノロジー」も備える

無印の「M3チップ」の実力は?

最新の「MacBook Air」の強化点は中身だ。3ナノメートルで製造された最新の「M3チップ」を採用する。「M1チップ」と「M2チップ」は5ナノメートルで製造されているので、「M3チップ」はより小さなスペースに多くのトランジスターが詰め込まれており、性能と電力効率が高まっているのだ。

また、GPUは「メッシュシェーディング」と「レイトレーシング」をサポート。CG制作やゲームで効果を発揮する機能だ。メモリー使用量をリアルタイムで最適化する「Dynamic Caching(ダイナミックキャッシング)」も搭載されている。

「MacBook Air」に搭載されるのは、無印の「M3チップ」のみ。「MacBook Pro」に搭載される「M3 Pro」や「M3 Max」は選べない。CPUは8コアで、13インチモデルはGPUを8コアか10コアから選べる。15インチモデルのGPUは10コアのみだ。ユニファイドメモリーは最大24GB、ストレージは2TB SSDまでアップグレードできる。

気になる性能だが、アップルによると、M1モデルより最大60%、最も高速なインテルベースの「MacBook Air」よりも最大13倍高速と言うが、実際はどうなのか?

今回試したモデルのスペックは、「M3チップ」(8コアCPU、10コアGPU)、16GBユニファイドメモリー、512GB SSDというモデルだ。アップルストア価格は224,800円(税込)。

ベンチマークアプリ「CINEBENCH 2024」の結果はGPUが3347、CPU(Multi Core)が628、CPU(Single Core)が141。以前レビューした「M3 Max」搭載の「MacBook Pro」の結果は、GPUが12886、CPU(Multi Core)が1520、CPU(Single Core)が141だった。「M3 Max」は16コアCPU、40コアGPUだったので、さすがにかなわないが、CPUのコア数分はしっかりとスコアが出ている。

「Geekbench 5」の結果はシングルコアが2356、マルチコアが10807。「MacBook Air」のM2モデル(8コアCPU、10コアGPU)がシングルコア1930、マルチコアが8958だったので、2割ほどスコアアップしている。

「CINEBENCH 2024」の結果。左が「MacBook Air」のM3モデル、右が「MacBook Pro」のM3 Maxモデル

「CINEBENCH 2024」の結果。左が「MacBook Air」のM3モデル、右が「MacBook Pro」のM3 Maxモデル

機械学習用の16コアのNeural Engineも引き続き搭載する。最近はインテルが「Core Ultra」シリーズでAI処理用のNPUをアピールしているが、アップルでは「M1チップ」からいちはやく機械学習用のチップを搭載してきた。ローカルでAI処理するアプリはまだまだ少ないが、今後増えてきても安心だ。「M2チップ」にはなかった「AV1デコードエンジン」も搭載されている。

画像編集アプリ「Pixelmator Pro」では、Neural Engineを使っての画像の編集が可能。写真は右上のライトを消す作業。ブラシでさっと選ぶだけで、削除対象を判断し、新たな背景を作成してくれる

画像編集アプリ「Pixelmator Pro」では、Neural Engineを使っての画像の編集が可能。写真は右上のライトを消す作業。ブラシでさっと選ぶだけで、削除対象を判断し、新たな背景を作成してくれる

パワフルな「M3チップ」により、日常使いはもちろん、ゲームを楽しむ、動画を作成するなど幅広い用途が快適にこなせるだろう(ゲームはぜひ、Macへの対応をお願いしたい!)。

最新の「MacBook Air」は、M2モデルまでは1台までだった外部ディスプレイの接続が最大2台に対応した。会社などで2台の外部ディスプレイを使っている人にはうれしいアップデートではないだろうか。なお、2台の外部ディスプレイを接続する場合は本体を閉じておけなければならない。試してみたが、2台目のディスプレイは確かに本体を閉じなければ映像が出力されなかった。

機能面でのアップデートとして、Wi-Fi 6Eをサポートしている点も見逃せない。比較的空いている6GHz帯を使えるので、対応ルーターを使っているなら、Wi-Fiのスピードアップを期待できる。

Thunderbolt 3/USB 4経由で2台のディスプレイと接続。本体のディスプレイを閉じないと、2台目のディスプレイに映像は出力されない

Thunderbolt 3/USB 4経由で2台のディスプレイと接続。本体のディスプレイを閉じないと、2台目のディスプレイに映像は出力されない

「Wi-Fi 6Eモード」。「自動」(デフォルト)を選べば、2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯の無線帯域を使用する。「オフ」にすると6GHz帯を使用しない

「Wi-Fi 6Eモード」。「自動」(デフォルト)を選べば、2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯の無線帯域を使用する。「オフ」にすると6GHz帯を使用しないモードに変えられる

【まとめ】M2モデルとM3モデルのどちらを選ぶか?

「M3 Max」を搭載した「MacBook Pro」をレビューしたときは、そのパフォーマンスに驚いたが、同時に価格が高すぎるとも感じた。その点、本モデルは「MacBook Pro」よりもずっと手ごろで、「M3チップ」のすぐれたパフォーマンスを存分に味わえるモデルと言える。

「MacBook Air」は、Macの入門モデルという位置づけもある。その点、13インチモデルはM2モデルが値下げされて継続販売されているのも大きい。価格差は16,000円ほど。初期費用を抑えたいのであれば、M2モデルを選ぶのがいいだろう。前述のとおり、機能的に細かな違いはあるが、M2モデルでも現役でバリバリ使えるはず。

ただ、4年前に発売された「M1チップ」を搭載した「MacBook Air」の価格.comのクチコミを見ると、アップルの「Xcode」やアドビの「Illustrator」など一部アプリが最近重くなってきたという意見がチラホラ見られるようになってきた。さすがに4年前に発売されたモデルなので、開発ツールやクリエイティブ系のアプリなど、負荷の高い作業を快適に行いたいというニーズには応えられなくなってきているのかもしれない。

そういう状況を鑑みると、たとえば、大学生で4年間バリバリ使いたいなら、最新の「M3チップ」を搭載したモデルを選んだほうが、長い目で見ると満足度は高いかもしれない。

もちろん、高負荷なアプリを使わないという人も大勢いるだろう。人によっては、なるべく画面の大きいモデルがいいという人もいるはずだ。その点、M2モデルや15インチモデルを含め、「MacBook Air」はMacの入門モデルとして、選択肢がいくつか用意されているので、ぜひ自分に合った「MacBook Air」を選んでもらいたい。

三浦善弘(編集部)
Writer / Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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