コロナが幾分落ち着いても、オンライン会議の回数はほとんど減りませんね。今まで音声通話だけで済ませていた軽い打ち合わせも、ビデオ通話に移行しているように感じています。というわけで、以前よりウェブカメラに対する要求が高くなっているのですが、それに応えるウェブカメラがロジクールから登場しました。
ロジクール「MX BRIO 700」。公式サイトの販売価格 は33,000円(税込。以下同)
同社のフラッグシップとして人気マウスやキーボードを輩出してきた「MXシリーズ」から、初のウェブカメラ「MX BRIO 700」がデビュー。ロジクールのウェブカメラの中で最大のイメージセンサーに、AI技術を組み合わせた4K対応モデルです。どのぐらい自然な発色と、精細な解像感を実現したのか、その実力をチェックしてみましょう。
「MX BRIO 700」は「USBビデオクラス」(UVC)に対応したウェブカメラ。Windows PCやMacに接続すればソフトウェアのインストール、セットアップなしに利用可能です。「ロジクールのウェブカメラでは最大のセンサーを搭載」と謳われており、有効画素数は850万画素で、(従来モデルより)70%大きいピクセルサイズとなっています。
選択できる解像度/フレームレートは4K/30fps、1080p/60fps、レンズ画角は90度/78度/65度、ズーム機能は最大4倍、フォーカスはオートフォーカスに対応。内蔵マイクはノイズリダクション機能付きマイクです。
本体サイズは98(幅)×44(高さ)×36(奥行き)mm(本体のみ)/98(幅)×62(高さ)×52(奥行き)mm(マウントクリップ含む)、重量は176g (マウントクリップ含む)。接続インターフェイスはUSB 3.0 Type-Cで、ケーブル長1.5mのUSB Type-Cケーブルが同梱されています。
「MX BRIO 700」はピクセルのサイズを拡大することで集光性能を向上させつつ、AI画像処理による画像強調、自動露出、自動ホワイトバランス、ノイズリダクションなどの機能が実装されています。どのぐらいの画質を実現しているかについては、実写テストで試してみましょう。
本体前面。中央にはプライバシーシャッター付きの850万画素カメラ、デュアルノイズリダクションマイク、LEDステータスライトを配置。カラーはグラファイトとペールグレーの2色を用意
レンズのリング部を時計回りに回転させると、プライバシーシャッターが閉じます。シャッターが大きめなので閉じていることがひと目でわかります
背面にはUSB Type-Cポート を用意
マウントクリップはモニターから独立させ、スタンド的にも利用可能
マウントクリップは取り外しが可能。本体側には三脚用ネジ穴が用意されています
三脚に装着すればデスク上などに安定して設置できます
マウントクリップのモニター接地面には、糊を使わずに、粘着性を生むマイクロサクションパッドが付属
マイクロサクションパッドを利用すると、ノートPCの天面やディスプレイの背面にしっかりと固定できます
「MX BRIO 700」は、前述のとおり「USBビデオクラス」(UVC)に対応したウェブカメラなので、基本的にはPCに接続するだけで利用可能です。というわけで会議室の共有PCに接続すれば、すぐにビデオ会議のカメラとして使用できるわけです。
ただし、画質設定やファームウェアのアップデートには専用ユーティリティ「Logi Options+」、または「G HUB」のインストールが必要です。「G HUB」はロジクールのゲーミングデバイス用なので、一般的には「Logi Options+」をおすすめします。
細かなセットアップについては省略しますが、「Logi Options+」をインストールしたら最初にアカウントを作成し、その後にサインインすれば準備完了。後は対応製品を接続すると自動的に個別セットアップが開始され、必要であればファームウェアアップデートも実行可能です。つまり、すでにMXシリーズのキーボードやマウスで「Logi Options+」を利用しているのであれば、「MX BRIO 700」を接続するだけで使い始められるわけです。お手軽ですね。
「切り抜き」では画角やズームの設定、「露出」では明るさの調節、「画像」ではホワイトバランスなどの色調設定、「フォーカス」ではオートフォーカスのオンオフを設定できます
それでは肝心の画質をチェックしてみましょう。今回は「MX BRIO 700」と、同社のフルHDウェブカメラ「STREAMCAM」(公式サイト販売価格24,860円)を比較してみました。
まず室内灯下で撮影した画像を見比べてみましたが、その差は歴然。「MX BRIO 700」のほうが色味は正確です。「STREAMCAM」はディスプレイの反射光の影響を受けて、青みが強くなっていますね。
また「MX BRIO 700」は4Kだけに解像度が高く、背景に写っている文字もクッキリと見えます。ノイズも明らかに少ないです。これだけ背景がしっかりと記録されてしまうのであれば、意図せぬ個人情報の写り込みには細心の注意を払う必要がありますね。
上が「MX BRIO 700」、下が「STREAMCAM」
さらに暗所性能を比較してみましたが、これはもうレベチです。「STREAMCAM」ではそもそも映像がほとんど写っていません。「MX BRIO 700」はノイズが多いですが、背景までしっかりと記録されています。会議室のプロジェクターを使うために部屋を暗くしているような状況でも、「MX BRIO 700」であればちゃんと顔が写るわけですね。
ただし「MX BRIO 700」を暗所で使用した際、強い色が入っている服では色かぶりすることがありました。そのような服を着ている時には、色調を手動で設定したほうがよさそうです。
上が「MX BRIO 700」、下が「STREAMCAM」
「MX BRIO 700」で撮影。Tシャツの赤色と色かぶりしています
なお。画質とはあまり関係ないのですが、個人的にうれしい機能が「Show Mode」。「MX BRIO 700」のカメラを下側に向ければ、手元の撮影が可能なんです。この際、映像の上下が自動的に変更されるので、自分と手元の映像の切り替えもシームレス。「MX BRIO 700」はビデオ会議だけでなく、動画配信にも便利に活用できそうですね。
「Show Mode」を利用するためには、事前に「Logi Options+」で機能を有効化しておく必要があります
「MX BRIO 700」は、従来モデルより70%大きいピクセルのイメージセンサーにより画質が良好です。それにAI技術が組み合わされたことにより、自然な色調が実現されたわけです。ロジクールのコンシューマー向けウェブカメラの中ではトップクラスの画質と言えます。
「MX BRIO 700」はウェブカメラとしては高価な製品であることは確かです。しかしノートPCのウェブカメラよりも、さらに上を行く高画質でビデオ会議に参加できることは、ビデオ会議が日常になった昨今において重要な要素です。わざわざノートPCに外付けするだけの価値があるウェブカメラと言えるでしょう。