山に自転車に釣りに! 技ありのニ層構造ディスプレイにも注目!

アウトドアに特化! カシオらしさが詰まったスマートウォッチ「WSD-F10」を試す

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カシオ計算機が2016年3月25日に発売したスマートウォッチ「Smart Outdoor Watch WSD-F10」(以下、WSD-F10)が好調だ。価格.comの「ウェアラブル端末」カテゴリーの注目ランキングで1位を獲得しているのに加え、人気ランキングではアップルの「Apple Watch Sport 38mm」に続く2位と好調なスタートを切っている(2016年4月21日時点)。発売直後ということもあるが、特定の色のモデルが品切れになっている店舗もあるほどだ。

カシオ初のスマートウォッチであるWSD-F10。すぐれた防水性と耐環境性を備え、アウトドアでの利用に特化したモデルだ。価格.com最安価格は67,500円(2016年4月21日時点)

スマートウォッチといえば、Apple Watchの登場で大ブレークが期待されたが、ガジェット好き以外の人たちの心をつかむまでには至っていないのが現状だ。そんな中、時計メーカーであり、カメラや携帯電話、スマートフォンを手がけるカシオが出してきたのは、アウトドアでの利用に特化したスマートウォッチだった。スマートフォンメーカーが展開するスマートウォッチは、どちらかというと日常的に利用するものなのに対して、WSD-F10は非日常であるアウトドアでの利用を想定したもので、そのための機能や仕掛けがふんだんに盛り込まれている。

旅行やレジャーを予定しているゴールデンウイークを前に、WSD-F10の購入を検討しているアウトドア派の人も多いだろう。そこで、WSD-F10の魅力をチェックしてみたい。

カシオの強みが活かせるアウトドアに着眼したスマートウォッチ

スマートウォッチとは、手首に装着できるウェアラブル端末で、現在はスマートフォンと連携するものが主流だ。スマートフォンに届いたメッセージや着信、その日の予定などを腕時計で時刻を見るのと同じ感覚で確認できる。音声操作で電話をかけたり、メッセージを送ったりすることも可能だ。Apple Watch以外にも、サムスンやLG、ファーウェイ、ASUSなどがグーグルのウェアラブル端末向けOS「Android Wear」を採用したモデルを国内で販売している。いずれもスマートフォンを手がけるメーカーが、スマートフォンをより便利に使うための周辺機器として販売しているといっていいだろう。

スマートウォッチを使ったことがある人はわかると思うが、スマートフォンからの通知を腕時計で受け取っても、意外とありがたみが少ない。そもそも、多くの人はスマートフォンを肌身離さず持ち歩いており、いつでもすぐに通知やメッセージをチェックできる。大事なメッセージや予定を見落とさない、などのさまざまなメリットはあるが、腕時計をしない人に腕時計をさせるきっかけになるかと言えば、現時点ではそうは言い切れないだろう。

それに対して、WSD-F10はスマートフォンが使いにくいアウトドアに目をつけた、今までなかったスマートウォッチだ。アウトドアでの利用に適した防水性や耐環境性は、「G-SHOCK」や「PRO TREK」を手がけるカシオが得意な領域であり、自社の強みも存分に生かされている。何でもできそうだが、何に使っていいかわからないほかのスマートウォッチと違い、WSD-F10はターゲットや利用シーンが明確なのがポイントだ。もちろん、時計メーカーであるカシオが開発したスマートウォッチだけに、時計としての完成度の高さにも期待できる。

存在感のある大ぶりなボディ

前置きが長くなってしまったが、WSD-F10を詳しく見ていきたい。

クチコミでも言われているが、WSD-F10は腕時計として見るとかなり大ぶりだ。ボディ部分のサイズは約61.7(縦)× 56.4(横)×15.7(厚さ)mm、重量はバンド込みで約93g。腕に装着すると、重さは気にならないが、ボディ部分が大きいのでかなり存在感がある。日常的に利用しても違和感のないデザインだとは思うが、厚みがあるため、シャツの中に収まりにくいのでスーツに合わせるのは難しそうだ。

素材は、ベゼルが樹脂、裏側がヘアラインの入ったステンレス、バンドにはウレタンを使っている。バンドが柔らかいので、装着や取り外しがしやすく、付け心地もよい。スマートウォッチは、バンドを取り替えられるものが多いが、WSD-F10は取り替えができない仕様だ。ファッション性よりも実用性や堅牢性を重視して一体化したと考えられる。

大ぶりなボディ、ウレタンのバンド、特殊ネジなど、アウトドア向けらしい外観。液晶の下にマイク用の穴がありながらも、5気圧防水を実現している

カラーはグリーン、オレンジ、レッド、ブラックの4色を用意する。今回試したのはブラックモデル

カラーはグリーン、オレンジ、レッド、ブラックの4色を用意する。今回試したのはブラックモデル

アウトドアでの利用を想定しているため、防水性や耐環境性にもこだわっている。防水性は、音声入力用のマイクを搭載しながら、高気圧防水に対応した構造を開発して、5気圧防水構造を実現。水辺や雨天時でも安心して利用できる。ただし、ジェットスキーをする場合は外しておくといいとのこと。耐環境性は、米軍国防総省が制定した米軍の物資調達規格であるMIL STANDARD 810Gに準拠。G-SHOCKほどではないが、アウトドアのタフな環境でも安心して利用できる仕様に仕上げられている。

右側面には、「TOOLボタン」「電源ボタン」「APPボタン」の3つのボタンを搭載する。グローブをしながらでも押しやすいように、ボタンは大きめだ。装着時に誤って押してしまわないようにガードも付いている。左側面には圧力センサーとマグネット圧着式の充電端子がある。充電端子は、磁石で付くので充電ケーブルを簡単に付けられるが、外れやすいので、その点は気を付けたほうがよさそうだ。

右側面に3つのボタンを搭載。グローブをしながらでも押しやいように、あえて大きめのボタンを採用している。腕に当って誤って押すのを防ぐためにガードもついている

左側面には充電端子と圧力センサーを搭載する

左側面には充電端子と圧力センサーを搭載する

マグネット圧着式の充電端子に専用充電ケーブルを装着して充電する。磁石で付けやすいが、少しの力で抜けてしまうので注意したい。保証や推奨はされていないが、手持ちのモバイルバッテリーでも充電はできた

アウトドア向けの機能が満載

続いて使い勝手を見ていきたい。WSD-F10はAndroid Wearを採用しており、AndroidでもiPhoneでも利用できるが、フル機能を利用するためにはAndroidを搭載したスマートフォンが必要だ。スマートフォン側にAndroid Wearアプリをインストールし、ペアリングするまでの手順は、ほかのスマートウォッチと同じ。ペアリングが完了すれば、音声操作でメールやSMSに返信したり、タイマーを設定したりできる。さらに、カシオ独自の機能を利用するために、「CASIO MOMENT SETTER+」(無料)というアプリをインストールして使う前の準備は完了だ。

画面を上から下にスワイプして通知を呼び出し、さらに右から左にスワイプして「シアターモード」のオン・オフ、スワイプして「明るさの強調」、さらにスワイプして「設定」と基本的な画面の遷移は、ほかのAndroid Wearと同じ。操作に対するレスポンスは滑らかで、もたつくことはなかった。ディスプレイとベゼルの間の縁が高くなっているが、斜めに角度が付いており、操作しにくい感じはしなかった。

CASIO MOMENT SETTER+アプリでは、ウォッチフェイスの選択とカスタマイズ、TOOLボタンとAPPボタンの設定などができる

Googleマップ、Play Music、ハングアウトなどAndroid Wearの各種機能を利用できる。画面が大きいので、Googleマップなどの情報量の多いアプリも見やすい

これだけなら素のAndroid Wearだが、「Smart Outdoor Watch」というだけあって、WSD-F10にはアウトドアで役立つ機能がたくさん搭載されており、それがほかのモデルとの大きな違いとなっている。まず、右上のTOOLボタンには、方位、高度、気圧、日の出・日の入り時刻、タイドグラフ、活動グラフの6種類の機能が割り当てられている。専用ボタンなので、見たい情報をすぐに呼び出せるのがポイントだ。各機能を表示している最中に、TOOLボタンを約3秒間長押しすると、簡易的な情報になるが、太陽光の下でも見やすいモノクロ表示に切り替わる小技もある。CASIO MOMENT SETTER+を使って、使わない機能を非表示にしたり、表示する順番を入れ替えたりすることも可能だ。

TOOLの各機能にはちょっと便利な機能が盛り込まれている。たとえば、方位では、ロックしたい方角に12時方向を向けて、画面をタップすると方角をロックできる。山や海上で直進したいときに便利な機能だ。タイトグラフでは、満潮と干潮の潮位と時刻が確認できるほか、釣りに適した時間帯がわかる「フィッシングタイム」といった機能もある。

TOOLボタンに割り当てられている6つの機能。シンプルだが、必要な情報が直感的にわかるデザインだ

TOOLボタンに割り当てられている6つの機能。シンプルだが、必要な情報が直感的にわかるデザインだ

TOOLボタンを約3秒間長押しすると、モノクロ液晶に切り替わる。方位を表示している最中に長押しすると、上にW(西)という文字が表示される

さらに、「ACTIVITY」という機能もある。アウトドアでのアクティビティの中でもユーザー数の多いトレッキング、サイクリング、フィッシングの3種類に特化した機能で、それぞれの行動中に役立つ情報が1つの画面にまとまっている。たとえば、トレッキングでは、ゴール標高、現在時刻、移動時刻、経過時間、ゴールまでの残り高度などが見られる。ACTIVITYは、右から左にスワイプして表示されるアプリ一覧の中から呼び出せるほか、APPボタンに割り当てることも可能だ。

ACTIVITYとセットで使うのがCASIO MOMENT SETTER+だ。タイミング(瞬間)を知らせてくれる機能で、スマートフォン側で設定する。トレッキングなら、「ゴールまで残り200mになったら、残り高度を表示」「移動距離1kmごとに、現在の高度を表示」「●○歩ごとに休憩を通知」といった具合だ。モチベーションの維持や、ペース配分などに役立ちそうな機能と言える。

ACTIVITYには、アウトドアのアクティビティとして人気の高い、トレッキング、サイクリング、フィッシングの3つの機能がある。それぞれの行動中に役立つ情報が1つの画面にまとまっている

ACTIVITYとCASIO MOMENT SETTER+を組み合わせると、指定したポイント(距離、高度、時間など)に達したときなどに通知を受けられる。距離や時間は好みの数値を入力することが可能だ

ウォッチフェイスも時計メーカーらしく、ひとつひとつ意味のある機能的なデザインのものを用意する。G—SHOCK風のものもある。CASIO MOMENT SETTER+を使って、文字板のカラーや メーターの表示内容をカスタマイズすることも可能だ。

アウトドア向けの他社製アプリもインストールされている。登山・アウトドア向け地図アプリ「YAMAP」、リアルタイムで周囲の雨量情報を見られる「Go雨!探知機」、ランニング用アプリの定番アプリ「RunKeeper」などだ。

YAMAPはスマートフォンのGPSを使うことで、電波の届かない場所でも現在地がわかる人気の地図アプリ。出かける前に、スマートフォンで地図をダウンロードしておく必要があるので、忘れずにダウンロードして、WSD–F10に転送しておきたい。

ウォッチフェイスは、画面を長押しすると変更できる(左)。右はG-SHOCK風の「マルチ」

ウォッチフェイスは、画面を長押しすると変更できる(左)。右はG-SHOCK風の「マルチ」

YAMAPはスマートフォンで地図データをダウンロードしておいて、電波が届かない場所でも現在地がわかる地図アプリ(左)。Go雨!探知機は日本気象協会のアプリで信頼性が高い天気アプリだ(右)。表示スタイルもレーダーのようで面白い

同社の「EX-FR100」と接続して、静止画や動画の撮影が可能。WSD-F10上で動画の再生もできる

同社の「EX-FR100」と接続して、静止画や動画の撮影が可能。WSD-F10上で動画の再生もできる

技ありのモノクロ+カラーのニ層構造ディスプレイ

WSD-F10の技術的なハイライトはモノクロ液晶とカラー液晶を重ねたニ層構造のディスプレイだ。PRO TREKのニ層液晶とは異なるが、技術を応用したものだという。消費電力の少ないモノクロ液晶を使うことで、スマートウォッチの弱点である電池の持ちの悪さを解消するとともに、太陽光下での視認性を高める役割もある。

まぶしい太陽の下でもくっきり見えるモノクロ液晶と、見やすいが太陽光の下では視認性が落ちるカラー液晶を重ねた二層構造のディスプレイ。利用シーンに応じて使い分けることで、視認性の確保と省電力を実現している

スマートフォンと連携した場合は、使用する液晶で使用時間が変わってくる。カラー液晶のみを使用した場合は約1日以上で、ほかのスマートウォッチと変わらない。設定で画面表示をオフにして、モノクロ液晶とカラー液晶を組み合わせた場合は約2.5日、モノクロ液晶のみを使用するシアターモードだと約3.5日以上だ。シアターモードにすると、手首を動かしたり、画面をタップしたりしても、画面はオンにならず、通知も表示されないがスマートフォンとはつながっており、シアターモードを解除すると通知などが表示される。

もう1つ、画面表示を常時オンにして、モノクロ液晶を使わないモードもある。バッテリーの消費を抑えるために、時計の秒針が表示されず、画面も暗くなり、Android Wearの一部機能が利用できなくなるが、情報量が多く、少しでも長く使いたいときに使うとよさそうだ。

モノクロ液晶(左)とカラー液晶(右)。カラー液晶は太陽光の下だと見えにくいが、モノクロだとハッキリ見える。状況に応じて使い分けられるのは便利だ

画面表示を常にオンにすると、モノクロ液晶には切り替わらないが、秒針の表示がなくなり、画面の明るさを抑えた状態になる。メーターなどを常時確認したいときに使えそうだ

また、スマートウォッチとの連携機能をオフにしてモノクロ液晶のみを使った「タイムピースモード」であれば約1か月以上使える。この場合はスマートフォンからの通知などは受けられないが、山小屋で寝るときや、車を長時間運転する場合などに、タイムピースモードにしておけば、バッテリーを節約できる。ほかのスマートフォンでも電源を切っておけば同じだが、時刻を確認できるのがポイントだ。

利用シーンや使い道が明確なカシオらしいスマートウォッチ

WSD-F10は、ありそうでなかったアウトドアでの利用に特化したスマートウォッチだ。利用シーンを絞ることで、「スマートウォッチは、どうやって使ったらいいの?」という疑問にわかりやすく答えを出してくれたモデルと言える。価格.com最安価格は67,500円(2016年4月22日時点)と、スマートウォッチとしては高めの価格設定だが、普段使いもできるアウトドアギアの1つとして考えれば、高すぎることはないのではないだろうか。

時計メーカーだけに、時計としての完成度も高い。アウトドアでの利用に耐えられる防水性や耐環境性は、同社の得意な分野なので安心感もある。今回は主にカラーとモノクロを組み合わせて使用してみたが、2日間は充電をせずに使えそうな印象だ。WSD-F10は、着眼点もそうだが、時計としてのこだわりや、タフさ、すぐれた省電力性能など、随所にカシオらしさが光るスマートウォッチだ。週末にトレッキングやサイクリング、釣りを楽しむアウトドア派にとって、待望のスマートウォッチであり、アウトドアをより楽しくしてくれるギアと言えるだろう。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。

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2017.12.16 更新
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