牛島義之のアウトドアのススメ

夜のキャンプサイトの必需品! 炎ゆらめく燃焼式と安全性の高いLED、どのランタンを選ぶ?


夜になると真っ暗になるキャンプ場には、サイトを照らすランタンが必需品。今回は、ランタンの種類を解説するほか、用途に合った使い方を紹介します。

ランタンの種類を知ろう!

ランタンは、ガスやガソリンを燃やして照らす「燃料式」と、光源の明るさが年々向上してきてきたことで近年人気が高くなっている「LED式」に大きく分類されます。両方式の中にもいくつかの種類があるので、それぞれの特徴を見ていきましょう。

【燃焼式】ガソリンランタン

精製度が高いホワイトガソリンを燃料としたランタンで、大光量モデルが多いのが特徴。ただし、燃料を入れただけでは使えず、使用前にタンク内に圧力をかける「ポンピング」という作業が必要となります。この作業がハードルになり、初心者には敬遠されがちですが、ガスを燃料とするランタンよりも外気温に大きく左右されないのが強み。気温が低くなる場所や時期にキャンプするなら、ガソリンランタンを用意しておくほうが安心でしょう。

本体下部に燃料を入れるタンクを装備。写真は、コールマン「パワーハウス ツーマントルランタン」。発光部となるマントルが2つ装備されているのがポイントです

タンクにホワイトガソリンを注ぐ際は、専用のじょうご「フューエルファネル」などを使いましょう。どれだけ入ったのか見えないので、あふれさせないように注意

燃料を入れたら100回前後ポンピングします。ポンピングをしないと燃料が送り出せず、燃焼させることができません

【燃焼式】アウトドアガスランタン

アウトドアガスカートリッジ(通称OD缶)と呼ばれるLPガスを封入したダルマ型の缶を、ランタンに装着して使用。ガソリンランタンで行うポンピングのような事前作業もないので、初心者でも簡単に扱えます。ただし、外気温が低い時に連続使用すると気化熱の影響でカートリッジが冷え、十分な明るさが得られないことも。とはいえ、ガスを燃料としたランタンの中では比較的、低い気温にも強いタイプです。

装着したガスカートリッジがランタンの土台部となります。写真のキャプテンスタッグ「テラパワーガスランタン〈L〉」のように、ツマミを回すなどワンタッチで点火できるものがほとんどなので、取り扱いは簡単

カートリッジは本体にねじ込んで装着します

カートリッジは本体にねじ込んで装着します

【燃焼式】カセットガスランタン

カセットコンロなどでもなじみのある、長い円柱型の「カセットガスカートリッジ(通称CB缶)」を装着して使用します。封入されているガスの種類は前述のアウトドアガスランタンと同じLPガスですが、カセットガスランタンのほうが内圧は低いため、外気温の影響をさらに受けやすく、気温が低いと十分な明かりを得られないおそれが。その分、CB缶は価格が安めなので、それほど気温が低くなる場所や時期でなければ、カセットガスランタンを選ぶのも賢い選択でしょう。

外にむき出しのままで装着するタイプもありますが、大型モデルの場合、写真のSOTO「フォールディングランタン」のように本体内に収めるデザインとなっているものが大半です

本体にカートリッジを押し込めばセット完了!

本体にカートリッジを押し込めばセット完了!

LEDランタン

電池で発光するLEDランタンは、発光部が熱くならないのでテント内でも使え、火傷の心配もないことから卓上で使うランタンとして選択するファミリーが増えています。ただ、燃焼式ランタンに比べると少々照度は低め。サイト全体は燃料式ランタンで照らし、テーブルサイドやテント内など、要所要所にLEDランタンを置くという使い方がベストでしょう。

大光量タイプは、複数のLEDを発光させて周囲を明るく照らします。写真のコールマン「クアッド マルチパネルランタン」は、4つの発光面を取り外してハンドライトとして使うことも可能

LEDランタンは乾電池やバッテリーを使用します

LEDランタンは乾電池やバッテリーを使用します

ここに注意! 燃焼系ランタンは“マントルのから焼き”が必要

ランタンの種類を知ると、サイト全体を明るく照らせる燃焼系ランタンをひとつは用意しておきたくなるはず。ただし、燃焼系ランタンは使う前に“マントルのから焼き”という作業を行わねばなりません。マントルとは発光する部分で、電球でいうところのフィラメントのようなもの。布状のマントルを焼いて灰状にすることで、ランタンらしい明かりとなります。マントルの形状はランタンによって異なりますが、から焼きの方法はほぼ同じなので、ここではカセットガスランタンを例に、やり方を紹介しておきましょう。なお、マントルは消耗品なので、穴が空いたり、破れたりした場合には新しいものに交換してください。

カバーやホヤを外した状態で、マントルの下側からライターで着火

カバーやホヤを外した状態で、マントルの下側からライターで着火

マントル全体がキレイな白い灰状になったら、から焼き完了。ホヤなどをもとどおりに装着し直しましょう

マントル全体がキレイな白い灰状になったら、から焼き完了。ホヤなどをもとどおりに装着し直しましょう

から焼きしておくと、マントルが発光するように点火します。もし、から焼きしないで点火した場合、マントルは小さく縮み、いびつな形になって壊れやすくなってしまうので、必ずから焼きしてから使いましょう

注目のランタンを設置場所ごとにピックアップ!

上記では燃料別にランタンを紹介しましたが、選ぶ際は、使う用途からランタンを絞っていくといいでしょう。設置場所は大きく「キャンプサイト」「テーブル」「テント」に分けられます。ランタンの特徴を踏まえて、3つの場所に適したランタンを選びましょう。

サイトに設置するのに最適なランタン

キャンプサイト全体を照らせる大型ランタンをピックアップ。サイトの中心ではなく、少し離れた場所に設置しておくと、より明るい場所に集まる習性がある虫がこのランタンに集まり、人が過ごすリビングを飛びまわる率が少なくなります。

大型ランタンは吊して使うといいでしょう

大型ランタンは吊して使うといいでしょう

コールマン「ノーススター チューブマントルランタン」

チューブ状のマントルを採用することで、大光量を実現。一般的にガソリン式には装備されていない点火装置が搭載されているので、着火がラクに行えます。

ガソリンランタンで、明るさは230W相当。サイズは約17.3(直径)×34.3(高さ)cm、重量は約1.8kg

ガソリンランタンで、明るさは230W相当。サイズは約17.3(直径)×34.3(高さ)cm、重量は約1.8kg

キャプテンスタッグ「テラパワーガスランタン〈L〉」

傘状の大きなリフレクターで光を上手に配光し、サイトを効率よく明るくしてくれます。燃料ツマミをまわすだけで点火できるので、操作もカンタン。持ち運びに便利な収納ケースが付属しています。

アウトドアガスランタンで、明るさは230W相当。サイズは約20(直径)×23(高さ)cm、重量は約1.1kg
※ガス缶は別売。サイズと重量はガス缶を含まない値

SOTO「フォールディングランタン」

ホヤの半面に白いスクリーンが施されており、強い光とやわらかい光の2種類で灯せます。また、ホヤ部分をスライドさせて本体ケースの中に収納できる仕様は、安全に持ち運べて◎。

カセットガスランタンで、明るさは200W相当。サイズ(使用時/収納時)は約13.6(直径)×37.5(高さ)cm/約13.6(直径)×22.5(高さ)cm、重量は約1.25kg(ガス缶は含まず)
※ガス缶は別売

テーブルに設置するのに最適なランタン

サイトに配置するランタンよりも小型なものでOK。テーブルにランタンをひとつ置いておくと、食事がぐっとしやすくなります。比較的近い位置で点灯させるので、直接見てもまぶしくないように明るすぎないものを選ぶといいでしょう。子どもがいる場合は、火傷を防ぐためにLEDランタンにしたほうが安心です。

大きすぎるランタンはジャマになるので、小型なモデルが最適です

大きすぎるランタンはジャマになるので、小型なモデルが最適です

キャプテンスタッグ「キャンドル ガスランタン」

マントルを使用せず、炎が直接出るタイプなので、炎がゆれるさまを見ているのも一興。ツマミを回して、火力を調整することができます。収納や持ち運びに便利なハードタイプの収納ケース付き。

アウトドアガスランタンで、明るさは非公表。サイズは約4.6(直径)×15.6(高さ)cm(ツマミ、ガス缶含まず)、重量は約110g(ガス缶は含まず)
※ガス缶は別売

SOTO「レギュレーターランタン」

一般的なガスランタンは、低温時や連続で使用してカートリッジが冷えると光量が低下しますが、本製品はマイクロレギュレーターを搭載することで明るさを持続。メッシュ製のホヤを採用しており、壊れにくいのも魅力です。

カセットガスランタンで、明るさは80W相当。サイズ(使用時/収納時)は約10(幅)×13(奥行)×15(高さ)cm/約6.5(幅)×10.5(奥行)×15(高さ)cm、重量は約247g
※ガス缶は別売。サイズと重量はガス缶を含まない値

ロゴス「パワーストックラウンドランタン440」

4,420mAhの内蔵バッテリーにUSBで充電する仕様となっており、ランタンとして使えるほか、スマートフォンなどに充電も可能。また、内部のリフレクターが可動するようになっており、片側方面だけを照らすこともできます。

LEDランタンで、最高光量は約250lm。連続点灯時間(強/弱)は約7.5時間/200時間で、バッテリー残量ゼロの状態から満充電までは約6時間かかります。サイズは約9(幅)×9(奥行)×14(高さ)cm、重量は約350g

コールマン「クアッド マルチパネルランタン」

発光部の4面が独立した構造となっており、取り外してハンドルライトとして使用することも可能。単1形アルカリ乾電池4本または8本(別売)で点灯し、8本入れたほうが長時間(Highで点灯した場合、4本では約13時間、8本では約20時間)連続点灯できるようになっています。スマートフォンなどに給電できるUSBポートも装備。

LEDランタンで、最高光量は約800lm。連続点灯時間(4本/8本)はHigh時が約13時間/20時間、Medium時が約69時間/120時間、Low時が約196時間/約400時間となっています。サイズは約14.5(直径)×23.5(高さ)cm、重量は約1.2kg

テントの中で使うのに最適なランタン

テント内は基本的に火気厳禁なので、選択肢はLEDランタンに限られます。特別に明るくする必要はありませんが、テントの中央に吊して使用する場合は、全方位を照らせるモデルを選ぶほうがいいでしょう。

前述のコールマン「クアッド マルチパネルランタン」をパネルの状態にし、テント内に取り付けて使うという手もあり。パネルの状態での最高光量は100lmで、連続使用時間(High/Low/Spot)は約3時間/14時間/3時間

ロゴス「ロジックランタン」

セパレート仕様なので、2つのランタンとして使用することができるほか、もう1セット本製品を購入すれば、4つのランタンを合体させて大きなランタンにすることも可能。各ランタンに吊り下げフックやマグネットが付いているので、場所やシーンに応じていろいろな使い方ができます。

LEDランタンで、最高光量は約588lm。単2形アルカリ乾電池6本(別売)を使用し、連続点灯時間は約7.5時間。サイズは約11(幅)×11(奥行)×22(高さ)cm、重量は約780g

コールマン「バッテリーロックツーインワンテントランタン」

吊り下げて使用しやすい構造とされているだけでなく、背面にはマグネットも装備されているので貼り付けて使うことも可能。また、本体前方にも発光部を備えており、フラッシュライト(懐中電灯)としても役立ちます。

LEDランタンで、最高光量(パネル時/フラッシュライト時)は約150/110lm。単3形アルカリ乾電池3本(付属)を使用し、連続点灯時間はパネルHigh時が約12時間、パネルLow時が約110時間、フラッシュライト時が約21時間。サイズは約6(幅)×17(奥行)×4(高さ)cm、重量は約175g

キャプテンスタッグ「ツインライト LEDランタン<ステンドグラス風シート付>(レッド)」

上部の傘の部分と下部を分離して、それぞれをランタンとして使用できるので、上部は吊り下げ、下部は手もとを照らす明かりにするというようにも使えて便利。LEDの光は炎に比べると少し冷たい印象も受けますが、ステンドグラス風のシールをホヤ部に貼れば、クラシカルな雰囲気を演出できるのもポイントです。

LEDランタンで、最高光量(本体部/傘部)は約172/73lm。本体部に単1形乾電池3本、傘の部分に単3形乾電池3本を使用し、連続点灯時間は本体部が約100〜500時間、傘部(High/Middle/Low)は72/150/300時間。サイズは約16.5(幅)×1.65(奥行)×33(高さ)cm(ハンドル含まず)、重量は約770g

ランタンを使うならランタンスタンドを一緒に用意しておこう!

ランタンを使うなら、ランタンを高い位置に吊す「ランタンスタンド」や「ランタンハンガー」も用意しておくと、より広範囲を照らせるようになります。特に、燃焼系のランタンは専用の吊す場所があるほうが安全面においてもよいでしょう。

コールマン「ランタンスタンドW」

足を引っかけにくいように、スタンドの脚がフラットに開くようになっているほか、ペグを打って固定することもできるので転倒しにくいのが◎。ランタンを引っかける高さは10段階で調整できます。

サイズ(使用時/収納時)は約109(幅)〜226(高さ)cm/11(直径)×90(高さ)cmで、重量は約1.4kg

サイズ(使用時/収納時)は約109(幅)〜226(高さ)cm/11(直径)×90(高さ)cmで、重量は約1.4kg

DOD「チンアナゴペグ」

1本脚のランタンスタンドを自立させるためのペグと、ランタンハンガーがセットになっています。ペグを地面に打ち込み、ペグに装備された筒に別売のポール(直径15〜28mm)をセット。上部にランタンハンガーを引っかければ、脚のないランタンスタンドが完成します。

使用時のサイズは約8(幅)×3.5(奥行)×60(高さ)cm/27(長さ)cm。収納時のサイズは約25(幅)×63(奥行)×6cmで、重量は約960g

牛島義之

牛島義之

アウトドア雑誌の副編集長職を経てフリーランスとして独立。以降、アウトドアをはじめ、グッズ、クルマ、旅行などレジャー関連を中心に執筆している。

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