HP「Pavilion Aero 13 Ryzen 7・16GBメモリ・1TB SSD・マウス付 価格.com限定モデル(以下、Pavilion Aero 13)」は、軽量さに定評のあるPavilion Aeroシリーズの2024年モデル。本機は軽さをキープしつつさらに高い性能を突き詰めた優等生なモデルに仕上がっています。それが理由か13万円を超える価格ながら執筆時点(2024年11月20日)の価格.comノートパソコン売れ筋ランキングでは15位に食い込んでいます。今回はそんな「Pavilion Aero 13」をレビューしていきます。
HP「Pavilion Aero 13 Ryzen 7・16GBメモリ・1TB SSD・マウス付 価格.com限定モデル」、139,800円(税込/価格.com最安価格。以下、ページ内のすべての情報は2024年11月20日時点のもの)、2024年5月31日発売
HPは、世界的に高いシェアを誇る、1939年創業の老舗パソコンメーカーです。ノートパソコンのラインアップには、エントリー向けモデル「HPシリーズ」から、ゲーム用途に特化したゲーミングモデル「OMENシリーズ」「Victusシリーズ」まで、計9シリーズがあります。ただし、今後個人向けPCはゲーミングPCを除いてOmnibookに統合される予定です。
「Pavilion Aero 13」は、HPのノートパソコンのなかではスタンダードな位置づけの「Pavilionシリーズ」中の軽量モデルです。※上の表中ではスペースの都合上ゲーミングPC「OMEN」「Victus」をまとめて記載してあります
Pavilionシリーズには、スタンダードという区分ながら複数のバリエーションがあります。そのなかでもAeroシリーズは名前のとおり、軽さを追求したシリーズです。
・1kgを切る軽量さと13.3型のボディは携帯利用メインの人向き
・Ryzen 7を搭載し写真や動画編集なども対応可能
評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・製品カテゴリーや価格を考慮して評価しています。ノートパソコンとしての絶対的な評価ではありません。
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも参考程度にとどめてください。
価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧
重量が1kgを切っているおかげで、持ち運びやすさは文句なし! かといって性能が抑えられているわけでもなく、Ryzen 7プロセッサーに16GBメモリーの組み合わせという、高水準と呼べるスペックにまとまっています。軽量ながらスペックを諦めていないのが、本機最大の特徴でしょう。
持ち出しの機会が多いビジネスノート、あるいは大学生向けノートパソコンとしては、非常に満足のいく性能。映像表現もそこまで弱いわけではなく、重量級ゲームや4K映像の編集といった重い作業をしないのであれば実用圏内。個人的にはこれで外部インターフェイスにSDカードスロットがあればほぼ完璧だったなと思います。
本機の本体重量は約990g。1kgを切る超軽量ノートに分類されるのノートパソコンで、軽量なおかげで持ち歩きも苦になりません。たとえば1.3kgのノートパソコンと1kgのノートパソコンとでは缶ジュース1本分近い重量差があり、一日中持ち歩くことを考えればこの重量差は侮れません。いくらスペックが高くても、持ち歩く度に肩や腰に疲労感が蓄積するのでは、持ち出すのが億劫になりますからね。
外装はマグネシウム合金製で、天面耐圧テストで350kgfをクリアするなど堅ろう性も十分。バッグ内で圧迫されたり、ノートパソコンの上に重い物を置いてしまったりした際も壊れにくいでしょう。マグネシウム合金は軽量ノートではポピュラーな素材ですが、アルミニウムを思わせるマットなテクスチャーでデザインも美しく、チープな印象は感じません。
一見するとアルミニウムのようなデザインだが、軽量なマグネシウム合金製
充電アダプターのほか、ワイヤレスマウスも同梱されています。トラックパッドでも問題なく操作はできますが、追加費用なしにマウスが使えるのはありがたいポイントです。また、本機は、65WクラスのUSB Type-C充電器で給電可能。たとえば本機とスマホを持って出張などに出かける場合、対応していればスマホ用の充電器を共用できるため、本機の充電アダプターを持ち歩く必要はありません。これも持ち運びの利便性につながる大事な要素です。
ワイヤレスマウス同梱はうれしいオプション
1kgを下回る軽さだと、ノートパソコンを片手で持ちながら操作することも可能。1.5kg前後のノートパソコンではこうはいきません(実際に試してみましたが落下の危険を感じました)。打ち合わせやフィールドワーク、現場立ち会いなど、ノートパソコンを開いた状態で移動することが多い人にとっては、この軽さは強力な武器になるはずです。
文字通り、「ひょい」っと持ち上げられる軽さ
ディスプレイは13.3型液晶パネル、解像度は1920×1200。4Kや有機ELといった美麗映像につながる要素はありませんが、ノングレア加工で明るい環境でも見やすく、快適な作業環境が確保できます。タッチディスプレイでもないため、あくまでスタンダードなノートパソコンといった使い心地。
また、価格.comのレビューによると「デフォルトでは若干色温度が低く見える」との指摘がありましたが、実際に画面を見てみると確かにやや暖色気味の発色だと感じました。内蔵のソフトウェア「AMD Software」からディスプレイの色温度を細かく調整できるため、デフォルトの6500Kからいくらか上げるのも有効です。
左右ベゼルはかなり狭く、操作時は画面に集中しやすい
端子類は右側面にUSB Type-Cポートが2基、HDMI 2.1ポートが1基、USB Type-Aポートが1基。軽量モバイル機なので十分な数と言えるでしょう。USB Type-Cポートからは最大65W給電が可能で、65Wや100Wの充電器から充電が可能です。左側面はUSB Type-Aポートが1基、ヘッドホン端子が1基という構成。映像をHDMI出力できるため、出先や会社ではノートパソコンとして使いつつ、自宅では外部モニターにつないで作業するといった母艦的な使い方も可能です。
写真上は右側面、写真下は左側面。軽量モバイル機だがUSBポートを4基搭載
ベンチマークは電源を接続した状態で実施しています。
ベンチマークを見てみると、PCMark10の総合スコアは6306。日常業務のシミュレート結果を数値化した「Essentials」の部分はソフトウェアメーカーが定めた基準の「簡単な作業を行うための一般的なPC向け:4100以上」に対し9215と非常に高レベルです。また、クリエイティブ制作のスコアとなる「Digital Content Creation」は8074。こちらもメーカー基準の「写真、動画、その他のデジタルコンテンツ編集向け:3450以上」を大きく上回っています。
「PCMark 10」での計測結果。予想よりもグラフィック性能が高く、「マインクラフト」くらいなら快適に遊べそう
Geekbenchでのスコアは、シングルコアスコアが2159、マルチコアスコアが10453。グラフィック性能を示すOpenCLは24557となりました。さまざまなアプリを起動させるマルチタスク性能についても良好ですし、軽量モバイル機としては頭一つ抜けた性能と言えますね。GPU性能については相応ですが、そのおかげで圧倒的な軽量ボディを実現できているとも言えるでしょう。
「Geekbench 6」での計測結果
キーボードはかなり静音で、カチャカチャではなくトントンといった印象。キー自体はやや硬めですが、慣れればテンポのよいタイピングが可能です。キーのガタツキも抑えられており、操作性からは安っぽさを感じません。ガツガツとタイピングしてもうるさくないので、外出先でも仕事し放題です。
細かい点だと、2023年モデルのときに実装されていたエンター右側のキーがなくなっています(価格.comのレビューでも、2023年モデルのキー配列にはネガティブな意見がちらほら見られました)。昨年モデルのレビュー時もそれなりに気になっていたのですが、今回のモデルでは省かれたようで個人的はうれしい点です。
キーストロークは約1.3mm、キーピッチは約18.7×18.4mm
同梱のワイヤレスマウスも操作性がよく、思いのほか気に入ってしまいました。マウスはトラックパッドよりも手首の負担が少なく、かつ操作もスピーディー。オマケ的に付いている製品としては品質も申し分ないですし、コンパクトゆえ持ち運びもしやすいです。
2023年発売モデルのレビューはこちら
139,800円でこの軽さ、この性能、このデザイン。探してみるとなかなか見つからず、たとえば「Ryzen7クラス」「16GBメモリー」「13.3型」で価格.com内を検索すると、性能は高くとも軽量ではない、もしくは軽量だけれど性能が物足りないといったモデルがヒットしました。この価格帯で軽さもスペックも両立させている点では、本機はほぼオンリーワンな立ち位置の製品です。
そのため、「10万円前後で軽量なノートパソコンを探している」という人は、もう少し予算を上乗せして本機を選んだほうが長い目で見ると満足できますよと、声を大にして言いたいです。「出張や出先で使うノートパソコンとしてはオーバースペックじゃない?」とも思えますが、HDMIが直挿しできるからプレゼンにも向いているし、自宅で使う場合は外部ディスプレイにつないでガッツリ作業を任せることも可能です。そういう意味ではタッチディスプレイ非搭載なのは理にかなった仕様なのでしょう。
1kgを切る軽量ボディに、過不足のない性能を備えた「HP Pavilion Aero 13」。派手さこそないものの、こういうのがいちばん使いやすいノートパソコンと言えるのかもしれません。
ビジネス用途ならRyzen 7は十分な性能を持ち、また、軽めのゲームやクリエイティブまでカバーできる