ポータブル電源を開発・販売するEcoFlow(エコフロー)が、ブランド初となるポータブルクーラー「EcoFlow Wave(エコフロー ウェーブ)」を発表。自社webサイトで予約を開始し、2022年7月より家電量販店やネットショップなどで販売を開始する予定となっている。アウトドアや車中泊などで活躍してくれそうな本製品を、メディア向け説明会で見てきた。
EcoFlow Waveは、冷風運転と送風運転が行えるポータブルクーラー。AC100Vの家庭用コンセント、専用バッテリーパック、ポータブル電源、自動車のシガーソケット、ソーラーパネルという5つの給電方法で使用することができる。ただし、本体に付属するのは電源コードのみなので、ほかの給電方法で使うには、ソーラーパネルやバッテリー、ケーブルなどを別途購入しなければならない。また、自動車のシガーソケットとソーラーパネルでの給電では注意が必要。この2つの方法で本体に直接給電して使う場合、電力の問題で送風運転しか行えないのだ。冷風を放出したいなら、ACコンセント、専用バッテリーパック、ポータブル電源の3つの給電方法から選ぶこととなる。
本体のサイズは310(幅)×518(奥行)×416(高さ)mmで、重量は17.5kg。5〜50℃の環境下で使用できる。価格は169,400円(税込)
冷風の吹出口は前面上部に装備。運転は「冷却モード」と「ファンモード」の2種類のほか、運転を停止する時間を30分間〜8時間まで30分刻みで設定できる「タイマーモード」、冷却モードとファンモードを組み合わせた「エコモード」(アプリ上で設定)が用意されている
EcoFlow Waveに装着できる専用バッテリーパック(価格は110,000円/税込)の容量は1,008Whで、寿命は80%以上の充電で800回。ACコンセントから充電する場合、バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約2時間かかる。なお、ソーラーパネルとシガーソケットからの給電は、本体だけでなく専用バッテリーパックにも可能(充電時間は約5時間)。ちなみに、本体と組み合わせた専用バッテリーパックを電源としながら、同時に専用バッテリーパックに充電することもできる。
専用バッテリーパックは本体下部に装着し、コードを接続するだけで使用可能。なお、本体と専用バッテリーパックがセットになったものも販売される(価格は275,000円/税込)
本体(17.5kg)と専用バッテリーパック(7.5kg)を一体化した総重量は25kg。取っ手が付いているので持ち上げることはできるが、キャンプ場などで使うには自動車が必要だろう
専用バッテリーパックで稼働できる時間は、冷却モードで3時間(出力300Wで計算)、送風モードで22時間(出力45Wで計算)、そして、エコモードでは最大約8時間となっている。なお、エコモードは、本体とBluetooth接続したスマートフォンの専用アプリ(無料)でのみ設定できるモード。稼働させておきたい時間と温度を設定しておくと、バッテリー残量に合わせて冷却モードとファンモードを自動で切り替え、設定した時間まで運転が続くように調整する。
専用アプリではエコモードの設定ができるほか、冷却モードの温度設定なども行える。風量の調整も本体では15段階だが、アプリ上では100段階で微調整できるとのこと。車中泊をすることもある筆者としては、夜はファンモードをメインに、日の出以降は冷却モードの割合を増やすというように、ユーザーが細かくエコモードを設定できるといいと感じた。アプリケーションのアップデートで対応できると思うので、期待している
そして、ポータブル電源をEcoFlow Waveとして組み合わせて使う際には、同ブランド製品を選ぶほうがメリットは高い。他メーカーのポータブル電源から給電した場合、DC→AC→DCと電圧が変換されるため電気のロスが生じるが、同ブランド製品ではDC電圧のまま給電できる。他メーカーのポータブル電源と比べ、稼働時間は最大28%延長できるという。
EcoFlow Wave本体と同社のポータブル電源「DELTA Max」のセット(価格は411,400円/税込)と「DELTA Pro」のセット(価格は568,700円/税込)もラインアップされている
肝心の冷却性能については、インバータ式コンプレッサを搭載し、5〜8u未満の部屋を8分で30℃〜24℃まで冷やすことができるという。設定できる温度は16〜30℃で、最適冷却面積は5〜8u。なお、EcoFlow Waveは家庭用エアコンの室内機と室外機が一体となったような構造なので、排熱の問題がある。冷却モード使用時には、本体背面から放出される排熱を外に逃がすため、付属のエアダクトを取り付けなければならない。テントや自動車内で使用できるポータブルクーラーだが、エアダクトを外に出すと完全に閉めきることができないので、虫などの侵入を防ぐ対策が必要だ。
本体をテント内に置き、エアダクトを外に出せばいいと言うが、エアダクトの直径は「大」が16cm、「小」が13cmあるため、かなりの隙間が必要だ。ちなみに、上のエアダクトは排熱を排出するためのもので、下は外気の空気を取り込むためのもの。使用する場所によっては、下のエアダクトは取り付けずに使うこともできる
もうひとつ気になるのが、ドレン水だ。コンプレッサで冷却する仕組みの場合、ドレン水を排出できるようにしなければならないが、EcoFlow Waveはドレン水を自動的に蒸発させる仕組みとなっているので、排水用のチューブを接続しなくていい。ただし、湿度の高い環境で長時間使用する際は処理が間に合わない可能性もあるので、チューブを使って排水する必要がある。
実際に冷却モードで運転させていたEcoFlow Waveのドレン水を蒸発させる部分を開けてみたが、わずかな水が垂れる程度しか溜まっていない。この部分にドレン水が満水になると、自動停止する機能も搭載されている
使用する環境によっては、付属の排水チューブを接続しなければならないことも
説明会会場では、EcoFlow Waveの冷却性能を体験できる実演が行われた。あいにく当日の気温は低く、実演する約5uの部屋の室温は25.5℃。それでも効果を発揮できるのかと心配していたが、約13分で室温は22.2℃まで下がった。テントのようなさらに狭い空間なら、もっと早く涼しくできそうだ。ただし、運転音は55dBと、家庭用エアコンの室外機ほどある。
検証はふすまを閉めた状態で行っているが、撮影するため、室温が見えるように開けてくれた。ふすまを開放すると、どうしても室温は実際より高くなるが、急いで撮影したのでそれほど差異はない
ふすまを閉めて検証したとはいえ、エアダクトを室外に出さなくてはならないので、このように隙間が開いた状態となっていた
カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。