“匠のものづくり”から生まれる「出雲モデル」

富士通が島根の工場を公開 「FMV×Startup Creators」など近未来PCも披露

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富士通と言えば、先日発表した重量約777gの超軽量・薄型ノートPC「LIFEBOOK UH75」(関連記事)や他社に先駆けて虹彩認証を搭載したスマートフォンやタブレットなど、ユニークで先進的な製品を数多く手がける日本を代表するPCメーカーのひとつだ。同社のパソコン「FMVシリーズ」は、1981年に「FM-8」が登場してから今年度で35周年を迎える。そんな富士通が2017年2月22日(2・2・2の語呂合わせで富士通の日)に「FCCLの匠体験会」と題し、島根県出雲市の工場を報道各社に公開した。

JR出雲市駅から車で約20分、出雲空港からも車で約20分の場所にある島根富士通。ノートPC「LIFEBOOK」やタブレット「ARROWS Tab」の生産拠点だ

混流生産ラインで多様なニーズに柔軟に対応

この工場では、ノートPCとタブレットを年間200万台生産しており、約600人の社員が働いている。建屋の面積は、A棟とB棟ともに約23000平方メートル。各棟に10本の製品組立てラインがあり、1日1万台の生産能力を持っている。この工場で製造されたパソコンは「出雲モデル」として出荷される(デスクトップPCは福島県伊達市で製造しており、「伊達モデル」として出荷される)。出雲市では、ふるさと納税の返礼品の1つに、この工場で生産したノートPCを用意している。

製品組立てラインを見ると、ノートPCの次にタブレットが、同じノートPCでもサイズが違うものが流れている。現在は90%が受注生産ということで、ひとつの生産ラインに複数の製品を流す混流生産ラインとなっているのだ。自動化にも積極的に取り組んでおり、プリント板製造は、部品実装、検査、加工、搬送、基板分割まで人の手を使わない「全自動一貫ライン」。製品組み立てラインと違い、こちらは混流というわけにはいかないので、装置やデータの切り替えが重要になってくるのだという。また、多品種少ロットを実現するために、研究開発部門と連携し、部品の共通化にも取り組んでいる。このような混流生産ラインや研究開発部門との連携により、顧客の多様なニーズに迅速かつ柔軟に対応できる体制を整えている。

製品組立てライン。手前の赤い枠に入っているものと隣の枠なしのものは、よく見るとサイズが違うノートPCとなっている

研究開発部門と同じソフトを使用して、設計者と製造者で情報を共有し、開発段階で製造時の問題点を解消する。研究開発部門との連携により部品の共通化と基板サイズ種の削減も進めている

プリント板製造で部品を実装する装置。QRコード読み取りによる装着データ変更の自動化が行われている

プリント板製造で部品を実装する装置。QRコード読み取りによる装着データ変更の自動化が行われている

近未来PCや富士通流のホームコンピューティングにも注目

FCCLの匠体験会では、同社の将来への取り組みもいくつか披露された。その中でも目を引いたのが近未来PCのデザインコンセプト。クリエイターをターゲットにした「FMV×Startup Creators」は、キーボードをディスプレイの上部に配置した斬新なスタイル(下写真)。手書き入力やタッチ操作がしやすく、それでいてショートカットキーでの操作もできる面白いモデルだ。ひっくり返してディスプレイを上にすれば、ノートパソコンのように使うこともできる。

キーボードがディスプレイの上部に配置されるFMV×Startup Creators。キーボードは反対にしても使えるように印字されている。ひっくり返せば、通常のノートPCスタイルで利用できる

こちらもFMV×Startup Creatorsの1つ。折りたたみ式の2画面PCで、1つの画面でプレビューを見ながら、もう1つの画面で作業ができる

すぐにでも製品化できそうなノートPC。外部インターフェイスを手前に集約し、シンプルな見た目と使いやすさを両立している

CD-ROMドライブを世界で初めて内蔵した「FM TOWNS」 富士通はモバイル端末の製造も得意。写真は「Poqet PC」(左)と「OASYS POCKET」 35年の歴史を感じる往年のパソコンが展示されていた シニア向けの「らくらくパソコン」など、他社にはないユーザー目線の製品も富士通の特徴だ

また、Amazon.comや米グーグルが力を入れているホームコンピューティングにも富士通らしいアプローチで取り組んでいる。人工知能(AI)の「FCCL AI」を使って音声で家電を操作したり、外出先からスマートフォンを使って留守中の家を見守ったり、他社と同じようなサービスだが、その中心的な役割をPCが担うのが他社との違いだ。PCが持つ処理能力を活用し、PCで処理したデータをサーバーに送信することで、即時応答性を高められるという。画像や個人情報をPC内で処理することで、プライバシーの面でもメリットがある。

このほか、同社が得意とする文教市場向けでは、PCやタブレットを教室で利用する場合の課題を解決する「エッジコンピュータ」の試作第一号機を公開。教室で利用するクライアント(ノートPCやタブレット)とサーバーの間に設置し、通信を制御したり、外部からの悪意のある侵入を防いだりする。通信の制御に関しては、通信状況をモニタリングし、動的に通信を制御することで、授業中に通信が切れたり、ダウンロードに時間がかかって授業が中断したりするのを防いでくれる。

ホームコンピューティングの中心的な役割を果たすPCとFCCL AI

ホームコンピューティングの中心的な役割を果たすPCとFCCL AI

FCCL AIとは、Skypeを通じてテキストでやりとりできる。留守中の自宅の様子を写真で送ってもらったり、ライトを消したり、家電を操作したり、いろいろなことができる。電車移動が多い国内では音声よりもテキストでやりとりするほうが自然に使えそうだ

文教市場向けのエッジコンピュータ。教育現場に強い富士通だけに、通信の安定性や管理性、セキュリティなど、細かい部分まで作り込まれていた

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。

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2017.8.23 更新
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