レビュー

大掃除の救世主となるか? パワフルなハンディスチームクリーナーで家中掃除した結果

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

年末になると……面倒なのが大掃除。なかでも台所にこびりついた油汚れは、ちょっとした掃除ではなかなか落ちない。こんな時に便利なのが「スチームクリーナー」。時間とともにこびりついた油汚れも、高温のスチームならかなりキレイになる。また、床掃除アタッチメントがあるものならば、カーペットやラグなど布団のように頻繁に「干す」ことができない物もスチームで簡単にきれいにできるらしい。特に我が家には犬がいるので、掃除機感覚で頻繁に除菌・殺菌ができるスチームクリーナーは非常に気になるアイテムなのだ。そこで今回チョイスしたのは、アイリスオーヤマの「スチームクリーナーハンディタイプ STM-306」(以下、STM-306)。“1台で家中の掃除ができる”という謳い文句が筆者にヒットした。

アイリスオーヤマ「スチームクリーナーハンディタイプ STM-306」

ボイラー式だからパワフルなスチームを実現

STM-306は、「ボイラー式」タイプのスチームクリーナーだ。実は、スチームクリーナーを選択する際の重要なポイントとして、「ボイラー式」と「パネル式」どちらのタイプを選択するかという点がある。まずは、それぞれの特徴を紹介しておこう。

ボイラー式はタンク内で熱湯を高温で沸かすタイプで、高温で安定したスチームを連続噴射できる。一方、パネル式は熱した鉄板の上に水を通すことで一瞬にして熱湯を作り出すのが特徴だ。それぞれのメリットデメリットは以下のようになっている。

●ボイラー式
メリット

・比較的パワーがある
・パネル式よりスチーム温度が高め
・安定したスチームを噴射できる
・加圧式ならゴミを吹き飛ばして掃除できる
デメリット
・加熱時間に数分かかる
・掃除中に給水できない

●パネル式
メリット

・スタートまでの時間が数十秒と短い
・水が無くなったら継ぎ足しができる
・安価な製品が多い
デメリット
・スチーム温度が低め
・スチームが安定しにくい

実は我が家には、すでに数年前に購入した同社のパネル式スチームクリーナーがある。日常の掃除には満足しているものの、大掃除に利用するには少々パワー不足を感じていたのだ。そこで、年末の大掃除にむけて「パワフル」と評判のボイラー型スチーマーも試してみたくなったのである。

本体サイズは約24.3(幅)×約15.4(奥行)×約24.5(高さ)cm。重量は約2kg。給湯ポットにホースがついたようなデザイン

本体上部には給水タンクに水をいれる給水口を配置。給水口周りはすり鉢状にへこんでおり、少々水があふれてもこぼれない

“丸ボタンを押しながらメインロックをスライドさせる”と稼動するというチャイルドロック式を採用。タンク加圧中は給水キャップが回らないなど、随所に安全設計がされている

豊富なアタッチメントでさまざまな用途に

STM-306の特徴は、コンパクトながらパワフルなこと。使い方は非常に簡単で、給水タンクに水を入れてキャップを閉め、メインスイッチを入れるだけ。約3分ほどでスイッチの色が赤から緑に変化。これがタンク内の水の加熱が終了した合図。あとは、チャイルドロックを解除して、ホースの先にあるガン型の蒸気吹き付け部のスチームレバーを引いて蒸気を噴射する。説明書には「噴射待ち時間は約5分」とあったが、実際に使ったところ、満水時もだいたい3分ほどで使えるようになった。

タンク内に圧力をかけるためか、給水口はかなり狭い。このためじょうごを使用して給水する必要があり給水には少々手間がかかる

本体正面のボタンを押すと加熱開始。加熱中はボタンが赤、加熱が完了すると緑色に光る。満水時では、加熱完了までに約3分ほどかかった

最大噴射圧力が約3気圧あるので、スチームの勢いがかなり強い!

最大噴射圧力が約3気圧あるので、スチームの勢いがかなり強い!

本体の重さは約2kgだがタンク容量が300mlあるので、満水状態では約2.3kgほどになる。手で長時間持って作業するには少々重いが、ホース部分が約1.2mと長いので、ほとんどの掃除は本体を床や台に乗せた状態で行える。このため、意外に重さは感じにくい。また、ガン部を本体に装着すると、片手でSTM-306を持ち運びできるのも便利だった。

スチームを噴射するガン部は本体から分離して使用できるほか、本体に接続して一体化させることもできる

スチームを噴射するガン部は本体から分離して使用できるほか、本体に接続して一体化させることもできる

何も装着しない“ガン単体”で使用するだけでなく、アタッチメントを接続することで、さまざまな用途に利用できる。これらアタッチメントの豊富さも本製品の特徴。アタッチメントには、スチーム噴射角度を90度曲げられる「アングルノズル」や、床掃除に力を発揮する「コンパクトフロアノズル」。カーペット掃除時に床を滑らせやすくする「カーペットグライダー」、床用ノズルよりも細かな面を掃除できる「コンパクトノズル」、噴射口のまわりにブラシが配置された「ポイントブラシ」などがある。ポイントブラシは、用途ごとに使い分けられるように最初から3本付属しているほか、フロアノズルとコンパクトノズルには専用のマイクロファイバーパッドが2枚づつ付属する。付属品の数が多いので、収納場所はそれなりに必要となる。

付属品は、コンパクトフロアノズル、カーペットグライダー、コンパクトノズル、ポイントブラシ(3本)、アングルノズル、コンパクトノズル用マイクロファイバーパッド(2枚)、フロアノズル用マイクロファイバーパッド(2枚)、延長パイプ、給水カップ、じょうご

床から油汚れまでスッキリ掃除

実際に掃除をしたところ、やはり油汚れを落とす力はかなり強い。もともとパネル式スチーマーを使用している筆者の感想としては、スチーム式が「汚れを包み込み、はがれやすくする」のに対し、STM-306は「スチームの圧力で汚れを吹っ飛ばす」勢いがあった。あきらかにスチームの量や勢いがよく、今まで落ちなかった汚れもどんどん取れる。とはいえ、コゲなどの一部の汚れはスチームだけでは取れない。とはいえ、こういった汚れは、ブラシアタッチメントで軽くこすればあっという間にキレイになった。

まずは、油とコゲで汚れきったコンロを掃除。スチームを吹き付けると、油汚れは次々と吹き飛ばされる

まずは、油とコゲで汚れきったコンロを掃除。スチームを吹き付けると、油汚れは次々と吹き飛ばされる

ガンノズル単体だと、コゲなどはとれにくく、狭い範囲しか掃除できないのでブラシアタッチメントを使用した。固いブラシでゴリゴリと汚れが落ちる

掃除後に、汚れと水をサッと雑巾で拭くとこのようにキレイになった

掃除後に、汚れと水をサッと雑巾で拭くとこのようにキレイになった

コンロ後ろの壁など、広い面の汚れはファイバーパッドをかぶせたコンパクトノズルで掃除。軽く拭くだけで、あっという間にパッドが汚れる

アタッチメントを付け替えて、床掃除なども簡単に行える。ただし、使い始めは、スチームの前に水が出てくるので注意が必要だ。最初に水を捨てておかないと、床などが水浸しになってしまう。掃除後のフローリングは、裸足で歩いてもサラサラして快適。カーペットは掃除後も見た目はほとんど変わらないが、使用したパッドはかなり汚れるのでキレイになっているのだと実感した。

コンパクトフロアノズル裏には、マジックテープ状の黒いパーツが配置されており、パッドをのせるだけで強力に張り付く。絨毯など滑りにくい場所を掃除する場合は、さらにカーペットグライダーをかぶせる

延長ホースを装着すれば、掃除機のように掃除できる、腰をかがめる必要がないので床掃除がラク!

延長ホースを装着すれば、掃除機のように掃除できる、腰をかがめる必要がないので床掃除がラク!

カーペットのにこぼした液体の染み抜きなども簡単。一回スチームを当てただけでケチャップのシミなども簡単に落ちた(以下の動画参照)

ちなみに、個人的に一番ラクになったのが窓掃除。コンパクトフロアノズルで窓をササッと拭くだけで、5分もかからずリビングの大き目の窓が掃除できる。いままでは、窓用洗剤を使っても「洗剤の拭き跡」が残っていたのだが、水だけでピカピカになるのもうれしい。ただし、掃除後の窓は水滴が残るため、軽い空ぶきは必要だ。

面倒な「窓掃除」も、スチーマーがあればあっという間に終わる。延長ホースで、高い場所もラクに掃除できるのもうれしい

「1回の掃除時間は約12分。給水から再運転まで約20分」をどう思うか

ところで、ボイラー式で一番のネックとなるのが連続使用ができないこと。本製品の連続使用時間は約12分。12分あればリビングの床掃除などは十分できるのだが、台所の細かな掃除までするには少々時間が不足する。そのため、12分以上使用する場合は、再給水が必要だ。しかし、タンクに圧力がかかっている状態だとキャップが開かないため、少々時間がかかる。圧力が抜けるまでの時間は使用環境などにより変わるが、自然に圧力が抜けてキャップが開くようになるまで、我が家では15分ほどかかった。ここから再給水し、内部の水を加熱が必要。このため、水がなくなってから給水・再運転するまでには約20分ほど必要となる。

ちなみに、電源を切った状態でスチームを出し続けることで圧力を1分ほどで抜くこともできた。この方法だと再運転までは5分ほど。ただし、タンクが熱いうちに水を注入すると、お湯が吹きこぼれる可能性があるので、説明書には「タンクが冷えてから給水」と書いてあり、このあたりは自己責任になりそうだ。

まとめ

今まで同社製のパネル式スチーマーを使用していたが、パワーの差は歴然。とくに、スチームの圧力が高いので、スチームの圧力で汚れを吹き飛ばすのを実感できた。給水に「じょうご」が必要だったり、再給水に時間がかかるなどのデメリットもあるものの、やはり掃除家電なので掃除のパワーがあるのは非常に重要! 今や我が家では、日常の手軽な掃除にはパネル式、ポイント掃除や大掃除などの気合が入った掃除には本製品といった使い分けをしている。

倉本 春
Writer
倉本 春
パソコン雑誌編集者からドッグカフェオーナーという、異色の経歴を経た家電ライター。家電を活用することで、いかに家事の手を抜くかに日々頭を悩ませている。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×