レビュー
カーボンフレームと太いタイヤが走りをさらに楽しくする!

ヤマハとの違いは? BESVのMTBタイプの電動アシスト自転車「TRS1」は“下りの攻め”が気持ちいい!!

先日、ヤマハの本格的なマウンテンバイクタイプの電動アシスト自転車「YPJ-XC」のインプレッションを紹介したが、その「YPJ-XC」の発表から1週間後の2018年3月13日に登場したBESV(ベスビー)のマウンテンバイクタイプ「TRS1」も、かなり本気で遊べるe-Bikeだ。YPJ-XCとTRS1の違いを試乗して確かめてみた!

ヤマハ「YPJ-XC」を試乗したパークで、BESV「TRS1」も乗り回してきた!

ヤマハ「YPJ-XC」を試乗したパークで、BESV「TRS1」も乗り回してきた!

カーボン製フレームとシマノ製ユニットを採用

新興メーカーながら小径車からロードバイクタイプまで意欲的なe-Bikeをリリースし、世界的に評価を高めている「BESV(ベスビー)」。そんなBESVが初めて手がけたマウンテンバイクタイプのe-Bikeが「TRS1」だ。TRS1は軽量で剛性の高いカーボン製のフレームを採用しており、TRS1より先にデビューしたヤマハ「YPJ-XC」(マウンテンバイクタイプ)とほぼ同容量のバッテリーを装備しながら、車重はアルミフレームのYPJ-XCより2kgほど軽い。マウンテンバイクにおいて軽さは、車体を左右に振ったり、ギャップで跳ねられた際に押さえ込む力に関係してくるので、軽量であることは大きなアドバンテージとなる。さらに、シマノ製のアシストユニット「STEPS E8080」が搭載されていることも大きな注目ポイント。実は、BESVはこれまで基本的に自社製のアシストユニットを使用しており、他社製品を搭載するのはめずらしい。しかし、自転車パーツの世界でトップシェアを誇るシマノが満を持して送り込んだアシストユニットを自社初のマウンテンバイクタイプのe-Bikeに採用したということは、「STEPS E8080」の性能がそれだけすぐれているのだろう。この構造を見るだけでも、TRS1への期待は高まる。

TRS1のサイズは1,830(全長)×980(全高)×695(全幅) mmで、重さは19.3kg。Sサイズのみのラインアップとなっており、価格は49万8960円(税込)

カーボン製のフレームは、内部にワイヤー類を通す構造となっている

カーボン製のフレームは、内部にワイヤー類を通す構造となっている

e-Bikeは一般的な電動アシスト自転車よりも小型で軽量なアシストユニットを採用しているが、TRS1に装備されるシマノ製のアシストユニット「STEPS E8080」は現行のアシストユニットの中でトップレベルの軽さ(約2.8kg)を誇る

「STEPS E8080」は軽いだけでなく、幅が狭い作りとなっており、左右のペダル間の長さを表す「Qファクター」はシマノ製のマウンテンバイクコンポーネントと同じ177mmを実現。特に高速でペダルを回すようなシーンで差が出るポイントだ

なお、「STEPS E8080」はアシストユニットとバッテリー、コントローラーが一体となった設計。重心を低くするためか、バッテリーは下にいくほど太い構造となっているのがユニークだ。バッテリー容量は36V/14.0Ahで、最大140kmのアシスト走行が可能。バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約4時間かかる

アシストユニット以外のパーツも信頼性の高いセレクトとなっており、変速ギアはシマノ製の「SLX」グレードで、最近のトレンドである前1速×後11速を採用。油圧式ブレーキは「SLX」のひとつ下のグレードとなるシマノの「デオーレ」だが、効きに関しては定評がある。

前側の変速はなく、後側の11速ギアを幅広くとることで山道に対応しやすくしている。電動アシスト機能が搭載されているので、前1速×後11速で不足を感じることはないだろう

ブレーキは前後ともシマノ「デオーレ」グレードの油圧ディスクを装備。効きのよさと信頼性の高さに定評のあるシステムだ

サスペンションはフロントだけに装備。山道を走り回るマウンテンバイクとしては十分な、120mmトラベルのロックショックス製「リーコン」を採用している。なお、ホイールは近年のスタンダードである27.5インチ

タイヤは太めの2.6インチ幅。接地面を広くすることでグリップを高め、内部のエアボリュームを大きくすることによりクッション性もよくしている

舗装路から山道まで「TRS1」で走ってみた!

軽量なカーボン製フレームにコンパクトなアシストユニットを組み合わせ、太めのタイヤを装着したTRS1はどんな走りを味わわせてくれるのだろうか。実際に山道に持ち込んで検証してみた。

まずは、自宅から山道まで舗装路を走る! TRS1には「High mode」「Normal mode」「Eco mode」という3つの走行モードが用意されているが、アシストがパワフルなので平坦な舗装路であればEco modeでも十分だった。

コントローラーのディスプレイはハンドルの中央部に装備され、視認性にすぐれる。走行モードごとの走行可能距離を表示してくれるのも親切だ

ただ、カーボンフレームによる軽さのメリットは舗装路ではあまり感じることはできなかった。電動アシスト機能が効いているので、フレームやパーツの違いによる1〜2kgの重量差が気になることはほぼない。ある意味、当たり前のことである。その分、実感できたのはシマノ製アシストユニットの完成度の高さだ。シマノがアシストユニットをリリースするのは「STEPS」シリーズが初となるが、長年電動アシスト自転車を手がけてきたヤマハやパナソニック、ボッシュのユニットと比べても、アシストのパワフルさや自然なフィーリングは遜色ない出来栄え。ペダルを踏み込む強さに合わせて、アシストが上乗せされている感覚はスポーツタイプのe-Bikeらしいものだ。シティサイクルタイプの電動アシスト自転車だとパワーの出方が唐突で、スポーツタイプの自転車に乗り慣れた人だと違和感を覚える人も少なくないが、これなら抵抗を感じることはないだろう。

アシストが急に立ち上がることもなく、ナチュラルなフィーリングなので好感が持てる

アシストが急に立ち上がることもなく、ナチュラルなフィーリングなので好感が持てる

山道に入ると、今度は太いタイヤのグリップのよさが効いてくる。マウンテンバイクタイプの電動アシスト自転車は登り坂でも立ち漕ぎせず、サドルに座ったまま走行できる。つまり、後輪に荷重をかけながら走れるため、後輪が滑ることは少ないものの、タイヤが太くなることで、その安心感がさらに増している印象。一般的にタイヤが太くなると抵抗も大きくなりがちだが、電動アシスト自転車であれば、モーターが補ってくれるので負荷は感じない。e-Bikeに太めのタイヤというのは相性がかなりよいようだ。

角度のある登りもスイスイこなせるだけでなく、コントロール性も高いのでスリップしやすい路面や凹凸があるセクションも楽しめる

軽さのメリットは、下りのコーナーリングで実感!

パワフルなアシストにより、かなり角度のある登りもラクに走れてしまったが、いまだにフレームが軽いメリットを実感できていない。そこで、ヤマハ「YPJ-XC」(マウンテンバイクタイプ)を試乗した「スマイルバイクパーク」(東京都稲城市)に行き、同じコースを走ってみることに。ヤマハ「YPJ-XC」の試乗に協力してくれた、自転車関連のブロガーとしても知られる佐藤真吾さんが今回もテスト走行してくれた!

ヤマハ「YPJ-XC」の検証に引き続き、BESV「TRS1」の試乗にも協力してくれた佐藤真吾さんは、マウンテンバイクに20年以上乗っているアマチュアライダー

>> 佐藤真吾さんについては自身のブログをチェック!

試乗した「スマイルバイクパーク」には、激しい登り坂や下りのスラロームコースなどが用意されている。長い登り坂も座り漕ぎでスルスルと登れ、ノンストップで走り回れるのは最高に楽しい。ペダルを踏む力に合わせアシストが自然とかかる感じで、アシスト制御も上々だ。ただ、ヤマハ「YPJ-XC」と違う点は、ペダルを止めた際のアシストの抜け具合。YPJ-XCに搭載されている「エクストラパワー」モードほど、瞬時にアシストが抜けるレスポンスのよさは感じられなかった。とはいえ、「エクストラパワー」モードを使用していない状況であれば、アシストの効き、抜けに関しては大きな差はない。

普通のマウンテンバイクの場合、自転車から降りて押して歩かなければならないような登り坂も、電動アシストの力を借りれば自転車に乗ったまま突破できる。しかも、軽くペダルを回すだけ!

石やコブなどの障害物を乗り越えたあとにハンドルを切り、ラインを変えるような時、アシストをすばやくオフにしたくなる。ヤマハ「YPJ-XC」の「エクストラパワー」モードのようにペダルを止めた瞬間にアシストも止まるとはいかないが、アシストが残って行きすぎてしまうようなことはなかった

そして、いよいよ車体の軽さを実感する時がくる。それは、下りでのことだった。下りぎみのカーブなどで車体を倒し込むのがスムーズなのだ。e-Bikeの場合、重量のあるモーターやバッテリーは車体の下方に搭載される。その部分の重さは確かに感じるのだが、TRS1はフレームが軽量な分、車体の上半分が軽く、左右に車体を振り回しやすいうえに、車体の押さえ込みもしやすい。自分が寝かせたいと思った瞬間に、自然とボディが倒れてくれるのはかなり気持ちのいいものだ。

意思に遅れることなく車体が倒れ込み、佐藤さんも攻めやすい様子。左右の切り返しが多いコースは、特にカーボンフレームの軽さが生きてくる

筆者は普段バンクを走ることがないので、少し不安だったが、そんな初心者でも自然と車体を倒すことができるスムーズさは実感できた。操っている感があり、下りのコーナーリングはかなり楽しい!

まとめ

マウンテンバイクの醍醐味は、自然の中を走れることと段差や凸凹のある路面で縦の動きも楽しめること。そんな楽しさを気軽に味わえるようにしてくれるのが電動アシスト自転車だが、TRS1に搭載されたカーボンフレームによる軽さと太めのタイヤは、かなりいい組み合わせだ。正直なところ、軽さの恩恵は電動アシスト機能があるため、下り斜面で車体を軽快にコントロールする際にしか感じられなかったが、2.6インチの太いタイヤは最高の乗り心地を提供してくれた。通常のマウンテンバイクに採用されるタイヤは2.2インチ程度であることが多く、先に試乗したヤマハ「YPJ-XC」も2.25サイズ。電動アシスト機能がない場合、タイヤが太くなるほど登りでの負荷が大きくなるため配慮が必要だが、アシスト機能ありなら太いほうがいい。車体を左右に振り回してもタイヤが滑ってしまう不安感がないので、思い切って倒し込み操作ができるからだ。しかも、TRS1は前後ともクリアランスに余裕がありそうなので、「27.5+」と呼ばれるさらに太いタイヤを履かせることもできそう。ヤマハ「YPJ-XC」は、ここまで太いタイヤには交換できそうにないので、この点はTRS1の大きな魅力であることは間違いない。

太めのタイヤとフロントサスペンションのおかげで、段差をものともせずに走ることができる。山まで行かなくても、町中で段差を見つけて遊べるのもマウンテンバイクの魅力だ

幅695mmのハンドルは、ちょっとしたオフロードを走るには十分だが、軽さを生かして下りを攻めるなら、もう少し幅があるハンドルに交換したほうが楽しめるかもしれない

なお、TRS1の価格は49万8960円(税込)と、価格だけ聞くと高く感じてしまうかもしれないが、普通のマウンテンバイクでもSLXグレードのパーツを搭載したモデルは20万円台半ばくらいの値段になるもの。それに電動アシスト機能とカーボンフレームを装備していることを考慮すれば、実はリーズナブルなプライスといえる。

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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