レビュー

「ロボット掃除機の最上位モデル」って実際使えるの? 180日間ガチンコ使用レビュー

元々、クラウドファンディングから始まり、その好評を受けて2024年6月に一般販売もスタートしたのが、Dreame(ドリーミー)のロボット掃除機の中で最上位機種に当たる「Dreame X30 Ultra」(以下、「X30 Ultra」)です。

全体的に不満が出ようのないハイスペックと、本来ならユーザーがするべきメンテナンスの手間を可能な限り省いて清潔さを保てる「6wayベースステーション」は、掃除という面倒な家事を完全に任せられるだけのポテンシャルを持っているように感じました。

ドリーミーの機能全部入りフラグシップモデル「X30 Ultra」。ロボット掃除機本体のサイズは350(幅)×350(奥行)×97(高さ)mmで、ステーションのサイズは340(幅)×457(奥行)×590(高さ)mm

ドリーミーの機能全部入りフラグシップモデル「X30 Ultra」。ロボット掃除機本体のサイズは350(幅)×350(奥行)×97(高さ)mmで、ステーションのサイズは340(幅)×457(奥行)×590(高さ)mm

というのも、実は筆者はクラウドファンディングの時点から本機を預かっており、ここ半年にわたって自宅での長期間トライアルを続けてきたのですが……これ、本当に優秀!

じゃあ、どのあたりがよかったのか? ほかのモデルと比較してどこが優位なのか? 今まさに「ロボット掃除機選びで迷っていて……」という人に、そのポイントをお伝えしましょう。

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見えているスペックだけじゃない! 部屋の隅まで攻めるポジショニングが満足感の決め手

最初に述べておかねばならないのが、現在のロボット掃除機における異様な進化スピードです。わかりやすいところで、本体の吸引力を例にあげてみましょう。

「X30 Ultra」の吸引力は8,300Pa。これは半年前の発売時点では最強クラスと言えるものでした。もちろん現時点でも高性能と言える数値なんですが、わずか6か月後の現在(2024年11月時点)、吸引力の最強争いは10,000Paオーバーが最前線です(進化が速すぎて怖い!)。

本体の吸引力はもちろん重要なんですが、その点はそろそろ過当競争になりつつあるような……

本体の吸引力はもちろん重要なんですが、その点はそろそろ過当競争になりつつあるような……

本体裏面。吸引清掃+加圧回転型のデュアルモップで、汚れを強力に拭き取ります

本体裏面。吸引清掃+加圧回転型のデュアルモップで、汚れを強力に拭き取ります

もちろん吸引力は強いほうがいいに決まっています。

ですが、飼い猫がしょっちゅうトイレ砂(粒大きめタイプ)をあちこち散らかしちゃうような我が家でも、吸引力8,300Paあれば、ゴミの取りこぼしはほぼありません。体感的には“必要十分”というレベルよりもまだ余裕がある感じ。

畳の上の白い粒が、猫がまき散らしたトイレ砂。こんな大きなゴミも確実に掃き取ってくれます

畳の上の白い粒が、猫がまき散らしたトイレ砂。こんな大きなゴミも確実に掃き取ってくれます

むしろ吸引力よりも重要だと感じたのは、いかに床に「掃除できていないところ」を残さないか、という点です。

ロボット掃除機が数十分かけて掃除を終えたあと、壁際の四隅に吸いきれなかったゴミや目視できるレベルの拭き残しがあると、それだけで「頼りないなー」と感じてしまうはず。ロボット掃除機は決して安くない買い物だけに、こんなガッカリ感を感じるのはキツいでしょう。

つまり、ロボット掃除機を選ぶうえで重要なのは、“部屋の隅を積極的に攻める”性能です。これに関しては、部屋の構造や家具の配置を認識するセンサー類の性能に加え、AIの思考ルーティンによる部分が大きいようですが、「X30 Ultra」はとにかく掃き残しや拭き残しを許さないように設計されているようです。

棚の下のすき間にも積極的に潜り込んで掃除します。おかげで掃き残しや拭き残しはほぼ見られません

棚の下のすき間にも積極的に潜り込んで掃除します。おかげで掃き残しや拭き残しはほぼ見られません

障害物や家具を検知するとかなりキワキワまでアタックするし、強めの汚れを検出するといったんステーションへ戻ってモップを洗浄してから拭き直しに戻ります。なんというか、他社製品と比べても掃除が非常にねちっこいんです(褒めています)。

また、従来のロボット掃除機は壁への接触を避けるため、壁際から数センチ離れたところまでしか近寄れないんですが、そのわずか数cmを埋めるのが、本体からニュッと伸びてくる「エクステンドモップ」。本当に壁に触れるか触れないかの位置まで回転モップが伸びてくるので、拭き残しはほぼ発生しないという仕組みです。

ロボット掃除機本体の幅以上にせり出したエクステンドモップ。最大約4cmまで伸びて壁際ギリギリまで拭き取ります

ロボット掃除機本体の幅以上にせり出したエクステンドモップ。最大約4cmまで伸びて壁際ギリギリまで拭き取ります

こういった壁際までモップを伸ばす機構は、最近のハイエンドモデルならばほとんどが採用していますが、世界で初めて搭載したのは、なんとドリーミーのこのモデル。ロボット掃除機の拭き上げクオリティーを一気に向上させたという点で、伸びるモップは業界内の一大発明だったと思います。

毛足の長いカーペットの清掃は、いったんステーションに戻り、モップをみずから外して掃除再開

毛足の長いカーペットの清掃は、いったんステーションに戻り、モップをみずから外して掃除再開

モップに関して言えば、もう1点、掃除する場所によってモップを脱着させる機構もユニークです。

モップ搭載型のロボット掃除機は、そのほとんどが、カーペットを検知するとモップを本体側に引き上げて、毛足を濡らさないようにする「モップリフト」という機構を持っています。このモップの引き上げ高は大体数mm〜1cm強といったところ。「X30 Ultra」も約1cmのリフトアップが可能です。ただ、毛足が2〜3cmぐらいあるカーペットやラグもあるので、1cmのリフトアップでは床拭きによる汚れた水を吸っちゃうこともありえます。

そこで本機は、モップリフトでは間に合わないカーペットを検知すると、いったんベースステーションに帰還。そこでマグネット脱着式のモップをみずから取り外したうえで、掃除を再開してくれるんです。ナイス気づかい! 我が家は畳の上に毛足長めのラグを敷いているので、これにはかなり助けられています。

これならカーペットが濡れる心配もないので、安心して掃除が任せられます

これならカーペットが濡れる心配もないので、安心して掃除が任せられます

180日間使ってわかったことはとにかくメンテナンスが楽ってこと!

初めてロボット掃除機を導入したユーザーのほとんどが感じることのひとつに、「ロボット掃除機のメンテ、やること意外と多くない!?」というのがあります。

低価格帯のステーションレス機だと、いちいちモップを取り外して洗濯する必要があったり、モップ洗浄機能付きのステーション機だとしても、水タンクに清水を補充しつつ、汚水タンクをきれいに洗ったり。もちろん、ゴミの溜まった紙パックだって取り替えねばなりません。

部屋の掃除はロボットがしてくれるけど、でもそのロボットのクリーニングは人間の仕事なわけです。

80日分のゴミを溜めておけるベースステーションのゴミ収集パック。我が家は2〜3日おきの稼働なので、半年でまだ1回しか交換していません

80日分のゴミを溜めておけるベースステーションのゴミ収集パック。我が家は2〜3日おきの稼働なので、半年でまだ1回しか交換していません

「ウォッシュボード」をみずから洗浄!

こういう手間も、数年後の新製品では解消されているかもしれませんが、今のところはせめてメンテナンスやクリーニングの頻度が少ないか、あるいはラクにできる製品を見極めるのが、ロボット掃除機選びのポイントのひとつと言えます。

その点で本機が優秀なのが、ベースステーションのウォッシュボード自動洗浄機能を搭載していること。掃除を終えてベースステーションに戻ると、汚れたモップを60度の温水で洗浄したあとに温風乾燥してくれるんですが、そのとき同時にモップ洗浄用のトレー(ウォッシュボード)も自動で洗ってくれるという機構です。

モップを洗浄・乾燥する「ウォッシュボード」。ほかのモデルではここが割と汚れるので清掃必須なんですが、「X30 Ultra」はそんな手間は必要なし

モップを洗浄・乾燥する「ウォッシュボード」。ほかのモデルではここが割と汚れるので清掃必須なんですが、「X30 Ultra」はそんな手間は必要なし

「ウォッシュボード」の裏面。グレーのフィン状パーツが溜まった汚れをかき出し、汚水と一緒に押し流す仕組み

「ウォッシュボード」の裏面。グレーのフィン状パーツが溜まった汚れをかき出し、汚水と一緒に押し流す仕組み

「ウォッシュボード」には、モップから洗い落とされたホコリや毛クズ、微細な砂などの汚れがコッテリと溜まりやすいんですが、ここがなかなかに洗いにくい構造で面倒くさい! とはいえ、汚れを放置したら不衛生だし、夏場には悪臭がしてくることも……。

他社製品には「『ウォッシュボード』が簡単に取り外せて洗いやすい」とうたうものもあるんですが、人間が自分の手で洗わなくてはいけないことに変わりはありません。個人的には、これがロボット掃除機のメンテでいちばんの手間だと感じていて……。

本機ではそれをステーション任せにできるのは、それだけでも気楽というか、掃除からの開放感を与えてくれました。もちろん完璧とは言えず、比重の大きな微細砂粒なんかは残ることがあるんですが、これはウェットティッシュかなんかでサラッと拭けば大体きれいになります。

別売りの毛がらみカットブラシが便利!

ペット飼いや髪の長い人がいる家庭では、クリーナーブラシに毛がからまることがよくあります。あれをいちいち除去するのも割と面倒くさい。

これを放置しておくと、ブラシの回転が阻害されて吸引効率が落ち、場合によっては故障の原因にもなり得るので、気づいたときには取り除いてやりたいんですが、がっつりからんでしまうと簡単にはきれいになりません。

標準装備の従来型ブラシの回転軸。毛髪やペットの毛がからみ付いてしまっており、このままだと故障の原因にも

標準装備の従来型ブラシの回転軸。毛髪やペットの毛がからみ付いてしまっており、このままだと故障の原因にも

解決案としては、標準装備のブラシを(残念ながら)別売りされているアクセサリー「毛髪カットブラシ」に交換するのがおすすめ。ブラシに付いている特殊なスチール刃で、からまりかけた毛髪を短くカットし、そのまま吸い込んでくれます。もはや毛がらみはほとんどゼロ。これも快適です。

別売りながら、割とマスト装備と言える「毛髪カットブラシ」。クシの溝内部の刃で、からみかけた毛をスパッとカットします

別売りながら、割とマスト装備と言える「毛髪カットブラシ」。クシの溝内部の刃で、からみかけた毛をスパッとカットします

【まとめ】価格も落ち着いてきて買い頃感高め!

本機は一般発売から半年が経ったため、冒頭でも述べたとおり、いちばん目立つスペックである吸引力が最新最上位機種と比べると低く見えてしまうんですが、実際の日常生活の清掃においてはまったく不満がありません。

スペック的に表現しにくいメンテナンスのラクさや、拭き残しや掃き残しを出さないねちっこい清掃においても、本当によくできていると感じます。

掃除完了後に「掃除やり残してるなー」と感じることが少なく、快適です

掃除完了後に「掃除やり残してるなー」と感じることが少なく、快適です

専用アプリからの操作は直感的とは言いにくいけれど、「まぁ慣れれば大丈夫か」ぐらいの感じ

専用アプリからの操作は直感的とは言いにくいけれど、「まぁ慣れれば大丈夫か」ぐらいの感じ

それでいて、発売当初から比べると多少は価格が落ち着いてきたことを考えると、各社のフラグシップモデルの中では本機がちょうど買い頃かも。

もちろん、他社製品で欲しい機能があるならそっちを優先してもいいんですが、もし迷っているなら、吸引力だけにとらわれずに本機をぜひ検討してみてください。

きだてたく
Writer
きだてたく
最新の機能派文房具から雑貨・ファンシー系のオモシロ文房具まで、何でも徹底的に使い込んでレビューする文房具ライター。雑誌・WEBで文房具の最新情報や使いこなし記事を執筆するほか、文房具の楽しさを伝えるトークライブやワークショップなども全国各地で精力的に行う。最近は掃除機業界にも進出中!
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牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映像エンタメ情報誌「DVD&Blu-rayでーた」(当時)の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。スティック&ロボット掃除機、コーヒーメーカー、扇風機、電動歯ブラシ、電気ケトルなどの白物家電のほか、AV機器や加熱式タバコを担当しています。LOVE, LINKIN PARK.
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