自宅のリビングで10年くらい使っているエアコンから不快なニオイがするようになり、掃除しても消えない……。冷えが悪く、暖まりも遅いという不満もあったので、「まだ使えるけれど替えてしまおう!」と、2021年にダイキンの「うるさらX(Rシリーズ)」に買い替えたところ、快適すぎてびっくり! 買い替えてから4年経過しましたが、夏も冬も、ほぼ不満はありません。そんな、「うるさらX」を4年間使って感じたことを紹介します。
<「うるさらX」のいいところ&気になったところ、ざっくりまとめ>
・冷える、暖まるが早い! そして温度ムラも少ない
・夏も冬もボタンひとつで快適! 細かなリモコン操作不要
・寒くなりすぎない&ムシムシしない冷房運転
・エアコン内部が4年経ってもきれいなまま!
・買い替えてよかった! でも、ちょっと気になることも……
我が家のリビングは、L字型のカウンターキッチン併設14畳LDK。これまでは、部屋の広さに合わせて適用畳数14畳(冷房4.0kW/暖房5.0kW)のエアコンを使用していました。
リビングの間取りはこんな感じ。断熱対策は、カーテンを厚手の遮熱タイプにしている程度。窓は二重ガラスですが、20年以上前に購入した安普請の建売なのであまり効果はない気がします
購入して数年は快適でしたが、段々と冷暖房の利きがいまいちに……。それがエアコンの経年劣化によるものなのか、部屋の構造によるものなのか、はたまた、そもそもエアコンの性能に問題があったのかはわかりません。ですが、部屋の形がL字型で、通常よりも窓を縦横ともに大きく取っていることもあり、部屋の構造によるところが大きそうだと考え、買い替えるにあたっては1つ上のランク(適用畳数18畳、冷房5.6kW/暖房6.7kWタイプ)を購入しました。
買い替えで選んだ「うるさらX AN56YRBKP-W」は「ビックカメラ」オリジナルモデル。代表型番モデルの「AN56YRP」と機能はほぼ同じです。消費電力量(冷房/暖房)は493/1,162kWh
2021年モデルの最上位機だったため、発売当初の価格は30万円超えでしたが、シーズンオフに差し掛かる9月に購入したこともあり、大幅に値下がりした26万円ほどで購入した記憶があります。需要が高まる6〜8月を過ぎると価格が下がるので、購入費用を抑えたいなら、そういうタイミングを狙うといいでしょう。
エアコンは「冷房は利くけれど暖房は利かない」とよく言われますが、9月に「うるさらX AN56YRBKP-W」に買い替えて、最初に迎えた冬に暖房の利きのよさを実感できました。
まず、暖かくなるのが速い! 東京郊外にある筆者宅では、真冬の早朝は室温が5度を切ることもありますが、「うるさらX AN56YRBKP-W」は通常の暖房運転で5分とかからずに20度まで上昇。買い替える前のエアコンは30分以上かかっていたので、「うるさらX AN56YRBKP-W」の速暖性は相当高いと言えます。通常の暖房運転ですぐに暖まるので、起床前に「入タイマー」を設定する手間がなくなったのもうれしいポイント。
「うるさらX」は真下に風を出し、床に沿って暖気を部屋全体に届ける垂直気流という風向が用意されています。暖かい空気は上に溜まるので、垂直気流は理想的な暖め方だと言えるでしょう
真夏も同じ。酷暑の日でも、すぐに部屋が冷えます。「うるさらX AN56YRBKP-W」は無線LANを内蔵しており、スマートフォンのアプリを使って外出先から冷房運転をオンにすることも可能ですが、素早く部屋が冷えるのでスマホ機能を使ったことはありません。そのくらい、利きがいい!
「うるさらX」の冷房運転はエアコン下部から空気を吸い込み、天井に沿って冷気を吹き出すため、部屋の空気を効率よく循環しながら冷やします
「うるさらX」はコンプレッサーを制御し、冷房時は運転開始後、すぐに湿度を下げて涼しさを届け、暖房時は素早く立ち上がるように設定されています。設定温度(快適温度)に到達するまでの時間が短いということは、最も電力を使う時間が短くて済むということ。節電にもつながりそう。
近年のエアコンは上位モデルの多くに、センサーと気流制御を使った自動運転を搭載しています。「うるさらX」は、部屋の温度や湿度を検知するセンサーと、床や壁の温度(輻射熱)、そして人の有無を検知するセンサーを搭載。これら複数のセンサーを使って、快適な温度、湿度、気流をエアコンが自動で選択してくれる「AI快適自動運転」が秀逸です。
室内機の前側に、人の有無と、床や壁の温度を検知するセンサーを配置。部屋の温度と湿度を検知するセンサーは、室内機に内蔵されています
筆者は、夏も冬も基本的に「AI快適自動運転」を使っています。冷房、暖房を選んで細かなリモコン操作をすることなく、「AI快適自動」ボタンを押すだけでちょうどいい温度・湿度になるので楽。さらに、通常の冷房運転や暖房運転は設定された風量や風向で設定温度を目指して運転しますが、「AI快適自動運転」なら温度の上げ下げに加え、風量や風向も自動コントロール。たとえば、冷房運転は天井に沿うように気流を出しますが、窓からの熱で床の温度が上昇したことを検知すると、垂直気流に切り替えて床付近に冷気を送ってくれます。
その日の温度が何度であろうと「AI快適自動」ボタンを押しておけば、最適な運転が自動で始まります
「AI快適自動運転(暖房)」時の左右ルーバーの様子。エアコンの左側に大きな窓があるので、窓からの冷気を抑えるため自動的に左側に暖かい風が送られています
しかも、運転名のとおり「AI」機能を備えているので、エアコンが使うほど賢くなっていきます。部屋の床、壁の温度(輻射熱)を検知して、この後どのように変化するのかを推測するとともに、運転停止直前の運転内容をエアコンが記憶。その記憶した履歴を基にユーザーの好みを学習し、センシング情報と組み合わせて快適な温度や湿度の空間へと導きます。
「AI快適自動運転」使用時に、暑い・寒いと感じたら「温度調節」ボタンを0.5度刻みでポチポチ。湿度を下げたい・上げたいと思ったら「しつど」ボタンをチョイと押せば、すぐに温度や湿度を調整してくれます。さらに、その情報を記憶して学習するので、次回からはもっと自分好みの快適さになっていくというわけ
正直なところ、AI機能の効果のほどは明確にはわかっていません。ただ、使っているうちに「温度調節」「しつど」ボタンを押す回数が減ってきたので、きっと学習してくれているのだと思います。
買い替える前のエアコンは、暖房時、頭付近は暖かいけど足元が寒いことがよくあり、サーキュレーター機能付きの扇風機を併用していましたが、「うるさらX AN56YRBKP-W」は「AI快適自動運転」のセンサーと気流制御がすぐれているおかげか、エアコンだけで部屋全体がムラなく暖まります。しかも、快適な温度に到達してからは垂直気流に切り替わるので、暖房運転中の大半が足元から暖められている状況。風が当たる不快感は少ないです。
「AI快適自動運転」での暖房は、最初に、風を人に当てない上吹き気流と床や部屋の奥を暖めるワイド気流で空間や床を暖め、快適温度に到達すると、壁と床に沿わせて暖気を届ける垂直気流に切り替わります
さすがにカウンターキッチンまでは冷房・暖房の風は回り込んではきませんが、リビング・ダイニングのスペースは大体どこにいても室温は大きく変わらない印象。床に座っていてもダイニングチェアに座っていても、立ってウロウロしていても、冷気や暖気の溜まりがないので総じて快適です。
素早く快適な温度になり、温度ムラが少ないだけでなく、湿度コントロールも非常にすぐれています。ブランド名「うるるとさらら」の“さらら”の部分ですね。
エアコンの冷房運転では除湿も同時に行われますが、冷房運転は「温度」を優先するため、一般的なエアコンの場合、設定温度まで室温が下がると送風に切り替わります。すると、室内機内部に結露した水分が風に含まれ、湿った空気となって部屋に放出することで湿度が上昇。「エアコンをつけているのに蒸し暑い」「冷房の利きが悪い」などと不快に感じるのは、この「湿度戻り」が原因のひとつです。
そういう状況になると、多くの人がエアコンの設定温度を下げます。しかし、すぐ設定温度に到達して送風に切り替わるため、湿度戻りで蒸し暑くなり、どんどん設定温度を下げるはめに。すると今度は寒くなりすぎて設定温度を上げることになり、湿度が上昇。蒸し暑く感じて、再び、設定温度を下げる……というループに突入します。
設定温度を下げる/上げるの繰り返しはわずらわしく、そして一向に快適にならないので不快極まりない
その点、「うるさらX」は通常の冷房運転でも「AI快適自動運転」でも状況に合わせて「冷房」と「さらら除湿(ハイブリッド方式)」を切り替え、温度と湿度を最適にコントロール。設定温度に到達した後も、寒くならずにしっかり除湿が続きます。
さらら除湿(ハイブリッド方式)のイメージ
このように冷房と除湿を組み合わせて行う「うるさらX」の冷房は「プレミアム冷房」と称されています
「うるさらX AN56YRBKP-W」に買い替えてから夏を3回過ごしましたが、湿度が高いジメジメ・ムシムシの時期でも、設定温度を上げたり下げたりを何度も繰り返したことは一度もありません。エアコンにお任せしておけば、ちょうどいい涼しさのさらっとした快適な空間を維持してくれました。
もう1つ、とても満足しているのが清潔性。特に、簡単にはお手入れできない熱交換器などの汚れを洗い落とす「内部クリーン」機能が優秀なんです。夏は冷房・除湿運転時の結露水で、冬は無給水加湿(詳しくは後述)で加湿された室内の空気から得た水分を使って熱交換器を洗浄。その後、酸化分解力を持ったプラズマ放電「ストリーマ」を熱交換器や吹き出し口の内部など気流通路に照射しながら送風&加熱して乾燥させます。
約85〜135分かけて「内部クリーン」は実行されます
まだ終わらないの? というくらい長い時間、内部洗浄と内部乾燥しているのですが、そのおかげで購入から4年過ぎた今でも熱交換器はきれいなまま! 不快なニオイが出てきたこともありません。
この4年間、一度もエアコンクリーニングは頼んでいませんが、室内機の熱交換器はこんなにきれい
シロッコファンと吹き出し口も何も手入れしていませんが、目立つ汚れはなく、きれい
買い替える前のエアコンもフラッグシップモデルだったので、イオンを放出してエアコン内部のカビの繁殖を防ぐ機能が搭載されていましたが、入れ替え時に内部を見たらカビで真っ黒でした。
買い替える前のエアコンには「フィルター自動お掃除機能」が搭載されていましたが、その奥にある熱交換器にホコリがびっしり!
イオン機能の効果もむなしく、シロッコファンと吹き出し口はカビだらけ……
10年以上使っているうちの、いつからこの状態になっていたのかはわかりません(でも、早々になっていたと思われる……)。その間、カビを室内に吹き出し続けていたのか思うとゾッとします。買い替える前のエアコンにはイオン機能はあっても、加熱乾燥機能は搭載されていませんでした。自身や家族の健康を守るためにも内部洗浄機能は必要ですが、その効果は製品やメーカーによって大きく異なるのでクチコミをチェックしておいたほうがよさそう。
筆者は、冷房・除湿・除湿冷房・AI快適自動運転停止後に自動で「内部クリーン」が始まる設定にしています。自動ではなく、リモコンのボタンを押して手動で実行することも可能
「うるさらX AN56YRBKP-W」に替えて4年、ほぼ満足していますが、少々思うところもあります。
1つは、“うるるとさらら”の“うるる”の部分。「うるさらX」には、外の空気に含まれる水分子だけを取り出し、暖房時に気流とともに放出して加湿する「無給水加湿」機能が搭載されています。11月から12月初旬にかけてはエアコン暖房をかけても、部屋の湿度はあまり下がらず、加湿機能の効果を実感できました。
給水いらずで、暖房しながら加湿できます
ただし、12月中旬から2月くらいにかけては外気がカラカラに乾燥しており、外気から取り込める水分量はたかが知れているので「無給水加湿」機能だけでは加湿が間に合いません。別途、加湿器が必要。気温が低いなか、ガンガンに暖房運転をしているわけですから、室内の空気から抜かれていく水分量を乾燥した外気から補填できるはずはないので、この点に関しては、まぁこんなもんだろうなと納得しています。
もう1つは、「風よけ」機能がないこと。「AI快適自動運転」を使っているので温度や風量、風向が自動調整されるのですが、風の向きが変わると顔に風が当たる場合があります。食事をとるダイニングテーブルの真上にエアコンを設置しているため、暖房時、垂直気流から上向きに風向が切り替わると風が顔に直撃。「AI快適自動運転」は、部屋全体の温度と湿度を快適にするように動くので仕方ないのですが……。こんなときに「風よけ」機能があればなぁと感じます。でも、まぁ、これも、食事時だけリモコンを使ってルーバーの向きを変えるだけで解決するので、大きな不満とはなっていません。
「AI快適自動運転(暖房)」時のワンシーン。安定運転時にはルーバーが下を向き垂直気流で運転していますが、温度が低いところを見つけるとルーバーが可動し、暖気を届けます。なので、座っている位置によっては風が当たることも
そして3つ目は、フィルターの自動お掃除機能。エントリーモデル以上のエアコンに搭載されていることの多い、自動でフィルターに付着した汚れを取り除いてくれる人気の高い機能です。ですが、エアコンの設置場所によっては汚れを取りきれないことも。筆者宅の場合、キッチンとつながったリビングに設置しているので油分を多く吸い込むため、自動お掃除機能だけではフィルターに付着したホコリを取りきれませんでした。
4年間、自動お掃除機能に任せて何も手入れしていなかったフィルター
使用環境により汚れが異なるため、1年に1度お手入れするように記されているので、ここまでなってしまったのは、4年間放置してしまった筆者の落ち度……。自動お掃除機能で取り除いた汚れを溜めるダストボックスは、約10年分のホコリを収納できる容量があるので、ついうっかりしてしまいました。取扱説明書に書かれているように1年に1回チェックしておけば、ここまでのことにはならないと思いますが、油分を吸い込むことが多い環境では手洗いも必要になるかもしれません。
ダストボックスにはこれだけホコリが溜まっていました。熱交換器がきれいだったことを考えると、ホコリはきちんと取り除かれていると思われます。油分が多く出る場所でなければ、フィルターを手洗いする頻度は少なくて済みそう
エアコンの価格差は快適性と清潔性に出ます。近年、夏は長期に渡って暑い日が続き、エアコン冷房が昼夜を問わず必要。電気代も気になるところではありますが、熱中症にならないためにも部屋に適した冷暖房能力と快適性能を兼ね備えたエアコンを選びましょう。
そして、清潔性能も大切。フィルター清掃は自分でもできますが、熱交換器などカビやすい内部機構を自分で掃除するのは困難なので、内部洗浄などの清潔機能はあったほうが絶対いい! ただし、上述のとおり、製品やメーカーにより効果に大きな差が出ます。こればかりは長年使わないとわからないので、クチコミなどをチェックしたほうが賢明でしょう。
今回紹介した「うるさらX」は、1つも不満がないというわけではありませんが、4年間使って満足している部分のほうが多いので、選んでよかったと思っています。
なお、筆者が使用している2021年モデルの「うるさらX」はすでに販売終了していますが、以降に発売されたモデルにも、筆者が気に入った「AI快適自動運転」「素早く快適になる冷暖房」「寒くなりすぎない&蒸し暑くならない冷房」「内部クリーン」などの機能は搭載されています。さらに、機能をブラッシュアップ&追加するなど進化しているので、どのモデルを選んでも筆者と同じような満足感が得られるはず。導入費用と相談してぴったりの一台を見つけてください。
<「うるさらX(Rシリーズ)」の主な進化点>
●2022年モデル→「さらら除湿」が熱交換器の加熱温度も調整できるリニアハイブリッド方式に進化、室外機の構造を変更、排気換気機能を追加、除湿量が向上、浮遊ウイルスを捕集する「抗ウイルスフィルター」搭載
●2023年モデル→除湿量と加湿量が向上、静音性を高める「吸音マフラー」装備、ドレンパンに銀イオン抗菌剤搭載
●2024年モデル→安定運転時に消費電力を削減する「節電自動」運転を追加、圧縮機などを改良して省エネ性アップ
●2025年モデル→「節電自動」運転に湿度コントロールを追加、消費電力を抑えながら快適な温度と湿度で冷暖房を行う「節電除湿冷房」運転と「節電加湿暖房」運転に対応