レビュー

“世界初”ガラス振動板の音質は? ケンウッドのイヤホン「GLASS Core」シリーズレビュー

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ケンウッドの「80周年」記念モデル「GLASS Core Pro」(左)と「GLASS Core」(右)をレビュー

ケンウッドの「80周年」記念モデル「GLASS Core Pro」(左)と「GLASS Core」(右)をレビュー

ケンウッドといえば、「名機」と呼ばれるようなオーディオ製品を数多く発売してきた栄光のブランドだ。現在は本格的なオーディオから距離を置き、カー用品やポータブルオーディオ、ヘッドホン・ヘッドセット、通信機器、ポータブル電源などを発売している。ミニコンポの「Kシリーズ」などにかつての面影はあるが、今やちょっと地味な存在だと言える。

そんなケンウッドが、2026年で「80周年」(※)を迎え、記念モデルとして発売したのが、「GLASS Core Pro」「GLASS Core」という完全ワイヤレスイヤホンだ。これがなかなか斬新なモデルで、話題性があることはもちろん、音質もすぐれている。さっそくこの2モデルを紹介しよう。

※1946年、前身の有限会社春日無線電機商会設立から数えて80周年。その後、トリオ、ケンウッドと商号を変えていった。さらにその後、ケンウッドは日本ビクターと経営統合され、現在ケンウッドブランドは株式会社JVCケンウッドによって運営されている。JVCケンウッドはこのほかにもJVC、ビクターブランドを有する。

GLASS Core Pro KH-CRZ100Tの製品画像
  • ケンウッド
  • GLASS Core Pro KH-CRZ100T
  • 価格.com最安価格47,980 ( 発売日:2026年6月下旬 )
  • 売れ筋ランキング22
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タイプ
カナル型
接続タイプ
完全ワイヤレス(左右分離型)
装着方式
構造
密閉型(クローズド)
ノイキャン
ハイレゾ
防水・防塵性能
IPX4
対応コーデック
SBC/AAC/LDAC
GLASS Core KH-CRZ90Tの製品画像
  • ケンウッド
  • GLASS Core KH-CRZ90T
  • 価格.com最安価格25,300 ( 発売日:2026年6月下旬 )
  • 売れ筋ランキング115
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タイプ
カナル型
接続タイプ
完全ワイヤレス(左右分離型)
装着方式
構造
密閉型(クローズド)
ノイキャン
ハイレゾ
防水・防塵性能
IPX4
対応コーデック
SBC/AAC/LDAC

スピーカーユニットとしてすぐれた特性のガラス振動板を採用

日本電気硝子(NEG)が開発したガラス振動板「Sonarion」。「GLASS Core Pro」「Glass Core」はこのイヤホン版を搭載している(写真はスピーカー向けのユニット)。軽量で剛性が高く、経年劣化しにくいという

日本電気硝子(NEG)が開発したガラス振動板「Sonarion」。「GLASS Core Pro」「Glass Core」はこのイヤホン版を搭載している(写真はスピーカー向けのユニット)。軽量で剛性が高く、経年劣化しにくいという

「GLASS Core Pro」「GLASS Core」は、ワイヤレスイヤホンとしては世界で初めて(※)ドライバーにガラス製の振動板を採用したモデルだ。ガラス振動板自体は、すでにスピーカー用のドライバーも製品化されているし、有線タイプのイヤホンでも製品化はされている。とはいえ、まだまだ知らない人も少なくないだろうし、「振動板がガラス」聞くと昔からオーディオを楽しんできた人ほどギョッとするのではないだろうか?

※2026年6月11日時点、ワイヤレスイヤホンにおいて JVCケンウッド調べ

ガラスがオーディオの世界で避けられてきた理由は、音質的にあまりよい評価がなかったから。一般的なガラスは内部損失が少なく、叩くとカンカンとクセの強い音がする。これが再生音にも乗ってしまい、あまりよい印象にならなかったのだ。オーディオには「原音再生」という言葉があるように、再生機に個性があると、原音(音源)に不要な色付けをしてしまうことになり、好ましいとされない。

しかし、時代は変わるし、技術も進化する。

「GLASS Core Pro」「GLASS Core」で採用されたガラス振動板は、ガラスメーカーである日本電気硝子が開発した超薄板ガラスを台湾のGAITというガラス加工メーカーが加工したもの。折りたためるタイプのスマホの画面に採用される超薄型ガラス(UTG)に近いものだ。これだけで、普段からよく触れている窓ガラスなどとは別物だとわかるだろう。

このガラス振動板は薄くて軽いため、音の立ち上がりが速い。さらに剛性が高いため高速ピストニックモーションでも変形が少なく、不要な共振や歪みが少ないという特徴がある。しかも内部損失(振動が吸収され減衰する度合い。内部損失が高いと固有音が少ないと考えられる)もそれなりに備えるという。すぐれた振動板に求められる性能をしっかりと備えているのだ。そんなガラス振動板がどんな音を出すのか気になる人も多いだろう。

「Pro」はユニット構成だけでなく機能性でも有利

音質インプレッションの前に、「GLASS Core Pro」「GLASS Core」の概要を紹介しよう。

●「GLASS Core Pro」と「GLASS Core」の主なスペック

対応コーデックこそ同じものの、「GLASS Core Pro」はハードウェア的にも機能的にも充実している。アクティブノイズキャンセリング機能も、「GLASS Core」よりも精度が高いという

対応コーデックこそ同じものの、「GLASS Core Pro」はハードウェア的にも機能的にも充実している。アクティブノイズキャンセリング機能も、「GLASS Core」よりも精度が高いという

下位モデルの「GLASS Core」。10mmのガラス振動板をフルレンジで使うダイナミック型イヤホンだ。本体操作はタッチセンサー式

下位モデルの「GLASS Core」。10mmのガラス振動板をフルレンジで使うダイナミック型イヤホンだ。本体操作はタッチセンサー式

まず、下位モデルの「GLASS Core」は、口径10mmのガラス振動板をフルレンジで(1基のみ)採用したタイプ。イヤーピースは透明なリキッドシリコン素材を採用。柔軟性と密着度が高いため、耳の穴にフィットしやすく、音漏れが少ない。外部からのノイズを遮断する効果も高いという。そして、高級ワイヤレスイヤホンでも必須の装備である高性能アクティブノイズキャンセリング機能も備える。

上位モデルの「GLASS Core Pro」の本体はひとまわり大きく、ケースの開閉がスライド式となる。また、本体操作は物理ボタン式

上位モデルの「GLASS Core Pro」の本体はひとまわり大きく、ケースの開閉がスライド式となる。また、本体操作は物理ボタン式

上位モデルの「GLASS Core Pro」は、口径10mmのガラス振動板とMEMSドライバーの2ウェイ構成。MEMSドライバーとは、シリコン素材を原料とし、LSIなどのチップと同じくシリコンウェハーから製造される、こちらもユニークなドライバーだ。発音する原理としては圧電型に分類される。すぐれた応答性と歪みが少ないことが特徴だ。

MEMSドライバーを搭載したイヤホンも製品化はされているが、ガラス振動板とMEMSドライバーの2ウェイ構成というワイヤレスイヤホンはもちろん初めて。どちらも登場から間もない技術であるだけに、初めて尽くしのなかなか斬新なイヤホンと言える。

イヤーピースは「GLASS Core」と同じくリキッドシリコン製で、アクティブノイズキャンセリング機能も搭載。このほか「GLASS Core Pro」だけの特徴として、ユーザーの耳の形に応じた最適化を図る「パーソナライズサウンド」機能、JVCケンウッド独自の立体音響再現技術「EXOFIELD(エクソフィールド)」の技術を一部活用した「空間オーディオ」機能、そして独自の高音質化(アップサンブリング)技術「K2テクノロジー」も盛り込まれている。

「GLASS Core Pro」(左)と「GLASS Core」(右)のイヤーピースは同一と思われる。どちらもリキッドシリコン製で、5サイズのペアが付属する

「GLASS Core Pro」(左)と「GLASS Core」(右)のイヤーピースは同一と思われる。どちらもリキッドシリコン製で、5サイズのペアが付属する

充電ケースは左の「GLASS Core Pro」のほうがやや大きく、ケース併用時のバッテリー駆動時間も長い

充電ケースは左の「GLASS Core Pro」のほうがやや大きく、ケース併用時のバッテリー駆動時間も長い

左の「GLASS Core Pro」のフタはスライド式

左の「GLASS Core Pro」のフタはスライド式

「GLASS Core Pro」はアプリで「イヤホンを探す」こともできる

先述のとおり「GLASS Core Pro」と「GLASS Core」では、機能面にかなり違いがある。「GLASS Core Pro」はよりマニアックというか、音にこだわる人向けの機能が追加されているイメージだ。操作用アプリは同じものを使用できるが、接続したイヤホンによって、使える表示が変化する。

「GLASS Core」は機能が限られているとはいえ、アプリではバッテリー残量チェックやコーデック設定、EQによる音質調整、操作のカスタマイズなどが可能。基本的な操作はしっかり揃っているが、表にあげた機能のほかにも、いくつかの便利な機能が省略されている。たとえば、イヤーピースがしっかり装着されているかをテストできる「イヤーピース装着テスト」やイヤホンを置き忘れた際のサポートとして使える「イヤホンを探す」などがそうだ。どちらも「あると便利」な機能なので、こうした差があることも確認しておくとよいだろう。

専用アプリの基本画面。両モデルでよく似ている

専用アプリの基本画面。両モデルでよく似ている

左が「GLASS Core Pro」で、右が「GLASS Core」の画面。「GLASS Core Pro」には独自の項目として「イヤーピース装着テスト」がある。これは個人最適化を図る「パーソナライズサウンド」の前提となる機能と言える。必ず実施しておきたい

左が「GLASS Core Pro」で、右が「GLASS Core」の画面。「GLASS Core Pro」には独自の項目として「イヤーピース装着テスト」がある。これは個人最適化を図る「パーソナライズサウンド」の前提となる機能と言える。必ず実施しておきたい

「GLASS Core Pro」の操作時には、「パーソナライズサウンド」のための「パーソナライズ測定」項目のほか、「空間オーディオ」「K2テクノロジー」など独自の機能が並ぶ。「パーソナライズ測定」を始めると右の画面が表示された

「GLASS Core Pro」の操作時には、「パーソナライズサウンド」のための「パーソナライズ測定」項目のほか、「空間オーディオ」「K2テクノロジー」など独自の機能が並ぶ。「パーソナライズ測定」を始めると右の画面が表示された

もし、「GLASS Core Pro」を試す機会があれば、必ず実施してほしいのが「イヤーピース装着テスト」と「パーソナライズ測定」だ。

「イヤーピース装着テスト」はイヤーピースのサイズやフィット感がきちんと合っているかどうかを判定するもの。イヤーピースのサイズはいい加減にしてしまいがち。しかし、ここが合わないと低音がしっかり聞こえないなどの悪影響が出てしまう。

「パーソナライズ測定」は、テストトーンを再生し、ユーザーの装着状態などを測定する「パーソナライズサウンド」を有効化するための測定だ。静かな場所でテストするように指示される、わりと厳格な測定のようだ。

このように、ユーザーの個人的な体格や聴覚に最適化した再生ができるのはありがたいし、「GLASS Core Pro」でもかなり有効だと感じられた。今後はますます搭載モデルが増えるだろう。

歪みのないスムーズな高域こそガラス振動板の特徴

さて、実際に両モデルの音を聴いてみよう。プレーヤーにはアステル&ケルンの「PD10」を使用し、接続はLDACとした。試聴場所は、電波環境が安定しており、騒音も少ない自宅試聴室だ。

「GLASS Core Pro」「GLASS Core」に共通して言えるのは、高解像度なタイプで音像もややタイトであること。筆者は元々こうした音を好むタイプなので、カリカリとかシャリシャリに高域がキツイとは感じなかった。ガラス振動板という言葉の響きから、いかにも個性的な音を予想してしまうかもしれないが、高解像度でも尖った音ではないと思った。

これは、高域に歪み感がなく、耳当たりがよいためだろう。ただし、もっとナチュラルでふくよかな感触を好む人にとっては、高域がキツく感じられるかもしれない。その場合はEQを変えてもよいし、「GLASS Core Pro」ならば「パーソナライズサウンド」を試してみるとよいだろう。筆者が試してみると、より高域がスムーズに再生されると感じられた。

色付けの少ないストレートな音質の「GLASS Core」

下位モデル「GLASS Core」からレビュー

下位モデル「GLASS Core」からレビュー

個別のインプレッションを記そう。まずは「GLASS Core」。聴き慣れたクラシック曲などを再生すると、1つひとつの楽器の音が鮮明で、総譜を見ながら聴いているように、個々のパートの音がくっきりと耳に届く。ややタイトだが、クセっぽくはなく、十分に自然。低音を出す弦楽器の胴鳴りなど、音のふくよかな感触もよくわかる。なんと言っても音の立ち上がりが速く、反応がよい。早いテンポの曲は小気味よく、キビキビとしたテンションの高い演奏に感じられた。

米津玄師と宇多田ヒカルによる「JANE DOE」を聴くと、ふたりの声質の違いもよくわかるし、ふたりの声のセンター付近での定位感もよく出る。完全に溶け合ってしまうようで、はっきりとそれぞれで定位しているのがよくわかるし、すれちがうふたりの心情が音にもよく表れた再現だと感じた。

色付けが少なくストレートな音質なので、声質の違いだけでなく、息づかいまでもしっかりと描き分けているよう。高解像度ではあるが、自然で親しみやすい感触だ。このバランスはなかなかよい。

ガラス振動板イヤホンにネガティブな印象を持っている人にも、一度聴いてみてほしいクオリティーだ。高解像度だが、金属振動板のような硬さはない。そして、一般的な樹脂系素材のような親しみやすさ、クセのなさが特徴なのだが、一般的なユニットとは明らかに違う解像感、シャープさがある。今までにない新しい感触の音だと気付くはずだ。

空間が広く、音に厚みがある「GLASS Core Pro」

上位モデル「GLASS Core Pro」

上位モデル「GLASS Core Pro」

今度は「GLASS Core Pro」。「GLASS Core」とはハードウェア的に大きく違うとあって、再生音の空間がより広く、奥行きも広いと感じる。誤解を恐れずに言えば、音場がよく出るスピーカーのようにきれいに音が広がっていく。

それでいて、定位する個々の音はくっきりとしていて、音色も鮮明。高解像度で色付けの少ないモニター的な感触だが、それでいて、屈託なく音が広がり、軽快にリズムが弾む自然さ、気持ちよさがある。

これは、高域をMEMSドライバーに任せた効果が出ているポイントだろう。高域は「GLASS Core」よりもさらにクセがなく、歪みっぽさや耳に刺さる感じのない自然な感触。中低音域は、タイトな感触からもう少しふっくらとした厚みが出てくる

ドゥダメル指揮ウィーン・フィルによる「ムソルグスキー:組曲 展覧会の絵」から、第9曲、第10曲を聴くと、低音楽器による不気味なメロディーがキレよく、迫力と重みをたっぷりに迫ってくるし、追い詰められた緊迫感から、一気に新しい世界が広がる展開がドラマチックだ。解像感の高い音で、重量感やスピードまできちんと再現できることに感心した。ガラス振動板+MEMSドライバーの2ウェイ構成は新規性だけのトピックではなく、この壮大で力感のある音のためなのだ。

米津玄師と宇多田ヒカルによる「JANE DOE」でも、ふたりの声の質感はよく描き分けられているし、ニュアンスもよく出る。低域には余裕が出て、空間感の広がりが見事だ。これはなかなか魅力的な新製品が出てきたと実感できる試聴だった。

アクティブノイズキャンセリング機能の違いは?

アクティブノイズキャンセリング機能は、完全ワイヤレスイヤホンの機能として重視する人も多いだろう。「GLASS Core Pro」は、「世界最高クラス」の効果を実現した(※)と言うだけあって、ノイズキャンセリング性能に定評のあるモデルと比べても、決して負けないレベルでノイズ低減が可能だ。車の排気音や電車の走行音、駅構内などでのざわつきはかなりのレベルで消音する。近くにいる人の声はまったく聞こえないというほどではないが、耳障りにならないレベルまで低減されていた。

※ノイズキャンセリング機能付き完全ワイヤレスイヤホン市場において(2026年5月20日時点、国際電気標準会議(IEC)基準によるJVCケンウッド調べ)

感心したのは、耳栓を無理に突っ込んだような閉塞感のある不自然さが少なく、違和感のない自然な静けさが得られること。「GLASS Core Pro」は、キャンセルの強さも自然な感触という点もなかなか優秀だ。これはガラス振動板とMEMSドライバー自体が低歪みで、そもそも不快な音が耳に付きにくいことにも由来していると思われる。

また、直接関係がないようだが、「パーソナライズサウンド」や「イヤーピース装着テスト」でもノイズキャンセリングの効果が向上する。イヤーピースがしっかり装着されていれば、物理的に外からのノイズを抑えられるのは当然。「パーソナライズサウンド」は、外耳道での音の不要な反射や歪みを整え、人によって違いのある聞こえ方への影響を補正するものと思われる。耳の感度の高い中高域の周波数特性がスムーズになるようで、音楽再生時の音質向上に効いたことは前述のとおり。このパーソナライズは、ノイズ除去時の快適さが高まるようにも感じられた。どちらも「GLASS Core Pro」ユーザーならば必ず実行しておきたい。

さらに特筆すべきは、外音取り込みの音の自然さで、イヤホンを外した時の実際の聞こえ方と大きく変わらない印象だった。いかにもマイクが拾った音を増幅しているような機械的な不自然さは少なかったのがとても好ましい。

「GLASS Core」はというと、こちらは内蔵するマイクなどが異なるようで、「高性能ノイズキャンセリング」を謳うスタンダードな仕様。低音域のノイズはよく抑えるが、人の声や中高音域のキャンセリングは「GLASS Core Pro」に比べるとやや劣る。人の声は会話ができるほど聞こえてしまうわけではないが、案外離れた距離にいる人の声でも耳に入ってしまうくらい。もちろん、さまざまなノイズを耳障りにならないレベルには抑えてくれるので、通常利用では十分に快適な静けさを得られる。こちらもアクティブノイズキャンセリング特有の閉塞感や不自然さは少なく、使いやすいタイプだ。

「K2 テクノロジー」の効果は? 

「K2テクノロジー」は圧縮された音源をハイレゾ音源に迫る音質で再現する、いわゆるアップコンバート技術だが、元々ハイレゾ音源の伝送が可能なLDACコーデック使用時には機能しない仕組みだ。

そこで「GLASS Core Pro」と「iPhone」をAACコーデックで接続し、Qobuzのハイレゾ音源を再生してみることにした。「K2テクノロジー」をオンにすると、たしかに空間がより広がり、音色の艶というか質感がよく出ているように感じた。

ただし、LDAC接続が可能な機器との接続時はLDACのほうが音質的には上だ。「iPhone」ユーザーやLDACが使えないDAPを使っている場合は、その代用になると考えればよいだろう。また、外出時に接続が安定しない環境にいる場合などはSBCやAACコーデックを使い、「K2テクノロジー」をオンにするという使い方もよさそうだ。

【まとめ】どちらもガラス振動板のよさがあるが、“推し”は「Pro」

それなりに価格差のある2製品なので、どちらを選ぶか迷う人もいるかもしれない。ガラス振動板という新しいドライバーの解像感の高さや聴きやすさは下位モデル「GLASS Core」でもしっかり味わえると思う。アクティブノイズキャンセル性能も「GLASS Core Pro」が優位だが、「GLASS Core」も十分に自然で違和感の少ない静けさが得られ、快適に使える。その意味では「GLASS Core」は必要十分の性能を備えている。

しかし、個人的に重要だと思ったのは、「GLASS Core Pro」にのみ備わっている「パーソナライズサウンド」や「イヤーピース装着テスト」という音質調整に関わる機能だ。解像感の高いタイトな傾向の音なので、高域の再現性を調整したいと感じる人もいると思う。その際に有効なのが「パーソナライズサウンド」なのだ。実際、パーソナライズを行うとかなりスムーズな高域になると感じた。この点からも、音質重視というだけでなく、より多くの人が快適に使えるのが「GLASS Core Pro」だろう。高級品にはなるが、どちらがよいかと聞かれれば、個人的にはこちらを推したい

「GLASS Core Pro」「GLASS Core」ともにケンウッド80周年記念にふさわしい出来栄えだと思う。しかも、JVCケンウッドの「周年」記念活動はこれだけでは終わらない。同社が持つビクターブランド、そしてJVCケンウッド自体のアニバーサリーイヤーが控えているのだ。2027年は日本ビクター100周年(日本ビクター蓄音機株式会社設立から100年)、2028年はJVCケンウッド発足20周年。今回の記念モデルのすばらしさから、意欲的な新製品を期待せずにはいられない。当分の間はJVCケンウッドの動きから目が離せない。

2027年は日本ビクター100周年、2028年はJVCケンウッド20周年が控えている

2027年は日本ビクター100周年、2028年はJVCケンウッド20周年が控えている

鳥居一豊
Writer
鳥居一豊
オーディオ専門誌の編集スタッフを経て独立。マンガ、アニメ、ゲームをこよなく愛し、視聴取材などでも数多くの名作を取り上げる。ホームシアターのために家を新築して早10年。現在は8.2.4ch構成のDolby Atmos対応サラウンドシステムと120インチスクリーン+プロジェクターによる視聴設備を整えている。ホームシアターは現在でもまだ進化する予定。
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柿沼良輔(編集部)
Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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