身もフタもないことを言いますが、冬なんて温かい食べ物なら何でも大体おいしいじゃないですか。こたつでお鍋なんかは今さら言うまでもありませんし、寒空の下でたこ焼きをホフホフ頬張るのも冬の醍醐味って感じがしますし。
甘い物なら、焼き芋も最高ですよね。スーパーマーケットの入り口辺りで甘い香りをただよわせる焼き芋を見かけると、ついつい手が伸びちゃいます。ただそうすると、自宅に持ち帰るまでには冷えちゃうのが悩ましいところ。
もちろん温め直せばいいんですが、やっぱり、焼きたてアツアツの状態で食べたいじゃないですか。焼けた皮をつまんで剥くと、香ばしい蜜の香りが立ち上って、かぶりつくと濃厚な甘さが口内に広がるような……。そんなおいしい焼き芋を、自宅でダラダラしながら食べられたらいいのに! だって自堕落王(ジダラキング)ですもの。
しかしながら「おいしい焼き芋」を自宅で作ろうとすると、意外と難しいんです。というか諸説ありすぎ。
「焼き芋 作り方」で検索してもらうとわかりますが、熱源は石焼きがベストだの、いやトースターでいけるだの。サツマイモはホイルで包むべしとか、いや濡らした新聞紙に勝るものなしとか、いやいや何にも包むなとか。さらにイモの品種とか加熱温度とか焼き時間といったことまで加わってきて、もう何が何やら。
もう、誰か正解を手っ取り早く教えて! とSOSを叫びたくなったのは筆者だけではなかったようです。決められた準備をするだけで、大正解の焼き芋に仕上げてくれる“焼き芋専用モード”付きトースターがライソンから登場していました。
信じられないぐらい甘い焼き芋が焼ける「超蜜やきいもトースター G2(第弍世代)」(ライソン)。開発中の試作機をメーカーからお借りしました
ライソンの「超蜜やきいもトースター」シリーズは、蜜たっぷりの焼き芋を焼き上げる「超蜜やきいもモード」を搭載したユニークなトースター。東京の人気焼き芋専門店「超蜜やきいもpukupuku」が監修したという本気っぷりで、2021年に発売した初代モデルは、“蜜だく”なおいしさが自宅で味わえると話題となりました。
そして2023年12月、第2世代モデルとなる「超蜜やきいもトースター G2(第弍世代)」がクラウドファンディングサイト「Makuake」にて応援購入プロジェクトを開始。ちなみに2024年2月10日まで行われる予定で、開始から10日で目標金額の500%を達成したとのことです。
本体上部には、ライソンと焼き芋の名店「pukupuku」のダブルネーム入り
重要なのは、加熱タイミングをコントロールするプログラム。メニューからは3種のパンモード+メインの「超蜜やきいもモード」が選べます
第2世代モデルの最大の進化ポイントは、直径6.5cmの太いサツマイモで「超蜜やきいもモード」が使えるようになったこと。
初代モデルでは、「超蜜やきいもモード」を使用するとき、サツマイモを「やきいも専用ケース」に入れる必要があったので、焼けるのはケースに収まる直径約4cmまでの小さめサイズだったのです。第2世代モデルはこの専用ケースが不要となり、庫内スペースをいっぱいに使えるようになりました。
庫内サイズは約26.5(幅)×22(奥行)×7(高さ)cm。庫内全体が使えるようになった分、サイズだけでなく、一度に焼ける本数も増えました
もう早々に結論を言っちゃいますが、マジで“超蜜”としか言いようのない、割ると中から蜜がしたたるような、とんでもない甘さの焼き芋が本当に焼けました。ぶっちゃけ、筆者はこれ以上に甘い焼き芋を食べたことがありません。
たまに石焼き芋で皮の表面にじっとりと蜜が染み出して甘〜いやつがありますけど、あれの超すごい版だと思ってください。わかりやすいように、焼き上がった成果物を見せちゃいましょう。こちらです!
じゅわ〜っとあふれ出す蜜! こんな焼き芋が自宅で作れるわけですよ、たまらん!
そもそもサツマイモの蜜というのは、特に糖度が高く水分量多めのしっとり系サツマイモ(「紅はるか」、「シルクスイート」、「安納芋」など)のデンプンが、β-アミラーゼという酵素によって加水分解され、麦芽糖に変わったもののことです。
麦芽糖っていわゆる「水飴」のことですから、そりゃ甘いのも当たり前というか。なんなら、焼き上がったイモを触った指を舐めるだけでも「マジか」と驚くぐらい甘い!
ひと口かじった瞬間に「あッま〜いッ!」と声が出ます。マジうまい!
では、実際に「超蜜やきいもモード」でサツマイモを焼くところを紹介しましょう!
……といったところで、いきなりちょっとしたハードルですが、まずは「熟成したべにはるか」を入手しましょう。初代モデルと同じく、第2世代モデルも「超蜜やきいもモード」は、「熟成したべにはるか」で能力がフルに発揮される仕様なのです。
せっかくなので、筆者はサツマイモ農家さん直売のおいしそうな「熟成紅はるか」を取り寄せてみました
「熟成べにはるか」が手に入ったら、下準備を始めましょう。
まずイモの表面を水洗いして、両端のヘタの部分を約1cmずつ切り落とし、全体にふんわりと2〜3重ぐらいにアルミホイルを巻きます。そして、ホイルの上からさらに水をかけて、準備完了です。
仕上げに水をかけるのは、ホイルの中に水分が入るのを狙ってのことなので、ホイルの巻き終わりの部分はほんのちょっとだけ開き気味にしておくといいでしょう。
しっかり水洗いしたあと、両端をカット。これによって中まで火が入りやすくなります
ホイルを巻いたら、その上から水をかけます。この水分がホイルの中に入り込んで、蒸し焼きにするイメージです
いよいよトースターにセットして、焼いていきます。ホイル巻きしたイモを載せて、メニューから「超蜜やきいもモード」をセレクト。スタートボタンを押すと加熱が始まります。
このとき時間表示パネルに「150」と出ます。そう、焼き上がりまでに150分=2時間30分かかるんです。最後の最後にまたハードル上げてきたな。ただ、これは仕方ない! β-アミラーゼが麦芽糖をたっぷり作るためにはこれぐらいかかるんです。
メニューから4番の「超蜜やきいもモード」を選んで加熱開始。「150(分)」という表示にちょっと怯みますが、そこはぐっと我慢!
焼き時間が半分過ぎたあたりからとんでもなく甘くて香ばしい香りがただよってきますが、それでも歯を食いしばって我慢です。それだけの価値はありますから。
本体から「♪い〜しや〜きいも〜、おいもっ」のメロディが流れたら、ついに完成です!
ホイルの外まで蜜があふれて焦げ付いていました。どんだけ蜜が出てるの!? トースターの網部分にもホイルを敷いておいてよかったです
もう画像だけで十分すぎるぐらい伝わっていると思うんですが、あえてコメントするなら「じゅわトロ激甘で、最高にうまいです」としか。正直、今まで食べてきた焼き芋ってマジでなんだったん? という疑問が頭をよぎるぐらい。
手に取ったら焼き芋自体が濡れていて、最初は「水をかけて焼いたからかな」と思ったのですが、違いました。完全に「デンプンが分解されてできた水飴(麦芽糖)=蜜」でした。これによって食感はじゅわっとトロッと口の中でとろけて、信じられないぐらいの甘さが広がるわけです。
もちろん包んでいたホイルの中も蜜でびしょびしょ。これだけずっと舐めていても満足できそう
普通のトースターでじっくり焼いたものと比較。見た目だけでも、明らかに別次元の食べ物に仕上がっています
「べにはるか」以外の、いわゆるホクホク系のサツマイモ(「紅あずま」や「鳴門金時」など)もおいしく焼けます。その場合は「超蜜やきいも」モードではなく、セルフセッティング機能を使いましょう。
セルフセッティング機能とは、加熱時間と温度を2段階で設定できるというもの。たとえば、まず160度で80分加熱して、次に240度で3分加熱する、といった風に変化を付けた焼き方ができるんです。加熱時間は最大2時間で、焼き芋に適したじっくり焼く設定もできちゃいます。
マニュアルで2段階の温度と加熱時間を設定できる「セルフセッティング」を使えば、自分なりの焼き方が設定可能
試しにホクホク系のサツマイモである「紅あずま」を焼いてみたところ、大成功! イモにはホイルを巻かずにじっくり加熱し、最後に短時間だけカッと温度を高くして香ばしさをアップさせる焼き方がよい感じでした。
香ばしさとホクホク感を引き出した「紅あずま」の焼き芋。これはこれでうまい!
もちろんトースターなので、パンをおいしく焼くための「パンモード」もあります。「食パン」「冷凍食パン」「ロールパン」がメニューから選べるようになっており、それぞれに最適な温度プロファイルが設定されているとのこと。
特に「冷凍食パンモード」は、最近の高機能トースターには必須と言えるほどの人気機能。試しに冷凍食パンを焼いてみましたが、モソモソ感のないサクふわの焼き上がりで、なかなかに満足のいく仕上がりでした。
冷凍した食パンをおいしく焼き上げる「冷凍食パンモード」は、いつも賞味期限内にパンが食べきれない人にぴったり
中ふんわり、外サックリのほどよい焼き上がり。耳も香ばしくサクサク食感に仕上がっていました
正直なところ、実際に試すまでは「とはいえ年に焼き芋を何回焼くのかと思うと、専用トースターまではどうかなー」という気持ちもありました。
しかし、ひとたび「超蜜やきいもモード」で焼いたものを味わってしまうと……いやー、これは年に何回でも、イモがある限り焼きますわ! むしろ、こんなハイクオリティーなスイーツが自宅でばんばん作れちゃうマシンだと思えば、食パン焼く機能も付いていてお得! ぐらいの考え方になっちゃうかもしれません。
トースターとしては決してお安い製品ではありませんが、焼き芋好きな人ならまず買って後悔なしの性能だと思います。少なくとも、スーパーで買うより何倍もすごいものが、自宅でいくらでも焼けるようになりますから。