価格.comマガジン編集長がガチでロードバイクを選んでみた

自転車のプロに聞く! 初心者でも失敗しないロードバイクの選び方

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街中でも見かける機会が増えているロードバイク。一般的な自転車とは次元の違うスピードで颯爽と駆け抜けていく姿に憧れている人も少なくないはずだ。ただ、ロードバイクをはじめとするスポーツ自転車は、選ぶ際に少し注意すべきことがある。そこでロードバイクへの乗り換えを目論んでいる価格.comマガジン編集長をスポーツサイクル専門店「Y'sRoad」に連れ出し、“選び方のいろは”をプロにレクチャーしてもらった。もちろん編集長はガチで買う気満々! これぞという1台を見つけ、お買い上げまでいくのか乞うご期待。

どのように使うのかを明確にするのがファーストステップ!

ひと口にロードバイクといっても、用途に応じていくつかジャンルがある。大きくは、レース向けの軽さや反応のよさを重視したモデルと、長距離ツーリングに向いた安定性と快適性を重視したモデルの2系統。さらにそれらのモデルも、空気抵抗を減らし最高速度を重視したエアロロードと呼ばれるものからヒルクライムに向いた徹底的に軽さを重視したもの、未舗装路も走れるグラベルロードと、カテゴリーで細分化されている。そのため、まず最初に明確にすべきは、どのような使い方をするか、ということ。とにかく軽い自転車がほしい人や競技に出場したい意欲のある方はレース系のモデル、ツーリング目的ならば長距離系(「エンデュランス」などとも呼ばれる)を選ぶといいだろう。ただ、自転車レースは長距離走行することが多いため、レース系のモデルがツーリングに使えないというわけではない。また、路面からの振動吸収性に優れる太めのタイヤを装着し、安定性を重視した設計の「グラベルロード」は初心者向きと言われており、近年流行の兆しを見せている。

長距離向けとレース向けのもっとも大きな違いは、乗車した時のポジション。長距離向けモデルのほうがヘッドチューブ(指で示している部分)が長く、ハンドルを高めにセットして前傾姿勢がきつくなりすぎないよう設計されている

長距離向けのモデルはリアタイヤを支えているフレームのチェーンステイと呼ばれる部分が、路面からのショックを吸収するように扁平構造になっていたり、快適性を重視した設計となっている

空気抵抗を抑え、高速で走り続けるのに向いている「エアロロード」は、ブレードのような形状のフレームで空力性能を向上させている。あまり初心者向けとは言えないが、そのスタイルに憧れる人も多い。写真のモデルはcervelo(サーヴェロ)の「S5

太めのタイヤを履き、未舗装の道を長距離走れるようにしたのが「グラベルロード」。まだ新興のジャンルだが、世界的に人気が高まっている。安定性が高いため、初心者でも乗りこなしやすい。写真のモデルはMASI(マジィ)の「GIARAMONDO」

10年以上クロスバイクに乗っている鎌田編集長は、週末に50〜100km程度のツーリングに出かけることもあるという。レースはやらないということから、選ぶべきモデルは「長距離用のロードバイク」に絞られた

値段の違いはどこにある? 予算に合わせたモデルを選ぼう

使用用途が明確になったら、次は予算をもとにグレードを見極めていこう。同じロードバイクでも、価格は10万円以下から100万円オーバーまで非常に幅広い。価格の差となる要素は、大きく2つ。1つめはフレームの素材。高級モデルは、軽量なカーボンやチタンといった素材で作られていることが多く、しかも要所ごとに素材の厚さや強度、カーボンの編み方を変えるなど手間のかかる設計となっている。いっぽう、10万円を切るようなモデルの多くはアルミや鉄(「クロモリ」と呼ばれる)製のフレームが主流。近年は価格の安いカーボンフレームも増えているが、それでも20万円近くはしてしまう。大雑把に分類すると、クロモリ製フレームのエントリーグレードのモデルは10kgを超える重量のものが多く、アルミ製では9kg台が増え、それ以上の軽さを求めるならカーボン製となる。

このような話をすると軽さという点でカーボン製が最良と思われそうだが、低価格モデルに採用されているクロモリ製フレームも見逃せない。クロモリでできたフレームは細身で、フレーム上部にあるトップチューブが水平基調(ホリゾンタル)になっているため、振動吸収性にすぐれ、長距離を走っても疲れにくいメリットがある。軽さやスピードより、荷物を積んで長距離走るような用途で選ぶならクロモリは有力な選択肢だ。また、硬さがあるので振動が伝わりやすく、疲れると言われていたアルミ製フレームも、近年はフレームやパイプ設計の技術向上により、そういった課題をクリアしたモデルも増えている。アルミはクロモリよりも軽量なので、価格を抑えて軽いロードバイクに乗りたいという人にはうってつけだろう。

最高級のカーボンフレームを採用し、リアには衝撃を吸収するためのサスペンション機構を搭載した高級モデルピナレロ「DOGMA K8-S」の価格は145万円! 変速も電動で行われる最高グレードのパーツが採用されている

近年は20万円を切るカーボンフレームのモデルも登場している。写真のジャイアント「TCR ADVANCED 2」は19万円(重量は7.9kg)

そして、価格を左右する2つめの要素は「コンポーネント」。コンポーネントとは、変速ギアやブレーキといったパーツを総称した呼び方で、このコンポーネントには同じメーカー内でもいくつものグレードがある。たとえば国産メーカーであるシマノ製のコンポーネントの場合、最上位の「デュラエース」からセカンドグレードの「アルテグラ」、その下には「105」「ティアグラ」「ソラ」「クラリス」「ターニー」と、スポーツ自転車用だけで7つのグレードを用意。例として、コンポーネントの違いをもっとも体感できるリアの変速機(リアディレーラー)の変速段数の違いを見てみると、「105」以上のグレードでは11速、「ティアグラ」は10速、「ソラ」は9速、「クラリス」は8速、「ターニー」は8/7速となっている。価格は、1,000円台から入手できる「ターニー」に対し、「105」は約4,000円と雲泥の差だ。変速段数が多いとペダルの回転数を同レベルに保ちながらスピードを上げていくことができるので、長距離を走る際に疲労が軽減されやすいメリットがあるが、変速段数10段の「ティアグラ」と11段の「105」は操作性などはあまり変わらない。リアディレーラー単体の価格差も「105」と「ティアグラ」では数百円程度だが、完成車となると価格が大きく違ってくるので、変速段数を求めていない場合は「ティアグラ」搭載モデルを選ぶのもありだ。なお、変速機には電動変速を採用したものもある。ボタンひとつで正確な変速ができるため、長距離を走って疲れた状態でもシフトミスが少ないのが利点だが、グレードでいうと最上位の「デュラエース」とその下の「アルテグラ」にしか用意されていない。

「105」コンポーネントを搭載したキャノンデール「CAAD12」(写真上)の価格は19万円。同じメーカー製でもコンポーネントが「ティアグラ」になった「CAAD OPTIMO」(写真下)は13万円と6万円も安くなる。リアディレーラーの操作性はほとんど違わないのに、完成車の価格差は大きい

11段の「105」コンポーネントのリアディレーラー。ギアの段数が増えてもスピードが出るようになるわけではないが、ペダルを一定の回転数で回しながら速度を上げていけるので、実は初心者にもメリットがある

一般的に自転車に記されているコンポーネントのグレードは搭載しているリアディレーラーとイコールであることが多い。ゆえに、「105」とあっても廉価モデルの場合、グレードの低いブレーキが搭載されていることも

なお、予算は自転車の価格だけでなく、ライトや鍵、ヘルメット、空気を入れるポンプといった用品の費用も忘れてはいけない。モデルによってはペダルやベルといったパーツが付属していないこともあるので、購入前にチェックは必須。どのようなアイテムが足りないのかを考慮し、総予算から引き、残った予算で自転車を選ぶようにしよう。用品として必須なのは鍵、ヘルメット、ポンプだが、どのグレードのアイテムを選ぶかで価格は変わってくる。目安として15,000円〜30,000円程度はみておいたほうが無難だろう。

ヘルメットの価格帯もさまざまだが、価格の差となるポイントはフィット感と通気性、そして耐久性。ロードバイクに乗っている間は予想以上に汗をかくので、特に夏場は通気性の高さは重要だ

ロードバイクはタイヤの空気圧を高くし、抵抗を減らして走行するのが一般的なので、乗るたびに空気を入れるくらいがちょうどいい。ポンプを購入するなら、空気圧計付きで5,000〜6,000円以上のものがベストだろう。自転車を立てるためのスタンドも忘れずに

ツーリングに出かけるならば、パンク修理セットや携帯用工具、予備のチューブ、携帯ポンプも用意しておきたい

長距離を走るようになると、専用のウェアも気になってくるはず。体にフィットする自転車用ウェアの着用には抵抗感を抱くかもしれないが、動きやすく風の抵抗も少ないうえに、保温性と通気性のバランスもよく、非常に快適。シューズもペダルに固定できるものを選ぶと、ペダルに力を伝える効率が上がる

鎌田編集長はヘルメットやシューズ、修理のための工具類など必要なものはひと通り所有しているため、予算20万円をフルに自転車に当てることができるという。20万円あれば、エントリークラスより少し上のモデルを選ぶことができる。「105」クラスのコンポーネントを搭載したモデルを中心に、フレームはアルミ製やクロモリ製、少しがんばってカーボン製を視野に入れてもいいだろう。

20万円の予算なら、余裕をもって11段変速の「105」コンポーネントも選べる

20万円の予算なら、余裕をもって11段変速の「105」コンポーネントも選べる

自転車のサイズはジャストフィットが重要!

用途や予算からモデルが絞り込めてきたら、サイズをチェック。一般的な自転車はタイヤのサイズから「27型」というような表記がされているが、ロードバイクには「50」「52」「54」といくつものフレームのサイズが用意されている。多いものだと、2cm刻みで6〜7サイズがラインアップされている場合も。それだけロードバイクは、身体に合わせたサイズに乗ることが重要なのだ。サイズがマッチしていない自転車を選んでしまうと、疲れやすくなり長距離を走ることが困難になるだけでなく、腰や膝などに負担がかかってしまい身体を痛めてしまう可能性もある。

では、どのようにしてサイズを見極めればいいのだろうか。もっともシンプルな選び方は、身長を基準にするというもの。多くのメーカーが公表している適応身長を参考にすればいい。しかし、同じ身長であっても腕や脚の長さや肩幅、さらには体の柔軟性や筋力、自転車に乗るスキルなどによっても適応サイズは異なる。たとえば腕が長めの人であれば、フレームのトップチューブ(自転車フレームが描く三角形の上辺に当たる部分)が長いモデルのほうが適しているし、脚が短ければ少しサイズが小さいモデルのほうがあう場合も。一般的には、フレームをまたいだ状態で股間にフレームが当たらず、ハンドルを持ってサドルに腰掛けた際に違和感を感じないサイズであれば大丈夫だとされているが、長く付き合う自転車であればより自分の体にマッチしたものを選びたい。自転車店であれば、測定をしてくれるところもあるので、一度店舗を訪れて自分に最適なサイズを知るのも賢い手だ。

プライスタグには自転車のサイズと適応身長が記されているので、参考にしよう

プライスタグには自転車のサイズと適応身長が記されているので、参考にしよう

なお、Y'sRoadでは「バイオレーサー」と呼ばれる独自の計測システムを使い、より正確な適合サイズを割り出すことができる。精度が異なる3つのコースが用意されているが、普通にロードバイクに乗って楽しむだけであれば約10分で計測が完了するベーシックコース「バイオレーサー1000」で十分。肩幅、腕、股下、胴の長さを測り、その数値をもとに自転車(モデル)ごとに適したサイズが算出されるほか、ラクに乗るためのシートポストの突き出し具合、ステム(ハンドルを支えるパーツ)の直径、ハンドル幅までミリ単位で知ることができる。「バイオレーサー1000」には料金(1,000円)がかかるが、Y'sRoadで自転車を購入すればその費用分が割引されるので、上手に利用しよう。

適切なハンドル幅を知るために肩幅を測り、サドルからハンドルまでの距離を求めるために腕の長さを測定する。股下と胴の長さは専用器具で実行。サドルにまたがったような状態を再現して行うことが重要なのだそう。なお、鎌田編集長は肩幅が広めなので、ハンドルは既定のものから幅の広いものに交換したほうがいいというアドバイスも得られた

より精度を求めたいなら、シミュレーターを使ってポジションなども計測できる「バイオレーサー5000」(5,000円)や実車を用いてペダリングまで解析する「バイオレーサープレミアム」(20,000円)を利用するといい

今回、鎌田編集長が適合するサイズを求めた自転車は2016年モデルのキャノンデール「CAAD12」とコーダーブルーム「FARNA SL」
※写真は2017年モデル

計測の結果、キャノンデール「CAAD12」であれば「48」か「50」のサイズ、コーダーブルーム「FARNA SL」は「430」のサイズが適していることがわかった。ポジションはパーツ交換でもある程度調整できるが、基本的に適合するサイズがあるモデルから選ぶほうがいい

希望のモデルがなくても試乗はすべき

ロードバイクだけでなく自転車全般に言えることだが、購入前に試乗はしてほしい。自転車店には試乗車が用意されているので、自分に適合するサイズや好みのモデルがなかったとしても、近しいものでまたがった感じや乗り心地を検証しておくべき(※自転車店の規模によっては試乗車がない場合も)。アルミとカーボンの乗り味の違いや、サイズが適合するものと、少し大きかったり小さかったりするものの差など、実際に乗ってみることで見えてくるものがある。レース用モデルと長距離用モデルの違いも、試乗してみると感じられるはずだ。

「Y'sRoad」の中でも、今回訪れた東大和店は試乗車が多いのも魅力。この中から、鎌田編集長は、アルミフレームのキャノンデール「CAAD OPTIMO」とカーボンフレームのピナレロ「GAN」に試乗することにした

乗り味が硬いといわれるアルミフレームだが、「CAAD OPTIMO」は路面からの衝撃を吸収する構造を採用し、長距離も快適に乗れるように設計されている。実際の試乗でも、路面の継ぎ目などを乗り越えても体に伝わってくる振動が少ないことが体感できたようだ

アルミフレームの「CAAD OPTIMO」のあとに試乗しただけに、ピナレロ「GAN」ではカーボンフレームの軽さを実感! 「GAN」は軽いうえに、路面からの衝撃吸収性もすぐれているので長距離の快適性はもちろん、レースなどにも参戦できるほどの性能を持つモデルだ。同じ力でペダルを踏み込んでも、ひと漕ぎで進む距離が違うように感じると感動していた

軽快な走行が楽しいのか、試乗スタート位置がどんどん遠くになる鎌田編集長。「もう一度走ろうか?」と、撮影のためにカメラマンに配慮しているようだが、実は自分が乗りたいだけのような気もする(笑)

フレーム素材の異なる2モデルを試乗した結果、カーボンフレームの軽さも魅力的だが、アルミフレームのしっかりとした踏み応えが好みであることがわかった。このことから、アルミフレームのモデルを中心に購入したい車種を選んでいくことに決定!

編集長はどんなロードバイクを選んだ?

いよいよ、これまでのデータ、体感をもとに「これぞ!」という一台を選ぶことに。ロードバイクの場合、価格帯が同じなら使われるコンポーネントもほぼ同じなので、大きな性能差はない。あとは使い方と好みのブランド、カラーなどで選んで大丈夫だ。ということで、鎌田編集長がチョイスしたのは……なんと、3台! しかも、本人が好きなイタリアンブランドが2台もセレクトされた。正直なところ、この数時間では選びきれなかったというのが正しいのだが、ひとまず気になるモデルを選び出し、さらに考えて絞り込んでいくのもいい方法だ。ただし、在庫には注意が必要。迷いすぎてサイズがなくなってしまった、とならないように、しっかり選定しつつも素早い決定を心がけよう。

20万7000円と少々予算オーバーだが、やっぱり気になる! と選んだのはイタリアンブランドのピナレロ「NEOR」。アルミとカーボンのハイブリッドフレームに「ティアグラ」コンポーネントを搭載している

「NEOR」はフロントフォークとリアのフレームに上位モデルと同じカーボン製の衝撃吸収性にすぐれたものを採用しているのが気に入ったそう。波打ったようなデザインともアクセントになって◎

続いて選んだのも、イタリアのコルナゴ「A1-r 105」(19万5000円)。アルミフレームながら細身のデザインで安定性と軽さも両立しており、カーボンフォークに「105」コンポーネントを採用している

最後に選んだ1台は実用自転車を多数生産しているホダカという会社のスポーツ系ブランド、コーダブルーム「FARNA SL」。コンポーネントには「105」が採用されており、完成車としては世界最軽量となる7.8kgの軽さ! このグレードで18万5000円という価格はかなり魅力だ

もし店頭で欲しいモデルを見つけ、在庫があったとしてもその日に乗って帰ることはほぼできない。スポーツ自転車は納品前の整備が必要なため、きちんとした自転車店であれば納品までに時間はかかる。また、メーカー(輸入元)からの取り寄せとなる場合、さらに時間がかかるのでスケジュールには余裕をもっておこう。

取材協力店

今回、取材に協力してくれたのは「Y's Road 東大和店」。全国に35店舗を展開する国内最大手チェーンの「Y's Road」の中でも、広い売り場面積を持ち、もっとも多くの試乗車を揃えている店舗だ。多くの選択肢の中から選びたい、多くの試乗車を試してみたいなら「Y's Road 東大和店」を訪れてみよう。

[住所] 東京都東大和市芋窪5丁目1137-1 [営業時間] 月〜金 12:00〜20:00 土日祝 11:00〜20:00 [定休日]水曜日(祝日除く)  http://ysroad.co.jp/higashiyamato/

ロードバイク選びをレクチャーしてくれた東大和店副店長の池田英司さん。わかりにくいロードバイクの細かな差異についてもていねいに教えてくれるので、初心者でも安心

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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2017.10.19 更新
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