「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」は、小型ながら3Dスキャン機能を搭載しています。スキャン可能な範囲は、3×3cm 〜12×12cm(直径×高さ)。今回は、筆者所有のしろくまの置物をスキャンし、3Dプリントしてみようと思います。
4(幅)×2(高さ)×2(奥行)cmくらいの置物です。小さいけどスキャンできるのかな
「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」とPCを付属のUSBケーブルで接続し、PC上で「XYZscan」(ダウンロードサイトはこちら。http://support.xyzprinting.com/jp_ja/Help/download)を機動。「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」本体には、スキャン用ターンテーブルを設置します
ターンテーブルの上に、スキャンしたいものを置きます。「XYZscan」上で「スキャン開始」を選ぶと、スキャンが開始されます
1度目のスキャンが終わりました。ほぼ、実際の置物のしろくまの形になっていますが、裏面などスキャンしきれていない部分があるので、しろくまの向きを変えてもう一度スキャンする必要があります
今度は、逆さまにしてスキャンしてみます
左が1度目のスキャンの結果、右が2度目のスキャンの結果
それぞれ対応する部分にマークを付けて、2つを合成します
合成することで、しろくまのすべての面がスキャンされました
スキャン・合成後、もし不要な部分があれば、消すこともできます
表面をなめらかにしてみました。うまくスキャンできたと思います!
今回は、スキャンしたしろくまを3Dプリントしてみるため、スキャンしたデータを3Wファイルに書き出します。スキャンしたしろくまのデータを「XYZware」で開き、3W ファイルに書き出し、「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」でプリントをスタート!
そしてプリントしてみた結果がこちら! 失敗! ウワーン!!(泣)
3Dスキャンも3Dデータも完璧だと思ったのに、どうしてプリントは失敗してしまったのでしょうか。XYZプリンティングジャパンの担当者様にアドバイスをいただきました。「3Wファイルにする際、“ラフト”と“サポート”にチェックを入れてみてください。積層ピッチは0.3〜0.4mmから始めて様子を見てから、0.2mm、0.1mmにするとよいですよ」とのこと。
「ラフト」とは、川などに浮かべる「いかだ」のことで、プリント時にオブジェクトがきれいにプリントされるよう、オブジェクトの土台となる部分のことです。この部分は、プリントが終わったあと、手で取り外すことができます。また、「積層ピッチ」とは、フィラメントのレイヤーの細かさです。数字が小さいほど時間がかかりますが、なめらかに出力することができます。
先ほどのアドバイスを元に、「ラフト」「サポート」にチェックを入れ、積層ピッチを0.4にして再度印刷してみます!
そしてでき上がったのがこちら! まだラフトがついたままの状態ですが、かなりスキャンした通りの造形に近づきました。1回目のプリントでは、しろくまの足の間の空間のせいで、うまく印刷できなかったのかもしれません
積層ピッチを変えて印刷してみました。左から、0.4mm、0.3mm、0.2mm、0.1mm。表面のなめらかさにけっこう違いが出ています
白色のフィラメントで積層ピッチを変えて印刷し、しろくまの群れを作りました。左から、積層ピッチ0.4mm、0.3mm、0.2mm、0.1mm、いちばん右は元のしろくまです
「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」は、熱融解樹脂積層方式の3Dプリンターなので、あまり細かすぎる描写などは難しい部分があります。ですが、操作がとても簡単で、小型かつ低価格の3Dプリンターなので、入門機として最適だと思います。プリンターの電源を入れ、用意していたファイルを選んでそのまま印刷できるので、想像していたよりずっと簡単にできました。また、カラフルなフィラメントが多く用意されているのも特徴です。個人レベルで作れるものが増えていくのはおもしろいですね。
今回はXYZプリンティングジャパンサイトのギャラリー内の3Dデータを使いましたが、それ以外のサイトの3Dデータでも、3Wファイルに変換すれば、「ダヴィンチ Jr. 1.0 3 in1」で印刷することが可能です。日本地図の一部分を印刷してみても、おもしろそうです。
今回は、スキャン後、そのままの大きさ・形で印刷をし、3Dコピーのような使い方をしましたが、スキャンしたデータをもとに、専用ソフトで造形や大きさを変更したり、デザインを追加したりもできます。慣れと工夫次第で、色々なものが作れるので、皆さんもぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。