ウォーターオーブン「ヘルシオ」と同じ原理を採用した、ウォーターオーブントースター「ヘルシオ トースター AX-WT1」をシャープが発表。過熱水蒸気で調理するので、焼き加減の調整だけでなく、さまざまな種類のパンを好みの食感に仕上げられるのが大きな特徴です。もちろん、揚げ物や焼き物の温め直しも得意。発表会で新モデルの実力をチェックしてきました。
シャープは過熱水蒸気で調理するトースター「ヘルシオ グリエ」を2016年から展開していますが、「ヘルシオ トースター AX-WT1」(以下、「ヘルシオ トースター」)は「ヘルシオ グリエ」に置き換わる形での発売となります。パンをおいしく焼けることがわかりやすく伝わるように名称を「ヘルシオ トースター」に一新し、本体の形状もキッチンに置きやすいサイズ感を採用しました。
「ヘルシオ グリエ」(AX-GR2)は幅が412mmある横長形状でしたが、「ヘルシオ トースター」は横幅340mmと、一般的なトースターに近い形状に。サイズは340(幅)×363(奧行)×270(高さ)mm
庫内有効サイズは262(幅)×239(奧行)×108(高さ)mmで、食パンを2枚まで一度に焼けます
基本的な仕組みは「ヘルシオ グリエ」と同じ。ウォーターオーブン「ヘルシオ」と同じ構造の「ヘルシオエンジン」(過熱水蒸気発生装置)を搭載しており、その部分で高温のスチームを生成して庫内に噴射し、たっぷりの過熱水蒸気で焼き上げます。
水タンクの水をポンプで「ヘルシオエンジン」に送り、100度を超える水蒸気「過熱水蒸気」を作って庫内に噴射。常に一定量を噴射するのではなく、センサーで感知しながら、メニューに合わせて量を調整します
トーストを焼いている様子。調理をスタートすると、すぐに蒸気が庫内に充満します
過熱水蒸気で調理するので、使用する前に水タンクに水を入れる必要がありますが、1回の給水で最大4枚(2枚×2回)トーストできるそう(冷凍の厚切りトーストでふわふわ度2、3設定の場合は除く)。水タンクの容量は約50mL
他メーカーのトースターのなかには水を入れてスチームを発生させるタイプがありますが、庫内のヒーターで水をスチームに変える仕組みなので、スチーム量が少なく、加熱は上下ヒーターで行われます。「ヘルシオ トースター」にもヒーターは搭載されていますが、スチームを作るのは専用のエンジン。庫内のヒーターは庫内の過熱水蒸気の温度を調整するために使われます。
上に2本、下に1本のヒーターを搭載。たとえば、パンの焼き色を濃く付ける場合、庫内の過熱水蒸気の温度をヒーターで高くするというようにメニューや設定に合わせて調整しながら焼き上げます
過熱水蒸気を庫内に閉じ込めるため、ドアにパッキンを備え、密閉性を高めています
庫内に充満した蒸気はドアのパッキンがない部分から外に出ます。ハンドルの位置から少しズラして安全性に配慮
たっぷりの過熱水蒸気でパンを包み込み、水分を与えながら焼き上げるため、パン内部の水分の減少が抑えられ、中はしっとり、外はサクッと焼き上がります。この点は「ヘルシオ グリエ」も同じですが、「ヘルシオ トースター」は自動メニューを搭載。メニューを選んでスタートボタンを押すだけで、最適な温度と時間で調理してくれます。
自動メニューは「トースト(6〜8枚切り)」「厚切トースト(4〜5枚切り)」「ピザトースト」「フランスパン」「ロールパン」「クロワッサン」「生食パン」「揚げ物リベイク」「焼き物リベイク」「モーニングセット」「ピザ(市販品)」「もち」「もち(やわらか)」「焼きいも」「焼きいも(低温焼き)」「ノンフライから揚げ」「焼き野菜」の17種類
自動メニューのうち、パン系7種とリベイク2種、モーニングセット、ピザは冷凍の状態で調理できるメニューが用意されています
上の写真を見て「ふわふわ」とは? と気になった人がいるかもしれませんが、これが「ヘルシオ トースター」ならではのポイント。一部の自動メニューに限られますが、焼き加減を5段階で設定できることに加え、パンのふわふわ度を3段階で選べます。
過熱水蒸気量をコントロールしてパンの食感を変えて焼き上げます。焼き加減と食感の組み合わせで好みのトーストが見つけられるほか、買ってきてから日にちが経ったパンを焼くときに焼き色は変えずにふわふわ度だけ多めにするというように調整できるのはいい!
ふわふわ度を設定できるメニューは本体天面にあるメニュー一覧でも確認可能。蒸気のようなアイコンが付いていれば、ふわふわ度が選べます。操作部にも表示されるので、迷うことはなさそう
一般的なトースターと「ヘルシオ トースター」で焼いたトーストを食べ比べてみると、「ヘルシオ トースター」で焼いたものは「ふわふわ度1」でも水分がちゃんと残っており、サクッとした食感ながらもしっとりしてふんわり。パンの甘みも感じます。「ふわふわ度3」のトーストは「ふわふわ度1」と外側の食感はそれほど変わらないのに、中のふんわり感は増していました
凍った状態のフランスパンを加熱した比較では、明らかな差がありました。一般的なトースターで加熱したフランスパン(写真左)は上部が焦げているうえ、表面がカチカチ! クラスト(茶色い部分)だけでなく、クラム(白い部分)の表面も硬く、かなり食べにくかったです。いっぽう「ヘルシオ トースター」で加熱したものは外側も中もやわらか(下の動画参照)。クラムにはしっとり感があります。もちろん、やわらかいと言っても、ちゃんとクラムには適度に硬さがあるので、フランスパンらしいおいしさは損なわれていません
「フランスパン」モードでふわふわ度を変えて加熱したフランスパン内部の弾力性を測定したもの。試食は「ふわふわ2」で加熱したフランスパンでしたが、それでもかなりやわらかかったので、「ふわふわ1」にすればもっとやわらかくて熱々のフランスパンが楽しめそう。焼き加減と食感の組み合わせを変えて加熱できるのは、間違いなく「ヘルシオ トースター」の強み!
ちなみに、トーストの焼き上がりにムラがないか確認したい人もいると思うので、2枚同時に焼いたトーストを載せておきましょう。表面も裏面も比較的均一な焼き上がりだと思います。
「トースト」モードで、焼き加減「3」で焼いたもの
過熱水蒸気は熱量が高く、食材の中まで素早く加熱できるため、市販の揚げ物や焼き物などのお惣菜や冷凍食品も表面を焦がさず、熱々に仕上げます。水分を補いながら加熱するので、作りたてのような状態にリベイクできるのも特徴。自動メニューが用意されており、過熱水蒸気の量を調整して上手に温め直してくれます。
一般的なトースターと「ヘルシオ トースター」で加熱した冷凍からあげを見比べてみると、焼き色は同じくらい。しかし、内部温度を測ってみると、一般的なトースターで加熱した冷凍からあげは39.6度で、「ヘルシオ トースター」で加熱したものは88.2度と倍以上の差が出ました
揚げ物のリベイクでは脱油効果も期待できます
もちと焼きいもの自動メニューに2通りの焼き方を用意したのもこだわりポイント。もちの場合、「もち」を選べば焼き色を付けて焼けて、「もち(やわらか)」を選べば焼き色を付けずに仕上げられます。焼きいもに関しては、高温で焼き上げる「焼きいも」と、低温でじっくり加熱することで甘みを引き出す「焼きいも(低温焼き)」を搭載。同じ食材を気分や好みで別の味わいに変えて楽しめます。
焼き色を付けず、つきたてのおもちのように仕上げたい場合、水を加えて電子レンジで加熱する方法もありますが、「ヘルシオ トースター」なら自動メニューの「もち(やわらか)」を選ぶだけと手軽。水で味が薄まることもありません
さつまいもの種類で焼き方を変えてもいいでしょう
このほか、温度の低いほうにたくさんの熱を与える過熱水蒸気の性質を利用した、同時調理にも対応。トーストとおかずをトレイにセットし、自動メニューの「モーニングセット」を選ぶだけで、それぞれの食材に最適な焼き加減で仕上げてくれます。
異なる食材を一度に調理しても、ちょうどよく仕上がるのは過熱水蒸気だからできること! 食パンは冷凍/常温など状態を問わずにほかの食材と一緒に同時調理できます(食パン以外の食材は冷蔵か常温のみ)
付属のトレイは食材のこびり付きを抑え、油汚れを簡単に落とせるようにシリコンコーティングが施されています
もちろん、手動で温度(120〜260度/20度刻み)や時間を設定することも可能。焼き上がった食材にもう少し焼き色を付けたいときに役立つ「あぶり」機能も搭載されています。
「あぶり」機能で加熱できる時間は最大5分
「あぶり」機能を使って「スモア」を作ることも可能