酒場ライターのパリッコです。
さまざまなジャンルのアイデアグッズを開発・販売する、僕の大好きなメーカー、サンコーのサイトで、大変興味深い商品を発見してしまったので即購入。その便利さや可能性をあれこれ探っていってみようと思います。
こちら
その名も、2段式どんぶり型超高速炊飯器「炊き立て丼」。パッケージには「ご飯が炊けるどんぶり」と書いてあります。ずばりそのとおりの、どんぶり型の電気式炊飯器で、炊けたらそのまま食器として使えるというのが斬新なポイント。
さらに、おかずも同時に用意できる!?
炊飯器とフタの間に「おかずトレイ」をセットすることで、炊飯と同時におかずの温めもできてしまう。炊飯時間は最短15分なので、15分で炊きたてのごはんと熱々のおかずが一気に完成してしまうらしいんですよね。
とても興味深いし、どんなメニューが作れるかを考えたり試してみたりする過程がすでに楽しそう。では、実際に使ってみましょう!
開封
まずは箱から中身を全部出してみます。意外とパーツが多いですね。ただ、右下の2つは、計量カップと、炊飯が終わった後にどんぶりの下に装着する保護キャップなので、調理時は使いません。
調理時の基本構成は、まず電源付きの土台の上にどんぶりを乗せます。
このように乗せます
その上に、中ブタ、おかずトレイを乗せる。
こう
そしてフタをする。
以上
と、そんなにややこしいことはありません。サイズ感は、一般的なスマホと比べて上の写真のような感じ。最大1合のお米が炊けるだけあって、結構存在感がありますね。
おかずトレイを使った調理で得意なのは、レトルト食品や常温のお総菜の温め。トレイの容量が300mLあるので、レトルトの「大盛りカレー」も温められるというのは頼もしいですね。そのほか、工夫次第で簡単な蒸し料理が作れたりもするらしく、そのあたりが個人的にいちばん楽しみな点。
ちなみに、冷凍食品に関しては、しっかり解凍して温められるとまではいかないようです。また、厚みのある生肉など、そのまま食べると問題のある食品の調理は、念のためやめておいたほうがいいでしょう。
ではいよいよ、炊飯&同時に何かおかずを作ってみましょう。オフィシャルサイトにもいくつかの実例が載っていて、なかでも僕が特に気になったのが、おかずトレイに焼鳥の缶詰と溶き玉子をセットして作る親子丼。親子丼がボタンひとつでできてしまうならすごいですよね。
ただ、同じものを作ってもなんなので、今日は「コロッケ玉子とじ丼」を作ってみようと思います。
米と水をセット
お米をとぐ作業はこのどんぶりではなく別容器でするよう注意書きがあったのですが、今回は無洗米を使ってその工程も省略。どんぶりに半合のお米を入れ、ラインに合わせて水を注いだだけです。
半合の炊飯目安時間は15分。ただ、事前に5〜10分の浸水と、炊き上がってから5分間の蒸らしが推奨されていて、それを含めると約30分ですね。まずは検証の意味も込め、浸水なし+蒸らし5分でいってしまいましょう。
おかずトレイには、コンビニのホットスナックコーナーで買ってきて、ほんのりと冷めはじめたくらいのコロッケと、生玉子、だし醤油を少々。
両方入れて
玉子をざっくりと箸でかき混ぜ、コロッケの表面に溶き玉子をまとわせるように上下を返しておきましょう。
さてどうなる
ここからは本当に簡単。
ただスイッチを入れて
炊けたら勝手にスイッチが切れるだけ
きっかり15分後、バチンという音がして、炊飯中を示すランプが消えました。5分間の蒸らし時間を待って、いざオープン!
おおー!!!
正直、生のままだったらどうしよう、なんて不安もあったんですが、予想以上に玉子がしっかりと固まってるじゃないですか。まぁ、鍋で調理したときのような絶妙なとろとろ感とは異なる仕上がりですが、ここまできちんと火が通るのはすごい。
そしてごはんのほうは……。
これまた
しっかり炊けています!
鍋や釜でお米を炊く際、底から上がってきた泡の通り道がところどころに現れる現象を「カニ穴」と呼び、ごはんがおいしく炊けた証とされていますが、それが確認できますね。
というわけで、できたおかずをごはんの上にON。
さらにスーパーで買ってきた刻みねぎを散らせば……
完成! 「炊き立て丼」だけで作った、コロッケ玉子とじ丼!
どんぶりのままいただきます
包丁もまな板も、ほかの容器も一切使わず、唯一の調理器具はお箸のみ。なのに、実際に食べてみて驚きました。これは「手間いらずで、スイッチひとつでできるならアリだよね〜」というレベルを超越した、ちゃんとした手料理!
まずは炊きたてのお米の味が幸せ。浸水を省いたのでほんのり硬めではあるものの、僕は硬めのお米が割と好きなので問題なし。このあたりは浸水時間で調整すればいいわけですし。
そしてまた、熱々のコロッケ玉子とじがごはんと合うのなんのって……。
料理が苦手な方や、忙しくて時間はないけれど、毎日ある程度きちんと食べたいという方に、本気でおすすめだと思いました。
熱々の丼ものを食べられる喜び
ちなみに食器類は、土台部分以外は丸洗い可能&食洗機も対応で、お手入れも簡単。普通に炊飯器やフライパンなどを使ってコロッケ玉子とじ丼を作れば多くの洗い物が発生しますが、「炊き立て丼」を使えば洗い物が激減します。
唯一の難点は、どんぶりが炊飯器でもあるという構造上、内側に厚みがあって、一般的などんぶりよりは若干食べにくいことかな。まぁ、本当に若干です。
さてここからは、思いついたレシピをどんどん試していってみましょう。
買ってきたのは、コンビニのチルド総菜コーナーにあったチーズインハンバーグ。
約150円
そこに合わせるのは、溶き玉子が固まるならば、そのままの玉子はどうなる? という興味のもと、ただ割っただけの生玉子。
おかずトレイに入れただけ
では炊飯&調理スタート。気になる20分後の状態は……。
これまた、おおー!!!
ぱっと見はかなりいい感じですよ。特に玉子の火の通り加減。
で、ここで気がついたんですが、別に毎回おかずをごはんの上に乗せて、丼ものとして食べなくてもいいんですよね。おかずトレイは調理後すごく熱くなっているのと、水滴も付いているため、お盆などに乗せる必要がありますが、お皿代わりにも使えるはず。というわけで完成。
チーズインハンバーグ&目玉焼き(風)定食
今回のお米は、我が家の基本であるもち麦ごはん(もち麦をちょっと足したもの)で炊いてみましたが、これまた問題なし。10分ほど浸水して炊いてみたのですが、浸水なしのときよりもふっくら炊けました。
そしておかずのほうはというと……ハンバーグはほかほかで、中のチーズまでとろりと温まり、目玉焼き、というか目玉蒸しの半熟具合も完璧!
言うことなし
レンチンしたコンビニ弁当ももちろんおいしいけれど、炊きたてのお米と蒸気で蒸したおかずの味わいは、ちょっと感動的。この定食が200円弱でできてしまうと考えると、いや、すごいっす、「炊き立て丼」。
続いては、レトルトカレーの温めも試してみましょう。また、国産米ではなくて、タイのジャスミンライスなどはきちんと炊けるのか? も合わせて検証。
ジャスミンライス&サグダールカレー
カレーは、個人的に大好きな、西友の「ほうれん草と生クリームのサグダールカレー」。結果、タイ米にインドカレーをかけてどんぶりで食べるというカオスな組み合わせになってしまいましたが、まぁいいでしょう。
両方をセットしてスイッチオン。5分ほどすると、室内にエスニックな香りが漂いだしました。
20分後、カレーは熱々
タイ米もばっちり炊けた
カレーをごはんにかけて
いただきます!
いや〜これも、完璧ばっちり。というか、西友のサグカレーがおいしすぎるというチート問題もあるんですが、それを炊きたてのジャスミンライスと合わせてしまうと、もはや本格インド・ネパール料理店で食べるのと遜色なく感じるくらいうまいです! つくづく、幸せな調理器具だなぁ……。
ひとり暮らしの人だけじゃなく、家族暮らしで、1人分だけジャスミンライスを炊きたいなんてときにも便利に使えそうです。
そして今回、カトラリーとして初めてスプーンを使ってみたら、先述したどんぶりの形状による食べにくさが皆無。カレーはもちろん、レトルトのガパオ、ルーローハン、麻婆豆腐など、主にスプーンで食べるメニューには特に向いていると言えそうです。
さて続いては、簡易的な炊き込みごはんを作ってみることにしましょう。用意したのはこちら。
永谷園「松茸の味お吸いもの」と、焼きするめげそ
まずは半合分の米と水を用意し、そこにお吸いものを1袋イン。
さらさらっと
正直、もうこれでおいしい炊き込みごはんができることは間違いないものの、ここにもうひと具材。
ちぎった焼きするめげそを入れます
スーパーやコンビニの乾きものコーナーにある、するめ。実はそのまま炊き込みごはんの具にすると、おいしい“いかメシ”になるんですよ。ただ今回は、炊飯時間わずか15分の「炊き立て丼」での調理。はたしてどこまで、いかがやわらかくなってくれるかがポイントですね。
また、おかずトレイにはこう。
たらこをどん!
近年、生はもちろん、焼きや炙りのたらこが妙に好きなんです。個人的に。そこで、蒸したらこに挑戦してみようというわけ。
では炊飯&調理スタート。で、20分後。
たらこ、しっかり火が通りました
ごはんもいい感じ
試しにいかげそを1本食べてみると、ほんのりと歯ごたえはあるけれど、炊き込みごはんの具として違和感ないくらいにはやわらかくなっています。
いい香り〜
それでは、蒸したらことともに、いただきます!
これまた幸せ……
上品な香りと味の炊き込みごはんには、いかの旨味がしっかりと加わって奥深い味わい。ほっくりと蒸しあがったたらこの塩気との相性もばっちりで、もはや高級和食店の味ですね、ここまでいくと。
ラストは、今回いくつか思いついた中でもいちばん未知数。うまくいくかどうかは作ってみないとわからないメニューに挑戦してみようと思います。ずばり、オムライス! 温めというレベルを超えて、蒸し調理をしてみます。
まずはお米と水(具材を多めに入れたいので、水をほんのり多めにしてます)。そこに、目分量でケチャップを投入。
これくらい入れました
さらに、塩、コショウ少々も目分量で加えて全体をよく混ぜたら、冷凍のミックスベジタブルと、サイコロ状に切ったベーコンを、これまた目分量でイン。
ここで、今回の記事でついに、包丁が導入されましたね(ベーコンのカットに使用)。逆に言えば、今までは箸以外の一切の調理道具を使ってこなかったというのがすごい。
こうなりました
で、これまた初登場となる「別容器」で生玉子2個をなるべくよ〜く混ぜてから、おかずトレイに移します。別容器で混ぜた理由は、おかずトレイよりかき混ぜやすそうだから。
後はこれらをセットし、スイッチオン。
ドキドキ……
ドキドキしながら20分後を待ち、いざフタをとってみると、予想外の展開が待っていました。
え、なにこのふわふわ!?
まるでスフレのような、もしくは韓国料理のケランチムにも似たような、ふわっふわな物体がそこにあったのでした。玉子をよ〜く混ぜて蒸すと、こうなるのか……。
ごはんもいい感じ
土台となるチキンライス、ならぬベーコンケチャップライスも、ばっちりいい具合に炊けてくれました。
少し味見をしてみると、うん、問題なし
そこに玉子を乗せて
ちなみに玉子は1分もしないうちにだいぶしぼんでしまいましたが、とにかく進めます。
ケチャップをかけて
完成! 「炊き立て丼」だけで作った、オムライス!
今流行りのとろとろ系や、薄焼玉子で美しくくるんだ昔ながらの洋食系とは異なる仕上がりですが、ごはんも玉子も調理したて。つまり、ちゃんとおいしい!
この玉子の厚み
しっかりめな食感の玉子と、炊きたてごはん、ケチャップ、ベーコンの塩気などのハーモニーが抜群です。強いて言えば、玉子かごはん、どっちかにバターを少々加えておいたらさらによかったかもな〜。
というわけで、興味本位で買ってみたら、便利さもおいしさも、それぞれに事前の想像を大きく超えてきた、「炊き立て丼」。どんな料理が作れるかの模索も含めて楽しい調理器具でした。
使い慣れれば、何も考えなくてもセットから調理完了までを一連の動作としてこなせるようになるし、ひとり暮らしを始めたばかりの方や、毎日仕事が忙しいけれど、出来たての温かいごはんが食べたい人なんかにはうってつけかと。炊飯器と食器を兼ねているので、洗い物が少ないのも大きなメリットです。さらにその洗い物も食洗機対応と、調理からお手入れまで、とことんラクできるように作られています。
ほか、何かデメリットってあったかな〜。強いて言えば、収納場所を意外にとること。後は電源コードが若干短いので、置きたい場所に届かない場合は延長コードを使ったほうが便利、くらいでしょうか。いや、どんな家電もそりゃそうか。