今、無水鍋などを使った「無水調理」が、料理を作る人の間では大人気です。無水調理とは、読んで字のごとく、密閉性の高い鍋などを用い水を使わずにその食材の水分をだけを活用し煮炊きをする調理方法。水を使わないことで水に溶けやすい栄養素を逃すことなく、また、甘みなど、食材本来の美味しさをより引き出すことができるというのが人気の理由となっています。
とはいえ、無水調理は、火の番や火加減はもちろんですが、いい具合を見計らってサッと混ぜないとコゲてしまったり、炊ききれてないのにふたを開けて水分を飛ばさないよう調理時間を意識したりと、ちょっと手間がかかります。使ったことがある方はご存知だと思いますが、経験がモノを言うという感じでしょうか。
そんな無水調理の手間をいっさい省いてくれる家電が登場しました。それが、ヘルシオシリーズ第5弾となる「電気無水鍋 ヘルシオ ホットクック KN-HT99A」(以下、ホットクック)。電気無水鍋は業界初(2015年9月現在)。発売は11月5日ですが、この画期的な製品を先駆けて、見て、触って、食べきたので、その様子をレポートします。
健康的な「無水調理」が手間をかけずに手軽にできる「電気無水鍋 ヘルシオ ホットクック KN-HT99A」。本体サイズは、364(幅)×224(高さ)×280(奥行)mm。重量は約5.2kg。電源コードの長さ約1.8m。ボディカラーは、シリーズでおなじみのレッド系。価格はオープン(市場想定価格は6万円前後/税別)。ちなみに「ホットクック」は、“ほっとく”からきているそう。よく見ると、型番がHT99(ホットクック)!
「無水調理」をすることで、例えば、大根のビタミンCは約1.5倍、ほうれん草の葉酸は約1.8倍、ミネラル(マグネシウム)は約1.6倍多く残るそうです。内食派には人気のこの無水調理ですが、そのいっぽうでは“意外に難しい”“手間がかかる”と敬遠する声もあるそうです
「無水調理」を知らない方の為に、「ホットクック」で作ったカレーを先にご覧いただきましょう。左が、カレーの食材。水を加えずこの食材だけで右のようなカレーが出来上がります。味のレポートは、後ほど
健康面や味のメリットはわかっていてもちょっと手間がかかる無水調理。「ホットクック」は、新開発の「まぜ技ユニット」や温度センサー、蒸気センサーの搭載により、これまで手間だったかき混ぜや火加減のコントロール、調理時間の調整をすべて自動でコントロール。食材を入れてコースを選びスタートすれば、あとは勝手に無水調理を行ってくれるというのです。早速、気になるその仕組みと、実際に作ったメニュー、そしてその味を紹介していきましょう。
見た目は大きめの炊飯器といったところ。消費電力は600W、容量が1.6L。写真左は調理中の「ホットクック」。上部(フタ)に小さなガラス窓があり、調理の様子をチェックすることができます
本体内部には蒸気センサーと温度センサーを搭載し、このデータから火加減を自動で微調整。無水調理で起こりがちな焦げ付きを防いでくれます。また、内ブタに施された円錐形の突起「旨みドリップ加工」により、食材から発生した蒸気を水滴にして鍋の中に循環させ、無水調理を行う仕組みになっています。さらに注目なのは、メニューに合わせて最適なタイミングで具材をかき混ぜる「まぜ技ユニット」の搭載。「負荷センサー」を内蔵し、メニューや食材の量、状態にあわせて最適なタイミングと回転速度で攪拌してくれるそうです
例えば「肉じゃが」では、まだ食材が硬いと判断すれば回転速度を上げてしっかり攪拌し食材に味がなじませ、食材にある程度火がとおり柔らかくなったと判断すると回転速度を落として攪拌。こういった繊細な制御により、味はしっかりと染み込んでいるのに煮崩れしていない美味しい肉じゃがが出来上がるというわけ
「まぜ技ユニット」による攪拌の様子を下動画でご覧ください(デモンストレーション用の特別機)。弱火時ととろ火字の攪拌具合が違うのがわかります
左は「まぜ技ユニット」不使用、右は「まぜ技ユニット」を使用して調理した肉じゃが。“見た目の美味しさ”も全然違う!
会場では、実際にその場で「ホットクック」で調理したできたての“無水カレー”がふるまわれました。調理したのは4人分。1人220g分の野菜が入っているそうです。野菜も肉(鶏)もトロトロ。香辛料の風味が強いメニューなのに、素材の味が濃く感じられました。野菜の好き嫌いが多い子供だけでなく、たくさんの野菜を食べても食べ疲れないので、お年寄りにもよさそう
付け合せの里芋の煮物。煮崩れしていないのに、味はいい具合に染み込んでいます。美しいグラデーション
「ホットクック」のもう1つの大きな魅力となりそうなのが、食べたい時間に合わせて料理を仕上げてくれる「食べごろ予約調理」機能。これ、単なるタイマー設定ではなく、細かい温度制御が行われているのがポイント。調理をスタートすると、まず高温で加熱し食材に火をとおし、その後、温度を下げて味をしみ込ませ煮込んでいきます。さらにその後は、設定された仕上がり時間まで食品が腐りにくい温度(70℃前後)をキープして保温します。最大予約調理時間は12時間となっています。朝セットしておけば、いい感じに仕上がったカレーや煮物を帰宅してすぐに食べられるなんて、シアワセ! 煮物はいたみやすいので、特に夏場など、この機能はとでもありがたいですね
同社によれば、「日本人は和食が好きな人が多い」という。その証拠に、和食を作るのに欠かせない煮炊きをする「鍋」は、サイズや用途の違いによって使い分けられ、平均して各家庭に8個ほどの鍋を所有しているのだそう。健康志向が高まる中、さらに和食は注目されています。そのいっぽうで、「作るのにはハードルが高いと感じている人も多い」のだそう。そこで、「健康な食生活をサポートする」がテーマのヘルシオシリーズに、「煮炊き」が中心の和食にぴったりの「鍋」が必要だと考えたそうです。
「ホットクック」はヘルシオシリーズ第5弾。オーブンやグリルによる調理は欧米式の調理文化。同社は、「電気無水鍋 ホットクック」は、そういった日本人の食文化に最適な調理家電だとし、健康寿命を延ばす一助となればとアピール
日常使いを提案する「ホットクック」は、調理メニューも充実。付属のレシピブックには、85種類の自動メニューと15種類の手動メニューが掲載されています。操作パネルはシンプルで操作はとても簡単そう
煮物や焚き物だけでなく、ヨーグルトや甘酒といった「発酵メニュー」も手軽の作ることができるそう。さまざまな調理に対応できる“新しい鍋”で、さまざまな食卓メニューが提案されていました
毎日忙しい中にあって、最近特に健康が気になる年齢(アラフォー)の筆者としては、かなり魅力的な「ホットクック」。勝手に無水調理メニューを美味しく仕上げてくれるだけでも購買意欲をそそられるのですが、特に魅力的なのは「食べごろ予約調理」機能。炊飯器にはあっても、こういった調理系の家電でここまで細やかに“食べごろ”を見計らってくれるものはあまりないのです。日頃よく使っている電気圧力鍋にそういう機能があればどんなにいいか、常々思っていた筆者。……でも、6万円という価格はちょっと気になるところでしょうか。
ちなみに、本製品開発にあたって、電気圧力鍋と比較した調理時間の短縮など、“時短”につては特に考えていないとのことでした。あくまで、健康によい「無水調理」メニューを、手間なく美味しく手軽に調理するという点にこだわったそうです。