家電が大好きな筆者はさまざまな掃除機を試していますが、なかでも今年の春に使用したアイリスオーヤマの「超軽量スティッククリーナー IC-SLDC1」(以下、IC-SLDC1)はかなり印象的でした。何と言っても注目なのが、掃除機全体で1.3kgという軽さ。掃除機にもかかわらず、フローリングワイパーのように手軽に使用できるのです! そして、そんなアイリスオーヤマから今度は「ペット用」の軽量コードレス掃除機「Design for Pets PIC-SLDC1」が発売。ペットのいる我が家で、これを試さないわけにはいきません!
今回試用したのは、ペット用軽量スティッククリーナー「 Design for Pets PIC-SLDC1」(以下、PIC-SLDC1)。じつはこれ、以前使ったIC-SLDC1とほとんど同じ製品。異なっているのは、床掃除用のフロアヘッドが「超吸引毛取りヘッド」になり、ペットの抜け毛用に強化されている点と、付属品に「ハンディ毛取りノズル」が追加された点です。 そんなわけで、掃除機の基本性能は以前と同じ。本体重量は約950gとかなり軽量。また、フロアヘッドは以前より100gほど重くなったため、延長パイプとヘッド込みの重量は1.4kg。100g重くなったとはいえ、あいかわらず驚くほど軽い! そして小型ながら、充電時間が約3時間で、最大約30分使用できるバッテリー寿命の長さも健在です。
本体部は950gと非常に軽量。サイズは約W10.1×D45.9×H10.7cm。本体先部に収納されているブラシを引き出すことで、ハンディクリーナーとしても利用できる
延長ホースとヘッドを装着することで、通常のコードレススティック掃除機としても利用できる。もちろん延長ホースなしでヘッドを装着することもできる。延長ホースなしだと、階段などの高い位置の掃除が非常にラク!
ホコリを感知して吸引力を自動制御する「ほこり感知センサー」も以前とかわらず搭載。汚れた場所では手元のセンサーが赤色に光り、ゴミを吸い取ったあとは緑色に変わるので、掃除がきちんとできたか、目で確認できるのもうれしい点です。
キレイな床では緑、ほこりを感知すると赤色に光るほこりセンサーは、「掃除した」という満足感を味わえる
延長ホースとヘッドを装着することで、通常のコードレススティック掃除機としても利用できる。もちろん延長ホースなしでヘッドを装着することもできる。延長ホースなしだと、階段などの高い位置の掃除が非常にラク!
PIC-SLDC1で注目したいのは、何といっても新設計の「ヘッド」部分です。以前のフロアヘッドは、ヘッド内にサイクロン気流を作ってゴミを吸引する仕組み。このため、ヘッドの内部は空洞でした。しかし、ペット用の「超吸引毛取りヘッド」は、ヘッド内にロールタイプのパイル状起毛生地が配置されています。 この生地は、洋服のホコリやゴミを除去するリントブラシ(エチケットブラシ)と同じもの。そのため、電源を入れていない状態でも、ヘッドをコロコロと転がせば、布などにガッチリ絡みついた毛までモリモリ剥がしとってくれます。アイリスオーヤマではペット用のコロコロ型リントブラシ「簡単抜け毛取りクリーナー」も発売しているので、ブラシの性能はなかなかのものです。今まで「吸引するだけ」の掃除機では取りきれなかったへばり付いた毛もどんどん掃除できました。もちろん、電源を入れた状態で掃除をすれば、起毛生地で剥がした抜け毛を自動的にダストパックに集塵し、片付けの手間もかかりません。
そして、面白いのが、この起毛ロール部は半円形状なこと。このため、ロールは最大でも前後に90°ずつしか回転しません。前後に90°ずつ回転することで、効率よく抜け毛を集じんし、さらにロールが完全に回転しないことで、長い毛がロールに絡まることも抑制します。筆者の髪型はロングなので、ロールブラシタイプの掃除機を使用すると6畳に一度くらいの頻度でロールに絡みついた毛を「切り取る」作業が必要でした。しかし、本製品では、これらの面倒な作業が必要ありません。とはいえ、その分長い毛の掃除も少々苦手なようで、50cmを超えるような長さの髪は、うまく吸い込めないこともよくありました。
ペット用の「超吸引毛取りヘッド」は、ロール部が洋服用ほこり取りのリントブラシと同じ素材
ロール中央部には上下に動くシリコン状のワイパーも配置されており、フローリング上のゴミをかき集めてくれる
犬の抜け毛を擦り込んだカーペットを超吸引ヘッドで2往復したところ。写真左側は掃除前。右が掃除後。右はほとんどの抜け毛が掃除できている
粉状のゴミの代わりに、カーペットに小麦粉を撒いて2往復したところ。写真左は掃除前、右が掃除後。掃除後も、繊維の間にうっすらと粉が残ってしまっていた
360度回転するブラシではないので、筆者のような50cmを超えるロングヘアは掃除しきれなかった。ただし、ロールにグルッと巻き付かないので髪は指でつまむだけで簡単に外れるメリットもある
「なんでも強力に吸い込む」掃除機ではないが、抜け毛にはかなり効果的。軽くて扱いやすいので、ちょっとした汚れを掃除するのが苦にならない
PIC-SLDC1には、フロアヘッド以外に「ハンディ毛取りノズル」も付属します。こちらは手の直径約8cmの円形タイプのノズル。こちらにも毛やホコリを吸着する起毛生地が配置されており、布製品の上でクルクルと回すことで張り付いた抜け毛を集めることができます。
ハンディ毛取りノズルは、サイズが小さいためクッションや車内などの掃除などに力を発揮します。またヘッド先の穴が小さいためか、フロアヘッドよりも吸引力は強いように感じました。重さもフロアヘッドよりかなり軽いので、取り扱いがラクなのも良いですね。
細かな場所の汚れに力を発揮する付属品「ハンディ毛取りノズル」円形ノズルのまわりに起毛パイル生地が配置されている
こちらは、ノズル先をクルクルと円形に回しながら掃除する。我が家ではクッションやカーテンなどの掃除に力を発揮した
犬の抜け毛を擦り込んだカーペットを毛取りノズルで掃除したところ。写真左側は掃除前。右が掃除後。カーペットをこすることで抜け毛以外のゴミもとれたのか、カーペットの色が鮮やかになっている
粉状のゴミの代わりに、カーペットに小麦粉を撒いて2往復したところ。写真左は掃除前、右が掃除後。毛取りノズルでは粉ゴミもほとんど掃除できた。フロアヘッドと比較するとかなり粉ゴミに強い
ところで、この製品。非常によく抜け毛を取ってくれるのですが、その分大量にゴミが集じんされます。そのため、容量0.35Lのダストパックがあっという間溜まるという弊害も……。紙パック式はランニングコストがかかるので賛否両論がありますが、個人的には「汚いゴミを見ないで処理できる」「掃除機のダスト集じん部が汚れない」などの点で紙パック式も便利だと思いました。とくに、犬のいる我が家では、サイクロン式掃除機の集じんカップ部に、静電気で抜け毛がへばりつくことがあるので、紙パック式はメンテナンス性の高さでも好評。また、「パックを指でつまんでゴミ箱にポイ」と手軽に捨てられるため、ダストを捨てる時にゴミ箱から飛び散ってしまうといった失敗もありません。ちなみに、使い捨てのダストパック「FDPAG1414」は1パック25枚入り。現在、価格.comの最安値で429円(2015年8月23日現在)と、1枚約17円程度のコストです。
ゴミ捨ては、本体を開いてゴミパックをオレンジ色のアダプターから外して捨てるだけ。汚いゴミを見る必要もなく、ゴミが飛び散る心配もない。なにより、ゴミパックのいらないサイクロン式と比較して、本体が汚れないのはかなりうれしい
犬や猫にとっては、フローリング床材は滑りやすく足腰に負担が大きいため、我が家でも床面のほとんどをタイルカーペットにしています。しかし、カーペットは手軽なフロアワイパーが使用できず「掃除が面倒」という新たな悩みができてしまいました。そんな人にとって、軽量で取り扱いのしやすいPIC-SLDC1は非常に便利。とくに、ペット用と謳うだけあり、カーペットやファブリックにへばり付いたペットの毛にはかなり効果的です。
とはいえ、PIC-SLDC1はカーペットの繊維の間に入り込んだ細かな粉汚れには、強いとはいえません。そのため、カーペット床材が多い住居ならば普段はサブの掃除機として使うのがよさそうです。一方、本製品はフローリングならば細かなゴミまでほとんど掃除してくれるので、1台でも満足できると思われます。