トイレ掃除は、面倒臭い。
もちろん人間は生きている限り排泄しなくてはならないから、トイレは汚れ続ける。一生汚れ続ける。だからこそコンスタントに掃除しなくてはならないのだが、やっぱり面倒臭いよ。だって人間だもの。
でもいっぽうで、パナソニックが実施したアンケートによると、週に1回以上掃除している人(家族)は全体の約7割もいたそうだ。なかには毎日掃除している人も少なくなかったとか。毎日って……、立派。立派だよ。ひとり暮らし歴10年以上を誇る筆者は、「汚れやニオイがひどくなったら」、あるいは「気になる女性が遊びに来る前」にしか掃除しない。いや、普通そうでしょ! 誰か賛同して!! 今「だから結婚できないんだよ」って言った人、誰だっ!?
そんな(筆者を含む)ものぐさ太郎な人に、そしてもちろん毎日掃除ができる人にも紹介したい“魔法の便座”がある。それがパナソニックの温水洗浄便座「ビューティ・トワレ DL-AWK600」(以下、DL-AWK600)だ。
「ビューティ・トワレ DL-AWK600」は、「泡コート」と「W瞬間式」という機能を搭載するAWシリーズの最上級モデル
「DL-AWK600」の最大の魅力は、「泡」だ。同機は台所用合成洗剤と水、空気で泡を発生させ、専用の「泡噴射ノズル」を旋回させて便器内面へと泡を噴射。表面が泡でコートされることで、輪ジミを含む汚れがつきにくく、ついた汚れも落ちやすくなる。また、男性が立って用を足す時も、泡がクッションとなり、飛び跳ね汚れを抑えてくれるという。
モノは試しと「DL-AWK600」を自宅のトイレに設置して、その実力をチェックしてみた。
まずは、筆者の自宅のトイレの紹介から。
本邦、いや世界初公開! 冬季は便座が冷たすぎて「心拍停止装置」になるため、何度も付け外し可能でウォッシャブルな「シール式便座シート」を使っていた
そう。筆者の自宅の便器は、お尻を洗うシャワーや温感便座などの機能が一切ついてない「ザ・便器」。家庭での温水洗浄便座の普及率が80%を超える今、もう天然記念物になりかけているレアな普通の便器だ。
いっぽう、「DL-AWK600」のセット内容がこちら。
パーツは思っていたよりも少なめ。リモコンの機能ボタンが多くてビビる。本機は私のお尻に何をするつもりなのだろうか……
購入前に、自宅のトイレに設置できるかどうかの確認は必要。「ビューティ・トワレ」シリーズは、TOTO製やLIXIL(INAX)製など、ほとんどの便器に取り付けられるというが、トイレの広さやアース付き電源コンセントの有無などが条件としてあげられている。詳しくはこちらをチェックしてほしい。
そのほかに自分で用意するものもいくつかある。
メジャー、プラスドライバー、モンキーレンチ、バケツ、ぞうきん、台所用合成洗剤(中性)を準備
取り付けの流れを簡単に説明していこう。
今回は、筆者の自宅のINAX製便器「C-54S」に取り付ける方法を紹介する。そのほかの便器モデルの取り付け方も、同梱の説明書ではしっかりと紹介されているので安心してほしい。
まずはシャワー用に使う水を本機に給水するためのホースを取り付ける。
タンクへと水を送る給水管の中央に、マイナス溝タイプの止水栓が備わっている
付属のスパナで止水栓を閉めて……
ロータンク(写真右上)内の水を流し切ったあとに、給水管を取り外す
そして、止水栓と給水管の間に、給水ホース付き分岐金具を取り付け。給水管や金具の接続部には、付属のパッキンを挟んでいる
ここからは、とても簡単だった。
最初に既設の便座とフタを取り外すのだが、「C-54S」の場合、実は便座とフタは2つのボルト&ナットで便器に取り付けられているに過ぎなかった。なんてシンプルな設計!
接続部は逆側にもうひとつあるのみ
この2つのナットを緩めてボルトを外すだけで……。
はい、この通り!
次に、「本体固定版」を取り付け。これが便座本体と便器をつなぐ役目を果たす。
元の便座と同じように、同梱の「取付ボルト」2本で取り付ける
そして、便座を装着!
あわわわ……。かっこいい……
そして最後に、給水ホースを本体に、アース線をトイレの壁にあるアース端子に取り付けたあと、止水栓を開けて、電源プラグをコンセントに差し込む。これで設置は完了だ。
忘れてはいけないのが、洗剤。本機は、市販の台所用中性洗剤が使えるのがうれしいポイントだ。
真ん中にあるのが、洗剤タンク。洗剤をたっぷり注入する
洗剤タンクを本体にセットした様子
試運転を終えたら、セッティング完了!
本機のリモコンは、壁にネジ止めして設置する。賃貸アパートで難しい場合は、別売の専用プレートを使えばペーパーホルダーに取り付けられる。しかし、写真のような2連式のペーパーホルダーには取り付けられないので、今回は上に置くだけにした
ここまでかかった時間は、だいたい40分くらい。「DL-AWK600」は最上級便座ではあるが、想像以上に簡単に取り付けられた。
取り付けが完了した時点で、筆者はもちろん異常なほどに興奮していた。天然記念物「ザ・便器」が、日本最高峰の「トップ・オブ・ザ・便器」に変身したのだから当然だ。
さあ、今流行の「Sho Time」ならぬ、It’s Shoben Time!(失礼!)
一連の流れは、動画で撮影してみた。
おわかりいただけただろうか……。
リモコンの「ひとセンサー」が人(の熱)を検知すると、フタが自動で開く。この瞬間に脱臭が始まり、さらに約6秒で便座が温まり切る。そして最大のポイントは、リモコン操作で便座を上げた途端、泡が自動で放出されること。泡の上に泡! このおかげで、小水が泡に受け止められ、外に飛び跳ねにくくなるのだ。便器の周りを汚してよく女性に怒られてきた男性(筆者)は感涙! なお、便座を開くと便座の暖房は停止する。
水を流してトイレを退室してから約1分後、脱臭が停止し、「泡コート」がスタート。さらに退室約5分後には、便座とフタが自動で閉じられ、「ナノイー」が運転を開始して便器内の付着菌を除去する。至れり尽くせりとは、まさにこのこと。
ちなみに、ノズルが約15秒間旋回しながら便器内に泡を噴出する「泡コート」には、洗剤を1滴(0.3ml)しか使わないというから経済的にも安心だ。
【泡コートのイメージ】
退室5分後の便器内。泡が便器の水面にたまり、約3時間維持される
大便時には、小便時よりもさらに多くの機能がその力を発揮する。
まずは「W瞬間式」。ひとつは、人の入室を検知し、約6秒で便座を暖房する機能だ。座ったときにはもう温かい。
高出力の「マイクロチュービングヒーター」(2)を内蔵。待機温度を抑えるため、省エネ率は高い。またその周囲を、アルミ合金(1)が覆うため、熱がよく伝わる
「W瞬間式」のもうひとつの機能は、「瞬間湯沸しシャワー」。これは使うときだけ水を温め、温水を作る方式で、一般的な「貯湯式」のようにお湯を保温するためのムダな電気を必要としない。
(3)から入ってきた水を、(1)の湯沸しユニットが瞬間的に温め、(2)からお湯を供給する
つまり、「W瞬間式」のおかげで、便座もシャワーも常に適温で使用できるということ。そのうえ省エネ仕様なので、従来モデルの場合、年間電気代が5,000円以上のものもある中、同機は年間電気代約約1,570円と、お財布にもやさしいのだ。
男性にうれしい機能がひとつ。座って用を足すとき、スマホ操作に熱中して気を抜いたりしていると、便座と便器の間から小水があふれ出てしまうことがある。「男性トイレあるある」だ。同僚は不運にも会社のトイレでやらかして、ズボンが小水でビショビショになった経験があるらしい。着替えられないその状況は、まさに生き地獄。ズボンをトイレに流してしまうか、いっそのこと全身ビショビショにしたい気分だったそうだ。
「DL-AWK600」には、その漏れをガードする出っ張りが便座の裏に備わっている。
便座の裏に、約3mmの出っ張りがあり、小水の飛び出しを抑える
最後に、シャワーのインプレッション。「DL-AWK600」は全部で5種類のシャワーがある。どの種類も、先述の「瞬間湯沸しシャワー」機能により常に適温のシャワーが利用できるが、ボタンを押してからシャワーが出るまで5〜6秒のブランクがある。
(1)「おしり」
一般的なシャワー。連続的なシャーという水流ではなく、ダララララと数珠のような水流が当たる感じ。この水流は、少ない水の量でしっかりと洗えるようにしているためだという。
(2)「おしり(ムーブ)」
お尻の穴の前側の端から後側の端まで、水流を当てながら行ったり来たりするモード。「おしり」モードより、しっかり洗えていると実感できた。
(3)「ワイド」
「おしり」よりひと周り広い範囲で水流を当てるモード。狭い範囲で水流を当てる「おしり」が苦手な人は安心して使えると思う。
(4)「ワイド(ムーブ)」
動き方は「おしり(ムーブ)」と同じだが、洗える範囲が広い。一番しっかりと洗えた。
(5)「リズム」
「おしり」も「ワイド」も、洗浄の強さ(水流の強さ)を5段階で変えられる。「リズム」はその5段階の水流の強さを「強→弱→強」と変化させて当てるモード。
なお、「リズム」の豆知識をひとつ。もちろん洗浄の役割も担うが、実はこれ、便秘の人のための機能でもあるということをご存知だっただろうか。リズムよく強弱をつけてお尻の穴を刺激することで、便秘解消につながることもあるそうだ。
さすがに筆者も、トイレを1か月掃除しないほど、ナマケモノというわけではない。正直、1か月間の放置によって、写真をお見せできないほど阿鼻叫喚の地獄絵図になってしまったら……と不安でたまらなかった。
しかし、「DL-AWK600」はやってくれた。まずは1か月前の様子がこちら。
しっかりとブラシでこすったが、輪ジミがうっすら残っている状態でスタート
そして、1か月後の様子がこちら。
輪ジミが少し濃くなった程度、ほかに変化は一切なし!
1か月後の便座の裏も、汚れがまったくなし!
「DL-AWK600」は、本当にスゴい。筆者は1か月間、冗談抜きで小便も大便もいっぱいした。恥ずかしながら告白すれば、平日で大2&小5〜10/日のペース。土日はそれ以上。ゴールデンウィークなんかずっと自宅でビール飲みながらゲームしていたから、いっぱいいっぱいしまくったよ! でも、便器内に目立った汚れはまったく見当たらない。
あと、トイレ内にニオイがないことにもビックリした。汚れがつかないことも一因だが、「ビューティ・トワレ」シリーズで唯一「DL-AWK600」が搭載する、パナソニックおなじみの機能「ナノイー除菌」もひと役買っているだろう。便フタや便器内部の空間に「ナノイー」を放出し、表面の菌を抑制。さらに壁のニオイの軽減も可能だという。汚れもニオイもほぼゼロ。何この便座、スゴすぎる。
パナソニックいわく、4人家族が1日20回ほど使用しても、40〜50日間は掃除をしなくてもキレイなままだという。
とはいえ、便座横の受信部やリモコン、ロータンクの上にはホコリが溜まるから、その拭き取りは定期的に必要そうだった。
また、洗剤タンクの残量は次の通り。
残量は、満タン(約280ml)の3分の1ほど
「泡コート」は自動で作動するが、そのタイミングは設定できる。今回の1か月レビューでは、「使用後」「一定時間ごと」「便座開時」のタイミングすべてで作動するMAX設定にした。1人で使用する場合は、45〜50日間はもってくれそうだ。ちなみに4人家族だと、満タンで約40日使えるという。
「DL-AWK600」は、1か月間1度も掃除せずに使用しても、「泡コート」のおかげで変化は多少の輪ジミと本体周囲のホコリのみ。これは、とんでもなくトイレ掃除が楽になることは間違いない。
汚れもニオイも目立たなくなると、トイレに清潔感があふれるようになる。そうすると、汚れやニオイが付かないから、トイレ内のインテリアに凝ることもできそうだ。
価格だけを見ると、価格.com最安価格で71,200円(2018年5月28日時点)と確かに高い。価格.comの「温水洗浄便座 人気ランキング」では、15,000〜50,000円代のモデルが並んでいるからなおさらだ。しかし、掃除の負担の激減と光熱費の削減を両方実現する本機は、決して高い買い物ではないと思う。
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月刊アイテム情報誌の編集者を経て価格.comマガジンへ。家電のほか、ホビーやフード、文房具、スポーツアパレル、ゲーム(アナログも含む)へのアンテナは常に張り巡らしています。映画が好きで、どのジャンルもまんべんなく鑑賞するタイプです。