レビュー

この性能で8万円台!? コスパ全振りゲーミング「REDMAGIC 10 Air」レビュー

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積極的に新製品をリリースしているZTEのゲーミングサブブランド「REDMAGIC」から、コスパ重視のSIMフリースマートフォン「REDMAGIC 10 Air」が2025年5月26日に発売された。シリーズの特徴であるUDCディスプレイや凝った冷却システムを備えながら、価格は84,800円(税込)と安価。コスパにシビアなスマホゲーマーには福音と言えそうな1台だ。

REDMAGIC「REDMAGIC 10 Air」。2025年5月26日発売。価格は84,800円(税込)から

REDMAGIC「REDMAGIC 10 Air」。2025年5月26日発売。価格は84,800円(税込)から

パンチホールのないUDCディスプレイを継承。シリーズ初の飛沫防水に対応

「REDMAGIC」はZTEのゲーム向けサブブランド。歴代の製品はどれも相当の硬派だが、競合製品と比べると良心的な価格に設定されている。今回取り上げる「REDMAGIC 10 Air」は、「REDMAGIC」シリーズらしいゲーム向けの機能を備えつつ、12GBメモリー+256GBストレージモデルで価格が84,800円(税込)と、さらにコスパを重視した製品だ。

本機のサイズは約76.6(幅)×164.3(高さ)×7.85(厚さ)mmで、重量は205g。搭載される約6.8インチの有機EL「BOE Q9+」ディスプレイは2480×1116のフルHD+表示に対応する。リフレッシュレートは60Hz/90Hz/120Hzの3段階可変、タッチサンプリングレートは通常時で16倍速の960Hzだが、シングルポイントかつ瞬間値なら2000Hzのすさまじいスピードを発揮する。また、同シリーズではおなじみとなった、パンチホールやノッチのないUDC(Under Display Camera)構造を継承。狭額縁設計を組み合わせることで、画面占有率は93.7%と相当高い数値を誇る。

また、後述するように空冷システムを備えていないため、シリーズとして初めてIPX5等級の防塵仕様、IPX4の飛沫防水に対応するのもポイント。いっぽうで上位モデルの「REDMAGIC 10 Pro」で使用できるおサイフケータイには対応していない。

外見上の特徴としては、ゲーミングスマホらしく側面にLとRの2個のタッチセンサー式ショルダーボタンを配置する。これらのボタンは520Hzのタッチサンプリングレートと非常に高速なうえに、バイブレーションを使うことで物理ボタンのようなクリック感を再現している。また、タッチセンサーの利点を生かし、フリックやダブルタップなどの使い分けも可能だ。なお、X軸リニアモーターを採用しているため振動の再現も臨場感が強い。

側面の左右にタッチセンサー式のショルダーボタンを配置する

側面の左右にタッチセンサー式のショルダーボタンを配置する

USB Type-CポートはUSB2.0規格。ただしPCへの映像出力は可能

下面のUSB Type-CポートはUSB2.0規格。ただしPCへの映像出力は可能

USB Type-CポートはUSB2.0規格。DPオルタネートモードの映像出力には対応していないものの、専用のアプリケーション「SmartCast Studio」をインストールしたWindows PCと有線接続してのミラーリングが行える。USB PD規格による80Wの急速充電にも対応している。

サウンド性能を見ると、ステレオスピーカーを備えるが「REDMAGIC 10 Pro」のようにヘッドホン端子は搭載されていない。有線イヤホンを使う場合、変換アダプターか、USB接続のイヤホンを用意する必要がある。なお。サウンドエフェクトとして「DTS Sound」を備えている。

ゲーミングデバイスといえば派手なデザインをイメージするが、本機はカラーバリエーションごとにかなり印象が異なる。ブラックとホワイトはかなり抑制的で、日常使いでも違和感はないだろう。いっぽう、2025年6月下旬に発売されるオレンジは、いかにもゲーミングスマホらしい主張がある。

カラーバリエーションは、ブラック、ホワイト、オレンジの3色。特にオレンジはゲーミングらしい主張の強いデザインだ

カラーバリエーションは、ブラック、ホワイト、オレンジの3色。特にオレンジはゲーミングらしい主張の強いデザインだ

カメラの一部にLEDが備わる。光る・光らないはユーザーで設定できる

カメラの一部にLEDが備わる。光る・光らないはユーザーで設定できる

実機の印象だが、高い画面占有率がもたらすインパクトが強い。加えて、UDCディスプレイはかなり自然で、ディスプレイに明るい色を表示した場合に、注意すればカメラの存在に気づくレベルだ。フロントカメラは顔認証の精度の悪化も感じられず、普通に使える。自撮りを重視しなければ、何も問題は感じない。

画面占有率は93.7%。視界をさまたげるノッチやパンチホールがない

画面占有率は93.7%。視界をさまたげるノッチやパンチホールがない

80Wの出力に対応するGaN充電器を同梱。本機を52分でフル充電できるほか、バッテリーを迂回する「充電分離」時の電源としても利用できる

80Wの出力に対応するGaN充電器を同梱。本機を52分でフル充電できるほか、バッテリーを迂回する「充電分離」時の電源としても利用できる

「Snapdragon 8 Gen3」を採用。冷却システムはかなり強力

本機はSoCに「Snapdragon 8 Gen3」を採用する。次世代の「Snapdragon
8 Elite」が登場しているが、今でもゲーミングスマホに求められる性能としては十分だろう。12GBメモリー+256ストレージと、16GBメモリー+512GBストレージの2モデルを用意する。メモリーカードは搭載されていない。OSは、Android 15をベースにした「REDMAGIC OS 10」。ゲーム用のコプロセッサー「RedCore 3R」が搭載されており、フレームレートの安定性向上などに使われる。

「REDMAGIC」シリーズは、空冷ファンを使った凝った冷却システムが特徴だ。しかし、「REDMAGIC 10 Air」は、9層構造の「ICE-X冷却システム」を使用しているが、同シリーズの特徴である空冷ファンはない。しかし、ベイパーチャンバーは6100mm2の面積を確保するうえに、熱源と冷却システムの接着に複合液体金属を使用することで熱伝導効率を高めている。

熱源と冷却システムの接着に使われる液体金属。サンドイッチ構造にすることで接触部の腐食を抑え安定性を高めている

熱源と冷却システムの接着に使われる液体金属。サンドイッチ構造にすることで接触部の腐食を抑え安定性を高めている

以下にベンチマークテストの結果を掲載する。なお、比較対象としてCPUコアの一部とGPUをクロックアップした「Snapdragon 8 Gen3」を搭載するゲーミングタブレット「REDMAGIC Novaゲーミングタブレット」のスコアを掲載する。

GeekBench 6(CPU)の結果

「GeekBench 6」でCPUの性能を計測。シングルコアは1066、マルチコアは4076だった。なお、クロックアップ仕様の「REDMAGIC Novaゲーミングタブレット」のスコアはシングルコアが2260、マルチコアが6990

「GeekBench 6」でCPUの性能を計測。シングルコアは1066、マルチコアは4076だった。なお、クロックアップ仕様の「REDMAGIC Novaゲーミングタブレット」のスコアはシングルコアが2260、マルチコアが6990

3DMark(Wild Life Extreme)の結果

グラフィック専用のベンチマークアプリ「3DMark(Wild Life Extreme)」の結果。クロックアップ分を差し引いても、2割程度の差はある

グラフィック専用のベンチマークアプリ「3DMark(Wild Life Extreme)」の結果。クロックアップ分を差し引いても、2割程度の差はある

「Snapdragon 8 Gen3」搭載機としてみると、本機のスコアはそこまで高くない。いっぽうで、アプリの起動にかかる時間や、特定のゲームにおいてフレームレートの低下するシーンの違いを「REDMAGIC Novaゲーミングタブレット」と比べると、両機にはっきりとわかる違いは感じ取れなかった。

冷却性能を調べるために、ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を5回連続して使用した際のスコアの推移を以下にまとめた。左端が1回目、右端が5回目という並びだ。テストにかかった時間は40分でその間ずっと高負荷の状態が続いているが、スコアの低下はほとんど現れていない。SoCの温度は60度近くまで上昇しているものの、動作クロックを下げて温度を下げるあからさまなサーマルスロットリングは現れておらず、熱処理能力は相当高いと判断してよいだろう。

「AnTuTuベンチマークテスト」を5回立て続けに実施した。高負荷が40分ほど続いたが、スコアの減少はきわめて少ない。放熱がしっかり行われているのだろう

「AnTuTuベンチマークテスト」を5回立て続けに実施した。高負荷が40分ほど続いたが、スコアの減少はきわめて少ない。放熱がしっかり行われているのだろう

ハイエンドクラスとしては標準的なカメラ

搭載されるメインカメラは、広角カメラ(35mm換算の焦点距離で24mm)と超広角カメラ(同焦点距離で14mm)のデュアルカメラで、広角カメラは光学式手ブレ補正機構が搭載されている。ゲーミングかつコスパを重視した本機のコンセプトからカメラの期待は高くなさそうだが、いくつかの作例を見てみよう。

広角カメラで撮影

晴天の日中を撮影した。下の超広角カメラの作例と比べると、発色がやや緑に寄っている。また、新緑の季節ではあるが、樹木が鮮やかすぎて不自然に感じられた

晴天の日中を撮影した。下の超広角カメラの作例と比べると、発色がやや緑に寄っている。また、新緑の季節ではあるが、樹木が鮮やかすぎて不自然に感じられた

超広角カメラで撮影

上と同じ構図を超広角カメラで撮影。発色はこちらのほうが肉眼の印象に近い

上と同じ構図を超広角カメラで撮影。発色はこちらのほうが肉眼の印象に近い

広角カメラで撮影(夜景)

明るめの夜景を撮影。光学式手ブレ補正によって手ブレは起こっていない。超現実的な写りでスマホのカメラらしい

明るめの夜景を撮影。光学式手ブレ補正によって手ブレは起こっていない。超現実的な写りでスマホのカメラらしい

超広角カメラで撮影(夜景)

上と同じ構図で撮影を行った。ISOが5000まで上昇していてシャッタースピードは1/14秒と長め。光学式手ブレ補正機構がないので状況によっては手ブレが目立ちやすい

上と同じ構図で撮影を行った。ISOが5000まで上昇していてシャッタースピードは1/14秒と長め。光学式手ブレ補正機構がないので状況によっては手ブレが目立ちやすい

画像処理性能の高いISPを備える「Snapdragon 8 Gen3」のパワーもあって、ノイズは少なく鮮明に写る。ただ、主力で使う広角カメラはホワイトバランスの精度があまり高くないようで、色かぶりを感じることがあった。汎用のハイエンドスマートフォンほど作り込まれたカメラではないようだ。

フィールド探索型RPGやFPS向けの機能が豊富

ゲーム向けの機能がきわめて豊富なことも本機の特徴だ。なかでも、特定のアプリに対するフレーム補間機能が目玉。対応しているアプリは「原神」「崩壊:スターレイル」「崩壊3rd」「Call Of Duty Mobile」「ゼンレスゾーンゼロ」「鳴潮」「Arena Breakout」で、フレームレートを60fpsから120fpsにアップスケーリングできる。なお、対応するアプリは今後のアップデートで増やすことが告知されている。

ゲーム専用モード「REDMAGICゲームスペース」に切り替える「マジックボタン」。このボタンには、AIやカメラの起動など別の機能を割り当てることも可能だ

ゲーム専用モード「REDMAGICゲームスペース」に切り替える「マジックボタン」。このボタンには、AIやカメラの起動など別の機能を割り当てることも可能だ

フレーム補間に対応しているため、Android版の「原神」で120fps動作が可能となる

フレーム補間に対応しているため、Android版の「原神」で120fps動作が可能となる

「エイミングアシスタント」は、デザインや色をカスタマイズしたエイムをオーバーレイ表示させる

「エイミングアシスタント」は、デザインや色をカスタマイズしたエイムをオーバーレイ表示させる

画面の一部を指定して拡大表示させる「画面抽出」。見にくい画面隅などもわかりやすくなる

画面の一部を指定して拡大表示させる「画面抽出」。見にくい画面隅などもわかりやすくなる

スマートフォン側で画面の感度を高めた「高感度ホール」。感度は2段階で調整できる

スマートフォン側で画面の感度を高めた「高感度ホール」。感度は2段階で調整できる

画面内に指定した色や画像が表示された際に自動で、タップ操作やマクロの実行、スクリーンショットの撮影、録画を開始する「AIトリガー」

画面内に指定した色や画像が表示された際に自動で、タップ操作やマクロの実行、スクリーンショットの撮影、録画を開始する「AIトリガー」

本機のゲーミング機能は、フィールド探索型RPGやFPSのようなゲームを想定しており、そうしたゲームのプレーヤーなら能力アップにつながる機能が多い。しかし、筆者にはタッチサンプリングレートの高さによる操作性が印象に残る。繊細な操作をしっかり感知してくれるダイレクト感が印象的だった。この操作の切れ味なら幅広いジャンルのゲームで快適に使えそうだ。もちろんゲーム以外の日常の操作も申し分ない。

【まとめ】一線級のゲーム性能が8万円台で手に入る

ゲームに適した性能を備えるハイエンドスマートフォンは、今や20万円前後という価格が基本で“高嶺の花”になってしまった。しかし、本機は、その半額以下で一線級の性能が手に入る。しかも、ゲームを有利に進めるショルダーボタンや高性能なディスプレイ、豊富なソフトウェア機能まで付いている。

最大のライバルは同じく中国メーカーであるシャオミの「POCO F7 Pro」になるだろう。この両機は同じチップセットを採用しており、特定のゲームにおいてフレーム補間機能を備えるなど類似点は多い。これと比べると本機は、よりゲームに特化している。汎用性を求めるなら「POCO F7 Pro」、ゲームを主眼にするなら「REDMAGIC 10 Air」という具合で選ぶのがよさそうだ。

田中 巧(編集部)
Writer / Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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