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「LG Styler」との違いは? 衣類のシワ伸ばしや乾燥、熱を使わず消臭できるパナソニック「スマートクローゼット」

クローゼットに収納した衣類のシワ伸ばしや消臭、乾燥などができる「スマートクローゼット HCC-R600A」(以下、「スマートクローゼット」)をパナソニックが発表。クローゼット型の衣類ケア製品といえば、LGエレクトロニクスの「LG Styler」が有名ですが、それとの違いも気になるところです。2023年8月1日発売予定の本製品をメディア向け体験セミナーで見てきました。

アイロンや洗濯機の技術を応用。衣類のシワ伸ばしやケアをおまかせで実行

庫内に入れた衣類のシワ伸ばしや消臭などのケアができる「スマートクローゼット」は、同社のアイロンのジェネレーターや洗濯乾燥機のヒートポンプ、「ナノイーX」といった技術を応用。庫内に充満させたスチームでシワを伸ばした後、低温乾燥で仕上げる「シワのばし」コース、「ナノイーX」を使って衣類の除菌や消臭、花粉やウイルスの抑制を行う「ナノイーX」コース、濡れた衣類を低温で乾かす「乾燥」コースという3種類のコースを搭載しています。スチームを使用する「シワのばし」コースでは、事前に給水タンクに水を入れておく必要がありますが、給水や排水はタンクに溜める仕様なので給排水の工事は不要。自宅に運び入れたら、すぐに使用できます。

前面ドアにミラーを採用したデザイン。サイズは約450(幅)×613(奥行)×1,734(高さ)mmとスリムなので、それほど場所は取りません。重量は約69kgで、転倒防止の金具が付属します。定格消費電力は約1,160W(シワのばし)

前面ドアにミラーを採用したデザイン。サイズは約450(幅)×613(奥行)×1,734(高さ)mmとスリムなので、それほど場所は取りません。重量は約69kgで、転倒防止の金具が付属します。定格消費電力は約1,160W(シワのばし)

設置する場所に合わせてドアの開く方向を選べるように、右開きの「HCC-R600AR」と左開きの「HCC-R600AL」をラインアップ。どちらも市場想定価格は330,000円前後(税込)です

設置する場所に合わせてドアの開く方向を選べるように、右開きの「HCC-R600AR」左開きの「HCC-R600AL」をラインアップ。どちらも市場想定価格は330,000円前後(税込)です

庫内の底部にスチームが出る蒸気口、温風や「ナノイーX」(「ナノイーX」コース時のみ)が出る排気口を装備。庫内の水を含んだ空気などは吸気口からヒートポンプユニットに戻ります

庫内の底部にスチームが出る蒸気口、温風や「ナノイーX」(「ナノイーX」コース時のみ)が出る排気口を装備。庫内の水を含んだ空気などは吸気口からヒートポンプユニットに戻ります

吸気口の下には、給水タンクと排水タンクがあります。どちらも容量は1,400ml。給水タンクは「MAX」まで水を入れておけば、「シワのばし(標準)」コースを約3回運転できるそうです。「シワのばし」コースと「乾燥」コースでは排水が出ますが、都度、捨てなくていいとのこと。満水近くになると操作部に「排水」の表示が出て点滅するので、そのタイミングで捨てればOKですが、気になるようならマメに捨ててもかまいません

吸気口の下には、給水タンクと排水タンクがあります。どちらも容量は1,400ml。給水タンクは「MAX」まで水を入れておけば、「シワのばし(標準)」コースを約3回運転できるそうです。「シワのばし」コースと「乾燥」コースでは排水が出ますが、都度、捨てなくていいとのこと。満水近くになると操作部に「排水」の表示が出て点滅するので、そのタイミングで捨てればOKですが、気になるようならマメに捨ててもかまいません

給水タンクに入れる水は水道水を推奨しています。水を入れる部分にはカルキが中で固まらないようにするための軟化剤を装備しており、取り外しできますが、装着した状態で水道水を入れましょう。排水タンクは写真のようにフタを開けて水を捨てます。口は小さめなので、タンク内をしっかり洗うには長さのあるスポンジなどが必要

給水タンクに入れる水は水道水を推奨しています。水を入れる部分にはカルキが中で固まらないようにするための軟化剤を装備しており、取り外しできますが、装着した状態で水道水を入れましょう。排水タンクは写真のようにフタを開けて水を捨てます。口は小さめなので、タンク内をしっかり洗うには長さのあるスポンジなどが必要

「ナノイーX(除菌消臭)」コースはスチームや温風を使わないので、基本的に衣類などの種類を問わず使用できますが、和服、毛皮、皮革などの高級品、毛布などの大物、油の付いたもの(洗濯後でもNG)、ポリプロピレン繊維製品、セルロース系樹脂は使用禁止となっています。「シワ伸ばし」コースと「乾燥」コースでは、前述の衣類などに加え、60度くらいの低温乾燥とはいえ熱を使うため、糊付けされた衣類やビニール素材のものは、場合によっては適さないこともあるとのこと。「シワ伸ばし」コースにおいては、家庭での洗濯禁止の洗濯表示マークが付いているものも対象外です。また、衣類だけでなく、帽子やバッグなども乾燥できますが、「帽子」と言っても使用されている材質は異なるので、大切にしているものや高価なものは、まず近しい材質のもので試してみるほうが安心かもしれません。

「シワのばし」コースと「乾燥」コースには、それぞれ「標準」「お急ぎ」「しっかり」コースを用意。「乾燥」コースのみ、運転時間を「10分」「30分」「1時間」「1時間30分」「2時間」で設定できる「タイマー」コースがあります。「ナノイーX」コースは衣類の除菌・消臭・花粉抑制・ウイルス抑制をする「除菌消臭」コースのほか、「ナノイーX」を庫内に充満させた後に乾燥させる「庫内ケア」コースも搭載

「シワのばし」コースと「乾燥」コースには、それぞれ「標準」「お急ぎ」「しっかり」コースを用意。「乾燥」コースのみ、運転時間を「10分」「30分」「1時間」「1時間30分」「2時間」で設定できる「タイマー」コースがあります。「ナノイーX」コースは衣類の除菌・消臭・花粉抑制・ウイルス抑制をする「除菌消臭」コースのほか、「ナノイーX」を庫内に充満させた後に乾燥させる「庫内ケア」コースも搭載

それぞれのコースで対応できる衣類の上限は異なります。たとえば、「シワのばし」コースと「乾燥」コースの場合、「標準」と「しっかり」は3着まで、「お急ぎ」は1着まで。「ナノイーX(除菌消臭)」コースは3着までです。室温や衣類の種類よって運転時間は変動しますが、「シワのばし」コースの「標準」は1〜1時間15分、「しっかり」は1時間30分〜1時間45分、「お急ぎ」は30〜45分で、「ナノイーX(除菌消臭)」コースは2時間。そして、「乾燥」コースの「標準」は50〜2時間、「しっかり」は1時間30分〜3時間40分、「お急ぎ」は30分です。「シワのばし」コースと「乾燥」コース」では、庫内の結露を防ぐため、運転終了後に約2時間温風を出して除湿を続ける「ドライキープ」を設定可能。ドライキープの1回当たりのランニングコストは約8円なので、仕上がりのよさを求めるならオンにしておいたほうがよさそう。また、「シワのばし」コース(「お急ぎ」コースは除く)と「ナノイーX」コースには、運転終了時間を1時間単位で設定できる予約機能を搭載しています。

ハンガーは3本付属します。ハンガーを掛ける溝は5つありますが、一度にセットできるのは最大3着まで。市販のハンガーの使用は禁止されています。ハンガーパイプの耐荷重は6kg

ハンガーは3本付属します。ハンガーを掛ける溝は5つありますが、一度にセットできるのは最大3着まで。市販のハンガーの使用は禁止されています。ハンガーパイプの耐荷重は6kg

ハンガーに掛けられない帽子やぬいぐるみや、セーターやカーディガンなどの型崩れが気になるものを載せる棚も付属(耐荷重6kg)。「シワのばし」コースでは結露のおそれがあるため、棚の使用は禁止されており、「ナノイーX(除菌消臭)」コースや「乾燥」コースでは使用できますが、ハンガーと棚を併用すると効果が薄れるそう。なお、使用しないときは、右写真のように掛けて収納できます

ハンガーに掛けられない帽子やぬいぐるみや、セーターやカーディガンなどの型崩れが気になるものを載せる棚も付属(耐荷重6kg)。「シワのばし」コースでは結露のおそれがあるため、棚の使用は禁止されており、「ナノイーX(除菌消臭)」コースや「乾燥」コースでは使用できますが、ハンガーと棚を併用すると効果が薄れるそう。なお、使用しないときは、右写真のように掛けて収納できます

ドアの内側にはネクタイなどを掛けられる「小物掛け」を装備していますが、別売のパンツプレス「HCC-PA1」(市場想定価格は22,000円前後/税込)に付け替えれば、パンツのシワを伸ばしながらセンタープレスもできます。ウエストが99cm以上、長さが106cm以上のパンツに対応

ドアの内側にはネクタイなどを掛けられる「小物掛け」を装備していますが、別売のパンツプレス「HCC-PA1」(市場想定価格は22,000円前後/税込)に付け替えれば、パンツのシワを伸ばしながらセンタープレスもできます。ウエストが99cm以上、長さが106cm以上のパンツに対応

「LG Styler」とはどこが違う?

「ナノイーX」をはじめとする独自の技術、構造、設計、運転コースなどコアな部分は当然異なりますが、クローゼット型でハンガーに衣類を掛けてケアするスタイルやケアの種類(シワ伸ばし、消臭、除菌、乾燥)、乾燥方式にヒートポンプを採用しているなど主な特徴が同じなので、一見すると、LGエレクトロニクスの「LG Styler」との違いはわかりにくいかもしれません。

「スマートクローゼット」と同様にドアにミラーを採用し、本体幅がスリムなモデルは「LG Styler」にもあります。写真は、本体幅445mmの「S3MF」

「スマートクローゼット」と同様にドアにミラーを採用し、本体幅がスリムなモデルは「LG Styler」にもあります。写真は、本体幅445mmの「S3MF」

「LG Styler」と「スマートクローゼット」の大きな違いは2つあります。その1つ目が衣類のシワの伸ばすプロセス。「LG Styler」は庫内にスチームを充満させるとともに、ハンガーを振動させて衣類に付いたホコリや花粉を落とし、その振動とスチームの相乗効果でシワを伸ばした後、低温で乾かします。「スマートクローゼット」もシワを伸ばすためにスチームを使用しますが、衣類は振動させません。振動させなくても、衣類のシワはスチームと自重で取れるそう。そして、衣類を乾かす際に放出する風の向きが可動するのもポイント。排気口にルーバーを装備しており、「シワのばし」コースの低温乾燥工程でルーバーが稼働し、衣類を効率よく乾かします(下の動画参照)。

上の動画は、乾燥工程の気流の様子です。右側は乾燥中のワイシャツ。風でなびいていますが、振動はしていないことが確認できます。ただ、これでは風の流れがわからないので、気流を可視化するため、庫内に風船を入れたのが左側。風船が上下だけでなく、奥から手前まで動いています。このように風向を変えていくことで、衣類にまんべんなく風が当たり、乾燥効率が向上。「乾燥」コースでも同じようにルーバーが動きますが、「ナノイーX」コースではルーバーは稼働しません。

220gの水を含んだ衣類を、ルーバー稼働させて乾かしたときと、ルーバーは使用せずに一定の風向で乾かしたときの乾く速さを検証してみると、ルーバーを使ったほうが早く乾いたそうです

220gの水を含んだ衣類を、ルーバー稼働させて乾かしたときと、ルーバーは使用せずに一定の風向で乾かしたときの乾く速さを検証してみると、ルーバーを使ったほうが早く乾いたそうです

運転音については、「スマートクローゼット」と「LG Styler」はほぼ変わりません。「スマートクローゼット」の「シワのばし」コースと「乾燥」コースの運転音は約40dB。「LG Styler」で運転音を公表しているのは「S3BERB」だけだったので、そのモデルの標準的なコースと比べてみると同じく40dBでした。図書館くらいの騒音レベルなので、どちらも静かと言えるでしょう。ただし、「LG Styler」はハンガーを揺らす振動が伝わり、運転中、本体が揺れます。それほど大きく揺れるわけではありませんが、パッと見て揺れていることがわかるので気になる人はいるかもしれません。「スマートクローゼット」はまったく揺れず、かつ、静音性も高いので、場所を問わず設置しやすそう。また、「スマートクローゼット」の「ナノイーX(除菌消臭)」コースは、さらに静かな約30dBを実現。就寝中に衣類を消臭しておくような使い方も、難なくできるでしょう。

そして、「LG Styler」との大きな違い2つ目は、除菌・消臭に熱を使わないこと。「LG Styler」がスチームを使うのに対し、「スマートクローゼット」の「ナノイーX(除菌消臭)」コースはスチームは使わず、「ナノイーX」を庫内に充満させて衣類を清潔にします。「LG Styler」のように振動で花粉をふるい落とす機能はありませんが、「ナノイーX」で花粉を抑制。温度(熱)による制限がないため、幅広い衣類や帽子などの小物に対応できるのがポイントです。

「シワのばし」コースや「乾燥」コースには対応しない衣類なども、「ナノイーX(除菌消臭)」コースでならケアできます。装飾が施されたものや色落ちが気になって洗えないものを、せめて除菌・消臭できれば気持ちよさが変わりそう。スリッパをケアするのもよさそうですね

「シワのばし」コースや「乾燥」コースには対応しない衣類なども、「ナノイーX(除菌消臭)」コースでならケアできます。装飾が施されたものや色落ちが気になって洗えないものを、せめて除菌・消臭できれば気持ちよさが変わりそう。スリッパをケアするのもよさそうですね

「スマートクローゼット」は使いやすさと安全性にも配慮

「スマートクローゼット」には、このほかにもこだわりのポイントがあります。まず、操作がシンプルなこと。ドアを開けると電源が入る仕様なので、いちいち電源をオンにする手間がありません。付属のハンガーに衣類を掛けて庫内に吊し、ハンガーに掛けられないものは棚に載せ、コースを選んで運転をスタートするだけです。また、コースの数を絞ることで使いやすい操作性を実現したのもポイント。衣類のシワの伸ばしたいなら「シワのばし」コース、清潔にしたいなら「ナノイーX」コース、乾かしたいなら「乾燥」コースと、どのコースを選べばいいか一目瞭然。「シワのばし」と「乾燥」コースの下にある「標準」「お急ぎ」「しっかり」というコースも、厚手のものなら「しっかり」と、何となく想像がつきます。スマートフォンと連携させ、コースをダウンロードさせることで対応する衣類の種類を増やす方法もありますが、誰でも迷わず使えることに重きを置いたため採用しなかったそう。「スマートクローゼット」には熱を使わない消臭コースもあり、細かく分類しなくても対応できる衣類は多いので、そうした部分もシンプルな操作につながったのだと思います。

通常はドアの表面には何も表示されませんが、ドアを開くと電源がオンになり、操作部が表示されます

通常はドアの表面には何も表示されませんが、ドアを開くと電源がオンになり、操作部が表示されます

操作はタッチ式。項目が少ないので、スムーズに選択できます

操作はタッチ式。項目が少ないので、スムーズに選択できます

そして、安全性についても徹底的に配慮しています。中にスチームなどを充満させなければならないため、この手の製品は密閉性が求められますが、その半面、誤って中に子どもなどが入ってしまった場合、非常に危険。そうした“もしものケース”に備え、「スマートクローゼット」はドアを開けないと電源が入らない仕様にしたそう。電源ボタンを押す手間を減らすことを第一に考えたのではなく、庫内を確認してから運転を始められるようにした結果の仕様だったようです。また、中からも開けられるように、あえてドアにはロック機能を搭載しなかったそう。そのため、運転中でもドアは開きます(一時停止になるので、ドアを閉じて再度スタートボタンをタッチすれば運転が再開)。スチームや温風を使うコースでも60度くらいの温度なので、ドアを開けてしまってもやけどはしないと思いますが、子どもがいる家庭では注意をうながしておきましょう。

チャイルドロックも用意されていますが、タッチ操作ができないようになるだけで、ドアはロックされません

チャイルドロックも用意されていますが、タッチ操作ができないようになるだけで、ドアはロックされません

閉じ込められてしまった場合のことを考慮し、庫内上部に通気口を配置。運転をしていないときにはこの通気口が開き、庫内に外気を取り込む仕組みになっています

閉じ込められてしまった場合のことを考慮し、庫内上部に通気口を配置。運転をしていないときにはこの通気口が開き、庫内に外気を取り込む仕組みになっています

中村 真由美(編集部)

中村 真由美(編集部)

モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。

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