スマートフォンの疑問・トラブル110番

スマホの充電ケーブルが切れた……100円と1,000円のケーブルどっちを買えばいい?

iPhoneの登場以来、数年であっという間に普及してしまったスマートフォン(以下スマホ)。詳しい人から、そうでない人まで、さまざまな人にとってスマホは身近な存在になった。それだけに、スマホにまつわるさまざまな疑問やトラブルが増えている。本連載「スマートフォンの疑問・トラブル110番」では、そんなスマホに関する疑問やトラブルを解決していく。記念すべき第1回では、USBケーブルに関する疑問を解決しよう。

スマホの充電やデータ転送に利用するUSBケーブルは、100円程度から1,000円を超えるものまで価格に幅がある。安いに越したことはないのだが、はたして品質に問題はないのか、気になるところだろう。そこで、USBケーブルの性能や品質についてレポートしよう。

見た目がほとんど同じなのに種類は多く、どれを買えばいいのか迷ってしまうUSBケーブル

見た目がほとんど同じなのに種類は多く、どれを買えばいいのか迷ってしまうUSBケーブル

多種多様なUSBケーブルの種類について理解しよう

スマホ用USBケーブルは、100円ショップでも売られているし、家電量販店の店頭には各メーカーの製品がズラリと並ぶ。これではどの製品を買えばいいのか迷ってしまうので、はじめにケーブルの種類について理解を深めておこう。

AndroidスマートフォンはmicroUSB端子を採用

AndroidスマートフォンはmicroUSB端子を採用

microUSBケーブルは挿し込む向きが決まっている

microUSBケーブルは挿し込む向きが決まっている

Androidスマートフォンの場合は、写真のような形状のmicroUSBケーブルを利用する。端子は台形状なので、ケーブルを挿し込む向きが決まっているのが特徴のひとつとなっている。

ケーブルを見ただけでは細かい内容までわからないので、パッケージの表記をしっかりチェックしよう

ケーブルを見ただけでは細かい内容までわからないので、パッケージの表記をしっかりチェックしよう

USBケーブル選びでまず注意したいのは、充電専用と、充電およびデータ転送の両方に対応するケーブルがある点だ。意外に思うかもしれないが、安い製品では充電にしか対応しないものがある。充電だけではなく、スマートフォンとパソコンを接続してデータのやり取りもしたいときには、充電とデータ転送に対応したケーブルを選ぶ必要がある。

製品パッケージには、「充電専用」もしくは「充電およびデータ転送」と記載されているので、しっかり確認しよう。また、製品によっては対応スマートフォンの種類が記載されている場合もあるので、あわせて確認したい。

また、充電に関する機能として、「高速充電対応」や「高出力対応」と書かれている製品もある。「高速充電対応」は、高速充電機能を持つスマートフォン向けで、「高出力対応」は、より多くの電流が流れる仕様(充電時間が短い)になっているということだ。

さらに、「1A対応」「2A対応」「2.4A対応」などの表記もある。「A」は「アンペア(電流量)」のことで、数字が大きいほどより多くの電流が流れることを表している。

特に、パソコンのUSBポートではなくAC(電源)アダプターを使って充電をするとき、ACアダプターが2Aなのにケーブルが1Aまでしか対応していないと、本来の電流量の半分しか流れないことになり、充電に要する時間が長くなってしまう。この場合、充電時間を短くするには、「2A対応」や「2.4A対応」の製品を選んだ方がいいということになる。

なお、ケーブルによる電流量の違いについては最後に計測した結果をまとめているので参考にしてほしい。

「USB Type-C」端子も登場。写真はサンワサプライの「KU-CA」シリーズ

「USB Type-C」端子も登場。写真はサンワサプライの「KU-CA」シリーズ

「USB Type-C」は、USBの新規格である「USB 3.1」で新たに追加された接続端子の種類だ。データ転送速度が高速化し、映像データの伝送にも使えるという特徴を持つ。上の写真の右側の端子がType-Cで、楕円形になっていることがわかるだろう。そのため、microUSBのように挿し込む向きを意識することなく接続できるので、接続のたびに向きを確認する必要がなくなり利便性が上がっている。

Android OSの最新バージョンである「6.0」は、Type-Cをサポートしている。日本で販売されているスマートフォンでは、現在はグーグルの「Nexus 6P」と「Nexus 5X」がType-Cを搭載しているのみだが、おそらく今後発売されるスマートフォンは、Type-Cが主流になることだろう。

「iPhone 6s」のLightning端子

「iPhone 6s」のLightning端子

「iPhone 5」以降はLightningケーブルを採用

「iPhone 5」以降はLightningケーブルを採用

iPhoneの場合は、「iPhone 5」以降とそれ以前の端末とでケーブルの種類が異なる。

iPhone 5以降で採用されたのがLightningケーブルで、それ以前は「30ピン Dock(ドック)」ケーブルが使われていた。Lightningケーブルの特徴のひとつは、端子の裏表がなく、向きを気にすることなく接続できる点にある。

Lightningケーブルは「Made For iPhone/iPad/iPod」のマークをチェック

Lightningケーブルは「Made For iPhone/iPad/iPod」のマークをチェック

iPhone用のケーブルを選ぶポイントとして、もっとも注意したいのは「Made For iPhone/iPad/iPod」マークの有無だ。これは、 iPhone/iPad/iPodを製造するアップルが、正常に動作する機器であることを認証した証。このマークがない製品はアップルの認証を通っておらず、正常に動作しないこともあるので、安価であっても購入は控えたほうがいいだろう。100円ショップで売っている安価なものには基本的にこのマークは付いていない。

安価な製品の中には、挿し込む向きが限定されるものもある

安価な製品の中には、挿し込む向きが限定されるものもある

今回、100円ショップで購入したLightningケーブルを試してみた。「Made For iPhone/iPad/iPod」マークのない製品で、充電には利用できた(電流量の計測結果は後述)。ただし、端子に裏表があり、「UPSIDE」と書かれた面をiPhoneの前面側にして接続しないと充電が行われないという制約があった。なお、データの転送には対応していない。

「Made For iPhone/iPad/iPod」マークなしだと、まったく使えないことも

「Made For iPhone/iPad/iPod」マークなしだと、まったく使えないことも

「Made For iPhone/iPad/iPod」マークが付いていない格安のケーブルだと、「このケーブルまたはアクセサリは認定されていないため、このiPhoneで正常に動作しない可能性があります。」とメッセージが出てまったく使えないこともある。いくら安くても使えなければ意味がないので、「Made For iPhone/iPad/iPod」マークは必須だと思ったほうがいいだろう。

充電時の性能差をチェック!

実際にスマホに充電するときに、ケーブルによって差が出るのか、電流量を調べてみた。

計測に使用したのは、「USB電流&電圧チェッカー DN-10140」(上海問屋、価格は899円)という簡易計測器だ。パソコンとUSBケーブル、あるいはACアダプターとUSBケーブルの間に装着するだけで電圧と電流量を表示する。また、充電は「MacBook Pro」のUSBポート経由で行った。

microUSBケーブルの場合

使用したAndroidスマートフォンは「Nexus 5」。ケーブルはNexus 5に標準付属のものと、高出力対応製品「BKS-HUCSP10K」(オズマ、価格は842円)、それと100円ショップで購入した3種類を使って計測した。

「Nexus 5」標準のケーブルは「0.46A」

「Nexus 5」標準のケーブルは「0.46A」

高出力対応製品は「0.85A」

高出力対応製品は「0.85A」

100円ケーブルは「0.46A」

100円ケーブルは「0.46A」

計測結果は写真のように、標準ケーブルと100円ケーブルの「0.46A」に対し、高出力対応製品は「0.85A」と2倍近い電流量を示した。電流量が多いほど充電に要する時間は短くて済むため、単純計算で約半分の時間でフル充電が可能となる。

Lightningケーブルの場合

使用したのは「iPhone 6s」。ケーブルはiPhone 6sに標準付属のものと、2.4A対応製品「UD-LC060-3K」(アイホープ、価格は1,922円)、それと100円ショップで購入した3種類を使って計測した。

「iPhone 6s」標準のケーブルは「0.73A」

「iPhone 6s」標準のケーブルは「0.73A」

2.4A対応製品は「0.79A」

2.4A対応製品は「0.79A」

100円ケーブルは「0.33A」

100円ケーブルは「0.33A」

Lightningケーブルの場合、標準のケーブルと高出力タイプのケーブルでは後者のほうがやや数値的に上回ったものの、電送機能はほぼ同等と見ていいだろう。これに対して100円ケーブルは、電流量が半分以下という結果となった。

今回の計測結果から、充電時間を短くするには100円ケーブルはあまり使わないほうがよさそうということがわかった。

まとめ 100円ケーブルを選ぶ場合は注意

100円のケーブルと1,000円のケーブルとでは、今回の検証においては、主に充電性能で差が出る結果となった。

それだけでなく、100円ショップで売っているような安価なUSBケーブルは、耐久性の面でも注意が必要だ。そもそも安価な製品は、ケーブルが細くて断線しやすいものも見受けられる。ケーブルの質が悪いと、過電流などでバッテリーやスマホ本体にダメージを与えてしまうこともあるし、最悪、ケーブルが原因でスマホが故障したとなると保証の対象外になることも考えられる。一時しのぎ的な使い方であれば大きな問題は発生しにくいと思うが、長期にわたって使用するとなると少し不安なところがある。特に、「Made For iPhone/iPad/iPod」マークのない安いLightningケーブルを利用する場合は注意が必要だ。

たかがスマホ用のケーブルと思うかもしれないが、毎日充電で使うものなので、しっかりとしたものを選んでおきたいところだ。

小野均
Writer
小野均
パソコンからモバイルまで、ハード&ソフトのわかりやすい操作解説を心がける。趣味は山登りにクルマという、アウトドア志向のIT系フリーライター。
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山野 徹(編集部)
Editor
山野 徹(編集部)
新しいもの好きで、アップルやソニーと聞くだけでワクワク・ドキドキ。デジタル好きだが、最近はアナログにも興味が出てきたアラフォー編集者。
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