MVNO各社の格安SIMカードには、音声通話に対応しないデータ通信専用のSIMカードが用意されている。データ通信専用SIMカードは、音声通話を使わないと割り切れば、毎月のスマートフォンの維持費をさらに安く抑えることができる。主要MVNO11社のデータ通信専用SIMカードを比較してみた。
データ通信専用SIMカードは、音声通話の必要がないタブレットやPC、モバイルルーターなどで使われることが多い。
だが、データ通信専用SIMカードでも、スマートフォンに差し込めばLINE電話やSkypeなどのようなIP電話は利用可能。つまり、090や080で始まる電話番号は利用できないが、最低限の電話機としては利用できるのだ。
また、電話番号とリンクしているSMSについても、データ通信専用SIMカードでは、オプションサービスなどのかたちで利用できるものがほとんどだ。そのため、各種サービスの認証の場合でも問題なく使うことができる。
つまり、データ通信専用SIMカードでも工夫次第で、十分にスマートフォンで利用できる。しかも、音声通話付きSIMカードよりもさらに一段コストを抑えることができるのだ。
主要MVNO11社のデータ通信専用SIMカードを見てみよう。
※記事中の価格はいずれも税別、2016年4月5日現在の情報です。
「IIJmio」のデータ通信専用SIMカードは、「SMS機能付きSIM」と「データ通信専用SIM」の2種類が用意されている。いずれも月間通信容量が3GBの「ミニマムスタートプラン」、5GBの「ライトスタートプラン」、10GBの「ファミリーシェアプラン」という3コースから選ぶことが可能だ。特に10GBのファミリーシェアプランは、最大で10枚までSIMカードで利用できるもので、端末数が多い場合に魅力的だ。
利用するネットワークはNTTドコモのXiとFOMA。通信速度については、それぞれのネットワークおよび端末の性能に依存するが、キャリアアグリゲーション対応端末なら下り最大300Mbpsの通信速度を利用できる。
日本通信の代理店としてサービスをしていた流通最大手イオンの格安SIMサービスが、2016年2月26日より、独自のサービス「イオンモバイル」として再スタートを切った。
NTTドコモのネットワークを利用するという基本部分はそのままだが、破格の50GBプランなど豊富な料金プランが魅力。また、最低契約期間や違約金も設定されていない。
全国のイオンの店舗をサポートおよび販売窓口として活用しており、格安SIMカードに不慣れなユーザーでも安心して使うことができる点も心強い。
なお、SMSは月額140円のオプションとして用意されている。
OCNの格安SIMカードである「OCN モバイル ONE」のデータ専用プランは、データ通信容量が日割りになっている「110MB/日コース」と「170MB/日コース」、月割りになっている「3GB/月コース」と「5GB/月コース」、「10GB/月コース」、そして通信速度が500kbpsに制限されるものの月間16GBという大容量通信が可能な「500kbpsコース」が基本となっている。
それらに対して、データ通信オンリー、SMS付き、OCNを運営するNTTコミュニケーションズが提供するIP電話サービス「050 plus」サービスがセットになった3タイプを選ぶというスタイルだ。
050 plus付きのSIMカードは、050 plusの基本料金とSIMカードの月額料金がセットになっており、月額で150円の割引きが適用される。
料金の安さと細かく分けられたプランが特徴の「DMM mobile」だが、データ専用通信SIMカードも多彩なプランが用意されている。SIM1枚の「シングルコース」では、最大通信速度が200kpbsの「ライト」と、1GBから20GBまでの全10プラン、最大3枚のSIMカードを組み合わせられる「シェアコース」の「データSIMのみプラン」でも8GBから20GBまで4プランが用意されている。
特に「ライト」は、サービスとしてはミニマムなものだが、価格の安さは大きな魅力。通信速度は問わないが通信容量を気にせずに、1円でも安く維持費を抑えたいなら最有力候補になるだろう。なお、SMSはいずれも、月額150円のオプションとなっている。
製品ラインアップが豊富な「b-mobile」の中で、データ通信専用として使うことができるのは、「b-mobile SIM高速定額」の2プランと、「b-mobile おかわりSIM 5段階定額」になる。いずれも、音声通話付きSIMカードと共通だが、これは、それぞれのプランの中から、音声通話を選ぶという方式のためだ。
ユニークなのは、b-mobile おかわりSIM 5段階定額だ。通常のSIMカードは、あらかじめ通信容量を選んでおくが、おかわりSIMでは、1GB〜5GBの5段階で、月々の使った分だけ請求が発生する。SMSなしなら月額500円から1,500円までの範囲でフレキシブルに利用できる。
なお、SMSは月額130円のオプションとなっている。
BIGLOBEのデータ通信専用SIMは、3GBの「エントリープラン」、6GBの「ライトSプラン」、月間12GBの「12ギガプラン」の3種類が用意されている。エントリープランはSIMカードが1枚だが、ライトSプランでは最大2枚、12ギガプランでは最大4枚まで追加できる。
また、ライトSプランと12ギガプランについては、全国約80,000か所にアクセスポイントが設置されている公衆Wi-Fiサービス「BIGLOBE Wi-Fi」のアカウントが1つセットになっている。
このほか、BIGLOBEの既存会員向けの特典として各プランが月額200円の割引きが適用される。SMSはいずれも月額120円のオプションとなっている。
FREETELでは、メインサービス「使った分だけ安心プラン」および「使った分だけ安心プラン for iPhone」の両方に、データ通信専用SIMおよびSMS付きデータ通信専用SIMを用意する。
料金システムは共通で、月額299円から最高2,470円(10GB)までの6段階で、使った分だけの料金が発生する。なおSMSは月額140円のプラス料金がかかる。
また、FREETELのSIMカード共通のサービスとして、「LINE」「WhatsApp」「WeChat(微信)」といった各SNSの一部サービスについては通信料がかからない。国内で人気のLINEでは、「LINEトーク」のうちテキストメッセージと画像、スタンプの送受信にかかるデータが無料となる。iPhone専用SIMカードについてはこれに加えて、「App Store」の検索とアプリのダウンロードについても無料だ。これらのサービスを多用するならかなり魅力的なサービスだと言えるだろう。
4Gの「Xi」や3Gの「FOMA」といったNTTドコモのネットワークと、auの「au 4G LTE」の両方に対応するのが「mineo」の特徴。データ通信専用となるのは「シングルタイプ」で、500MB、1GB、3GB、5GBに加えて2016年1月21日より大容量の10GBプランが加わった。
NTTドコモとauのネットワークは、「ドコモプラン(Dプラン)」と「auプラン(Aプラン)」とで分かれており、SIMカードもそれぞれ別だが、mineoの特徴である、通信容量のシェアサービス「パケットギフト」はNTTドコモとauの間でもそのまま利用できる。
なお、料金はいずれも共通だが、auプランについてはSMSのオプションが無料で、いっぽうのドコモプランについては月額120円の料金がかかる点が異なる。
auのネットワークを利用する「UQ mobile」。用意されている料金プランの「データ高速プラン」と、通信速度が500kbpsに制限されるが容量無制限の「データ無制限プラン」のいずれにも、データ通信オンリーのメニューが用意されている。なお、いずれのプランも標準でSMS対応となっている。
UQ mobileは、500kbpsという速度制限があるものの、通信容量無制限のプランを用意するのがポイント。au系格安SIMカードで使い放題プランは、UQ mobileが唯一の選択肢だ。
なお、iOS系は、OSのバージョンや端末の種類などによって機能の一部に制限が生じるのでiPhoneで利用する際は、動作確認端末一覧で確認しておこう。
「U-mobile」で利用できるデータ通信専用プランは4種類。いずれもSMSは月額150円のオプションとなっている。月間1GBや5GBといった定番のプランに加えて、通信容量無制限の「LTE使い放題」や、通信容量が1GB以上になると料金が切り替わる2段階プランの「ダブルフィックス」といったプランも用意されている。
なお、最低契約期間や解約事務手数料はいずれも設定されていない。一時的に必要になった場合などでも気軽に利用できそうだ。
楽天の「楽天モバイル」は、NTTドコモのネットワークを使用する格安SIMカードサービスだ。データ専用通信SIMカードは、通信速度が200kbpsで容量無制限の「ベーシックプラン」から大容量の「10GBプラン」まで4種類のプランが用意されている。
なお、SMS機能の有無が選ぶことができる、SMS付きSIMカードは、月額プラス120円の料金がかかる。