レビュー

ゲーミングスマホ「ROG Phone 9 Pro」レビュー! 初心者に推せる理由とは

昨今、最も身近なゲーム機と言えばスマホ。なかでもゲームに特化したモデルはゲーミングスマホと呼ばれますが、そのゲーミングスマホの最新モデル「ROG Phone 9」シリーズが登場。 最上位モデルとなる「Pro Edition」を試し、ゲーム向けの機能がふんだんに盛り込まれた本機をレビューします。

ASUS「ROG Phone 9」シリーズ、159,800円〜239,800円(メーカーサイト販売価格)、2,024年3月28日

ASUS「ROG Phone 9」シリーズ、159,800円〜239,800円(メーカーサイト販売価格)、2,024年3月28日

無印、Pro、Pro Editionの3モデルがラインナップ

まずは「ROG Phone 9」シリーズの基本スペックについて解説します。本シリーズには、「ROG Phone 9」、「ROG Phone 9 Pro」、「ROG Phone 9 Pro Edition」の3種類が用意されています。

「ROG Phone 9」(159,800円)
-ROG9-BK12R256(12GB/256GB/5000万画素マクロカメラ/背面LED85個/黒)
-ROG9-WH12R256(12GB/256GB/5000万画素マクロカメラ/背面LED85個/白)
「ROG Phone 9 Pro」(189,800円)
-ROG9PRO-BK16R512(16GB/512GB/32000万画素望遠カメラ/背面LED648個/黒)
「ROG Phone 9 Pro Edition」(239,800円)
-ROG9PRO-BK24R1T(24GB/1TB/32000万画素望遠カメラ/背面LED648個/白/クーラー同梱)

どのモデルもSoCは「Qualcomm Snapdragon 8 Elite」を採用し、ディスプレイは6.78型LTPO有機EL(最大185Hz、Corning Gorilla Glass Victus 2)を搭載している点は共通です。

またカメラも、3200万画素フロントカメラ、5000万画素広角カメラ、1300万画素超広角カメラまでは同一。ただし、背面の3つ目のカメラが無印は500万画素マクロカメラ、ProとPro Editionは3200万画素望遠カメラと差別化されています。

サイズ/重量は163.8×77×8.9mm/227g、バッテリー容量は5800mAh、防水防塵はIP65/IP68、FeliCa(「おサイフケータイ」)対応、5G(nanoSIM×2、eSIM×1)/Wi-Fi 7/Bluetooth 5.4サポートという点まではまったく同じ。しかし、画像や文字を表示できる背面LED「AniMe Vision」が、無印は85個構成、ProとPro Editionは648個構成で、より表現力が高くなっています。

Pro Editionだけに同梱される装備が空冷クーラー&コントローラーユニット「AeroActive Cooler X Pro」。「ROG Phone 9シリーズ」には4種類の動作モードが用意されていますが、最も高い性能を発揮すると謳われている「Xモード+」は、「AeroActive Cooler X Pro」の装着が必須条件です。

「ROG Phone 9 Pro Edition」の同梱品一覧。「AeroActive Cooler X Pro」と、クーラーを取り付けたままでも使用できる「Aero Case」が同梱

「ROG Phone 9 Pro Edition」の同梱品一覧。「AeroActive Cooler X Pro」と、クーラーを取り付けたままでも使用できる「Aero Case」が同梱

つまり今回の4製品は、カラー、メモリー、ストレージ、3つ目のリアカメラ、背面LED、空冷クーラーの有無で差別化されているわけです。逆に言うとプロセッサーとディスプレイはすべて同じ。また超音波ボタン「AirTrigger」も全モデルに搭載されています。

メモリーやストレージが多いにこしたことはないですが、遊び終わったゲームを削除するなどの運用でどうにでもなります。ゲーミングスマホとしての基本的な使い勝手は、3モデルで大きく異なることはないと言えます。

ディスプレイ面は「Corning Gorilla Glass Victus 2」でカバー。背面カバーはマット仕上げが施された一枚ガラスで覆われています

ディスプレイ面は「Corning Gorilla Glass Victus 2」でカバー。背面カバーはマット仕上げが施された一枚ガラスで覆われています

ProとPro Editionは648個構成のLEDにより漢字などの複雑な文字を表示可能。解像度は266×247です(上部エリアは白色、下部エリアは赤色)

ProとPro Editionは648個構成のLEDにより漢字などの複雑な文字を表示可能。解像度は266×247です(上部エリアは白色、下部エリアは赤色)

本体下面にはイヤホンジャック、SIMカードスロット、USB Type-C(USB 2.0)×1を用意

本体下面にはイヤホンジャック、SIMカードスロット、USB Type-C(USB 2.0)×1を用意

右側面には超音波ボタン「AirTrigger」、ボリュームボタン、電源ボタン、左側面にはUSB Type-C(USB 3.1)×1を配置

右側面には超音波ボタン「AirTrigger」、ボリュームボタン、電源ボタン、左側面にはUSB Type-C(USB 3.1)×1を配置

望遠を除けば、他社フラッグシップと比べても遜色ないカメラ品質

ゲーミング性能をチェックする前に、カメラ性能を確認してみましょう。今回借用しているPro Editionはリアに5000万画素広角、1300万画素超広角、3200万画素望遠カメラを搭載しています。

今回は試用期間の都合で曇天での撮影となりましたが、0.7〜10倍であれば、大画面テレビで見ても十分な解像感を備えていることを確認できました。超広角でも歪曲は気になりませんね。夜景モードもしっかりと白飛びを抑えつつ、明るく撮影できています。

ちょっと前まではゲーミングスマホのカメラは、ある意味オマケ的な位置づけでした。しかし、「ROG Phone 9シリーズ」は他社のフラッグシップと比べても遜色ないカメラ品質を備えています。ただし、ペリスコープ型の高倍率望遠カメラは搭載されていないので、30倍の超解像デジタルズームでは解像感が足らない点は留意しておきましょう。

超広角カメラ

超広角カメラ

広角カメラ

広角カメラ

望遠カメラ(3倍ズーム)

望遠カメラ(3倍ズーム)

望遠カメラ(10倍ズーム)

望遠カメラ(10倍ズーム)

夜景モード(広角カメラ)で撮影

夜景モード(広角カメラ)で撮影

AnTuTu V10トップ端末の109%相当の総合スコアを記録

それでは本題のゲーミング性能をチェックしていきましょう。まずはベンチマークから。本体のみでの最高パフォーマンス設定で、総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark V10」と実行したところ、総合スコアは2943761となりました。

記事執筆時点で「AnTuTu Benchmark V10」のランキングトップのスコアは2698668。つまり今回借用したPro Editionはランキングトップの109%相当のスコアを叩き出したことになります。

総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark V10」、CPU/GPUベンチマーク「Geekbench 6」、3Dグラフィックスベンチマーク「Solar Bay」、AIベンチマーク「Geekbench AI」のスコア(すべて、本体のみでの最高パフォーマンス設定)

総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark V10」、CPU/GPUベンチマーク「Geekbench 6」、3Dグラフィックスベンチマーク「Solar Bay」、AIベンチマーク「Geekbench AI」のスコア(すべて、本体のみでの最高パフォーマンス設定)

「Xモード」のほうが「Xモード+」より高いスコアを記録

冒頭でお伝えしたとおり、「ROG Phone 9シリーズ」には4種類の動作モードが用意されています。上記のスコアは、本体のみで最も高い性能を発揮する「Xモード」のものです。

今度は、空冷クーラー&コントローラーユニット「AeroActive Cooler X Pro」を装着して、さらに高い性能を発揮すると謳われている「Xモード+」でどのぐらいスコアが向上するのか計測してみました。

空冷クーラー&コントローラーユニット「AeroActive Cooler X Pro」

空冷クーラー&コントローラーユニット「AeroActive Cooler X Pro」

「AeroActive Cooler X Pro」を装着すると、「Xモード」、「ダイナミック」、「超省電力」に加えて、最高パフォーマンスを発揮する「Xモード+」が選択可能となります

「AeroActive Cooler X Pro」を装着すると、「Xモード」、「ダイナミック」、「超省電力」に加えて、最高パフォーマンスを発揮する「Xモード+」が選択可能となります

結果は意外なことに、バランス重視の「ダイナミック」、できるだけ電力を節約する「超省電力」は順当な結果ですが、「Xモード」のほうが「Xモード+」より高いスコアを記録しました。3回計測したスコアの平均値で比較しているので、計測誤差とは考えにくいです。

とはいえ、今回のベンチマークは製品発売前に計測を実施しており、今後提供されるファームウェアで結果が変わってくる可能性はあります。今回の結果はあくまでも参考に留めてください。

「Geekbench 6」のCPUベンチマークを3回実施したマルチコアスコアを平均値で比較すると、「Xモード+」は「Xモード」の98%相当のスコアに留まっています

「Geekbench 6」のCPUベンチマークを3回実施したマルチコアスコアを平均値で比較すると、「Xモード+」は「Xモード」の98%相当のスコアに留まっています

完全日本語化されたゲーム向けユーティリティー

「ROG Phone 9 シリーズ」にとって、パフォーマンスと同じぐらい大きなアドバンテージが、ゲーム向けユーティリティー。今回のモデルにも、ゲーム中にいつでも表示できるアシストツール「Game Genie」、ゲーム環境統合アプリ「Armoury Crate」がプリインストール。超音波ボタン「AirTrigger」や、モーションコントロールの操作を画面上のタップ操作などに割り当てる機能も利用可能です。

「AirTrigger」をゲーム「ゼンレスゾーンゼロ」で試したところ、すでにプリセットが用意されていました。ゲームのプリセットがすでに用意されているのは、ほかのゲーミングスマホに対するアドバンテージと言えます。

さて、「Game Genie」、「Armoury Crate」は基本機能を継承しつつも、ゲーム中イベントを検出してユーザーに通知する「X Sense」や、ゲーム画面のテキストデータをキャプチャー・翻訳してくれる「AI Grabber 2.0」などが実装されています。

実に「Game Genie」だけでも、リアルタイム情報表示、マクロ、着信拒否など合計で26個ものツールが含まれています。しかも全機能が完全日本語化。ゲーミングスマホを初めて使うユーザーも、迷うことが少ないのは安心感があります。

ゲームアシストツール「Game Genie」は、ゲーム中にいつでも画面スワイプで呼び出せます

ゲームアシストツール「Game Genie」は、ゲーム中にいつでも画面スワイプで呼び出せます

「AirTrigger」は、まずプリセットを試して、そのあと自分のプレイスタイルに合わせてカスタムしましょう

「AirTrigger」は、まずプリセットを試して、そのあと自分のプレイスタイルに合わせてカスタムしましょう

ゲーム画面のテキストデータをキャプチャーする機能は前モデルで実装されていました。今回の「AI Grabber 2.0」では、翻訳も可能となりました

ゲーム画面のテキストデータをキャプチャーする機能は前モデルで実装されていました。今回の「AI Grabber 2.0」では、翻訳も可能となりました

もうひとつユニークな機能が「バックグラウンドモード」。このモードを有効にすると、ゲームアプリを最小化しても、バックグラウンドで動き続けます。バックグラウンドモードを有効にしておけば、ほかのアプリを多数起動しても、ゲームが勝手に終了してしまうことはないわけです。

バックグラウンドモードは、「時間制限なし」と、任意の終了時間を指定する「カスタム設定」を選べます

バックグラウンドモードは、「時間制限なし」と、任意の終了時間を指定する「カスタム設定」を選べます

ProとPro Editionのみで利用できるアプリが「AniMe Play」。これは背面の「AniMe Vision」専用の機能。障害物をジャンプとしゃがむで避ける「疾走ランナー」のほか、「スネークゲーム」や「エアロインベーダー」「ブロック崩し」の4本のゲームをプレイ可能です。どれも昔懐かしのクラシックゲーム。最近のゲーマー諸氏の目には新鮮に映るはず。もっと多くのクラシックゲームが追加されることに期待です。

シンプルな「AniMe Play」のゲームは、最新スマホゲームの息抜きに遊ぶのにもってこいです

シンプルな「AniMe Play」のゲームは、最新スマホゲームの息抜きに遊ぶのにもってこいです

ゲーム機能が完全日本語化されていることは、処理性能や機能以上の良ポイント

ベンチマークで確認できたとおり、「ROG Phone 9 Pro Edition」は最高クラスのパフォーマンスを備えたAndroidスマホ。ゲーミングスマホではありますが、背面に3つのカメラを搭載し、「おサイフケータイ」も使用可能。1台持ちのスマホとしても問題なく活躍してくれます。

また美しく、高速なディスプレイは、コンテンツビューワーとしても優秀。さらにハイパフォーマンスにより、動画編集などの高負荷な処理も軽々こなしてくれます。

その上で改めて強調したいのが、すべての機能が完全日本語化されていること。ほかメーカーのゲーミングスマホは、英語のままだったり、意味がわからない日本語になっていることがあります。特にゲーミングスマホは一般的なスマホでは見慣れない機能もあるので、見た目だけでは使い方がわからないことが多々あります。わかりやすさは、処理性能や機能以上と同じぐらい労力がかかりますが、そのぶん大きなアドバンテージとなるはずです。

特に、初めてゲーミングスマホの購入を検討している人には、高性能、高機能で、かつわかりやすい「ROG Phone 9」シリーズは、自信を持っておすすめできる1台です。

ジャイアン鈴木
Writer
ジャイアン鈴木
レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。
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水川悠士(編集部)
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水川悠士(編集部)
デジタル系メディアから価格.comへ。スマホ、スマートウォッチなどのガジェット周り、ゲーム関連を担当。触ってきた製品は数えきれないほど多いです。価格.comマガジンのYouTubeにも出演中。
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