イベントレポート

今年はe-MTBがアツい! 「サイクルモード2018」で見つけた注目モデル


2018年11月9〜11日に開催されたスポーツ自転車を中心とした展示会「サイクルモードインターナショナル2018」で、もっとも盛り上がっていた“本格的なスポーツタイプの電動アシスト自転車”「e-Bike」。なかでも進化が著しいマウンテンバイクタイプのe-Bike「e-MTB」を中心に、ロードバイクタイプや折りたたみ式小径車タイプなども含めた注目モデルを紹介しよう。

【パナソニック】国産初のフルサスe-MTBが登場!?

最初に目に留まったのは、パナソニックブースに展示されていた前後にサスペンションを搭載した“フルサス”のe-MTBだ。同社は2017年に国産初となるe-MTB「XM1」、そして2018年にはフロントの変速機構を追加した「XM2」を発売しているものの、どちらもフロントのみにサスペンションを装備する“ハードテイル”だった。展示車両は参考出品のため車名や発売時期などは明記されていなかったが、少なくとも2019年中には製品化を予定しているという。前後にサスペンションが装備されたフルサスなら、ギャップを乗り越えた際の吸収がより吸収され、さらに駆動輪であるリアタイヤがしっかりと路面に押し付けられる。駆動力を路面に伝えるトラクションが向上することで、モーターのアシスト力をあますことなく生かせるはずだ。国産のe-MTBにはまだフルサスモデルがないので、早期の登場を期待したい。

リアのサスペンションのリンク機構などを見る限り、そのまま市販されてもおかしくない完成度だ

リアのサスペンションのリンク機構などを見る限り、そのまま市販されてもおかしくない完成度だ

車体中央にリアのサスペンションを配置し、ドライブユニットを保持する部分にマウントするなど、理にかなったe-MTBの車体構造となっている

ドライブユニットは「XM2」と同じ、内装変速機を内蔵したタイプ

ドライブユニットは「XM2」と同じ、内装変速機を内蔵したタイプ

SRサンツアーの「AURON」を装着したフロントフォーク。140〜160mmのストロークを持つエンデューロレース用のサスペンションだ

<関連記事>国産初のMTB×電動アシスト自転車! 山で遊べて街乗りも快適なパナソニック「XM1」

【BESV】よりデザイン性を高めたフルサス、ハードテイルのe-MTB

カーボンフレームを採用したハードテイルのe-MTB「TRS1」をはじめ、続々と新モデルを投入しているBESV(ベスビー)は、昨今、日本国内でも注目が高まっている先鋭メーカー。そんなBESVのブースには、2019年前半発売予定のフルサスの「TRS2 AM」とハードテイルの「TRS2 XC」が出展されていた。どちらもTRS1同様にシマノ製「STEPS」ユニットを搭載しているが、バッテリーを自社製に変更したことでフレームと一体化したようなデザインになり、スタイリッシュさがアップ。デザインは変わったもののバッテリー容量(36V/14.0Ah)は変わっていないため、アシスト可能距離は最大140kmを確保している。また、フレームがアルミ製になったので、同じハードテイルのTRS2 XCはカーボンフレームのTRS1よりもリーズナブルな価格になるはずだ。

BESVらしいスタイリッシュな仕上がりとカラーリングが目を引くフルサスの「TRS 2 AM」は、少し太めの27.5+規格のタイヤを装着し、フロントフォークにSRサンツアーの150mmストロークを持つ「Zeron35」を装備。車重は23kgとなっている

リアのサスペンションは車体中央に横向きにセット。リンク機構は比較的シンプルな構造だ

リアのサスペンションは車体中央に横向きにセット。リンク機構は比較的シンプルな構造だ

コンパクトで高性能なシマノ製のeBike専用ユニット「STEPS E8080」を搭載

コンパクトで高性能なシマノ製のeBike専用ユニット「STEPS E8080」を搭載

フレームとバッテリーがよりシームレスになり、デザイン性が高まった

フレームとバッテリーがよりシームレスになり、デザイン性が高まった

ハードテイルの「TRS 2 XC」。現行モデル「TRS1」と異なるのはフレームがアルミ製となったことと、バッテリーが自社製となったこと

シマノ製のバッテリーを採用していた「TRS1」はフレームにバッテリーが付いている感があったが、「TRS 2 XC」はどこに装着されているのか見た目からはわからない。これで、バッテリー容量が同じなのは、魅力的だ

<関連記事>ヤマハとの違いは? BESVのMTBタイプの電動アシスト自転車「TRS1」は“下りの攻め”が気持ちいい!!

【XROSS】同社初となる2車種のe-MTBを投入

日本国内のメーカーとして初めてロードバイクタイプの電動アシスト自転車を発売したXROSS(クロス)のブースにも、同社初の試みのとなるe-MTBが2モデル展示されていた。ひとつは、シマノ製のSLXグレードのコンポーネントとトラクション性能を確保した少し太めの27.5×2.6インチのタイヤを採用したハードテイルの「DX5」。乗っている人との一体感を重視した設計となっているので、ビギナーでも乗りやすいだろう。もうひとつは、フルサスタイプの「DX6」だ。DX5よりも上位グレードとなる電動で変速できるXT Di2コンポーネントを搭載し、ROCK SHOX製のサスペンションを装備。フロントに150mmのトラベルが設定されていることからも、DX6は道なき道を走破していくような使い方が向いているだろう。両モデルともアルミフレームで、サドル高を座ったまま調整できるドロッパーポストも備えている。2019年発売予定。

見るからに乗りやすそうなハードテイルの「DX5」

見るからに乗りやすそうなハードテイルの「DX5」

シマノ製のドライブユニット「STEPS E8080」とバッテリーを採用

シマノ製のドライブユニット「STEPS E8080」とバッテリーを採用

フルサスの「DX6」には電動ユニットと統合される電動変速機構を搭載

フルサスの「DX6」には電動ユニットと統合される電動変速機構を搭載

DX6のリアのサスペンションはやや複雑なリンク機構を装備。リア周りの可動性は高そうなので、路面にしっかりとタイヤを押し付けてくれそうだ

ドライブユニットはDX5と同じく「STEPS E8080」

ドライブユニットはDX5と同じく「STEPS E8080」

【BOSH】手が出しやすそうな価格帯のBOSH製ユニット搭載e-MTB

ヨーロッパでNo.1のシェアを誇り、2017年には日本市場にも参入してきたドイツのBOSH(ボッシュ)。ドライブユニットを開発し、自転車メーカーに提供しており、TREK(トレック)やcorratec(コラテック)などの名門ブランドからBOSHのユニットを搭載したさまざまなタイプのeBikeがリリースされている。そんなBOSHブースで気になったのは、2019年2月発売予定のTREK「Dual Sport+(デュアル スポーツ プラス)」。ハードテイルでストロークも長くなく、本格的なe-MTBというより、未舗装路(グラベル)も楽しめるクロスバイクのような性格だが、河原や林道などを走ってみたいエントリーユーザーには十分なスペックだ。しかも、価格は35万2000円(税別)と比較的リーズナブル。eBikeで未舗装路デビューをしてみたいという人には手の出しやすいモデルだろう

シンプルなデザインのアルミ製フレームにフロントサスペンションを装備した「Dual Sport+」は、最長約160kmのアシスト走行が可能。車重は20.58kgだ

フレームと一体化したバッテリーも、スッキリとした外観にひと役買っている。ドライブユニットは、もちろんBOSH製

【BAFANG】電動アシストに見えないBAFANG製ユニット搭載ロードバイクタイプ

BOSHと同じようにアシストユニットを自転車メーカーに提供している中国の「BAFANG」ブースには、さまざまなメーカーのe-Bikeが展示されていたが、なかでも「rize」というブランドのロードバイクタイプ「rize C700」に多くの人が目を留めていた。rize C700に搭載されているアシストユニットは、もちろんBAFANG製。ロードバイクらしさを損なわないコンパクトなユニットとなっており、e-Bikeには見えない仕上がりとなっている。

アルミフレームの「rize C700」。車重は21.3kg で、バッテリー容量は36V/10.6Ah、最大103kmのアシスト走行が可能。2019年春発売予定となっている(価格は未定)

モーターユニットの前後長がかなり短い。これだけコンパクトだと、リアタイヤをかなりフレームに寄せてセットできる

バッテリーも自社製で、フレームと一体化したデザインになっている

バッテリーも自社製で、フレームと一体化したデザインになっている

詳細は一切公表されていないが、BAFANG製のユニットを搭載したe-MTBがかなりかっこいいので載せておく

詳細は一切公表されていないが、BAFANG製のユニットを搭載したe-MTBがかなりかっこいいので載せておく

同じくBAFANG製のユニットを搭載した小径車は、バッテリー部のデザインがユニーク。時期は未定だが、日本への導入を見込んでいるとのこと

【Benelli】持ち運びのバランスにすぐれた折りたたみ式小径e-Bike

2017年に日本国内では先駆けとなるe-MTB「TAGETE(タジェーテ)27.5」をリリースした、イタリアのBenelli(ベネリ)にも注目モデルがある。2019年春に発売予定の折りたたみ式のミニベロ「mini Fold16」だ。mini Fold16の最大の特徴は、バッテリーをフレーム内に格納し、モーターを前輪に組み込んでいること。多くのe-Bikeはバッテリーとモーターが後輪側に配置されているため、折りたたんだ際に重量バランスが片方に寄ってしまうのだが、mini Fold16の構造であれば重量バランスが比較的均一になり、持ち運びやすいという。

16インチサイズのホイールを採用した「mini Fold16」。最長45kmのアシスト走行が可能で、内装3段変速を搭載。ライトもフレームに内蔵されている。価格は15万8000円(税別)

リアホイールを折りたたみ、サドルとハンドルを収納すればコンパクトに!

リアホイールを折りたたみ、サドルとハンドルを収納すればコンパクトに!

バッテリーはフレームの中に入れ込む方式。アシストレベルは4段階から選択できる

バッテリーはフレームの中に入れ込む方式。アシストレベルは4段階から選択できる

重量は17.2kgとやや重めだが、キャリアの部分に小さなホイールが装備されているのでキャスターのように運べる

【QiCYCLE】Benelli製とほぼ同様! フェンダー付きのミニベロ

中国メーカー「QiCYCLE(キューアイサイクル)」のブースにも、Benelli「mini Fold16」と同様にバッテリーとライトをフレームに内蔵し、モーターを前輪に配置した折りたたみ式の小径eBike「EF-1 Pro」を発見! 16インチのタイヤや内装3段の変速、最長45kmのアシスト可能距離といった基本的なスペックもBenelli製に近い。展示されていたモデルを見比べてわかる違いとしては、EF-1 Proのほうが1kgほど軽く、フェンダー(泥除け)もあるが、キャリア部にホイールはないため、Benelli製のように転がして運ぶことはできないといったことくらいだろうか。必要な装備やデザインで選んでも問題なさそうだ。なお、QiCYCLEは日本ではなじみのないメーカーだが、EF-1 Proの前モデル「EF-1」(2016年発売)は中国では1年で2万8000台以上の売り上げるほどの人気車種だという。

アルミフレームに16インチタイヤを組み合わせた「EF-1 Pro」には、フェンダーが装備されているのがポイント。すでに発売されており、価格は15万8000円(税別)

前輪に搭載されたモーター。電動アシスト自転車には見えない

前輪に搭載されたモーター。電動アシスト自転車には見えない

フレームにバッテリーを内蔵しているほか、フロントライト、テールライトも組み込まれている

フレームにバッテリーを内蔵しているほか、フロントライト、テールライトも組み込まれている

重量はBenelli「mini Fold16」より1.4kg軽い15.8kgだが、mini Fold16のように転がして運ぶためのホイールは装備されていない

【エンビジョン】電動アシストのカーゴバイク誕生なるか!?

最後に紹介するのは、エンビジョンが出展していた「STROKE CARGO-TRIKE」という荷物を積めるカーゴバイクタイプのe-Bikeだ。前が2輪、後ろが1輪の3輪だが、2輪車と同じように左右にバンクする機構を装備。車体の中央に荷物を積むスペースがあり、重い荷物を積んでも安定した走行が望めるという。展示されていたのはプロトタイプで、今後は製品化のベースとなるモデルを製造し、この冬からクラウドファウンディングで販売開始予定。モーターの力で荷物を運ぶことをアシストするこうした試みは、e-Bikeの可能性をさらに広げてくれそうだ。

かなりインパクトがある見た目の「STROKE CARGO-TRIKE」。荷物を運ぶためのe-Bikeという提案だ

かなりインパクトがある見た目の「STROKE CARGO-TRIKE」。荷物を運ぶためのe-Bikeという提案だ

フロントは2輪だが、それぞれが下の動画のように独立して傾く。今後はサスペンション機構も搭載する予定だという

テストではカーゴスペースに100kgの荷物を積むこともあるが、法的には上限30kgとなる

テストではカーゴスペースに100kgの荷物を積むこともあるが、法的には上限30kgとなる

アシストユニットは暫定的にヤマハの一般車用を装備。今後はスポーツタイプの設計となるため、バッテリーも車体中央に寄せられるという

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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