レビュー
「iPhone 6s」の機能やパフォーマンスを「iPhone 5s」のボディに凝縮

小さくて、安くて、高性能な「iPhone SE」 ガラケーからの機種変更や格安SIMデビューにベストな選択肢か?

アップルは2016年3月31日にスマートフォンの新モデルとして、4インチ画面の「iPhone SE」を発売した。現行の「iPhone 6s」と同等のカメラ機能やパフォーマンスを備えたコンパクトなiPhoneだ。外観は3世代前の「iPhone 5s」と同じなので新鮮味に欠けるが、価格.comの「スマートフォン」カテゴリーの人気ランキングでは、16GBのSIMフリーモデルが堂々1位、64GBのSIMフリーモデルが3位に入っており、好調なスタートを切った(2016年4月1日時点)。iPhone SEはどんなスマートフォンなのか、詳しくチェックしていきたい。

※記事中の価格はすべて税別表記です。

アップルが2016年3月31日に発売したiPhone SE(シルバーモデル)。iPhone 5sと同じ4インチ画面のコンパクトなボディに、iPhone 6sと同じチップや1200万画素のカメラを盛り込んだ

2年半現役だったiPhone 5sのデザインを踏襲

iPhone SEは、約2年半前に発売されたiPhone 5sと同じ外観でありながら、中身は最新のiPhone 6sと同等のモデルだ。コンパクトだが中身は最先端と言える。価格が比較的手ごろなのもポイントで、アップルのオンラインストアでの価格は16GBモデルが52,800円、64GBモデルが64,800円。64GBモデルの場合、最新のiPhone 6s(98,800円)よりも34,000円、1世代前の「iPhone 6」(86,800円)より22,000円も安い。

デザインはiPhone 5sとほぼ同じ。iPhone 6シリーズ以降は、丸みのあるデザインに対して、iPhone SEは直線的なデザインだ。2年半前のデザインで、新鮮味に欠けるが、実際に使ってみると、使いやすさや持ちやすさなど、非常に考え抜かれた完成度の高いデザインなのがわかる。古臭さも感じず、多くの人がiPhone 5sをいまだに使い続けているのにも納得できる。細かい違いだが、iPhone 5sはエッジ部分がつやのある仕上げだったが、iPhone SEはマットな仕上がりとなり、親しみやすい印象に変わっている。背面の「SE」の文字を確認しない限り、iPhone SEなのかiPhone 5sなのか見分けるのは難しいだろう。

本体サイズはiPhone 5sと同じ58.6(幅)×123.8(高さ)×7.6(厚さ)mm。重量が1g増の113g。片手だけで操作できる、このサイズ感こそがiPhone SEの魅力と言える。シャツの胸ポケットに入れてもかさばらない。ボタンの配置やカメラの位置に変更はなく、iPhone 5s用のケースは、そのまま利用できるはずだ。カラーはシルバー、ゴールド、スペースグレイの3色に加え、新色のローズゴールドの4色を用意する。

iPhone SE(左)とiPhone 5s(右)。どちらも640×1136の4インチ画面を搭載する。デザインはほとんど同じで、ボタンの配置も変わっていない

サラサラした質感のアルミニウムと樹脂を組み合わせた背面。面取りしたエッジ部分はマットな仕上げに変わっている。アップルのロゴはステンレススチール製で、ボディカラーと同じ色味

サウンドのオン/オフボタン、音量調整ボタンは、iPhone 5sと同じ左側面に配置。電源オン/オフ(スリープ/スリープ解除)ボタンは上部に備える

底面にはヘッドホン端子とLightningコネクターを搭載。スピーカーは右側なので、シャッター音を抑えたいときは右側の穴を塞ぐようにしたい

中身はiPhone 6sと同等

外見はiPhone 5sだが、中身は大きく進化している。プロセッサーにはiPhone 6sと同じ「A9チップ」を搭載。メインメモリーも2GBに増え、iPhone 5sよりもパフォーマンスがアップしている。iPhone 5sを不満なく利用している人でも、アプリの起動やゲームのパフォーマンスで、その違いを体感できるはずだ。A9チップには「M9モーションコプロセッサ」が組み込まれており、省電力性能もアップしている。連続通話時間は最大10時間から最大14時間へ、インターネットの利用時間(4G LTE)は最大10時間から最大13時間へと伸びている。バッテリーの持ちが悪くなっていると感じているiPhone 5sユーザーが、iPhone SEに乗り換えた場合、バッテリー性能のアップが一番ありがたいと感じる点かもしれない。

「iSightカメラ」(背面カメラ)の画素数が800万画素から1200万画素にアップし、像面位相差AFに対応したのも見逃せない。写真の解像感がアップし、オートフォーカスのスピードもアップしている。iPhone 5sと撮り比べてみたところ、カメラの起動が速く、シャッターチャンスに強くなった印象を受けた。撮影した写真の前後1.5秒ずつを動画で記録する「Live Photos」や4Kビデオ(3840×2160、30fps)の撮影も可能だ。なお、Live PhotosはiPhone 6sの場合、画面を強くタッチする「3D Touch」で再生がスタートするが、iPhone SEは3D Touchに非対応なので、長押しすると再生される仕組みとなっている。

iSightカメラが1200万画素にアップ。iPhone 6sではレンズが出っ張っていたが、iPhone SEは本体の厚みがある分、レンズ部分が盛り上がっていない

iPhone SEで撮影

iPhone SEで撮影

iPhone 5sで撮影

iPhone 5sで撮影

iPhone SEで撮影

iPhone SEで撮影

iPhone 5sで撮影

iPhone 5sで撮影

iPhone 6sにあってiPhone SEにない機能

続いてiPhone 6sにあって、iPhone SEにない機能をチェックしたい。まず、画面を強く押し込んで、さまざまな機能を呼び出す3D Touchが省かれている。3D Touchは、まだまだ対応アプリが少なく、実用上で大きな問題になることはないが、将来対応アプリが増えてくると、あったほうがよかったと思うかもしれない。

iSightカメラは強化されているが、前面のFaceTimeカメラはほとんど変わっていない。iPhone 6sのFaceTimeカメラは500万画素だが、iPhone SEは120万画素のままだ。画面全体を光らせてフラッシュ代わりになる「Retina Flash」は搭載するが、自撮りを楽しみたい人にとって画素数が据え置きなのは残念だったかもしれない。

通信面ではキャリアアグリゲーション(CA)に対応しておらず、スペック上のLTEの最大速度は下り150Mbpsにとどまっている。CA対応のiPhone 6sの最大速度は下り300Mbpsなので、数値的に見劣りする。実利用では、それほど差は感じないだろう。なお、LTEネットワークを利用した音声通話サービス「VoLTE」には対応している。

また、ストレージ容量が16GBと64GBの2種類で、大容量の128GBモデルが用意されていない。16GBモデルでは、アプリや写真が増えてくると、意外とすぐにストレージ不足になってしまうので、長く快適に使いたい場合は64GBモデルを選びたいところだ。

iPhone SEの魅力はやはり手ごろな価格

iPhone SEは価格の安さも魅力の1つ。アップルストアでの価格は、16GBモデルが52,800円、64GBモデルが64,800円。64GBモデルの場合、画面サイズは異なるが、スペックがほぼ同じのiPhone 6sが98,800円、iPhone 6s Plusが110,800円なので、iPhone SEは非常にリーズナブルなモデルと言える。大手携帯電話会社から購入する場合の実質負担金(2年間契約時)は、16GBモデルが10,000円、64GBモデルが15,000〜18,000円で、iPhone 6s/6s Plusより少ない負担で購入できる。大手携帯電話会社からiPhone SEを購入する場合の注意点は、格安プランを選ぶと割引額が小さくなること。今年になって各社が導入した格安プランは、利用料金は安いが、端末代を含めたトータルだと割高になってしまう場合があるので気をつけたい。

また、大手携帯電話会社は、ガラケー(フィーチャーフォン)からの機種変更に特別な割引キャンペーンを実施しており、2年間利用することを前提に実質負担金1,000円以下で購入できる。ガラケーからスマートフォンへ乗り換えを検討している人にとって、iPhone SEは間違いなく有力な選択肢になるはずだ。

これだけ安ければ、アップルストアでSIMフリー版を購入して、格安SIMと組み合わせてもいいだろう。iPhone SEは19種類のLTEバンドをサポートしており、NTTドコモ網でもKDDI(au)網でも使える。MVNO各社は早速対応状況を公開して出しているので、参考にするといいだろう。

まとめ

筆者の身の回りには、iPhone 5sを利用している人が多い。先日、4人でランチに出かけたときも筆者以外の3人はiPhone 5sを使っていた。2年の買い替えタイミングを過ぎたiPhone 5sを使い続けている人に話を聞くと、買い替えない理由は、サイズと価格の2つに集約される。

iPhone 6シリーズは、Androidスマートフォンに対抗すべく、大画面化に踏み切り、多くのユーザーから支持を獲得した。大画面化が成功した今、なぜ4インチ画面と思うかもしれないが、やはり片手で操作できる小型モデルを望む人は一定数おり、iPhoneを多くの人に利用してもらうには、欠かせないサイズとアップルが判断したと推測される。価格については、iPhoneもそうだが、端末価格が値上がり傾向にある。分割で支払っているので、意識しないかもしれないが、iPhone 6sの場合、ストレージ容量によっては10万円以上支払っているので、かなり高い買い物と言わざるを得ない。それに対して、52,800円から購入できるiPhone SEは、スマートフォンの利用料金を安く抑えたいという人にとって魅力的なモデルになるはずだ。

iPhone 5sを利用しており、コンパクトなサイズに満足しているのなら、iPhone SEに迷わず買い替えていいだろう。これまでと変わらない使い勝手のまま、パフォーマンスやカメラ機能が強化されているので、満足度は高いはずだ。iPhone 6シリーズやiPhone 6sシリーズを使っている人にとっては、画面サイズが小さいので、物足りなさを感じるかもしれない。動画や写真の迫力は全然違うし、Webページの文字も読みやすい。ゲームも大画面のほうが操作しやすいので、コンパクトなiPhone SEへの買い替えは慎重に判断したいところだ。

iPhone SEは、スマートフォンへの乗り換えを検討しているガラケーユーザーにとっても有力な選択肢になるはずだ。前述の通り、大手携帯電話会社から購入する場合、手厚い割引を受けられるので、スマートフォンを安く利用できるチャンスでもある。話題の格安SIMと組み合わせてもいいだろう。ただし、大手携帯電話会社よりもサポートが少なく、自分で問題を解決する必要があることを頭に入れておきたい。

左から4インチ画面のiPhone SE、4.7インチ画面のiPhone 6、5.5インチ画面のiPhone 6 Plus。並べてみると、ずいぶんとサイズが違うことがわかる

iPhone SEは片手で文字を入力できる。片手操作にこだわる人にとって、このサイズはありがたいはず。ただし、iPhone 6シリーズを使っている人にとっては、画面が小さすぎて違和感を覚えるかもしれない

iPhone 6 Plusの場合、片手だけで文字を入力するのは至難の業だ。画面が大きいほうが、Webサイトの文字が読みやすく、動画や写真も見やすいが、片手だけで操作するのには向いていない

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。

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