「HP 15-fc」(以下、「HP 15」)は、15.6型の液晶ディスプレイを搭載する、エントリークラスのノートパソコン。HPのラインアップのなかでも特にコストパフォーマンスの高さが光る定番品です。
今回レビューするのは、「HP 15」の価格.com限定モデル。価格.com「ノートパソコン」カテゴリーの人気売れ筋ランキングで1位(2024年7月25日時点)に位置する人気製品を取り上げます。
「HP 15」の価格.com限定モデル、価格.com最安価格:63,700円(2024年7月25日時点)、2023年6月7日発売
・据え置き利用に適したスタンダードな15.6型モデル
・普段使いのノートパソコンとして十分なスペック
・お買い得な価格.com限定モデルの人気が高い
HPは、世界的に高いシェアを誇る、1939年創業の老舗パソコンメーカーです。ノートパソコンは、エントリー向けモデル「HPシリーズ」から、ゲーム用途に特化したゲーミングモデル「OMENシリーズ」「Victusシリーズ」まで、計7シリーズの充実したラインアップを揃えています。
ゲーミング、マスターピース、プレミアム/クリエイターといったカテゴリー別に計7シリーズを展開。これらのシリーズ以外では、最新モデルとして「Snapdragon X」採用の「OmniBook X」というモデルが追加されています
「HP 15」は、HPのノートパソコンのなかではエントリー向けに位置する「HPシリーズ」の15.6型モデルです。
「HP 15」にはスペックの異なる機種がいくつか用意されていますが、そのなかでも特にコストパフォーマンスにすぐれるのが、今回取り上げる価格.com限定モデル。63,700円(2024年7月25日時点での価格.com最安価格)の低価格ながら、ミドルクラスのCPU「Ryzen 5 7530U」、16GBメモリー、512GB SSDといった十分な基本スペックが備わっています。
価格.comで調べた限り、この価格.com限定モデルは、2024年7月25日時点において、「Ryzen 5 7530U」を搭載する15.6型ノートパソコンとして最も安価です。“コスパ最強”と言っても過言ではなく、2024年7月25日時点での価格.com「ノートパソコン」カテゴリーの人気売れ筋ランキングは堂々の1位です。
「Ryzen 5 7530U」を搭載しながら高いコストパフォーマンスを実現した「HP 15」の価格.com限定モデル
■「HP 15」価格.com限定モデル 筆者による評価チャート
価格.com「ノートパソコン」でのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けたレーダーチャート
評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・製品カテゴリーや価格を考慮して評価しています。ノートパソコンとしての絶対的な評価ではありません。
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも参考程度にとどめてください。
価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧
「HP 15」の価格.com限定モデルは、いわゆる“普段使い”に向いたノートパソコンです。比較的軽い作業であればストレスなくこなすことができるので、用途としては、事務作業、動画視聴、オンラインミーティングなどが考えられます。
上記の評価チャートでは、低価格な製品であることを加味して全体的に点数を高く付けました。なかでも、満足度、使いやすさ、コストパフォーマンスの3項目は5点満点の最高評価に。使いやすさを高く評価したのは、独立した指紋認証センサーや、シャッタードア付きのWebカメラなどの付加機能を搭載していることが大きいです。
詳細な特徴は、次項以降のレビューをぜひご確認ください。
「HP 15」の基本スペック
CPU:Ryzen 5 7530U
メモリー:16GB
ストレージ:512GB SSD
「HP 15」の価格.com限定モデルは、価格.com最安価格で63,700円(2024年7月25日時点)という低価格で購入できるのが最大の魅力です。ここまで安いと「性能はそれほど高くないのでは?」と思うかもしれませんが、普段使いのノートパソコンとして十分なスペックを備えています。
具体的には、ミドルクラスのCPU「Ryzen 5 7530U」を採用するうえ、エントリークラスのノートパソコンとしては大容量の16GBメモリーを搭載しているのがポイント。エントリークラスでは標準的なメモリー容量である8GBと比べると、より多くのデータを一時保管できるため、複数のアプリを起動した場合でも安定した動作が可能です。Webブラウザーやオフィスアプリを使っての事務作業や、YouTubeなど動画配信サービスでの動画視聴であれば、使っていてストレスを感じることはないでしょう。
シンプルさを追求したシルバーボディを採用。天面に配置された「HP」のロゴが目を引きます
ボディサイズは358(幅)×17.9(高さ、最薄部) 〜21.5 (最厚部) × 236(奥行)mmで、重量は約1.63kg。15.6型モデルとしては比較的スリム(17.9mm)です。ボディカラーは光沢感を抑えたナチュラルシルバー。丸みを生かしたシンプルな雰囲気のデザインなので、リビングや寝室などで使用しても、インテリアの雰囲気を損ねることはないと思います。
「HP 15」を使ってみて、コンシューマー向けのパソコンを長年手掛けてきたHPらしさを感じたのが付加機能です。特に、以下の3点を便利な点としてお伝えします。
・独立した指紋認証センサー
・シャッタードア付きのWebカメラ
・45分で50%充電できる急速充電機能
指紋認証センサーが便利なのは、セキュリティーを確保しながら、指をタッチするだけの簡単操作でパソコンにログインしたり、画面ロックを解除したりできること。ノートパソコンのなかには電源ボタンが指紋認証センサーを兼ねるタイプも見られますが、「HP 15」はキーボード右下に指紋認証センサーを独立して搭載しています。
実際に使ってみると、指紋認証センサーが独立しているのは思った以上に使いやすいと感じました。電源ボタンと兼用するタイプでは、多くの場合、キーボードの上部にある電源ボタンに手を伸ばさねばならず、若干操作しにくいと感じるときがありますが、「HP 15」ではそういったことはありません。キーボード右下のセンサーに、直感的かつスピーディーに指を当てられます。
キーボード右下に、独立した指紋認証センサーを搭載。慣れてくれば、センサーの場所を目視することなく指を触れられます。なお、本モデルには標準でBluetoothマウスが付属します
セキュリティー面では、物理的にカメラをさえぎるシャッタードア付きのWebカメラを採用しているのもポイントです。シャッタードアを閉めておくことで、テレワークやオンライン授業などでWebカメラを使用する場合にありがちな「意図しないカメラの映り込み」を防げます。
液晶ディスプレイ上部に約92万画素のWebカメラを装備。Webカメラを挟むようにデュアルマイクを内蔵しており、クリアな音声通話が可能です
さらに、45分でバッテリーを約50%充電できる急速充電機能が備わっているのも特徴。デスクやテーブルの上に据え置いて利用することが多い15.6型モデルですので、充電時間の短さはそれほど重要ではありませんが、それでも、ACアダプターを外して使いたい場合もありますので、充電が早く済むにこしたことはありません。
45分で約50%の充電が可能な急速充電に対応。ACアダプターは45Wタイプです
「HP 15」は、15.6型のフルHD(1920×1080)液晶ディスプレイを搭載しています。エントリークラスながら色調・コントラストの変化が少ないIPS液晶なうえ、映り込みを抑えたノングレア仕様なのもポイント。スペック的には申し分のないディスプレイです。
実際に映画を視聴したり、写真を表示したりしてみましたが、派手さを抑えた自然な色再現が好印象でした。ノングレア仕様ということもあって若干コントラストが低く色が薄いのと、横・斜めからの視認性が少し低いところはあるものの、長時間見続けても疲れにくい、目にやさしいディスプレイだと思います。
15.6型のフルHD 液晶ディスプレイを採用。自然な色再現で写真や動画を表示できます
続いて、「HP 15」の操作性(キーボード&タッチパッド)、拡張性(外部インターフェイス)、バッテリー性能をチェックしていきましょう。
キーボードはテンキー付きの日本語配列で、キーピッチは実測で約19mm。15.6型のノートパソコンとしては標準的なスペックです。キートップの表面に少しざらついた処理が施されていて、指が滑る感じがしないのが使いやすいと感じました。注意点は、バックライトがないため暗いところだとキーが見にくいこと。価格を考慮すると致し方ないところでしょう。
タッチパッドは、実寸で約120(横)×80(縦)mmと十分な大きさを確保。カーソルの移動、クリックなどの操作をストレスなく行えます。
キーピッチ約19mmの日本語配列キーボードを採用。タッチパッドは十分な大きさを確保しています
左側面:HDMI×1、USB Type-C(5Gbps)×1、USB Type-A(5Gbps)×1、ヘッドホン/マイクコンボ×1
右側面:USB Type-A(5Gbps)×1
最新のノートパソコンとしては10Gbps(USB 3.2 Gen2)対応のUSB端子が備わっていないのが残念ですが、USBは計3系統用意されており、メモリーカードリーダーなどの外部機器の接続性は十分に確保されています。映像出力用のHDMI端子を搭載しているので、テレビやディスプレイに接続してパソコンの画面を表示できます。
3系統のUSB端子やHDMI端子を搭載しています
カタログスペックのバッテリー駆動時間は最大10時間。このスペックが実際にどのくらいのレベルなのかを確認すべく、約2時間のアクション映画(Amazonプライム・ビデオ、フルHD解像度)を2本続けてストリーミング再生して、満充電の状態からのバッテリー残量をチェックしてみました。
動画再生時のパソコン設定
Windows 11の電源プラン:バランス(初期設定)
ディスプレイの明るさ:100%(最大輝度)
表示モード:全画面表示
音量:50%
Wi-Fi/Bluetooth:オン
結果は、1本目の再生が終わった時点でのバッテリー残量が62%。2本目が終わった時点では24%。ディスプレイの輝度を落としたり、音量を絞ったりすれば2時間の映画を3本くらいは視聴できると思います。基本的に据え置いて使用するノートパソコンですのでバッテリー性能はそれほど気にする必要はありませんが、自宅やオフィスの中でちょっと移動して使う分には十分な性能と言えます。
約2時間の映画を2本見終わった段階でのバッテリー残量は24%でした
最後に、参考として各種ベンチマークの結果をまとめておきます。
今回使用した、「HP 15」の価格.com限定モデルは、63,700円(2024年7月25日時点での価格.com最安価格)の低価格なノートパソコンとしては十分なスペックを搭載していますが、さすがに、動画編集や3Dゲームなど負荷の高い処理を快適に行えるほどではありません。ベンチマークの結果を見ても、CPU性能では健闘しているものの、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」など高いグラフィック性能が求められるものについては、相応の結果となりました。
※ベンチマークを実行する際は、Windows 11の電源プランを「最適なパフォーマンス」(システムのパフォーマンスを優先するモード)に設定しました。
「PCMark 10 Professional Edition」のスコア
トータル:5586
Essentials:9959
Productivity:9697
Digital Content Creation:4899
「CineBench 2024」のスコア
CPU(Multi Core):226
CPU(Single Core):79
「CineBench R23」のスコア
マルチコア:4516
シングルコア:1315
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」のスコア
軽量品質、1280×720、フルスクリーン:3102(普通)
「PCMark 10 Professional Edition」の結果
「CineBench R23」の結果
「HP 15」の価格.com限定モデルは、63,700円(2024年7月25日時点での価格.com最安価格)という価格を考慮すると、文句のつけようのない製品だと思います。コストパフォーマンスは非常に高く、2024年7月25日時点での価格.com「ノートパソコン」カテゴリーの人気売れ筋ランキングで1位に位置しているのも納得です。「そこそこの性能のパソコンを安く手に入れたい!」という人にとって最良の選択肢のひとつと言えるのではないでしょうか。
価格.com最安価格の推移をチェックすると、高いときで7万円台、安いときで6万円台前半なので、63,700円(2024年7月25日時点での価格.com最安価格)は底値と判断できます。まさに“今が買い時”と言えるでしょう。
注意点としては、そう遠くないうちに現行品の販売が終了する可能性があること。現行品は2023年6月7日の発売開始からすでに1年以上が経過しており、そろそろ後継機種がリリースされるかもしれません。スペックが向上するであろう後継機種を待ってもよいのですが、6万円台前半の価格で購入できる保証はありません。気になるようであれば、早めに現行品を手に入れておくことをおすすめします。
なお、「HP 15」の価格.com限定モデルとしては、本記事で紹介した製品のほかに、定番のオフィスアプリ「Microsoft Office Home and Business 2021」が付属する製品も用意されています。20,000円ほど高くなりますが、オフィスアプリで書類作成を行う機会が多いのであれば、こちらを選ぶとよいでしょう。