知っ得!納得!今旬デジタルキーワード事典
IoTで実現する便利な生活とは?

最近よく聞く「IoT」って何? 未来の暮らしはどう変わる?

最近よく目にする「IoT」。現代人の生活、製品やサービス選びで知っておきたい重要なキーワードだ。今回は、IoTの基本解説に加え、家電の現状や問題点、そして我々の未来にどのような変化をもたらすのか予想する。

「CEATEC2015」のメーカーブース(アプリックス)に展示されていたIoTの一例。コーヒーメーカーから「コーヒーが入りました」とスマホに通知が送られるほか、利用者の嗜好や状況に応じてコーヒー占い、コミック、グルメ、天気、旅行など、生活に役立つ報も配信予定だという

鍵のIoT化。スマホで遠隔開錠・施錠ができる「キュリオスマートロック」。LINEやfacebookなどのメッセージ機能を使い来てほしい人に、来てほしい時間だけ鍵をシェアできる。特別な工事を必要とせず、既存のドア鍵に粘着シート取り付けが可能。民泊など、今後の需要が高まりそう

「IoT」の基本

IoTは、Internet of Thingsの略。日本語では、一般的に「モノのインターネット」と訳されてており、概念として「ありとあらゆるモノが、インターネットに繋がり、従来以上に生活の質が向上する可能性が出てきた」という捉え方でよいだろう。インターネットやLANの普及で、コンピューターや電子機器同士が連携できるようになったのは周知の事実だ。

産業界では既にM2M(Machine-to Machine)という概念が広がっていて、機器やセンサーが自律的に直接コミュニーケーションを取ることで、人間が介在する以上の高効率化、言い換えるとスピードアップ、省エネルギー化、低コスト化が始まっている。その適用分野は、防犯、防災、監視、計測、工場のロボット制御、建設現場の重機メンテナンス、物流、橋梁の保守点検、農業などと幅広く、アイデア次第で無限と言える。

家電の「IoT」が急浮上した背景

IoTは、既に産業界で活用が始まっているM2Mの概念を、我々の日常生活に広げたものだ。例えば、白物家電(エアコン、冷蔵庫、洗濯機)、AV機器(テレビ、オーディオ、カメラ)、照明、ヘルスケア(体重計、血圧計など)などが連携し、利便性、快適性、省エネ、低コスト化などへの応用が期待できる。

こうした考え方は古くから存在する「ホームオートメーション」、近年の「スマート家電」と重なる所が多い。家電の連携自体は古くからアイデアがあったが、ネットワーク接続の方法やコストがネックとなっていたのだ。ところが、スマートフォンの爆発的な普及で状況は一変。Wi-Fi関連部品のコストが劇的に低下し、各家庭にはWi-Fi環境が整い、安価な家電にもWi-Fi接続機能を搭載できる時代になって、接続問題はほぼ解決した。「IoT」というキャッチーなネーミングも後押しとなり、「IoT」が急浮上するに至った。

現在の状況(現在できること)

大手電機メーカー各社は既に、製品ごとではなく、大きなくくりで家電のIoT化を進めている。例を見て見よう。

1.パナソニック「スマート家電」

総合電機メーカーらしく、白物家電、調理家電、AV家電、ヘルスケアなど、幅広い家電の「スマート化」に取り組んでいる。外出先からエアコンの電源を入れられるだけでなく部屋の状況の確認ができたり、体重や血圧をスマホに記録してグラフ化する、炊飯器や洗濯機の詳細な設定をスマホ画面で分かり易く行えるなど、機能性や使い勝手を進化させている。

例えばエアコン製品の一部では、スマホでの遠隔操作(電源オン/オフや温度調性など)ができるほか、部屋の温度や今月・前月の電気代などをグラフで確認できる(画像は同社公式サイトより)

2.シャープ「ともだち家電」

シャープといえば、人工知能技術やセンシング技術、音声認識技術などによって、生活環境や家電の使用状況、人の気持ちを察知し、声や文字によって使い方や状況に合ったアドバイスなどを伝えてくれる「心」を意識した「ココロエンジン」が先進的。これにより、使いたい食材を伝えればメニューを提案してくれるオーブンレンジや、賞味期限間近の食材を知らせてくれる、また、外出先からのメッセージを伝えてくれる冷蔵庫などが実現している。洗濯が完了したらテレビ画面に表示するなど、連携機能にも注力されている。

空気清浄機では、スマホで室内外からの遠隔操作ができるだけでなく、室内外の空気情報も通知。さらに、スマホから録音メッセージを送ると空気清浄機が音声で再生してくれるという新機能も(画像は同社公式サイトより)

家電の「IoT」には問題点も

家電の連携による新しい機能性は、生活をより便利で快適にしてくれる可能性を秘めている。いっぽうで問題点も山積みだ。課題の一つが、異なるメーカー間での連携だ。
現在、電力各社、電機メーカー各社が参加する「エコーネット」(https://echonet.jp/about/)では、省エネルギーを軸に通信方法の共通化(規格化)を進めているが、機能面では各者各様に独自性を発揮しているので、連携させるのは非常に難しい。実際の家庭で、家電製品を1つのブランドに絞り込むのは非現実的で、かといって連携機能が働かなければ利便性の向上は望めない。

解決策としては、人工知能やディープラーニングといった技術を駆使し、生活者と同じ視点で考えて家電を操作してくれる、頭脳のような機器を別途追加する事になるかもしれない。家電のIoT化によるメリットをフルに得られるのは、もう少し先になりそうだ。

家電が完全にIoT化したら、生活はこんなに便利なる(予想)!

IoTによる家電の完全な連携は未だ夢の世界だが、実現したらどうなるだろうか? 現在研究中の技術情報をもとに、未来の1日をSF風に想像してみよう。

朝の目覚め。うるさい時計のアラーム音は無くなり、体に取り付けている生体センサーが眠りの浅い状態を検知し、カーテンを自動で開けて日光を取り込む。自然で爽快な目覚めだ。
キッチンに向かうと、淹れたてのコーヒーと、焼きたてのパンが待っている。毎日の食材は冷蔵庫が消費度合を検知して自動注文する仕組みで、「ミルクが無い!」といった問題も起こらない。トイレで用を済ませると、体重測定と尿検査が行われ、健康状態をチェック。毎日データを蓄積することで、体調の変化を的確に分析でき、異常があれば教えてくれる。着替えはクローゼット任せ。その日の天候やイベントに合わせて最適なコーディネートを提案。

さて出社。玄関には自動運転カーが待機。その日の出社時間、道路の混雑状況も把握しているので、いちいち予約操作する必要はない。車内の移動時間はテレビで情報収集。昨夜見逃した情報番組が自動で再生され、今日の話題にもついて行けそうだ。ランチの時間。体調に合わせて人気のレストランとメニューを提案。ここ最近は糖質控えめのメニューが多いようだか、尿検査の結果が反映されての事だ。

仕事が終わって帰宅。スマートフォンの位置情報から、帰宅時間が推測できるので、エアコンが温度と湿度を最適化。快適な空間が疲れた体を優しく迎えてくれる。夕食は、残った食材の片付けを優先。冷蔵庫が賞味期限の近い食材と量を検出し、クラウドサーバーに伝えてメニュー候補を抽出。過去の嗜好情報を考慮するのはもちろん、ネットで話題のメニューも織り交ぜ、飽きること無く楽しむことができる。調理の大半はオーブンレンジが自動で行うので、人間は食材を確認してセットするだけと簡単だ。

食事の後は、趣味の読書と音楽。一冊の本を手に取れば、カメラがタイトルを感知して、内容に応じた曲を自動で流してくれる。サブスクリプション型の聴き放題サービスが定着し流行の最新楽曲も流れてくるので、新しい音楽との出会いも楽しめる。夜更けには、明朝の起床時間をターゲットに就寝時間を決定し、音楽と照明が睡眠を促す。

こんな風に、無理なく健康で快適な生活が送れるというわけだ。

さいごに

家電のIoT化は、通信など基本部分が整って離陸直前の状態と言える。メーカーがユーザーにとって真に価値のある利便性や快適性を提供でき、意識することなく使いこなせるようになれば、自然と生活に溶け込んで行くに違いない。その第一歩として、異メーカー間での連携が望まれる。

【関連リンク】
《2018年》全自動もミル付きも!タイプ別のおすすめコーヒーメーカー12選

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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