ソニーは、2024年5月15日、フラッグシップスマートフォン「Xperia 1 VI(エクスペリア・ワン・マークシックス)」を発表、初夏の発売を予定している。新開発のフルHD+ディスプレイを搭載したことで、シルエットを一新、新世代の「Xperia 1」と言える製品だ。SIMフリー版「XQ-EC44」をもとにどのような製品なのか迫ろう。
Xperia 1シリーズの最新ハイエンドモデル「Xperia 1 VI」が発表された
「Xperia 1」シリーズの6世代目モデルとなる「Xperia 1 VI」は、シリーズの特徴である、クリエイター志向のカメラやAV性能を継承しつつ、大きな変更がなされた。
大きな変更点としてディスプレイがある。約6.5インチの有機ELディスプレイは、従来の21:9から19.5:9に縦横比を変更。解像度も4K(3840×1644)から、フルHD+に変更された。なお、リフレッシュレートの上限は120Hzのままだが、残像低減機能を省略しつつ、1〜120Hzの可変リフレッシュレートに対応した。また、開口率が高まったことで最大輝度を50%向上しながら、省電力化にも貢献している。
ディスプレイを変更したことで、ボディサイズは、約74(幅)×162(高さ)×8.2(厚さ)mm、重量約192gとなり、前モデル「Xperia 1 V」と比べると、幅が約3mm広く、高さは約3mm短く、厚さは0.1mm薄くなった。従来の縦長のスリムなイメージから、一般的なスマートフォンのシルエットになっている。
シルエットは変わったがデザインのモチーフは「Xperia 1」シリーズを踏襲している。ディスプレイの保護ガラスは「Corning Gorilla Glass Victus2」が、背面には「Corning Gorilla Glass Victus」がそれぞれ使われる
サウンド機能は、ステレオスピーカーのスピーカーユニットを変更し、低周波数帯の特性 が改善され音圧が向上。また、3.5mmのヘッドホン端子も回路の設計を変更したことでさらなる高音質化がなされた。
ディスプレイ単体の電力消費が大幅に改善され、後述するバッテリー持ちも大きく向上している
カラーバリエーションはブラック、プラチナシルバーに加えて、SIMフリー専用色としてカーキグリーンとスカーレットの4色が用意されている
カメラの性能を見てみよう。メインカメラは、16mmの超広角カメラ(約1200万画素)、24mmの広角カメラ(約4800万画素)、85〜170mmの光学ズーム望遠カメラ(約1200万画素)のトリプルカメラ。このうち、超広角カメラと広角カメラは前モデルから継承されたものだが、望遠カメラは新開発となる。
望遠カメラは、テレ端が「Xperia 1 V」の125mmよりも45mm長くなったうえに、テレマクロ撮影に対応。一般にスマートフォンのマクロカメラでは被写体に接近する必要がある。しかし、本機は数十cm程度のワーキングディスタンス(レンズ先端と被写体間の距離のこと)を保てるため、カメラや撮影者の影が入りにくくなり、光量も確保しやすくなる。また、最大撮影倍率は約2倍、マニュアルフォーカスのピント合わせも可能だ。
超広角と広角カメラは基本的に前モデルの持ち越しだが、望遠カメラが強化されている
カメラのアプリも一新された。静止画撮影用の「Photo Pro」と、一般的な動画撮影用の「Video Pro」、より凝った動画表現に対応する「Cinema Pro」という3個の撮影アプリを「Camera」として統合(プロ動画撮影モードは今夏のOSバージョンアップ時に統合される予定)。操作性も見直され、一般的なスマートフォンのカメラアプリに近いものになっている。
なお、従来の特徴だった高度なオートフォーカスや構図認識機能を継承しつつ、被写体の姿勢を認識するAI姿勢推定機能を追加している。もちろん、シャッターボタンは引き続き搭載しており、半押しによるフォーカスロックも行える。
カメラアプリを1つに統合。カメラ専用機を意識した操作性も一般的なスマートフォンのカメラアプリにならったものに変更された
Xperia 1シリーズの特徴であるシャッターボタンは引き続き搭載されている
望遠カメラを使ったマクロ撮影。ワーキングディスタンスを稼げて、カメラの影が構図に入り込みにくくなる
超広角から望遠、マクロまで焦点距離を選べる
基本性能に迫ろう。採用されるSoCは、「Snapdragon 8 Gen3」で、SIMフリー版はメモリー12GB+ストレージ256GB、メモリー12GB+ストレージ512GB、メモリー16GB+ストレージ512GBの3 モデルを用意する。
また、microSDXCメモリーカードスロットは1.5TBまで対応する。プリインストールされるOSはAndroid 14で、3回のバージョンアップと、発売後4年のセキュリティアップデートの予定となり、前モデルよりそれぞれ1回・1年延長された。また、「Xperia 1」シリーズとして初めてベイパーチャンバー を搭載しており、高性能化されたSoCやカメラなどの冷却を効率よく行える。
1.5TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを搭載する
Xperia 1シリーズとしては初となるベイパーチャンバーを搭載。冷却性能の強化が図られている
バッテリー持ちに注力されているのも「Xperia 1 VI」の特徴だ。5000mAhのバッテリーに加えて、上記の開口率を高めた可変リフレッシュレートディスプレイの採用などによって、インターネット閲覧・動画閲覧・ゲーム・そのほかの用途を1日あたり360分利用(1080分の待機時間)することを想定した利用パターンにおいて2日以上のバッテリー持ちを実現している。また、動画の連続再生時間は、「Xperia 1 V」の約17時間から、約36時間へと倍以上延長された。なお、Qi規格によるワイヤレス充電に引き続き対応している。
1日に360分の使用でも2日のバッテリー持ちを実現
良好なバッテリー持ちを誇った「Xperia 1 V」と比べても倍以上の動画再生時間を実現している
「Xperia 1 VI」のSIMフリー版の市場想定価格は以下のとおり。12GBメモリー+256GBストレージでは19万円前後となり、価格帯の幅が広がっている。
・12GBメモリー+256GBストレージ:19万円前後
・12GBメモリー+512GBストレージ:20.5万円前後
・16GBメモリー+512GBストレージ:21.9万円前後
SIMフリー版のほか、通信事業者各社からも発売される。具体的な販路は追って発表される予定だが、12GBメモリー+256GBストレージモデルをベースに、ミリ波に対応したものとなる。