焚き火好きのあいだで人気の高い「二次燃焼ストーブ」をご存じですか? 焚き火台のひとつですが、構造や燃え方が一般的な焚き火台とはちょっと異なります。今回は、二次燃焼ストーブの中でもユニークなコンセプトのDOD「めちゃもえファイヤー Q3-626-SL」(以下、めちゃもえファイヤー)を紹介しましょう。
一般的な焚き火台は高温で熱された薪から発生した可燃ガスに火が着くことで薪が燃えますが、一部燃え切らない可燃ガスが煙となります。いっぽう、二次燃焼ストーブは煙となった可燃ガスに高温の空気を吹き付けて再燃焼させる構造となっているため、煙が出にくく、効率よく高火力を生み出せるのが特徴。炎を眺めるよりも調理に使われることが多いこともあり、クッカーなどを載せやすいよう円筒形を採用しているものがほとんどです。しかし、今回紹介する「めちゃもえファイヤー」は、二次燃焼ストーブにはあまりなかった箱型。調理については考慮せず、純粋に焚き火を楽しむことに特化したモデルなのです。
焚き火台とスチール製のテーブルで構成されています。焚き火台のサイズは約43(幅)×14(奥行)×24(高さ)cmで、テーブルのサイズは約45(幅)×16.5(奥行)×13(高さ)cm
※何度か使用しているため、焚き火台は茶色っぽくなっていますが、本来はシルバーです
テーブルに焚き火台を載せれば準備完了。テーブルには耐熱塗装が施されているので、熱で変色したり、はがれることはありません
空気の流れを二層に分けることで二次燃焼を実現。下から取り込まれた空気の一部が一次燃焼のあと壁面の風路を通り、上部の穴から吹き出す際、薪から出た可燃ガスに着火して二次燃焼が起こります
焚き火台下部にある吸気口から空気を取り込みます
本体内の底には炭床となるロストルをセット。この穴を空気が通過することで、薪が効率よく燃焼します
燃焼した薪の灰は灰受け皿に溜まります。引き出し式となっているので、簡単に取り外して廃棄可能
焚き火台の裏には遮熱板を装備。遮熱板があることで、灰受け皿や底面に直接熱が伝わらなくなります
さっそく、めちゃもえファイヤーを使ってみましょう。使い方は、本体に薪を入れて着火するだけと、一般的な焚き火台と同じ。最初に着火剤などを使って細い薪を燃やし、その後、中太の薪をくべて炎を大きくしてから、大きな薪を投入するとスムーズに着火できます。本体が比較的コンパクトなので小さな薪しか入らないように見えますが、キャンプ場などで販売されている長さ35cm前後の薪もセット可能。燃焼効率が高いため、少ない薪で大きな炎を楽しむことができます。
狭く見える開口部ですが、長さ35〜40cmの一般的な薪はきちんと収まります
炎が安定してから使用する太い薪(左)のほか、ナタで割って焚きつけを準備しておきます。細いもの(右)と中太のもの(中央)の2種類の太さを作っておくといいでしょう
着火する際は、まず着火剤をロストルの端に置き、その上にかぶせるように細い薪をセットします
壁に立てかけるように並べると上昇気流が起こりやすくなり、火付きがよくなるそうです
準備ができたら、火口の長い着火ライターなどで着火剤に火をつけます
細い薪に火がついたら、中太の薪を投入
全体に火がまわったら、火ばさみを使って薪を倒し、さらに中太の薪を入れます
火が安定したら、太い薪を横向きにして投入。あとは焚き火を楽しむだけです
太い薪を1本入れるだけで、眺めて楽しむには十分な炎が上がります。深型なので煙突効果が得られるうえ、二次燃焼システムでさらに燃焼効率がアップするため、炎の勢いはかなり強い!
煙はほとんど出ず、炎がキレイ。これが二次燃焼の炎です
薪を足せばさらに大きな炎が上がりますが、本体があまり大きくないので、薪2本がちょうどいいでしょう
焚き火中、試しにテーブル下に手を入れてみましたが耐えられないほどの熱さはありません。遮熱板が効いています
ちなみに、めちゃもえファイヤーはバーベキューなどの調理を行うようには設計されていませんが、ちょっとした串焼きなら楽しめます。
竹串に刺したフランクフルトを炙っただけでも、びっくりするほどおいしい! こうやって焼くのが楽しく、夢中になりすぎて皮が破けちゃいましたが(笑)
定番の焼きマシュマロもできます。遠火でじっくり焼くと、まわりはパリッと、中はトロッとなり、これがたまらない!
焼いたマシュマロはそのまま食べてもおいしいですが、チョコビスケットに挟めば、簡単スモアのできあがり! マシュマロの熱でチョコレートが溶け、もっとおいしくなります
片付けは、焚き火台が冷めてから灰受皿を引き出し、溜まった灰を捨てるだけ。二次燃焼ストーブは薪が完全燃焼するため燃え残りがなく、サラサラな灰を捨てるだけで済むので、一般的な焚き火台より片付けはラクに行えます。
焚き火終了後に内側をのぞいてみると、残っているのはサラサラの灰のみ。見事に完全燃焼しています
燃やした薪の本数は10本ほど。風が強めだったので少々飛ばされた灰もありましたが、薪の燃え残りはなく、灰の量はそれほど多くありません
めちゃもえファイヤーを実際に使ってみると力強い炎が上がり、煙もほとんど出ないので、キレイで“踊るような”炎が眺められました。しかし、もともと燃焼効率がいいのか、二次燃焼の炎が楽しめるのは不完全燃焼を起こしやすい薪投入直後からの数分だけ。炎が安定してしまうと煙が出ないため、キレイな二次燃焼はほとんど見ることはできませんでした。そこで薪を追加すると、再びキレイな二次燃焼を開始! という感じで、キレイな炎見たさに次々と薪を投入してしまいました(笑)。また、一般的な焚き火台よりも薪が早く燃えてしまうので、長く焚き火を楽しむなら薪はやや多めに準備したほうがいいかもしれません。
二次燃焼の炎だけでなく、一次燃焼の炎もキレイなので安心してください
収納時は、焚き火台にテーブルを載せるだけ。手間はかかりません
持ち運びしやすいようにキャリーバッグも付属します。総重量は約7.7kg
アウトドア雑誌の副編集長職を経てフリーランスとして独立。以降、アウトドアをはじめ、グッズ、クルマ、旅行などレジャー関連を中心に執筆している。