近年の焚き火ブームにより、キャンプでは欠かせない道具のひとつとなった「焚き火台」。炎を眺めたり、暖を取るだけでなく、最近は、調理をすることをメインに作られた「かまど型」が人気です。そこで今回は、普通の焚き火台をかまど型に変身させるONOE「ファイアグリル P-35」をピックアップ。ありそうでなかった焚き火グッズを実際に使ってみました!
普通の焚き火台の上に網などを設置すれば、その炎を利用して調理もできますが、薪を追加する際、いちいち網や鍋を外したりと手間がかかります。その点、調理するために作られたかまど型は正面から薪をくべる構造となっているため、薪の追加や火力調整が圧倒的にしやすいのが特徴。調理部は製品によって異なりますが、熱源の上にゴトクや網などがあり、昔ながらの“かまど”と同じようなスタイルで調理することができます。普通の焚き火台のように焚き火を楽しむこともできるので、必ず焚き火台で調理するなら、最初からかまど型の焚き火台を選ぶほうがいいでしょう。しかし、焚き火台で調理はたまにしか行わない、上から薪をくべるタイプの焚き火台が好きなのであれば、今回紹介する「ファイアグリル P-35」がうってつけ。一般的な焚き火台の上にセットするだけで、かまど型に変身します。
ファイアグリル P-35には風防も装備されています。これを普通の焚き火台の上に載せるだけで、かまど型焚き火台に変身。本体サイズは約345(幅)×375(奥行)×200(高さ)mmですが、焚き火台への設置面は345×345mmとなっています
今回は、推奨されている同ブランドの「フォールディングファイアスタンド」にセットしてみましょう。なお、他メーカーの焚き火台でもサイズが合えば使えますが、ズレたり、ガタついたりしないか確認する必要があります
焚き火台の網を外し、ファイアグリル P-35を載せるだけでセット完了
ファイアグリル P-35をセットすると、手前に薪の継ぎ足し口ができます
調理は、このように行います。普通の焚き火台のように上から薪をくべるより、正面から投入するほうが断然ラクなのは間違いありません。ちなみに、グリル部のサイズは約375(幅)×345(奥行)なので、10インチのダッチオーブンも余裕で載せられます。
ファイアグリル P-35は焚き火台の内側にすっぽりと納まっているので、調理中にズレる心配もありません。推奨されているフォールディングファイアスタンド以外の焚き火台を使用する際は、このようにぴったりセットできるかを必ず確かめましょう
試しに、筆者所有のロゴス「ピラミッドグリルEVO-L」にセットしてみると、問題なく載せられました。ただし、薪の継ぎ足し口に焚き火台の縁が干渉するため、少々投入しにくいかも
実際に、ファイアグリル P-35をセットしたかまど型焚き火台を使ってみましょう。あらかじめ焚き火台に薪を入れてから、ファイアグリル P-35を載せ、その後着火する手順となります。着火してからファイアグリル P-35をセットするのは、火力が強くて載せられないだけでなく、あぶないので止めたほうがいいでしょう。
焚き火台に薪と着火剤を投入。火力調節がしやすいように、最初は薪を少なめにしましょう。今回は、2本ほど入れてみました
必ず、着火する前にファイアグリル P-35をセット。この時点で、焚き火台にファイアグリル P-35がきちんと収まっているかを確かめておきましょう
着火は、薪の継ぎ足し口から行います。着火剤まで少々距離があるので、火口の長いライターを用意しておくといいでしょう
薪に着火したら、火ばさみで薪を動かしたり、追加しながら火力を調整します。薪の継ぎ足し口は約140×80mmと一見狭そうなサイズでしたが、実際に使ってみると操作性にまったく問題はありませんでした
かまど型の焚き火台になったので、本番はここから! 調理のしやすさや出来栄えが重要です。「スキレットステーキ&焼き野菜」と「まるごとキャベツのポトフ」を作って、実力を調査してみましょう。なお、調理は着火剤が燃え切り、薪の炎が安定してから行います。
スキレットに肉や野菜を入れ、焼くだけというシンプルな調理。ソロキャンプを想定して、作ってみました。
十分に熱したスキレットにサラダ油を引き、片方に牛肉、もういっぽうにカットした野菜を入れます
肉の表面に水分が浮いてきたら、裏返すサイン。加熱して約3分ですが、裏返してみると、きれいな焼き色がついていました。調理部まで上がらないくらいの炎に調整してあるので、裏返す際に熱いということもありません
牛肉は5分ほどで焼き上がり。肉と野菜をほぼ同時に焼き上げたいなら、あらかじめ野菜をボイルしておくといいでしょう
スキレットは、そのままテーブルに並べてOK。蓄熱性が高く保温性にすぐれるので、お皿に盛りつけるより、料理が冷めにくいのもいいところ
牛肉をカットしてみると、表面には香ばしい焼き色がつきつつ、中はミディアムな焼き上がり。ふっくらジューシーです。野菜も、直火と鋳鉄製で肉厚のスキレットで焼いただけあり、ホクホクでおいしい!
「スキレットステーキ&焼き野菜」ではひとり分の食事をスピーディーに作ったので、今度はたっぷりの料理を作ってみましょう。これから作る「まるごとキャベツのポトフ」は、見た目のダイナミックさもキャンプ向けな一品。作り置きもしておけるのでファミリーキャンプにうってつけです。
野菜をひと口サイズにカットしたポトフもいいですが、キャンプなので少しワイルドに作ってみましょう。まず、キャベツに十字の切り込みを入れます。この際、完全にカットするのではなく、下の芯を残すようにするのがポイント
切り込みとキャベツの葉の間にベーコンを挟んだら、ダッチオーブンにセット。少し手間はかかりますが、葉の間にベーコンを挟むことで、食べ応えが増します
じゃがいも、たまねぎ、にんじん、プチトマトを投入。カットせずに入れることで、ダイナミックなビジュアルと、煮崩れが防げます
最後に水とコンソメキューブ、コショウを入れれば準備完了
あとはフタをして火にかけるだけですが、調理時間が比較的長めなので、火力がおとろえないように薪を足して調整しましょう
火にかけること約40分、丸ごとキャベツのポトフが完成しました
長時間煮込んだので、最後まで切っていないキャベツも、木のスプーンでカンタンにカットできるほどトロトロ。でも、丸ごと入れているので食感があり、満足感は高いはず。じゃがいもやにんじんも、しっかり火が通っています
焚き火台をテーブルサイドに設置しておけば、冷めた際にすぐに温められます。もちろん、火にかけっぱなしにしてもOK
かまど型の焚き火台でも焚き火を楽しむことはできますが、上から薪を投入する焚き火台のように360°どこからでも燃え上がる炎を眺めることはできないため、複数人で囲むのには不向き。かといって、一般的な焚き火台とかまど型を持って行くのは、荷物がかさばってしまいます。ファイアグリルP-35なら必要な時だけかまど型にし、あとは普通の焚き火台として、ムリなく、ムダなく使用可能。さらに、バーナーを持って行く手間も省けるかもしれません。
ファイアグリルP-35を外せば、普通の焚き火台に! 1台で2通りの使い方ができるのは、とても便利です
実は、ファイアグリルP-35のように、簡単にかまど型に変身させられるアイテムはほかにほぼありません。ファイアグリルP-35は折りたためばコンパクトに収納できるので、持ち運びもラクラク。これから焚き火台の購入を検討している人はもちろん、ファイアグリルP-35のサイズに合う焚き火台をすでに所有していて、焚き火台で調理してみたいと思っているなら狙い目かも!
収納サイズは約375(幅)×345(奥行)×45(高さ)mm。重量は約2.1kgなので、持ち運びにもそれほど苦労しないでしょう
今回使用した焚き火台「フォールディングファイアスタンド」なら、付属の袋に一緒に入れて運ぶこともできました
アウトドア雑誌の副編集長職を経てフリーランスとして独立。以降、アウトドアをはじめ、グッズ、クルマ、旅行などレジャー関連を中心に執筆している。