レビュー

ハイスペック「Copilot+ PC」なのに20万円切り! 「Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9」

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世界屈指のパソコンメーカーレノボから、2024年6月に発売された「Copilot+ PC」対応ノートパソコン「Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9」。話題の「Snapdragon X Elite」を搭載するほか、メモリー32GB・1TB SSD搭載など豪華なハードウェア構成なのに20万円を切る価格も注目ポイントです。今回は、この製品の魅力を探っていきます!

レノボ「Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9 83ED000QJP [コズミックブルー]」、価格.com最安価格194,630円(税込)、2024年6月18日発売※ページ内の価格などはすべて執筆時点2024年10月1日のもの

レノボ「Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9 83ED000QJP [コズミックブルー]」、価格.com最安価格194,630円(税込)、2024年6月18日発売※ページ内の価格などはすべて執筆時点2024年10月1日のもの

Lenovo Yoga Slimってどんなパソコン?

・携帯利用もはかどるクリエイター向けの薄型ノート
・高性能ディスプレイ&32GBメモリーで20万円切りはコスパ良好
・軽めのゲームなら遊べるが写真や動画編集に向く

クリエイター向けスタイリッシュノートのスリムモデル

レノボから、2024年6月に発売された個人向けスタイリッシュノートが今回レビューする「Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9(※以下Yoga Slim 7x)」。レノボでは現在7ブランドのノートPC製品を販売しており、「Yoga」ブランドは特にクリエイター向けのプレミアムモデルという位置づけです。

レノボ、ノートPCのラインアップ。なお、表中の機種紹介テキストはメーカーサイト(https://www.lenovo.com/jp/ja/laptops/)より抜粋しています

レノボ、ノートPCのラインアップ。なお、表中の機種紹介テキストはメーカーサイト(https://www.lenovo.com/jp/ja/laptops/)より抜粋しています

Yogaブランドは用途や形状がことなる4つのシリーズを用意

Yogaブランドはさらに、高性能なプロフェッショナル向けの「Pro」、タブレットのようにも使える「2-in-1」、2画面搭載で自由なスタイルで使える「Book」、そして今回紹介するスタイリッシュな薄型軽量モデル「Slim」の4シリーズに分かれています。

今回レビューする「Yoga Slim 7x」は、薄くて軽い14.5型のスタイリッシュノートです。
Yogaブランドの製品には最新の性能や機能が惜しみなく投入されることが多いため、レノボ製品の中でも高性能寄りです。CPUは話題の「Snapdragon X Elite」で、マイクロソフトによるAIパソコンのブランド「Copilot+ PC」にも適合しています。

メモリーは32GB、ストレージも1TB SSDとどちらも大容量。ディスプレイも3Kの有機ELと、ハードウェア構成はなかなか豪華です。OSは「Windows 11 Home 64bit」で、価格.com最安価格は194,630円(税込)。安くはありませんが、ハード構成から考えるとかなり高コスパといえます。

「Snapdragon X Elite」・32GBメモリー・1TB SSDで文句なしの「Copilot+ PC」

レノボ「Yoga Slim 7x」に搭載されているクアルコムの「Snapdragon X Elite X1E-78-100」は、12コア・最大3.40GHzのAI対応プロセッサー。CPUやGPU、メモリー、AI処理を行うNPUなどのチップ群を1つにまとめた「SoC(システム・オン・チップの略)」と呼ばれるプロセッサーです。

ちなみに最近話題の「AIパソコン」の特徴は、クラウドで行うAI処理の一部を、PC内のNPUで高速処理できることです。また、その中でもマイクロソフトの要件をクリアした製品にのみ、「Copilot+ PC」の名前が付けられます。「Snapdragon X Elite X1E-78-100」はSoCに要求される「Copilot+ PC」の条件をクリアしており、AI処理を行うNPUは最大「45TOPS」。なんと1秒間に45兆回以上の演算が可能です。

上の写真はペイントの「Cocreator」機能ですが、テキストと大まかなラフで指示すれば右側にAIが画像を生成してくれます

上の写真はペイントの「Cocreator」機能ですが、テキストと大まかなラフで指示すれば右側にAIが画像を生成してくれます

なお、“AIパソコンはすべてのAI処理が高速”なわけではないので、勘違いしないよう注意しましょう。また、AIパソコンでできることについてもっと知りたい場合は以下を参照してください。

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2024/08/04 08:00

どんな用途に向いている?

■レノボ「Yoga Slim 7x」 筆者による評価チャート

価格.com「ノートパソコン」でのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けたレーダーチャート

価格.com「ノートパソコン」でのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けたレーダーチャート

評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・製品カテゴリーや価格を考慮して評価しています。ノートパソコンとしての絶対的な評価ではありません。
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも参考程度にとどめてください。
価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧
https://review.kakaku.com/review/newreview/CategoryCD=0020/

「Yoga Slim 7x」に搭載されている「Snapdragon X Elite」は最新のAI対応プロセッサーなので、AI系の処理が得意です。すでにグラフィックソフトや動画編集ソフト、音楽編集ソフトなどでNPU対応が進んでいるので、Yoga Slimシリーズのターゲットどおりクリエイター向きといえます。

とはいえ、クリエイター系ソフト以外にもNPU対応はどんどん進んでいくので、今後は一般的な作業でもAIパソコンの恩恵は大きくなりそうです。高速な最新プロセッサーに大容量メモリー、十分なストレージ容量とハードウェア構成も文句なしなので、ネット閲覧やメール、「Microsoft Office」での作業などもかなり快適です。今回は検証のため使用しましたが、本製品に「Microsoft Office」は付属していません。

ディスプレイは3Kの有機ELなので、高精細で色も鮮やかです。写真編集や動画編集はもちろん、ネット動画や映画の視聴も楽しめます。「Dolby Atmos」対応スピーカーを4つ搭載しているので、広がりのある音で聴けます。

14.5型と画面はやや大きめですが、薄くて軽いので持ち運びにも適しています。後述しますが、バッテリー持続時間も実測で約16時間5分と長めなので、一日持ち歩いて使ってもバッテリー切れの心配はないでしょう。超軽量モバイルノートほど軽くはありませんが、毎日持ち歩いても苦にはならない重さなので、自宅でも外出先でも使えるメインマシンが欲しい人、高性能な最新AIパソコンが欲しい人にピッタリです。

14.5型で薄くて軽く持ち運びしやすい

「Yoga Slim 7x」の本体サイズは325(幅)×225.15(奥行き)mmで、最薄部の厚さが12.9mm。14.5型な分、一般的な14型のノートPCと比べるとやや幅と奥行きは大きいものの、かなり薄い印象です。

重量は約1.28kgなので、1kgを切るモバイルノートと比べると若干重いです。しかし、アルミニウム製本体のノートPCとしては、このサイズではかなり軽い製品といえます。プラスチック製の超軽量ノートとは比べものにならないほど頑丈で、アメリカ国防総省が軍用製品調達時の基準として制定した「MIL規格」に準拠しています。

この堅牢さならあまり気を遣わずにカバンに放り込んでも破損の心配は少なそうです。アルミニウム製の本体はカラーがコズミック・ブルーなので、高級感というよりカジュアルさが強い印象。ひとつ難点をあげるなら、表面に付いた指紋が割と目立つ点でしょう。

14型のノートPCと比べるとわずかに大きいものの、A4サイズより若干大きい程度で持ち運びしやすいサイズです

14型のノートPCと比べるとわずかに大きいものの、A4サイズより若干大きい程度で持ち運びしやすいサイズです

画面の上部、Webカメラが内蔵されている部分のカバーに一部出っ張りがあります。このデザインは人によっては好き嫌いが分かれるかもしれません

画面の上部、Webカメラが内蔵されている部分のカバーに一部出っ張りがあります。このデザインは人によっては好き嫌いが分かれるかもしれません

専用の電源端子は搭載されておらず、3つのUSB Type-Cポートのいずれかで給電します

専用の電源端子は搭載されておらず、3つのUSB Type-Cポートのいずれかで給電します

付属しているACアダプターは65Wで、比較的小さめです。しかし、2ユニットタイプでコンセント側のケーブルが太いため、毎日本体と共に持ち運ぶのはやや面倒な印象

付属しているACアダプターは65Wで、比較的小さめです。しかし、2ユニットタイプでコンセント側のケーブルが太いため、毎日本体と共に持ち運ぶのはやや面倒な印象

3K(2944×1840)/90HzのOLEDディスプレイはキレイ

ディスプレイは14.5型の有機EL(OLED)で、解像度は3K(2944×1840)です。画面の比率が16:10なので、一般的な16:9の画面より若干縦が広いのが特徴。縦が広いとWeb閲覧や、Officeファイル作成時などに快適です。

色域はデジタルシネマ規格の「DCI P3」対応で、「Delta E<1」と色の正確性も高めなので写真編集にも向いています。リフレッシュレートは90HzとゲーミングPCほどではありませんが、60Hz表示よりも映像が滑らかです。さらに、タッチ操作にも対応しています。また、焼き付き防止のために輝度をあまり上げられない有機ELの中では、500nitsと輝度も高いので文字もくっきり見えます。さらに高コントラストでしっかりと黒が出せる「Display HDR True Black 600」対応なので、メリハリがあって黒も締まった映像が楽しめます。さらに、「Dolby Vision」にも対応しています。

画面の比率が16:10と若干縦に広く、解像度は通常の3K(2880×1620)よりもやや高め。ディスプレイの拡大設定は200%が推奨となっていますが、これだとデスクトップが狭い印象になるので150%に変えて使うのがおすすめです

画面の比率が16:10と若干縦に広く、解像度は通常の3K(2880×1620)よりもやや高め。ディスプレイの拡大設定は200%が推奨となっていますが、これだとデスクトップが狭い印象になるので150%に変えて使うのがおすすめです

最大10.74億色発色の有機ELは、高精細で発色も派手めです。。ただし、表面処理は光沢ありなので、暗めの画面だと映り込みが気になるかもしれません

最大10.74億色発色の有機ELは、高精細で発色も派手めです。。ただし、表面処理は光沢ありなので、暗めの画面だと映り込みが気になるかもしれません

こちらが上で画面内に表示している写真の元画像です。元画像と比べると、「Yoga Slim 7x」の画面ではやや明るめで彩度も高く見えます。暗い部分のコントラストも上がっており、全体的にメリハリが強い印象です

こちらが上で画面内に表示している写真の元画像です。元画像と比べると、「Yoga Slim 7x」の画面ではやや明るめで彩度も高く見えます。暗い部分のコントラストも上がっており、全体的にメリハリが強い印象です

音響やインターフェイス面でも十分な機能

引き続き「Yoga Slim 7x」の筐体をチェックしていきましょう。

キーボード左右と底面に4つのスピーカーを搭載

スピーカーはキーボードの左右に中高音域担当の2Wツイーターが2つ、底面の左右に中低音域担当の2Wウーハーが2つで合計4つ搭載されています。Dolby Atmosにも対応しているので、立体的な音で対応映像を楽しめます。

キーボードの左右には2W×2のツイーターが搭載されており、広がりのある中高域を楽しめます。大音量にしても音が割れることもなく澄んだ印象です

キーボードの左右には2W×2のツイーターが搭載されており、広がりのある中高域を楽しめます。大音量にしても音が割れることもなく澄んだ印象です

底面にも手前側の左右に2W×2のウーハーが搭載されており、キーボードの真上でならかなり低音の迫力もあります

底面にも手前側の左右に2W×2のウーハーが搭載されており、キーボードの真上でならかなり低音の迫力もあります

ディスプレイ上部には1080pのWebカメラを搭載

ディスプレイ上部には1080pのフルHD赤外線(IR)カメラを装備。Webカメラの画質はそれなりですが、明るめの映りでで影部分が暗くなりすぎることもありません。音声もこもった感じはあまりなく、比較的クリアです。ちなみに、「Windows Studio Effects」のAIを利用したフィルター効果については、AIパソコンだけあって瞬時にオン/オフが反映されました。

1080pのWebカメラの映像は明るめで、よくありがちなザラザラ感も感じません。4つのノイズキャンセリングマイクを搭載しているので、音声もクリアです

1080pのWebカメラの映像は明るめで、よくありがちなザラザラ感も感じません。4つのノイズキャンセリングマイクを搭載しているので、音声もクリアです

Webカメラには電子式プライバシーシャッターが付いており、オン/オフは本体右側面にあるスイッチで切り替えられます

Webカメラには電子式プライバシーシャッターが付いており、オン/オフは本体右側面にあるスイッチで切り替えられます

独特な形状だが使いやすいキーボードにはCopilotキーも搭載

キーボードはファンクションキー付きのJIS配列で、薄型ながらキーの沈み込みは1.5mmと十分確保されています。「enter」やスペース、「back space」キーなど、一部のキーは別のキーと一体化しています。パッと見の視認性は高いものの、実際に使ってみると「enter」キーの幅が狭いなど、やや使いにくさを感じる部分もあります。

キートップはフラットで、形状がやや独特です。上部が手前にへこんでおり、逆に下部が丸みを帯びて出っ張っています。打ちづらいまではいきませんが、キートップがかなりすべすべしているため、指先が意外と滑ります。打ち心地はやや硬めで反発が強いので、長時間の文字入力だと打ち疲れるかもしれません。音は非常に静かです。

キーボードの右上が電源キーではなく、きちんと「delete」キーなのは使いやすく感じました。電源ボタンはというと、本体の右側面に配置されています。文字入力時に誤って押す心配はありませんが、USBポートを使う際には誤って押してしまいそうです。左側面のUSBポートを使う際、逆側の右側面を押さえることが多いため、このときにうっかり電源を押しそうになります。

タッチパッドはクリックボタンが分かれていない一体化タイプで、指の滑りは非常にスムーズ。大きく動かしても、指先を細かく動かしてもカーソルがしっかり指の動きについてきます。軽めのタッチでも、しっかりクリックとして認識されます。

ファンクションキー付き、テンキーなしのJIS配列キーボードで、84キーの配置は特に変わったところはありません。バックライトを搭載しているので、暗い部屋での文字入力も快適です

ファンクションキー付き、テンキーなしのJIS配列キーボードで、84キーの配置は特に変わったところはありません。バックライトを搭載しているので、暗い部屋での文字入力も快適です

「カタカナ ひらがな ローマ字」キーの右には、「Copilot」キーが用意されています。このボタンひとつで、Windows標準のAI機能を素早く呼び出せます

「カタカナ ひらがな ローマ字」キーの右には、「Copilot」キーが用意されています。このボタンひとつで、Windows標準のAI機能を素早く呼び出せます

キーボードの右上が電源ボタンではなく、「delete」キーなのでうっかり電源を押してしまうことがありません。デスクトップPC慣れしていると、このちょっとした快適さが意外と大きいです

キーボードの右上が電源ボタンではなく、「delete」キーなのでうっかり電源を押してしまうことがありません。デスクトップPC慣れしていると、このちょっとした快適さが意外と大きいです

14型クラスではスペースの都合上仕方のないことですが、「enter」や「back space」「右shift」キーなどが別のキーと一体化されています。パッと見の視認性は高いものの「enter」キー自体の幅が狭いなど、若干使いにくさを感じる部分ではあります

14型クラスではスペースの都合上仕方のないことですが、「enter」や「back space」「右shift」キーなどが別のキーと一体化されています。パッと見の視認性は高いものの「enter」キー自体の幅が狭いなど、若干使いにくさを感じる部分ではあります

電源キーは本体の右側面に配置。文字入力時に誤操作する心配はありませんが、本体を押さえた際にうっかり押してしまいそうになります

電源キーは本体の右側面に配置。文字入力時に誤操作する心配はありませんが、本体を押さえた際にうっかり押してしまいそうになります

バックライト搭載で暗い場所でも打てるのは便利ですが、水平に近い角度で見るとキーの下部からバックライトの光が漏れて見えます。キーボード全体が光って見えるため、キートップの文字自体の視認性は相対的に落ちてしまいます

バックライト搭載で暗い場所でも打てるのは便利ですが、水平に近い角度で見るとキーの下部からバックライトの光が漏れて見えます。キーボード全体が光って見えるため、キートップの文字自体の視認性は相対的に落ちてしまいます

外部インターフェイスはUSB Type-Cが3ポートのみ

「Yoga Slim 7x」の外部インターフェイスは、USB Type-Cポートが3つのみ。USB Type-Cポートの転送規格はUSB4、最大40Gbpsと高速です。3つすべてのポートがDisplayPortでの画面出力と、USB PDでの充電に対応しています。

USB Type-C以外のポートは一切なく、USB Type-Aどころかヘッドホン端子もありません。メモリーカードスロットも搭載されていないので、古めの周辺機器やヘッドホン、SDカードなどを利用する場合は別途ドックやカードリーダー、変換アダプターなどを用意する必要があります。

左側面には2つのUSB Type-Cポートが並んでおり、両方とも転送規格はUSB4で40Gbpsと高速です。2ポートの間に給電状態を示すLEDランプが付いています

左側面には2つのUSB Type-Cポートが並んでおり、両方とも転送規格はUSB4で40Gbpsと高速です。2ポートの間に給電状態を示すLEDランプが付いています

2つのUSB Type-Cポートには適度な間隔があるので、ケーブル同士やケーブルとUSBメモリーの組み合わせであれば互いに干渉せずに使えます

2つのUSB Type-Cポートには適度な間隔があるので、ケーブル同士やケーブルとUSBメモリーの組み合わせであれば互いに干渉せずに使えます

右側面にもUSB Type-Cポートが1つ用意されており、こちらもUSB4なので高速。すべてのポートでDisplayPortでの画面出力とUSB PDでの充電に対応しています

右側面にもUSB Type-Cポートが1つ用意されており、こちらもUSB4なので高速。すべてのポートでDisplayPortでの画面出力とUSB PDでの充電に対応しています

70Whrバッテリーはネット動画の連続再生で約16時間稼働

4セル・70Whrのバッテリーを搭載しており、バッテリー持続時間は公称で最大19.6時間(JEITA3.0)。画面の明るさと音量を50%に設定し、電源モードは「最適なパフォーマンス」を選択。Bluetooth、画面のスリープ、バッテリー節約機能はオフにして、Wi-Fi 6でインターネットに接続。この状態でネット動画を連続再生してみたところ、実測で約16時間5分と十分長い稼働時間でした。バッテリー残量がゼロになっても、電源オフの状態なら約2時間で急速充電できます。

測定は電源モードを「最適なパフォーマンス」、「バッテリー節約機能」をオフにして実施したので、設定次第ではさらに長時間の稼働もできそうです。なお、かなり静かではありますが、負荷がかかる作業ではやはりファンの音は多少気になります。底面もそれなりに熱を持ちますが、熱いというほどではありません。

フルHDのYouTube動画を連続再生したところ、約16時間5分稼働しました。なお、今回は試せませんでしたがWi-Fi 7にも対応しており、Bluetoothのバージョンは5.3です

フルHDのYouTube動画を連続再生したところ、約16時間5分稼働しました。なお、今回は試せませんでしたがWi-Fi 7にも対応しており、Bluetoothのバージョンは5.3です

軽めのゲームも遊べるものの写真や動画編集向き

最後に、各種ベンチマークの結果をまとめておきます。

今回使用した「Yoga Slim 7x」のスペックは以下のとおりです。

プロセッサー:Qualcomm「Snapdragon X Elite X1E-78-100」(12コア・最大3.40GHz)
メモリー:32GB(LPDDR5X)
ストレージ:1TB SSD(M.2 PCIe NVMe)
ディスプレイ:14.5型 OLED(2944×1840 3K・90Hz)
グラフィック:Qualcomm Adreno GPU(プロセッサー内蔵)

なお、測定は電源を接続した状態で行い、電源モードは「最も高いパフォーマンス」を選択。バッテリー駆動時に電源モードを「バランス」にして使用する場合、一般的にスコアは低下します。

「CineBench 2024」のスコア
シングルコア:107 pts
マルチコア:899 pts

今回はARM版Windowsのため、いつもの「CineBench R23」ではなく「CineBench 2024」を使用しました。

画像左は電源接続時、電源モードは「最も高いパフォーマンス」で測定したスコアです。画像右はバッテリー駆動で電源モードを「バランス」にして測定した状態。シングルコアは107で性能の低下はなし。マルチコアは817で若干性能が低下しています

画像左は電源接続時、電源モードは「最も高いパフォーマンス」で測定したスコアです。画像右はバッテリー駆動で電源モードを「バランス」にして測定した状態。シングルコアは107で性能の低下はなし。マルチコアは817で若干性能が低下しています

「3DMark」のスコア
Fire strike:5989
Time spy:1901
Steel Nomad Light:2016
Steel Nomad:495
Speed Way:実行不可

グラフィックボード搭載のPCほど高くはありませんが、プロセッサー内蔵グラフィックとしては高めのスコアです。なお、内蔵グラフィックの場合、ビデオメモリーはメインメモリーと共用なので、搭載メモリーが大容量なほど有利です。

軽量PC向けの「Steel Nomad」系の2つのテストは、過去に検証した下位プロセッサーの「Snapdragon X Plus」のほうがやや上でした

軽量PC向けの「Steel Nomad」系の2つのテストは、過去に検証した下位プロセッサーの「Snapdragon X Plus」のほうがやや上でした

「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」のスコア

高品質・1920×1080・フルスクリーン:1574(動作困難)
標準品質・1920×1080・フルスクリーン:2561(やや重い)
軽量品質・1920×1080・フルスクリーン:3179(普通)
軽量品質・2560×1440・フルスクリーン:2412(重い)

FF15のベンチマークは「1920×1080」のフルHDで測定。「高品質」では「動作困難」だったので「標準品質」に落としましたが、それでもまだ「やや重い」という結果。プレイするとなると、「軽量品質」まで画質を落とす必要があります。

フルHDでは「標準品質」でもまだ「やや重い」だったので、「軽量品質」まで落としてプレイする必要があります。なお、試しに「軽量品質」のまま解像度を2560×1440に上げてみましたが、スコアは2412で「重い」でした

フルHDでは「標準品質」でもまだ「やや重い」だったので、「軽量品質」まで落としてプレイする必要があります。なお、試しに「軽量品質」のまま解像度を2560×1440に上げてみましたが、スコアは2412で「重い」でした

「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」のスコア
最高品質・1920×1080・フルスクリーン:3311(設定変更を推奨)
高品質(ノートPC)・1920×1080・フルスクリーン:6538(やや快適)
高品質(ノートPC)・2560×1440・フルスクリーン:4787(普通)

FF14のベンチマークも同じく「1920×1080」のフルHDで測定。最も上の「最高品質」ではさすがに「設定変更を推奨」でしたが、「高品質(ノートPC)」なら「やや快適」で十分遊べます。

標準品質まで落とさなくても「高品質(ノートPC)」で「やや快適」なので、十分プレイできます。なお、解像度を「2560×1440」に上げても、「高品質(ノートPC)」で「普通」でした。ゲームのグラフィック設定で不要な処理を省けば、快適にプレイできそうです

標準品質まで落とさなくても「高品質(ノートPC)」で「やや快適」なので、十分プレイできます。なお、解像度を「2560×1440」に上げても、「高品質(ノートPC)」で「普通」でした。ゲームのグラフィック設定で不要な処理を省けば、快適にプレイできそうです

まとめ 全体的に高性能でメインマシンに最適

「Yoga Slim 7x」は、全体的に高性能で仕事にも趣味にも活躍してくれるでしょう。最新のAIプロセッサーを搭載した「Copilot+ PC」で32GBメモリー、ストレージも1TBと全体的にスペックは高め。自宅用メインマシンにピッタリです。14.5型ながら薄くて軽いので、自宅だけでなく外出先でも使いたい人にも最適です。

有機ELの3Kディスプレイは高精細で色も鮮やかなうえ、DCI P3の色域にも対応しています。色の正確性も高いので、写真編集や動画編集にも十分使えます。メリハリのある映像で音質もいいので、ネット動画や映画の視聴も楽しめます。

ネットでの調べ物やメール、Officeドキュメントの作成といった一般的な作業であれば、まるでストレスは感じません。なお、Officeソフトは付属しないので、以前の製品版もしくは「Microsoft 365」の契約が必要です。

AI機能に関しては、「Copilot+ PC」でしかできない機能は今のところ微妙です。「Windows Studio Effects」でWebカメラ映像にエフェクトを追加したり、ペイントでAI生成を試してみましたが、ほかのソフトやAIサービスと比べて、驚くほど速いという印象はありません。現状では「Copilot+ PC」にこだわる必要はなさそうですが、今後のAI機能の追加を考慮すると、同じ価格帯であれば「Copilot+ PC」を選ぶほうが賢明かもしれません。

ただし、ARM版Windowsの互換性という不安要素はあります。Snapdragon搭載の「Copilot+ PC」が発売されてすぐ、ARM版では動作しないソフトがいくつか出てきました。ソフトメーカーが順次対策しているとは思いますが、そのあたりが不安であればIntel版やAMD版の「Copilot+ PC」を待つのも手です。

功刀友如
Writer
功刀友如
ゲーム会社のCGデザイナーから、社内デザイナーがいると勘違いして出版社に転職。以降、雑誌編集者としてPC・スマホを中心とした雑誌やムックを担当。現在はフリーランスとして、デジタルガジェットやホビー系グッズ関連の誌面やWeb記事を担当しています。趣味はバイクとコンシューマーゲームで、嫌いな夏休みの宿題は「読書感想文」です。
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柴田崇志(編集部)
Editor
柴田崇志(編集部)
モノ雑誌で10年弱編集を経験した後、カカクコムに入社。前職ではAV家電やカメラを中心に幅広い製品を担当。スペックからわかりづらい製品の違いをわかりやすく説明したいです。
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