2025年1月に富士通クライアントコンピューティング(以下、FCCL)から発売された「FMV Note C CZ-K1 2025年1月発表モデル」は、FCCLの若い世代の社員が中心となり、若年層の感性とニーズを徹底的に反映。若年層が「本当にほしいもの」を形にした、という13.3型モバイルノートパソコンです。気になるその性能をレビューでお伝えします。なお、今回レビューした機材は最終の製品版ではないため、CPUのベンチマークは行っていません。
富士通クライアントコンピューティング「FMV Note C CZ-K1 2025年1月発表モデル(以下FMV Note C)」、167,252円(税込、価格.com最安価格。以下ページ内の情報はすべて2025年2月27日のもの)2025年1月17日発売
「FMV Note C」を実際に使ってみた印象を紹介します。
・軽くてバッテリーが長持ちする高性能モバイルノートパソコン
・ファンレス設計で図書館などでも気兼ねなく使える
・ノイズレスボディと美しい3色のバイカラーデザイン
「FMV Note C」筆者による評価チャート
※最終製品版ではないためベンチマーク未実施、「処理速度」「グラフィック性能」は評価対象外です
価格.com「ノートパソコン」でのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けたレーダーチャート
評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・製品カテゴリーや価格を考慮して評価しています。ノートパソコンとしての絶対的な評価ではありません。
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも 参考程度にとどめてください。
価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧https://review.kakaku.com/review/newreview/CategoryCD=0020/
凸凹をできるだけ減らしたノイズレスボディは無駄がなくスタイリッシュで非常に魅力的です。重量は約1187gで引っ掛かりの少ないデザインと相まって収納もしやすく、持ち運びやすさもすぐれています。バッテリー駆動時間も動画再生時約13.9時間(JEITA 3.0)と長いので、AC電源のない場所でも安心して使えます。ベンチマークは行っていませんが「Core Ultra 5 134U」を搭載しているので、「処理速度」「グラフィック性能」ともに一般的なデスク業務などに問題はないでしょう。
ただし、インターフェイスはUSB 3.2 Type-C×2とヘッドホン・ヘッドセット兼用端子のみと、拡張性はやや割り切った仕様と言えます。仮に外部機器を接続するのであればBluetooth接続、あるいはUSB PD対応の機器を選ぶ必要があるでしょう。なお、価格.com最安価格は約17万円弱ですが、「Microsoft Office Home & Business 2024」が付属することを考えると、コストパフォーマンスは及第点と言えそうです。
それ以外の詳細な特徴は、次項以降のレビューをご確認ください。
ここからは「FMV Note C」について実際に触った感触などより詳しくレビューしていきます。
FMVとは、FCCL(現、富士通クライアントコンピューティング)が1993年11月に発売したパソコンから使っているブランドで、30年以上の歴史を誇ります。そして2025年1月にFCCLはFMVブランドのリニューアルを発表し、ブランドロゴが新しくなりました。
また、これまでデスクトップパソコンでは「ESPRIMO」、ノートパソコンでは「LIFEBOOK」というシリーズ名が使われてきましたが、リニューアルによって、デスクトップパソコンは「Desktop」、ノートパソコンは「Note」というシンプルなものに変更されました。今回紹介する「FMV Note C」は、その新生FMVブランドの第1弾となる製品です。
メーカー公式サイト(https://www.fmworld.net/fmv/)より引用。現状はリニューアル後のシリーズとリニューアル前のシリーズが混在している状況です
「FMV Note C」は、新設計ボディを採用した製品で、13.3型ワイド液晶を搭載し、CPUとして「Core Ultra 5 134U」を搭載したAI パソコンでもあります(ただし、初代「Core Ultra」なので、Copilot+ PCの要件は満たしていません)。今回レビューする製品は「Core Ultra 5 134U」搭載機種のなかでも「カタログモデル」に該当する製品で、メモリーは16GB、ストレージは256GB SSDで、一般的なアプリを動かすには十分なスペックと言えます。
液晶の解像度はWUXGA(1920×1200)で、アスペクト比は16:10です。フルHD(1920×1080)に比べて縦の解像度が120ドット分高い=表示範囲が広いので、Webブラウジングや文書作成などの効率が上がります。表面は光沢仕上げですが、映り込みはかなり抑えられており、視認性はすぐれています。また、液晶部分とその周囲の額縁部分が同じガラスでカバーされているためすっきりした印象です。
「FMV Note C」は13.3型WUXGA液晶を採用。狭額縁設計で周囲と段差がありません
FMV Note Cは、凹凸や隙間などを極力減らしたノイズレスなボディを実現しています。ボディは、アルミ筐体で段差がなく非常にスッキリとした外観になっています。四隅が丸められているデザインも親しみが持てます。
また、外側と内側でカラーが異なるバイカラーデザインを採用。「Ecru beige」「Mist green」「Smoke gray」という3色のカラーバリエーションから選択可能で、どの色もノートパソコンでは珍しい淡い色合いです。
上面の画像。今回の機種は「Smoke gray」です
底面も空気口などがなく、とてもスッキリしたデザインです
本体のサイズは297(幅)×210(奥行き)×13.9(高さ)mmで、フットプリントはジャストA4サイズ。非常に薄いこともありノートやテキストなどと一緒にカバンにすっと入れられます。重量も約1187gと軽いので、持ち運びも気軽にできます。
ボディは非常にスリムです
試用機の重量は実測で1190gでした
キーボードは全82キー(含む電源ボタン)で、「Copilot」キーも用意されています。かなの刻印がなく、変換や無変換キーも英字表記になっていることがポイントです。こちらもひらがなによるノイズを排除したノイズレスデザインと言えます。主要キーのキーピッチは約19mmで、配列も標準的なので快適にタイピングが行えます。
キーボードにはかなの刻印がなく、変換や無変換キーも英字表示で統一されています
図書館やカフェなど静かな場所でノートパソコンを使う場合、ファンの騒音が気になったという経験をお持ちの人も多いことでしょう。「FMV Note C」は、ファンレス設計により、見た目だけでなく、騒音も文字通りノイズレスを実現しています。当然ですがファンノイズがないため非常に静かで、作業に集中しやすいと感じます。また、ファンは経年劣化や故障しやすいパーツなので、ファンがないということは長期間使っていても不具合も起きにくいということになります。
インターフェイスはUSB Power Delivery対応、 DisplayPort Alt Mode対応USB 3.2 Type-C(Gen2×2)が2ポートとヘッドホン・ヘッドセット兼用端子のみで、やや割り切った仕様になっています。2基のUSB 3.2 Type-CはどちらもPD対応で、アダプターをつないで充電できます。
また、DisplayPort Altモードにも対応していますので、映像出力も可能です。ポート類は左側にのみ配置されているため、右利きの人がマウスなどを使う場合は、Bluetooth対応などのワイヤレスモデルを使うほうがよいでしょう。無線機能としては最新のWi-Fi 7(最大5.76Gbps)とBluetooth 5.4に対応しています。
左側面にUSB 3.2 Type-C(Gen2×2)が2基とヘッドセット端子が用意されています
大学などに持ち運んで使う場合は、バッテリー持続時間も重要になります。「FMV Note C」は、最新の省電力技術を備えたCPUを搭載していますので、バッテリー持続時間もとても優秀。今回は最終製品版でないためバッテリーテストは行っていませんが、公称では、動画再生時約13.9時間、アイドル時約24.2時間とされています。これなら屋外あるいは学校などで終日使う場合でも、ACアダプターを持っていかなくても大丈夫でしょう。また、付属のACアダプターはコンパクトで軽いので、旅行などに持っていく場合も便利です。
付属のACアダプター。コンパクトで軽量。かばんに入れてもじゃまにならないでしょう
「FMV Note C」は、便利な3つの独自アプリ「Float Access」「Umore」「Quick Capture」が搭載されていることも魅力です。
・資料やレポート作成に便利な「Float Access」
「Float Access」は、画面キャプチャ、ウィンドウの最前面固定、クリップボード、ファイル検索の4つの機能を備えたツールです。左クリックを長押しするだけで呼び出せるので、資料やレポート作成に便利です。
・自然なバーチャルメイクを施してくれるAIメイクアップアプリ「Umore」
「Umore」は、カメラに写る顔をAIが認識し、肌質や顔色を補正して自然なバーチャルメイクを施してくれるアプリです。エフェクトのメニューも豊富で、オンライン会議アプリを問わず利用できます。NPUを活用することで、CPUに負荷をかけずにバーチャルメイクを実現しています。
「Umore」では、美白はもちろん、リップやチークなどさまざまなバーチャルメイクが可能です
「Umore」を起動すると、CPUには負荷をかけず、NPUの使用率が上昇します
・画面キャプチャを自動で行う「Quick Capture」
「Quick Capture」は、AI技術により、画面の変化を検出し、自動で画面キャプチャを行うアプリです。オンライン授業などの際に投影資料の保存に追われて話を聞き漏らす心配がないので便利です。
「FMV Note C」は、携帯性にすぐれ、バッテリー持続時間も長いモバイルノートパソコンであり、Core Ultra搭載でAI処理にも対応するなど、さまざまな用途に対応できる完成度の高い製品です。これまでパソコンを敬遠していた若い世代にも好まれそうなノイズレスデザインも魅力です。
ただし、ターゲットである若年層にはもちろんおすすめですが、ファンレス設計による静音性や長時間のバッテリー持続時間、さらに携帯性の高さという本製品の利点は、仕事に使うモバイルノートパソコンでも重視されるポイントです。最新版の「Microsoft Office」も付属するためコストパフォーマンスも悪くありません。そのため、全年齢のユーザーがビジネスやプライベートで活用するためのノートパソコンとしてもおすすめできます。
ちなみに価格.comでは今回レビューした機種とは仕様の異なる「FMV Note C」直販モデルが選択できます。「Office不要だけどもう少し安く……」のように思われた方は、そちらもチェックしてみるといいでしょう。