コロナ禍を経て、ビジネスファッションはカジュアル化が浸透、ジャケットから覗かせたスマートウォッチも、すっかり市民権を獲得した。とはいえ、「時計はやっぱりアナログ顔じゃなきゃ」という人も依然として多いのではないか。そこで、注目したいのが、アナログ時計のデザインでありながら、スマートウォッチの機能を持つハイブリッドな1本、Withings「ScanWatch Light」だ。
光沢のあるステンレスボディと、回転式のクラウンボタンを携えた「ScanWatch Light」。公式サイトの販売価格は39,995円(税込)
フランス生まれのヘルスケア機器メーカーWithingsのスマートウォッチ「ScanWatch Light」は、機械式時計と同様に2本の針によって時刻を確認できるアナログな顔付きながら、心拍センサーによる健康モニタリングや、ワークアウトのサポートなどの機能を備えるハイブリッド。一般的に、スマートウォッチが機能の充実と操作性の向上を追求し、フルディスプレイのカジュアルなモデルが多いなか、「ScanWatch Light」は、時計としてのおしゃれさの中に、モニタリング機能を搭載した、趣向の異なる逸品と言える。
左がLEDディスプレイオフ時、右がオン時
スマートウォッチとしての機能は、時計盤面12時のダイヤル位置にある小型のグレースケールの有機ELディスプレイから確認できる。ディスプレイオフ時は黒い円なので、アナログ時計にしか見えないが、ディスプレイをオンにすることで、各種機能の操作が可能となる。ディスプレイをオンにする方法は、クラウンボタンを手動で押し込むか、手首を回転することで画面を表示できる「クイックルック」機能で可能だ。
クラウンボタンを回転させることで、メニュー項目を選択可能。ケースは、摩耗や傷に強い「Gorilla Glass」を採用。24時間着用したままでも、気を使わずに着用していられるのはありがたい
“腕時計らしさ”を感じさせ、上質さを生んでいるポイントのひとつが、ステンレス鋼製のクラウンの存在だ。スマートウォッチとしての操作は、すべてこのクラウンによって行える。スマホを含めタッチディスプレイでの直感的な操作が日常になってしまっているため、クラウンでの操作は久しぶりな印象。とはいえ、「ScanWatch Light」は、健康モニタリングのためのセンサーとしての役割のほうが強いスマートウォッチであるため、ディスプレイを確認する頻度は多くない。時計としてのデザインが優先されている。
バンドは、ステンレス製バックルの付いたフッ素ゴム素材。着け心地はやわらかい
「せっかく上質感のある本体のデザインなのに、バンドがカジュアルで残念」と、おっしゃるあなたのために、交換バンド(別売)が用意されている。左のレザーと右のメタルに代えることで、高級感を高めてくれる
ディスプレイに表示されるのは、ホーム、心拍数、歩数、歩行距離、ワークアウト、呼吸エクササイズ、アラーム、設定画面の8項目だ
時計盤面の上部に付いたディスプレイから、スマートウォッチとしての操作と簡単なデータが確認できる。その項目はシンプルに削ぎ落とされており、“色々なことができるスマートウォッチ”というよりも、24時間モニタリングの高性能センサーを搭載した腕時計といった認識が近いだろう。
そのため、計測したデータは、専用アプリ「Withings」にて確認するのが基本的な使い方となる。スマートウォッチ上で確認できるデータは、リアルタイムの心拍数と、歩行距離、測定中のワークアウトの経過時間、アラームに通知とシンプルだ。
選択できるワークアウト種目は40種類以上。「ランニング」「水泳」といったベーシックな運動から、「ピラティス」「サーフィン」「ズンバ」と幅広い
専用アプリ「Withings」 にて、時計本体のディスプレイに表示させるワークアウトを7つまで選択可能。同じ運動を繰り返すことで、学習し、ワークアウト種目を自動検出できるようになるそうだ。
ワークアウトのひとつ「呼吸エクササイズ(Breathe)」では、深呼吸を通じて心身と整える時間を意図的に作ることができる。深呼吸を行う時間とペースを設定後、時計の振動とディスプレイ表示によって、“息を吸う”、“吐く”ペースを指示してくれる
「ScanWatch Light」でモニタリングできるデータは、大きく分けて「睡眠」、「活動量」、「心拍数」、「月経の健康」の4項目。まず「睡眠」では、睡眠の質のスコア化と呼吸の乱れを感知できる。深い睡眠と浅い睡眠の移り変わりと、心拍数を計測。100点満点のスコアによってその日の睡眠の質が確認できる。
ある日の睡眠質スコアの結果は79点。睡眠時間の25%が深い眠りであったのに対して、浅い眠りが75%。眠りの深さは「悪い」と評価された。ぐっすり眠っていたつもりだっただけに、自分ではわからない客観的な低評価にショックをうける
約30分間のウォーキングを計測した結果がこちら。本体にGPSは非搭載のため、位置情報を取得するにはスマートフォンと接続する必要がある
「ScanWatch Light」は、女性のための月経管理を重要指標としており、詳細な生理周期のトラッキングが可能となっている。生理の症状、段階、月経周期の長さを長期的に追跡することで、自分自身の周期パターンを集計、データとして確認できる。
シンプルなカレンダー表示で、生理や黄体期などのフェーズを視覚的に確認可能だ
ここまでに紹介した機能は、無料アカウントで使用できるもの。有料プランの「Withings+」(月額1,500円)に加入することで、モニタリングデータを基にした「健康改善スコア」などの分析結果や、改善のためのワークアウトメニュー、記事コンテンツなどが閲覧できるようになる。「ScanWatch Light」をフル活用するのであれば、有料プランへの加入を検討してみてもいいだろう。
Withingsの「ScanWatch Light」は、アナログフェイスのおしゃれな腕時計のデザインと、健康モニタリング機能にフォーカスした、コンセプチュアルなスマートウォッチだ。機能が盛りだくさんのスマートウォッチが多いなか、Withings独自の歩みを進めるフランスメーカーならではの、“ゆずらないこだわり”を感じさせる。スマートウォッチでのモニタリングに興味はあるが、カジュアルなデザインが理由で、今まで手にしてこなかった、“こだわり”の強いあなたの腕元に、ぜひ検討してはいかがだろうか。