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NTTドコモが下り最大375Mbpsを6月開始! TD-LTE 3.5GHz帯もスタート

NTTドコモは2016年3月2日、LTE-Advanced方式の高速通信サービス「PREMIUM 4G」を高速化し、6月をめどに下り最大375Mbpsへ引き上げると発表した。下り最大370Mbpsの通信を実現する3.5GHz帯を使ったTDD(時分割多重)方式のLTEも6月に開始する。まずはユーザーの多い東京・山手線のターミナル駅周辺などを中心に提供し、速度がでにくくなるピークタイムの混雑緩和を目指す。報道陣向けのサービス説明会での情報を交えながら、新しく提供される2つの通信サービスの特徴を紹介しよう。

NTTドコモが6月から提供する下り最大375MbpsのPREMIUM 4G

NTTドコモが6月から提供する下り最大375MbpsのPREMIUM 4G

下り最大375Mbpsとさらに高速化したPREMIUM 4G

NTTドコモは主に800MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯という4つの周波数帯域を利用してネットワークを構築している。昨年2015年3月に提供を開始したPREMIUM 4Gは開始当初、4つの周波数帯のうち2つの周波数帯を同時利用することで下り最大262.5Mbpsを実現していた。年末には3つの周波数帯を束ねる3CC(Component Carrier)に進化し、下り最大300Mbpsとさらなる高速化を達成した。

昨年2015年秋ごろには300Mbpsを実現していた

昨年2015年秋ごろには300Mbpsを実現していた

6月をめどに提供する下り最大375Mbpsのサービスは、この3CCを利用したもので、先述の周波数帯のうち、2GHz帯(下り最大112.5Mbps)、1.7GHz帯(同150Mbps)、800MHz帯(同112.5Mbps)を組み合わせたもの。3Gのサービスにも利用していた800MHz帯をフルLTEに転用し、従来の75Mbpsから112.5Mbpsへ引き上げることで、合わせて375Mbpsになる計算だ。

なお、既存の3Gユーザーに不便をかけないため、開始当初の提供エリアは東京・新宿などの一部の人口密集地に限られるとのこと。今後の提供エリアについては、利用動向をみながら調整していく。サービス当初の基地局数は、375Mbpsエリアが約50局、337.5Mbpsエリアが約3000局になる予定だ。

なお、現時点で375Mbpsに対応する端末はなく、3CCをサポートしている「AQUOS ZETA SH-01H」(シャープ製)が、かろうじて下り最大337.5Mbpsに対応するという。

800MHz 帯をフルLTEに転用し、2GHz帯と1.7GHz帯を組み合わせることで、下り最大375Mbpsを実現

800MHz 帯をフルLTEに転用し、2GHz帯と1.7GHz帯を組み合わせることで、下り最大375Mbpsを実現

3.5GHz帯をLTE専用で使い370Mbpsを実現

一方、370Mbpsのサービスでは、総務省から新たに割り当てを受けた3.5GHz帯をLTE専用で使う。こちらは異なる通信方式と周波数帯をミックスさせたキャリアアグリゲーションを採用。3.5GHz帯を使ったTDD方式のLTE(下り最大220Mbps)と、1.7GHz帯のFDD(周波数分割多重)方式のLTE(下り最大150Mbps)を組み合わせたもので、合計で最大370Mbpsとなる。すでに商用環境と同等のフィールド試験において、実効速度340Mbpsを確認しているとのことだ。上りは最大50MbpsでFDD方式の1.7GHz帯。

なお、FDD方式と違い、送受信で個別の周波数帯を用意しなくて済むTDD方式は、時間単位で上り下りの通信配分を変えられるのがメリット。だが、他のキャリアにも3.5GHz帯が割り当てられているため、干渉を避けることを目的に上りは当面FDD方式だけで提供するという。

これまでのクアッドバンドに3.5GHz帯が加わり、通信できる幅が広がった

これまでのクアッドバンドに3.5GHz帯が加わり、通信できる幅が広がった

3.5GHz帯を使う370Mbpsサービスは、異なる通信方式と周波数をミックスさせたキャリアアグリゲーションで提供される

TDD方式とFDD方式の違い

TDD方式とFDD方式の違い

また、3.5GHz帯は電波の特性として、直進性は高いが障害物があると電波が回り込まないため、不達エリアができやすいと言われている。そこで、アドオンセルとして展開を計画しているとのことで、広いエリアをカバーする基地局(マクロセル)内で、局所的に混雑している狭いエリアを補うスモールセルとして追加(アドオン)することで、安定した通信を実現するという。

なお、基地局数は明らかにしてないが、相当な数でスタートできるよう計画しているという。対応端末は2016年の夏モデルとして発表される見通し。機種もそれなりのバリエーションを投入したいとのことだ。

アドオンセルとして展開することで、局所的につながりにくい場所での快適さを向上させる

アドオンセルとして展開することで、局所的につながりにくい場所での快適さを向上させる

フィールド試験にて実効速度340Mbpsを記録

フィールド試験にて実効速度340Mbpsを記録

都心部に重点的に展開する計画となっている

都心部に重点的に展開する計画となっている

このほか、同社は、基地局から端末間の高速化を図るだけでなく、コアネットワークの強化も行っている。新たなネットワーク仮想化技術の導入により、通信混雑時でもつながりやすくするオートスケーリングや設備故障時の影響を最小化するオートヒーリングなど、通信サービスの信頼性向上にも努める。

また、東日本大震災から5年を迎えるのを前に、災害対策にも言及。緊急情報や安否情報の通知が災害時でも1人1人に伝達できるように、インフラとしての信頼性をさら強化していく考えを示した。具体的には、重要設備の分散化、電源の確保、伝送路の多ルート化などに取り組んでいるという。

複数ベンダ構成のネットワーク仮想化技術

複数ベンダ構成のネットワーク仮想化技術

ネットワークの災害対策にも力を入れる

ネットワークの災害対策にも力を入れる

銭袋秀明(編集部)
Writer
銭袋秀明(編集部)
編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!
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