持ち運んで使用するモバイルノートPCにおいて、本体の軽さとバッテリー駆動時間は、基本的にトレードオフの関係にあります。軽さを追求するならバッテリー容量を減らすのが手っ取り早く、駆動時間を延ばすには大容量のバッテリーが必要になるからです。
今回取り上げるNECパーソナルコンピュータの13.3インチモデル「LAVIE NEXTREME X1375/KAB(PC-X1375KAB)」は、約994gの軽量ボディと約20.1時間(動画再生時)のロングバッテリーライフを両立した、バランスにすぐれた1台。実機を使用し、実際のバッテリー性能と使い勝手をレビューします。
NECパーソナルコンピュータの「LAVIE NEXTREME X1375/KAB(PC-X1375KAB)」。価格.com最安価格(2026年7月17日時点)は25万4,000円前後(税込)
まずは本機のスペックから見ていきましょう。
基本性能では、プロセッサーに動作周波数最大4.80GHzの「Core Ultra 7 258V」を搭載。メモリーは容量32GB(LPDDR5X-8533、増設・交換不可)で、ストレージは容量512GB SSD(PCIe Gen4)です。OSには「Windows 11 Home」を採用しています。
ディスプレイは13.3インチのIPS液晶(1920×1200、タッチ対応、ノングレア)。ディスプレイ上部に、フルHDのWebカメラ(Windows Hello対応顔認証カメラ、プライバシーシャッター付き)とステレオマイクを内蔵しています。
外部インターフェイスは、USB 3.2 Gen 2 Type-C(USB Power Delivery、DisplayPort対応)×2、USB 3.2 Gen 2 Type-A×2、HDMI×1、有線LAN(1000BASE-T)×1、microSDメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1を用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 7とBluetooth 5.4をサポートしています。
本体サイズは299(幅)×214(奥行)×17.9(高さ)mmで、重量は約994g。74Wh(9600mAh)の大容量バッテリーを内蔵し、JEITA測定法(Ver.3.0)でのバッテリー駆動時間は動画再生時で約20.1時間、アイドル時で約40.2時間。メーカー独自測定の実駆動時間は約16時間となっています。
2026年7月17日時点の価格.com最安価格は25万4,000円前後。プロセッサーは1世代前のモデルですが、USB 3.2 Gen 2 Type-C端子を2系統備えているなど外部インターフェイスが充実しており、本格的なモバイルノートPCとして価格競争力の高いスペックを搭載していると言えるでしょう。
天板はカーボン素材を採用し、軽さと堅牢性を両立
ボディはMIL規格に準拠した試験をクリアしており、高い堅牢性を備えています
広視野角、高輝度、高色純度を謳う13.3インチIPS液晶ディスプレイを採用
キーボードは「Copilotキー」を備えた85キーの日本語配列で、キーピッチは19.0mm、キーストロークは1.5mmを確保。バックライトは非搭載です
右側面にmicroSDメモリーカードスロット×1、USB 3.2 Gen 2 Type-A×1、HDMI×1、有線LAN(1000BASE-T)×1、左側面にケンジントンロックスロット×1、USB 3.2 Gen 2 Type-C(USB Power Delivery、DisplayPort対応)×2、USB 3.2 Gen 2 Type-A×1、3.5mmコンボジャック×1を用意
本体の実測重量は979g。スペックより15g軽いですが、これは製造上の個体差の範囲。公称値は少し余裕を持たせているものと思われます
ACアダプターと電源ケーブルの合計重量は実測262.1g。外出用には、もうちょっと軽量なACアダプターがほしいところです
本機最大の特徴は、携帯性とバッテリー駆動時間の両立している点です。先にも紹介した動画再生時で約20.1時間、アイドル時で約40.2時間というバッテリー駆動時間は、重量1kgを切るモバイルノートPCとして最長級のスペックとなっています。
では実際のバッテリー性能はどのくらいなのでしょうか? バッテリーベンチマークソフト「BBench」を使って以下の設定と内容で検証してみました。
電源モード:最適な電力効率
ディスプレイ輝度とボリューム:40%
<3時間のテストの内容>
最初の1時間:アイドル状態
次の1時間:YouTube動画を連続再生
最後の1時間:「CINEBENCH 2026」のCPUマルチコアテストを30分ずつ2回実行
なお、開始直後に減少した1ポイントは残量表示の補正として除外し、1時間ごとのバッテリー残量は、「BBench」のログの前後をもとに算出しました。
結果は、計測開始から3時間1分48秒後のバッテリー残量が72%でした。バッテリー容量(74Wh)を基準にすると、消費電力はアイドル時が約2.61W、YouTube動画再生時が約3.18W、CINEBENCH実行時が約14.01Wとなります。
YouTube動画再生時の消費電力は、アイドル時より約0.57W増えただけにとどまっています。連続駆動時間を単純計算すると、アイドル時が約28.7時間、YouTube動画再生時が約23.5時間となります。動画再生時の電力効率は非常に高いと言えます。
いっぽう、「CINEBENCH 2026」実行時の消費電力は、YouTube動画再生時の約4.4倍に増加しています。とはいえ、同じように連続駆動時間を単純計算すると約5.3時間です。プロセッサーのCPUコアに継続的に高い負荷をかけた状態でも、計算上は5時間以上動作することになります。
CPUコアがフル稼働する場面としては、たとえば動画の書き出しなどがあげられます。1kgを切るモバイルノートPCとしては、実用上十分なバッテリー性能を備えていると言えます。
バッテリーベンチマークソフト「BBench」を計測に使用
YouTube動画再生時の消費電力は、アイドル時より約0.57W増えただけにとどまっています。しかし、「CINEBENCH 2026」実行時の消費電力は、YouTube動画再生時の約4.4倍に増加しました
本機は、ユーザー自身がバッテリーを交換できる「セルフ交換バッテリー構造」を採用しているのも特徴です。
バッテリーを交換する際は、通常のシャットダウンではなく、Windowsの「回復」メニューから本体の電源を完全に切ります。その後、ACアダプターなどすべてのケーブルを抜き、底面の「ハードウェアリセット/スキャンスイッチ」を約5秒間押してから作業を始めます。
交換方法自体は簡単。底面の2本のプラスネジを緩めてカバーを取り外し、内部にある2本のプラスネジを外すだけでバッテリー本体を取り出せます。使用されているのはトルクスネジなどではなく、一般的なプラスネジです。そのため、別途特殊なドライバーを購入する必要はありません。
バッテリーカバーとバッテリー本体がネジで固定されているのは、おそらく落下時などにバッテリーが意図せず外れてしまうことを防ぐためでしょう。前章で検証したとおり、本製品は非常に長いバッテリー駆動時間を実現しています。予備のバッテリーパックを用意し、外出先で入れ替えて使うような状況は、まずないと思われます。簡単にバッテリーを交換できるいっぽうで、不意に外れないようネジで固定する構造は理にかなっていると感じました。
プラスドライバーを使ってバッテリーカバーを外している様子
バッテリーカバー、バッテリーともに2本のプラスネジで固定されています
本製品はプロセッサーにインテルの「Core Ultra 7 258V」を採用しています。本プロセッサーの主な仕様は、8コア(高性能コア×4、低消費電力高効率コア×4)、8スレッド、最大4.8GHz。ベースパワーは17W、最小保証電力は8W、最大ターボパワーは37W。内蔵グラフィックスとして「Intel Arc 140V GPU」を搭載し、最大47TOPSのNPUも積んでいます。
ただ、これは1世代前のプロセッサーですので、処理性能が気になっている人もいるでしょう。そこで今回は、「CINEBENCH 2026」「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」「CrystalDiskMark 9」という定番のベンチマーク3本で結果を測定してみました。スコアは以下のとおりです。
CINEBENCH 2026
マルチスレッド:1783pts
シングルスレッド:468pts
ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク
1920×1080ドット、標準品質、ノートPC:6962(やや快適)
CrystalDiskMark 9
シーケンシャルリード:5029.09MB/s
シーケンシャルライト:4380.23MB/s
本機はメモリーを32GBと多めに搭載しています。1世代前のプロセッサーではありますが、重量1kgを切るモバイルノートPCとしては、最新スペックのモデルと比較しても不満なく使える性能を備えていると言えるでしょう。一般的なビジネスアプリケーションであれば、非常に快適に利用可能ですし、RAW画像の現像や4K動画の書き出しも実用的な速度でこなせます。3Dゲームも画質を調整すれば、プレイできるタイトルは多いでしょう。
また、最大47TOPSのNPUを搭載しているのもポイント。マイクロソフトのAI PC規格「Copilot+ PC」に求められる40TOPS以上のNPUという要件を満たしており、Windows 11のAI機能を利用できます。
「CINEBENCH 2026」のスコア
「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー ベンチマーク」のスコア
「CrystalDiskMark 9」のスコア
1kgを切る軽量ボディ、充実した外部インターフェイス、圧倒的なバッテリー駆動時間、そしてユーザー自身で交換できるバッテリー構造。本機は、本格的なモバイルノートPCに求められる要素をバランスよくまとめた製品に仕上がっています。
高く評価できるのは、メモリー価格が高騰しているなか、32GBメモリーを搭載しつつ、価格が25万4,000円前後(2026年7月17日時点での価格.com最安価格)に抑えられている点。ストレージは、個人的には1TBの容量が欲しかったところですが、クラウドストレージや外付けSSDを利用すれば、512GBでも運用は可能でしょう。コンパクトなUSB SSDやmicroSDメモリーカードを装着し、データドライブとして利用してもよいですね。
本機を選ぶうえで気になるのは1世代前のプロセッサーという点です。しかし、採用されている「Core Ultra 7 258V」は、十分なCPU性能とグラフィックス性能を備えています。「Copilot+ PC」の要件を満たすNPUも搭載しており、実用上は今でもバランスにすぐれた構成のプロセッサーと言えます。
25万円前後の予算で「長く快適に使えるモバイルノートPC」を探しているのなら、間違いなく有力候補となる1台です。