エンタープライズ/サーバー用途で主に使われていた次世代SSDが、ついにデスクトップ用でも登場! 今回紹介する「Intel SSD 750」(以下、SSD 750)は、インターフェイスに帯域幅の広いPCI Expressを採用し、SSDに最適化した新しい通信プロトコル「NVMe」をサポートすることで、シーケンシャル最大転送速度2400MB/sを実現した高速モデルだ。単体でSATA SSDの倍以上の転送速度を持つSSD 750とは一体どんなSSDなのか。自作PCやPCパワーアップに役立つ情報をお届けする「最新PCパーツラボ」第53回は、そんなIntelの超高速SSDであるSSD 750を取り上げる。
Intel SSD 750の拡張カード型1.2TBモデル
SSDの性能向上は目覚ましいものがある。今ではSATA接続の最大転送速度600MB/s(理論値)を超すパフォーマンスを実現する製品もある。そうした製品の一部は、インターフェイスにSATAを使わず、より多くのデータ転送ができるPCI Expressを使用している。SSD 750もそんなPCI Express接続のSSD(以下、PCIe SSD)だが、これまでのPCIe SSDとまったく同じというわけではない。ビデオカードと同じ高速なPCI Express 3.0インターフェイスを使用し、さらに次世代のSSDの内部インターフェイスNVMeもサポートしているのだ。
NVMeとはNon-Volatile Memory Expressの略で、不揮発メモリー(Non-Volatile Memory)で構成されたストレージ用の新しい通信プロトコル。HDDを想定していた現在主流のAHCIに対し、NVMeではSSDに最適化させており、データ転送の処理効率を引き上げている。AHCIでは、データをリクエストするときに一度に32のコマンドをキューとして処理できるが、NVMeではそれが64Kに引き上げているなどしている。
ちなみに、PCI Express 3.0インターフェイスのメリットは帯域が広いことに加えて、CPU側にコントローラーを搭載することだ。SATA SSDでは、CPUとSSDの間にチップセット(PCH)が挟まれるため、レイテンシーも大きくなる。転送速度を底上げしつつ、レイテンシーを抑えたのがNVMe対応PCIe SSDの大きな特徴だ。
SSD 750は、そんなNVMe規格 1.0に対応しつつ、1レーンで8Gbps(1GB/s)のデータ転送能力を持つPCI Express 3.0インターフェイスを4レーン(32Gbps≒4GB/s)用いたSSDだ。ゲーミングPCなどのハイエンドなデスクトップまたはワークステーションといった、クライアント環境での使用を想定したインテルのクライアント向けSSDの最上位モデルで、型番的には「Intel SSD 730」の後継品に位置けられている。
容量ラインアップは、400GBと1.2TB。フォームファクタは2.5インチ型と拡張カード(Ad in Card/AIC)型。2.5インチ型といってもサイズは15mm厚という一般的なサイズ(9.5mm厚や8mm厚)より厚みのあるもので、コネクタもSFF-8639(COMPUTEX TAIPEI 2015ではU.2と呼ばれている)というエンタープライズ/サーバー用途で使われる形状となっている。SATAと互換がないためそのままでは接続できないが、今後、変換基板やケーブルも各社から出てくる予定だ。
拡張カード型は基板にメモリーチップを実装したもので、見た目はこれまでのPCIe SSDと変わらない。大きさはHHHL(ハーフハイト/ハーフレングス)。コネクタ形状はPCI Express x4スロットとなっている。
今回入手できたのは、カード型の1.2TBモデル。搭載コントローラーは確認できなかったが、基板裏面に14枚のNANDフラッシュメモリーを実装。刻印はインテルの「29F16B08LCMFS」。そのほかに、キャッシュメモリーと思われるマイクロン製の「D9PQL」も確認できた。表面には基板全体を覆うヒートシンクが装着されている。
基板表面を覆うように搭載されている大型ヒートシンク。ロープロサイズ用ブラケットが同梱されている
側面。カードはシングルスロットサイズとなっている
基板のブラケット側
背面
基板裏面の様子。NANDフラッシュメモリーには、インテルの29F16B08LCMFSが実装されている。Intelのフラッシュメモリーより小さいのが、Micron製のキャッシュメモリーD9PQLだ
SSD 750の主な仕様