ASUS JAPANの「ZenPad 3 8.0」は、「価格.comプロダクトアワード2016」の「タブレット部門」で大賞を獲得した人気のAndroidタブレットだ。昨年9月の発売から4か月ほど経っているが、価格.comの「タブレットPC」カテゴリーで3位(2017年1月30日時点)に入っており、その人気は今でも続いている。今回はZenPad 3 8.0の実機を使って、その人気の理由に改めて迫ってみたい。
ZenPad 3 8.0は、SIMロックフリーのAndroidタブレット。高解像度な7.9型IPS液晶を搭載する。価格.comの最安価格は35,179円(2017年1月30日時点)
Androidタブレットは、根強い人気の「iPad」やモデル数が増えているWindowsタブレットの影に隠れて、存在感がやや薄い。そんな中で、AndroidタブレットであるZenPad 3 8.0は価格.comで高い人気をキープしている。価格.com最安価格は35,179円(2017年1月30日時点)で、決して安いから売れているというわけではなく、どちらかというと、Androidタブレットの中では高価格帯に分類されるモデルだ。
ZenPad 3 8.0の画面サイズは、アップルの「iPad mini」と同じ7.9型。片手で持ちやすく、それでいてスマートフォン(スマホ)よりも画面が大きくて見やすい。本体サイズは、136.4(幅)×205.4(奥行)×7.57(高さ)mm、重量は320g。8型クラスのほかのタブレットと同様、コンパクトで軽量なため、小さなカバンに入れやすく、持ち運びしやすいのが特徴だ。背面は樹脂製で、ゴムのような質感。余計な装飾は一切なく、持ちやすさにこだわって作られている印象を受ける。
7.9型IPS液晶を搭載。コーニング社の「ゴリラガラス3」を使用しており、傷や汚れに強い
人工皮革のような質感の背面。滑りにくくてつホールドしやすいが、テカリが目立つ
ビジネスバッグにもすっきり収まる、厚さ7.57mmのスリムボディ。サイドの電源ボタンと音量ボタンには、「Zen」シリーズのデザイン特徴である同心円状の模様が彫り込まれている
実際にZenPad 3 8.0を使ってみて、一番よかったのは、コンテンツビューワーとしてすぐれていること。画面の縦横比は、Androidタブレットとしては珍しい4:3。画面サイズだけでなく、縦横比もiPad miniと同じなのだ。Androidタブレットに多い縦長の16:10と比べると、4:3の画面はWebページや電子書籍、写真などが見やすい。16:10は動画を見るのには適しているが、汎用性の高さでいえば4:3のほうが使い勝手はいい。OSには「Android 6.0」を搭載しているが、マルチウィンドウをサポートする「Android 7.0」へのアップデートが実施されれば、4:3のディスプレイを備える本モデルの使い勝手のよさは、さらに高まるはずだ。
画面の解像度は2048×1536で、Androidタブレットとしては最高クラス。肝心の画質も、独自の高画質化機能「VisualMaster」を搭載しており、非常に見栄えがよいディスプレイだ。色味も自然で、コントラストも高い。シャープで細かな文字もくっきり見えるので、電子書籍を読んだり、Webページの記事を読んだりするのに向いている。後述するSIMカードを使って、外出先で地図を見るときも、高解像度でシャープなディスプレイが重宝するだろう。ただ、輝度がそれほど高くないので、太陽光下だと見えにくいときもあった。
高画質化機能のVisualMasterにより、写真などは高画質で楽しめる
2048×1536と高解像度で、地図アプリなど情報量の多いものも見やすい。GPSも内蔵しており、ナビとしても使える
パソコン版のWebページも見やすく、ネットサーフィンやネットサービスの利用にも適している。文字も読みやすい
本モデルの最大のセールスポイントは、SIMロックフリーなところだろう。前モデルの「ZenPad S 8.0」にはWi-Fiモデルしかなかったので、大きな進化点だ。MVNOのデータ専用プランの格安SIMを使えば、1,000円以下でLTEが利用できる。SIMカードを使えば、外出先で電子書籍をダウンロードしたり、地図アプリを使ったり、使い道が広がるはずだ。さらに、ZenPad 3 8.0は通話もできるので、スマホとして使える。スマホのように耳に当てて長時間電話をするのは厳しいかもしれないが、ちょっとした会話なら問題なくこなせる。自宅ならスピーカーフォンにして使えばいい。
複数の周波数帯の電波を束ねて高速通信を実現するキャリアアグリゲーションにも対応。SIMカードスロットは、最近減少しつつあるmicroSIMスロットを採用しているので、この点は注意したい。
microSIMスロットを備えており、ドコモ系のMVNOのSIMカードを利用できる
通話もできるので、大画面スマホとしても利用可能
基本スペックは、CPUがヘキサコアの「Snapdragon 650」(1.8GHz)。中級クラスのCPUだが、4GBのメモリーを備えており、動作には余裕がある。ストレージは32GBのeMMC。最大128GBまでのmicroSDメモリーカードスロットを備えているので、ストレージ容量不足の心配はない。100GB分の「Googleドライブ」を2年間無料で利用できる特典も付いてくる。外部インターフェイスはUSB Type-Cとマイク入力/ヘッドホン出力兼用端子を搭載。バッテリー容量は4680mAhで、ZenPad S 8.0の4000mAhから容量がアップしている。バッテリー駆動時間は、カタログスペックでWi-Fi接続時が約11時間、LTE接続時が約10時間。1日は問題なく利用できるだけのスタミナだ。
不満点を挙げるとすれば、カメラの画質。メインが800万画素、サブが200万画素で、タブレットのカメラに求められる品質はクリアしているが、最新のスマホに比べると画質は落ちる。また、本体のディスプレイで表示した際は満足できる画質なのに、パソコンに転送するとアンダーめに見えたり、シャープネスが足りなかったりした。
「AnTuTu Benchmark v6.2.7」の結果。「Nexus 6P」や「Galaxy S6」など2015年〜2016年のハイスペックスマホに近いスコアだ
ACアダプターは小型で、本体とはUSB Type-Cケーブルで接続する。ASUS JAPANはスマホの「ZenFone」シリーズでもUSB Type-Cを積極的に採用しており、ZenFone利用者であればケーブルを共有できる
ZenPad 3 8.0は、完成度の高いタブレットで人気なのも納得できる。高解像度なディスプレイは表示品質が高く、コンテンツビューワーとしてすぐれている。画面の縦横比が4:3なのも便利だ。スピーカーの音質、音量ともに及第点で、イヤホンを使わずとも映画などを不満なく楽しめるのもポイント。個人的に、「dTV」で昔の特撮ものを毎日見ているが、スマホで見るよりも迫力があり、ついつい長時間見続けてしまった。動画配信サービスの利用者にとっても、本モデルは適している。
また、格安SIMを使えるのも大きい。スマホを使っていても、地図を確認したり、電子書籍を読んだりするのには、画面が大きいZenPad 3 8.0のほうが断然便利だ。本体がコンパクトでスリムなため、荷物にならないのもうれしい。価格.comの最安価格は35,179円(2017年1月30日時点)。決して安くはないが、基本性能が充実しているので、2年、3年は問題なく活躍してくれるはずだ。格安SIMで運用する“2台目のスマホ”として購入しても面白いだろう。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!