高性能化するスマホカメラ。その代表作と言えるのが、ライカと共同開発したカメラを搭載する「Xiaomi 14 Ultra」と、ハッセルブラッドと共同開発したカメラを搭載する「OPPO Find X8」です。スマホとしての各機種の詳細は既報のレビューに任せるとして、今回はそれぞれの写真の写り具合や味付けの差など、カメラ性能にフォーカスしてみましょう。
左:「Xiaomi 14 Ultra」、価格.com最安価格(2025年2月20日時点。以下同)157,572円〜(SIMフリー。税込。以下同)、2024年5月16日発売。右:「OPPO Find X8」、125,820円〜、2024年12月12日発売
歴史あるカメラブランドのバックアップを受けて開発された、2台のスマホ搭載カメラのスペックをチェックしましょう。
まずは、ドイツの老舗カメラブランドのライカとコラボした「Xiaomi 14 Ultra」の背面カメラから。
・メイン(35mm換算(以下同)で23mm、1インチセンサー、光学式手ブレ補正)
・光学3.2倍望遠(75mm、光学式手ブレ補正、10cmマクロ、フローティング機構)
・光学5倍望遠(120mm、光学式手ブレ補正、30cmマクロ、ペリスコープレンズ)
・超広角(12mm、画角122度、5cmマクロ)
「Xiaomi 14 Ultra」の背面カメラ
4眼構成で、解像度はどれも約5000万画素で共通しています。メインに搭載される1インチセンサーには、ソニーの「LYT-900」が採用されています。
特筆すべきポイントは、F1.63〜F4.0の無段階可変絞りシステムを搭載していること。たとえば、夕日などの点光源にカメラを向ける場合には、マニュアルで値を調整することで光源から光の筋が伸びる光芒撮影も行えます。
そのほか、オプションの「Xiaomi 14 Ultra Photography-Kit」を駆使することで、コンデジのようなカメラ持ちで操作できることも同機ならではの特徴と言えます。
「Xiaomi 14 Ultra Photography-Kit」(22,000円)を装着すると、カメラ持ちでズームやシャッター操作などが可能に。半押しでのフォーカスもできます
続いては、スウェーデンの名門ハッセルブラッドと共同開発した「OPPO Find X8」の背面カメラです。
・広角(24mm、1/1.56インチセンサー)
・望遠(73mm、1/1.95インチセンサー)
・超広角(15mm)
3眼構成。こちらも解像度は共通して5000万画素です。
「OPPO Find X8」の背面カメラ
なお、「OPPO Find X8」の望遠カメラには「W型プリズム望遠レンズ」が採用されているのがポイント。レンズが取り込んだ光をプリズムで3回屈折させる仕組みによって、大型の1/1.95インチセンサーであるソニーの「LYT-600」を搭載しながらも、薄型デザインを維持しています。
「OPPO Find X8」はカメラ部もスリムです
さらに、望遠撮影の倍率が10倍以上になると、生成AIによる補正が働き、被写体を鮮明にする仕組みを採用していることに注目です。なお、望遠カメラとしては光学ズーム最大3倍相当で、デジタルズームは最大120倍にまで対応しています。
また、シャッターボタンを押し続けることで最大200枚の連写が可能で、ペットや子どもなど、動きのある被写体を狙う場合には、心強いですね。
では、「Xiaomi 14 Ultra」と「OPPO Find X8」の両機種を携行しながら撮影した作例を見ていきましょう。
なお、光芒撮影を狙ったシーン以外は、基本的にオートで撮影を実施。また、「Xiaomi 14 Ultra」は、「Leicaオーセンティック」(コントラストの効いたシャープな仕上がり)と「Leicaバイブラント」(彩度が高めの明るい仕上がり)という2つのスタイルを選択できるので、シーンに応じて適宜変更しました。
「Xiaomi 14 Ultra」(左)と「OPPO Find X8」(右)の作例(以下同)。立体駐車場で稼働中の換気扇を撮影。ライカカメラが現場の薄暗い雰囲気をリアルに再現しているのに対して、ハッセルブラッドカメラは全体的に明るく整っていて、それぞれの味付けの差がわかりやすいです
室内の照明条件が整っていない環境で食事を撮影。無加工だと「OPPO Find X8」(右)のほうが美味しそうに見えます
夜の路地にて、街灯の照明を頼りに暗所撮影。「Xiaomi 14 Ultra」(左)は、現場の雰囲気を感じやすく、「OPPO Find X8」(右)は明るく仕上がっています
ススキの綿毛を撮影。大きく風に揺れながらの撮影でしたが、どちらもディティールはハッキリとらえている印象です
望遠(デジタルズーム併用)で、木の上にいた鳥を撮影。動く被写体だったゆえに撮影角度や倍率が異なるので厳密な比較ではありませんが、何枚か試した範囲だと「OPPO Find X8」(右)のほうが明るく色味を失わずに撮れる印象でした
電線の上に止まるカラスにズーム。「Xiaomi 14 Ultra」(左)では、カラスが黒く潰れてしまいましたが、「OPPO Find X8」(右)ではカラスの表情も映っています。おそらくAIによる補助の効果もあるので、解釈が分かれるかもしれませんが、日常風景で楽しむ分には「OPPO Find X8」の楽しさが際立ちそうです
いっぽう、「Xiaomi 14 Ultra」の絞りを調整できるというメリットを忘れてはいけません。せっかくなので、夕日が沈む時間帯に、光芒撮影にチャレンジしてみました。
「Xiaomi 14 Ultra」(左)では、カメラのプロではない筆者でも簡単に光芒が撮れました
足元の芝生を撮影。「Xiaomi 14 Ultra」(左)の「Leicaオーセンティック」の雰囲気と、明るく撮れる「OPPO Find X8」(右)で、仕上がりの雰囲気に差が出ます
木の幹を撮影。「Xiaomi 14 Ultra」(左)のほうが重厚で格好いい。「OPPO Find X8」(右)は軽やかな仕上がりです
高い場所に伸びた木の枝を高倍率ズームで撮影。「Xiaomi 14 Ultra」(左)では、輪郭部に白い縁が浮き出てしまっていますが、「OPPO Find X8」(右)ではそれがありません
超広角で撮影。パッと路面を撮影しただけですが「Xiaomi 14 Ultra」(左)のほうが凝った作品のような雰囲気。「OPPO Find X8」(右)は明るく日常を切り取ったような雰囲気に
ズームしてつぼみを撮影。奥行きのバラつきがあり難しい被写体ですが、どちらもきれいに撮れています
望遠で猫を撮影。「Xiaomi 14 Ultra」(左)はややピントが甘く、「OPPO Find X8」(右)は補正が効いたのかパキッとし過ぎている印象
動きのある被写体として水を撮影。どちらもきれいに撮れていますが、数枚試した範囲では「OPPO Find X8」(右)のほうが水の輪郭をハッキリとらえている印象でした
いろいろと撮影してみたうえでの筆者のインプレッションとしては、日常のシーンを格好よい作品として切り取るならば、「Xiaomi 14 Ultra」のライカカメラの味わいが生きるでしょう。光芒撮影も簡単にできたので、「日常をどう切り取ると格好良く撮れるだろう」と考えながら歩くのが楽しかったです。
いっぽうで、撮影中に出会った生き物に寄ってみるなど、望遠ズームに期待したいなら、「OPPO Find X8」が魅力的に思えました。AIによるサポートもあってか、撮影に失敗することがほぼありませんでした。明るく軽やかに写真を撮り、雰囲気は後から手動で加工するといった撮影方法もありですね。
みなさんは、どちらの仕上がりがお好みですか?