高機能化に加えて、原材料の高騰、円安の影響もあり、スマートフォンの価格は上昇傾向にあります。そんななか、比較的手を出しやすいのがミドルレンジ向けスマートフォン。特に今回レビューする「moto g64 5G」は記事執筆時点で、31,320円(2024年7月2日時点、価格.com最安価格)とお財布にやさしい手ごろな価格を実現しています。
しかし、安価なスマートフォンとなると、どのぐらいの処理性能、クオリティを備えているのか気になるところ。今回は「moto g64 5G」の実力を細かくチェックしていきましょう。
モトローラ「moto g64 5G」、価格.com最安価格31,320円、2024年6月28日発売
「moto g64 5G」はOSに「Android 14」、プロセッサー(SoC)は「MediaTek Dimensity 7025」を採用。メモリーは8GB、ストレージは128GB。最大1TBのmicroSDメモリーカードでストレージを増量可能です。
ディスプレイは約6.5インチの液晶ディスプレイ
カラーはスペースブラック、シルバーブルーの2色を用意
ディスプレイは約6.5インチのフルHD+(2400×1080)液晶ディスプレイを採用します。低価格端末ながら、解像度が高く、リフレッシュレートが120Hzと高いのは高評価。
下面にはUSB Type-Cポート、3.5mmイヤホンジャックを用意
右側面にはボリュームボタン、指紋認証センター一体型電源ボタンを配置
背面のメインカメラは約5000万画素広角カメラ(F1.8)、約200万画素マクロカメラ(F2.4)を搭載。フロントカメラは約1600万画素(F2.4)です。広角カメラが5000万画素なのに加えて、OIS(光学式手ぶれ補正)を搭載しているのだから、昨今のミドルレンジスマートフォンのスペックの底上げには驚かされます。
ネットワークは5G(nano SIM + eSIM)、無線通信はIEEE802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.3、NFCをサポート。安価なスマートフォンながら、日本向けにしっかりとコストをかけて「おサイフケータイ」に対応しています。
本体サイズは約73.82(幅)×161.56(高さ)×7.99(厚さ)mm、重量は約177g。防水防塵はIP52と防滴仕様。バッテリーは5000mAhと大容量で、急速充電「30W TurboPower チャージ」に対応しています。
カードトレイにはnanoSIMカードとmicroSDメモリーカード(最大1TB)を装着可能です
「moto g64 5G」のディスプレイは、輝度や色域などの細かなスペックが公表されていませんが、屋外でも実用上十分な明るさを備えており、視野角も広いです。
また、HDR対応についても公表されていませんが、YouTubeでHDR動画を再生できました。加えて、リフレッシュレートも120Hzを実現。有機ELディスプレイほど鮮やかで高コントラストではないものの、映像鑑賞、ゲームプレイを快適に楽しめるディスプレイ品質と備えていると言えます。
約6.5インチと大型ですが、しっかりとホールドできるサイズ感
ディスプレイは屋外でも実用十分な明るさ
YouTubeでのHDRコンテンツを再生可能
なお、「Netflix」ではHDRでのコンテンツ再生はできませんでした
「moto g64 5G」にはミドルレンジ向けのSoC「MediaTek Dimensity 7025」が採用されています。定番ベンチマークを実施したところ、「AnTuTu Benchmark V10」のトータルスコアは493746、「Geekbench 6」のMulti-Core Scoreは2380、Single-Core Scoreは1014、「3DMark」のSling Shot Extremeは2513、「Geekbench ML」のTensorFlow Lite NNAPI Scoreは245を記録しました。
記事執筆時点のAnTuTu Benchmarkのランキングトップは、SoCに「MediaTek Dimensity 9300+」を搭載する「vivo X100s」で、トータルスコアは2105621。つまり「moto g64 5G」は最新フラッグシップスマートフォンの約23%相当のベンチマークスコアを記録したことになります。
とはいえ、実際に「moto g64 5G」を操作していても、それほどの差は感じません。Webブラウジング、動画視聴、拡大縮小を含むマップの利用などであれば十分快適にこなせます。「原神」などの3Dゲームも実用的な速度でプレイ可能です。もちろん動画の書き出しや、ゲームインストール時のファイル展開などには速度差が現れますが、一般的な用途であれば不満を感じることはないでしょう。
なお、バッテリー駆動時間については、ディスプレイ輝度とボリュームを50%に設定してYouTube動画を2時間再生したところ、バッテリー残量は100%から87%に減りました。つまり、同条件でバッテリー残量0%まで動作させた場合、15時間23分動くことになります。十分なスタミナ性能ですね。
定番ベンチマークのテスト結果
「原神」などの3Dゲームもデフォルトの画質設定であれば快適にプレイ可能
メインカメラの5000万画素広角カメラはなかなかのクオリティです。強い色が入ったときにはやや鮮やかすぎることがありましたが、基本的な発色は忠実。また「ナイトビジョン」(夜景モード)も明るく、低ノイズで撮影できます。明るいレンズと、光学式手ぶれ補正、そして4画素を1つにまとめることで感度を上げるクアッドピクセルにより、暗所での画質を向上させているわけです。
ただし、マクロカメラは固定フォーカスとなっており、マクロ撮影時には被写体との距離を調節して撮影する必要があります。個人的にはデュアルカメラスマートフォンであれば、マクロよりも超広角カメラを搭載してほしいですね。
上が広角カメラ、下がマクロカメラ
広角カメラ、マクロカメラの作例は以下からご確認ください。
広角カメラ
望遠カメラは搭載されていないため、ズームでの撮影は広角カメラのデジタルズーム(最大8倍)を使用。光学ズームクラスの高画質に期待できない点は注意してください。
等倍
2倍デジタルズーム
8倍デジタルズーム
広角カメラの「ナイトビジョン」
マクロカメラ
「moto g64 5G」の価格はインパクトがあります。ミドルレンジ向けのSoCを採用しているとはいえ、「原神」などの3Dゲームをプレイ可能。ディスプレイはYouTubeでHDRコンテンツを再生でき、ゲームではハイフレームレートを設定可能です。
マクロカメラはやや慣れが必要ですが、メインの約5000万画素広角カメラは明るいレンズに、光学式手ぶれ補正が組み合わされており、手軽にきれいな写真を撮影できます。さらに「おサイフケータイ」にも対応しているので、メイン端末として実用性はバッチリです。
スマートフォンには予算を度外視すればもっと高性能、高機能な端末は存在しますし、モトローラ自身も上位機種をラインアップしています。しかし、3.5万円という予算が絶対条件なのであれば、「moto g64 5G」は最初に検討するべき1台と言えるでしょう。