レビュー

自転車でゆるキャン△! 荷物を積んで出かけるバイクパッキングでひとりキャンプにトライ!!

ロードバイクやクロスバイクをはじめとするスポーツタイプの自転車で休日はツーリングをしている人に、さらに楽しめる「バイクパッキング」を提案したい! バイクパッキングとは自転車に荷物を積んで出かけ、キャンプなどを楽しむスタイルのことで、世界的に大ブームとなっています。そんなバイクパッキングを体験してみました。

バイクパッキングな必要なものとは?

一般的にバイクパッキングで使用する自転車は遠くまで出かけるのに適したロードバイクやクロスバイクが主流ですが、このタイプの自転車はキャリア(荷台)やバスケットがないものが大半。バイクパッキングはキャリアなどをわざわざ装備するのではなく、専用のバッグを装着し、荷物を積めるようにしているのがポイントです。ベルクロやベルトで自転車に固定するので、簡単に取り外して通常スタイルに戻せる手軽さも大きな魅力と言えるでしょう。

バイクパッキングの1例。3種類のバッグを装着していますが、ヤボったさを感じないのがいい! 大手メーカーもバイクパッキング用バッグをリリースしているので、装備品を揃えるのに苦労することはないはず

バイクパッキング用のバッグはいろいろな種類がありますが、「サドルバッグ」「フレームバッグ」「ハンドルバーバッグ」の3種類を揃えるのが基本(上の写真のようなスタイルになります)。この3つのバッグに加え、荷物の量に合わせて小物を入れるバッグなどを追加していきます。なお、このタイプのバッグは防水素材でできていますが、完全防水ではないこともあるので注意しましょう。

サドルバッグ

シートポストとサドルにベルトを使って固定するサドルバッグは10Lを超える大容量のタイプも多く、寝袋やテント、衣類など、かさばるものを入れるのが基本。容量が大きいですが、口を絞って容量を調整できる構造となっているので、荷物が少なくてもバタつくことはありません。ただし、容量が大きい分、リアタイヤとのクリアランス(すき間)が小さくなるため、タイヤにバッグが接触しないように注意。

高い位置に取り付けるため、あまり重いものを収納すると不安定になるので、大きいけれども軽いものを入れましょう。写真のサドルバッグは、「Apidura(アピドゥラ) サドルバッグ コンパクト」(容量11L)

【その他サドルバッグをピックアップ!】

・TOPEAK(トピーク)「BackLoader(バックローダー) サドルバッグ」
生地は撥水性なため激しい雨には耐えられませんが、ラインアップされている容量6L、10L、15Lのいずれも1万円以下で購入できるリーズナブルさが魅力。信頼性の高い製品をリリースしているメーカーなので、品質も安心できます。

・ORTLIEB(オルトリーブ)「Sheet Pack (シートパック)」
エア抜きのバルブが装備されており、荷物を詰めてからさらに圧縮してコンパクトにすることが可能。8〜16.5Lまで容量を調整できます。防水対応なので、急な雨でも問題なし!

・キャラダイス「SQR SLIM サドルバッグ」
シートポストにアタッチメントを装着して取り付ける方式となっており、脱着が簡単。取り外したバッグを持ち歩くための取っ手が装備されているなど、自転車バッグ専門ブランドだけに高い完成度となっています。

フレームバッグ

フレームに取り付けるため長さがあるものを入れやすく、自転車の中心に近い部分に装着するので、ある程度重いものを入れてもバランスが崩れにくいのがメリット。容量は3〜6L程度のものが揃えられています。自転車にまたがったままバッグを開閉できる構造となっていることが多いので、補給食を入れておくと便利。

テントのポールやタイヤの空気入れなど、長めサイズのアイテムを収納するといいでしょう。写真のフレームバッグは、「Apidura(アピドゥラ) フレームバッグ スモール」(容量5.5L)

【その他フレームバッグをピックアップ!】

・ブラックバーン「アウトポスト フレームバッグ」
小物などを整理しやすいように、内部に仕切り、外部にポケットを装備。また、底部を拡張し、容量をアップさせることもできます。車体に固定するためのベルクロのストラップは取り外して位置を調整できるので、装着する車体に合わせやすいのも◎。

・TOPEAK(トピーク)「ミッドローダー フレームバッグ」
生地は撥水加工で防水ではありませんが、比較的軽量なので、重さ重視の人にはうってつけ。3、4.5、6Lの3サイズがラインアップされています。

・FAIRWEATHER(フェアウェザー)「frame bag(フレームバッグ)」
リップストップナイロンに撥水性の高いテフロンコーティングを施し、防水性を高めた素材を採用。ホリゾンタルからスローピングまで、多様なフレーム形状とサイズがラインアップされています。

ハンドルバーバッグ

ドロップハンドルにもフラットハンドルにも取り付けられますが、あまり重いものを収納するとハンドル操作に支障をきたすのでマットや衣類などを収めるのがベスト。一般的に大きめの容量となっており、両サイドの締め方で容量を調整できます。

製品の中にはカーボン製ハンドルへの取り付けは非推奨というものもあるので、装着する自転車のハンドルで使えるかをしっかりチェックしておきましょう。写真のハンドルバーバッグは、「Apidura(アピドゥラ)ハンドルバーバッグ コンパクト」(容量9L)

【その他ハンドルバーバッグをピックアップ!】

・FAIRWEATHER(フェアウェザー)「Handlebar Bag Plus(ハンドルバーバッグ プラス)」
ロールタイプのバッグとアクセサリーバッグがセットになっており、それぞれを単独で使うことも可能。ハンドルだけでなく、サドルに取り付けることもできます。

・ブラックバーン「アウトポスト ハンドルバーロール&ドライバッグ」
自転車にアタッチメントを取り付け、そのアタッチメントにバッグを固定する仕様でがっちり装着できるのがポイント。車体にくくりつけるためのストラップは、バッグを外した際にはショルダーのようなスタイルにすることもできます。

・TOPEAK(トピーク)「フロントローダー ハンドルバー バッグ」
バッグ内の空気を抜くためのボタンが装着されており、収納後にコンパクトにしやすいのが特徴。外付けのストラップが付属しているので、マットなどを追加でくくりつけることもできます。

キャンプに出かける準備をしよう!

今回はバイクパッキングで1泊2日のキャンプにでかけるので、テントなどのアウトドア用品を準備します。超軽量でコンパクトな“ウルトラライト”なアイテムを用意できれば、バイクパッキング用のバッグにも収納しやすくていいのですが、残念ながら筆者が持っているキャンプ道具はそこまで軽量とはいえないものばかり。そのような道具でも、バイクパッキングを楽しめるのでしょうか。バイクパッキング初心者ということもあり不安なので、この道の達人、北澤肯さんにやり方を教えてもらうことにしました。なお、バッグは先に荷物を入れてから車体に取り付けるほうが荷物を奥まで押し込むことができるのでいいそうです。

今回用意したバイクパッキング用バッグは、11Lのサドルバッグ、12Lのフレームバッグ、9Lのハンドルバーバッグ。ウルトラライトな道具ばかりではないので、ハンドルバーバッグと一緒に装着できる「Apidura(アピドゥラ) アクセサリーポケット」(容量7L)も用意しました

さらに、ステムとハンドルに固定する「フードポーチ」も用意。移動中に飲むドリンクを入れることにしました

さらに、ステムとハンドルに固定する「フードポーチ」も用意。移動中に飲むドリンクを入れることにしました

キャンプに行くために準備したのは、シュラフ、マット、テント、コッヘル、コップ、「ジェットボイル」(バーナーとして利用)、レインウェア、工具、空気入れです

筆者のシュラフはわりとコンパクトだったこともあり(収納サイズは直径15×長さ25mm)、サドルバッグにテントと一緒に収納できました

テントのフレームやペグを打ち込むためのハンマー、空気入れ、工具、ジェットボイルはフレームバッグに余裕で収納!

残るマットは、ハンドルバーに収納したものの、レインウェアとコッヘル、コップが入りきらず。キャンプサイトで調理せず、食事は近場の飲食店で済ませばコッヘルを置いていけますが、せっかくなのでアウトドアめしを作ってみたい……

ということで、収納やり直し! サドルバッグの重量を増やしたくなかったのですが、スペースの都合でコッヘルはサドルバッグに入れることに。コップは濡れてもいいので、サドルバッグにぶら下げることにしました

レインウェアを無理やり押し込んだハンドルバーバッグは、かなり横に広がってしまいましたが、ハンドルを持つじゃまにはならないので問題なさそう

初めてのパッキングだったので、1時間もかかってしまいましたが、なかなかさまになっているのではないでしょうか。荷物の総重量は3.1kgです

なお、バイクパッキングの達人、北澤さんが筆者と同条件で行うと、たった15分で収納から自転車への取り付けまでが完了。一度パッキングを経験すれば要領がある程度わかるので、次は時間を短縮できそうな気がします。

北澤さんが1泊2日でキャンプに行く道具をバイクパッキングしたのがこちら。筆者と同じ用途とは思えないほど、荷物がコンパクト!

収納はコンパクトなのですが、実は筆者よりもたくさんのアイテムが入っていました。寒さに備えて重ね着用のウェアもあり、現地での快適さが大きく異なりそうです。ウルトラライトなアウトドア用品がほしくなりました

キャンプ場に向けて出発!

北澤さんの収納に比べると少々大きいですが、筆者のアウトドア用品ではこれ以上のコンパクト化は無理なので、このままキャンプに出発! 本当は北澤さんと一緒にキャンプする予定でしたが、予定が合わず、ひとりでのキャンプとなりました。キャンプ自体もほとんどしたことがないので、テントの設営や食事の準備などうまくできるか不安です。

目指すは約15km先にある河原! ちなみに、道中の負担を軽くするため、食材などはキャンプを行う場所の近くで購入します

かさばってしまったハンドルバーバッグがどれほど操作に影響をおよぼすか心配でしたが、ブレーキに干渉することもなく安全に走行できました

未舗装路を走行してもバッグが振られることもなし! なかなか優秀です

未舗装路を走行してもバッグが振られることもなし! なかなか優秀です

不安を抱きながらの出発でしたが、実際に走ってみるとキャンプ道具を積んでいることを忘れてしまうほど軽快! ただ、それは平地での話。登り坂になると荷物の重さで、確実に体力をけずられました。そんな感じで坂ではぐったりすることもありましたが、自転車で風を感じながら走るのはとても気持ちがいい! このような体感も最高なのですが、自転車でキャンプへ出かける魅力は、道中にありました。それは、途中で見つけた店に気軽に立ち寄れること。駐車スペースも自動車ほど取らないので、あれこれ寄り道が止まらない!

精肉店を発見したので、揚げたてコロッケをパクリ! 普段の数倍おいしい!!

精肉店を発見したので、揚げたてコロッケをパクリ! 普段の数倍おいしい!!

自転車をこいで熱くなったので、アイスクリームを食べてひと休みしたり、思いつきのまま自由に行動できるから自転車旅は楽しい!

今夜と翌朝のごはんも途中で購入。量が少ないのですが、実はバッグに入れるスペースがなく……。バックパッキング用のバッグのほかに今回はカメラを入れるバッグを持っていたので、それも利用してなんとか収納できましたが、食材の容量を見落としていたのは痛恨のミスでした

そんなこんなで、ようやく目的地に到着。のんびり寄り道をしながら走ってきたので、夕方になってしまいました。日が暮れる前にテントを設営しなければ!

自転車を立てかけておきたいので、木の側にテントを張ることに。ここが今夜の寝床です

自転車を立てかけておきたいので、木の側にテントを張ることに。ここが今夜の寝床です

キャンプはほとんどしませんが、ひとり用のテントは簡単に設営できました

キャンプはほとんどしませんが、ひとり用のテントは簡単に設営できました

寝床の準備ができたら、次は食事! 自転車をこいできたので、お腹がペコペコです。ラーメンとウインナーしかありませんが、自然の中で食べるからか、これだけで意外と満足できました。

チキンラーメンなので作るのは簡単!

チキンラーメンなので作るのは簡単!

食べようと思ったら箸がないことに気付き、仕方ないので枝を使って食べることに。でも、これはこれでワイルドな感じが味わえて楽しかったりします(笑)

ワイルドついでに、ウインナーも枝に挿してあぶってみました。フライパンで焼くより時間がかかりますが、ひとりで炎と向き合い焼いている感じがグッときます

あたりが暗くなってからはテント内でゴロゴロ。特になにをするでもない時間をゆったりと過すのもいいものだ……と思っていたら、いつの間にか眠っていました。自転車に乗っている時はあまり感じませんでしたが、荷物が重い分、疲れが大きいのかも

翌朝は目覚めの1杯でコーヒーを。澄んだ空気の中で、川の流れを眺めつつ味わうコーヒーは格別です

翌朝は目覚めの1杯でコーヒーを。澄んだ空気の中で、川の流れを眺めつつ味わうコーヒーは格別です

これから自転車にのって自宅に戻らねばならないので、食事もしっかり摂ります。ウインナーを焼き、食パンにはさんでみましたが、アウトドア効果もあり、これだけで大満足!

まとめ

自動車であれば、使いそうなアイテムをすべて持って行くこともできますが、バイクパッキングの場合は“いかに荷物を減らすか”がポイント。最初はいろいろ悩んだものの、より軽量・コンパクトなグッズをセレクトしたり、思い切って持っていかないといった引き算をしているのが段々楽しくなり、パッキングが完了すると、これだけで満足感が得られました(初心者だからこその感覚なのかも!?)。そして、目的地へ向かっている道中も楽しいことがいっぱい。気になったところで止まって撮影したり、休憩したり、飲食したり、自由! 自動車で出かけるよりも冒険っぽくてワクワクしぱなっしです。

キャンプ用品に関しては、今回はキャンプした場所が東京近郊の平野で、比較的暖かい日だったこともあり、朝方にレインウェアを防寒のために着るだけで過ごせましたが、一般的なキャンプ場は気温が低いこともあります。また、自転車で移動すると汗をかくので、着替えがあるほうがいいでしょう。筆者所有のアウトドア道具はかさばるため、着替えや防寒具を持って来れなかったことを考えると、バイクパッキングのためにキャンプ用品を購入するのであれば、コンパクトなものを揃えるようにするほうがよいと思います。

取材協力

バイクパッキングの準備の仕方からキャンプのやり方までレクチャーしてくれたのは、北澤肯さん。バイクパッキンググッズを日本にいち早く導入した人物でもあり、自転車関連のユニークなグッズを世界各地から輸入・販売する「オルタナティブ・バイシクルズ」も運営されています。また、著書「バイクパッキング BOOK 軽量バッグシステムが創る新しい自転車旅」(山と渓谷社)も出版。

マウンテンバイクで山の中に出かけるのが、北澤さんのバイクパッキングのスタイル

マウンテンバイクで山の中に出かけるのが、北澤さんのバイクパッキングのスタイル

北澤さんは、暖かい時期はテントを使わず、自転車をポールの代わりにしてタープで過しているそう。このようにすれば、荷物はさらにコンパクトに! パッキングはまだまだ奥が深い

●北澤さんセレクトのバイクパッキング用品はこちらでチェック!
 ↓
オルタナティブ・バイシクルズ」(外部リンク)

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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