長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第61回は、暑い夏を快適に過ごすための必須アイテム、扇風機・サーキュレーターについて、2025年の最新トレンドを解説する。
気候変動などの影響もあり、最近はやたらと暑い日本の夏。多くの家庭ではエアコンで涼を取っていると思うが、それと併用することで、さらに涼しくこの時期を過ごせるようになるアイテムが、扇風機やサーキュレーターなどの送風機である。
扇風機とサーキュレーターの大きな違いは、扇風機が人体に向けてやわらかな風を送る製品であるのに対し、サーキュレーターは部屋の空気を大きく動かすために強い風を送る製品だという点だ。ファンで風を作り出して送り出すという意味では同じような構造の製品だが、その目的は大きく異なるので、基本的にどちらかでどちらかを補うことはできない。ただ、最近では扇風機にサーキュレーション機能を搭載させたものも出ているので、こうしたものを使えば、1台2役として使用できる。
【図1】価格.com「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)
図1は、過去3年間における価格.com「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーの閲覧者数推移を示したものだ。毎年ほぼ同じような需要の増減が見られ、需要自体はほぼ横ばいであることがわかる。需要が増加してくるのは4月からで、ピークはほぼ7月。9月には需要はかなり下がり、以降は低い数値のまま推移するという形だ。
なお、冬場でもある程度の需要が維持されているのは、サーキュレーターの需要がそこそこあるからだ。サーキュレーターはエアコンの冷房だけでなく暖房とも併用することで、部屋の空気を攪拌して快適な状態にできるので、冬場の暖房使用時にも一定の需要は存在する。
【図2】価格.com「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3か月)
図2は、同カテゴリーの過去3か月の閲覧者数推移を示したものだが、今年2025年の場合も、4月中旬くらいから需要が大きく伸び出したことがわかる。東京都の最高気温が20度を超えたのが4月6日なので、ほぼこれに呼応した動きと言っていいだろう。売れ筋人気ランキングの上位製品も、この時期を境にサーキュレーター中心から扇風機中心に入れ替わってきており、季節の変化を感じ取れる結果になっている。
【図3】価格.com「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーにおける主要メーカー別閲覧者数推移(過去半年)
図3は、過去半年における、価格.com「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーの主要メーカー別の閲覧者数推移を示したものだ。これを見ると、サーキュレーター需要が中心の2月くらいまでは、サーキュレーターを多数ラインアップするアイリスオーヤマの人気が高いが、3月中旬くらいから扇風機の需要が増してくると、YAMAZENやシャープのアクセスが大きく伸び、アイリスオーヤマも含めたトップ3のグループを形作っている。そのほか、「エアマルチプライヤー」シリーズを展開するダイソンや、低価格モデルが人気のテクノスなどが4位グループを形成して、次点につける展開だ。なお、ダイソンの製品は、価格.comでは、ヒーター機能付きのモデルが「ヒーター・ストーブ」、加湿機能付きのものが「加湿器」というようにカテゴリーが異なっているため、これが「エアマルチプライヤー」シリーズの総数ではないことはご承知いただきたい。
【図4】価格.com「扇風機・サーキュレーター」カテゴリーにおける人気製品別閲覧者数推移(過去半年)
さらに、人気製品ごとの閲覧者数推移を示したのが図4だ。図3と同様、2月まではアイリスオーヤマのサーキュレーター「PCF-SDC15T-EC-W」がダントツの人気であったが、3月中旬くらいから、まずはシャープの扇風機「PJ-S3DS-W」が伸び始め、少し遅れて、YAMAZENの「YLR-YD30(W)」などが伸びてくる。日立「HEF-AL300F」やテクノス「KI-1710(W)」などは、上記2製品ほどは伸びてはいないが、それでも安定した伸びを示していることがわかる。今後はこれら扇風機の需要がさらにグンと上がってくることだろう。
ちなみに、上記4製品の扇風機のうち、最安価格が1万円を超えているのは、シャープ「PJ-S3DS-W」と日立「HEF-AL300F」のみ。ただ「HEF-AL300F」は、静音・高トルクなDCモーター採用機ではなくACモーター採用機となる。YAMAZEN「YLR-YD30(W)」とテクノス「KI-1710(W)」はいずれも5,000円を下回る低価格モデルだが、前者はDCモーター、後者はACモーター採用機となる。
このように、ここ数年の扇風機のトレンドとして、一時期一定の人気を得たDCモーター搭載の高級機の人気がやや落ちてきており、高級モデルで人気なのはシャープのみという状態が続いている。いっぽうで、YAMAZENなどが販売する低価格のDCモーター搭載機は人気があり、DCモーター搭載機でも5,000〜7,000円程度で購入できる低価格モデルへ人気がシフトしている。
このほか、サーキュレーターでは、アイリスオーヤマの一強状態がずっと続いており、ほかを寄せ付けない強さを誇っている。価格帯としては1万円前後が人気の中心だ。
※当記事のデータは、「価格.com DataCompass」を使って作成しています。
「価格.com DataCompass」とは、価格.comのビッグデータを基に購入検討ユーザーの動向を分析できる法人向けのマーケティングサービスです。
※最安価格とユーザー満足度・評価は、いずれも2025年5月7日 時点のものです
価格.com最安価格:14,800円
発売日:2024年5月中旬
ユーザー満足度・評価:★4.21(15人)
蝶の羽根を模した「ネイチャーウイング」を採用したDCモーター搭載機。ムラがなく、滑らかで自然な風を作り出し、DCモーターの高トルクを応用した微風と組み合わせることで、長時間当たっていても冷えすぎない快適さを楽しめる。「プラズマラスター」の放出によって、消臭などにも効果が期待できるほか、真上に角度を調整すれば、サーキュレーター代わりとしても使える多機能機。「価格.comプロダクトアワード2024」にて金賞を受賞した高評価モデルだ。
価格.com最安価格:5,571円
発売日:2024年7月
ユーザー満足度・評価:★4.00(3人)
DCモーターを搭載しながらも最安価格で5,000円台という低価格を実現した扇風機。7段階に風量を調節でき、就寝時にはおやすみモードも利用できる。左右角度は30/60/90/120度に設定可能なほか、上下20度まで角度調整ができ、サーキュレーター代わりにも使用可能。なお、YAMAZANからは同様の低価格DCモーター搭載機が数機種ラインアップされている。
価格.com最安価格:10,280円
発売日:2024年4月5日
ユーザー満足度・評価:★4.22(16人)
サーキュレーターの定番モデル「サーキュレーターアイ DC JET PCF-SDC15T」シリーズの最新モデル。ジェット気流効果により、コンパクトでもパワフルな風を生み出すことが可能で、最大28畳の部屋まで対応する。前後左右に自在に首を振れる「スパイラルグリル・ボール型フォルム」によって、部屋のあちこちに強い風を送って、空気を効率よく攪拌できる。風量切り替えは8段階で、4/6/8時間のオンタイマーを搭載。リモコン付き。
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