キャンプの楽しみと言えば、やはり「アウトドアめし」でしょう。
ただ肉を焼いただけでも、普段の倍増しでおいしく感じるのが、野外の“魔力”。空気の澄んだキャンプサイトで食べれば、白米だっていつもより“ごちそう”に感じられるものなのです。
とはいえ、「ただ肉を焼く」や「ご飯を炊く」というのも、アウトドアで上手にやろうと思うと、それなりにテクニックが必要だったりして……。そこで今回は、そういったテクニック抜きで、簡単&失敗しないアウトドアクッキングを可能にする、最新キャンプ調理家電を紹介しましょう。
今回のトライアルは、富士山の麓、山梨県の山中湖畔のキャンプサイト「In the mood」さんにご協力いただきました!
「肉なんて、炭火で焼けば大体ウマいよ!」なんて先輩キャンパーは言うんですが、はたして本当でしょうか?
ただでさえ、炭火は火力調整が難しいし、さらに肉の厚みに対してベストな焼き加減やひっくり返すタイミングなんて、経験をみっちり積まないと把握できないもの。実は、炭火で肉を上手に焼くのって、めちゃくちゃ難易度「高」なんです。
スマホのアプリと連動して、何でもおいしく焼けるというスマートグリル「Pulse 1000」(weber)
じゃあどうすればいいかというと、誰でも簡単に肉が焼ける(魚・野菜ももちろん焼ける)グリルを使えばいいんですよ。
weberの電気グリル「Pulse 1000」は、スマホの専用アプリからBluetooth経由でグリル内の温度・食材に合わせた火加減が管理できる、日本初のスマートグリルなんです。
重量感のある焼き網は、鋳鉄にホーローコーティングを施したもの。こびりつきが少なく、調理後の清掃がかなりラクです
電源オン→温度ダイヤルを回すことで、スマホとのペアリングが完了
専用アプリには、食材別にメニューがプリインストールされているので、そもそも料理なんかしたことないという人でも、下ごしらえから焼き方まで、すべて画面を見ながら進めていけるという仕様です。
たとえば、グリル調理において重要な余熱に関しても、最初に本体ダイヤルを回して設定したら、予定温度に達した時点でスマホに通知が来る、という超親切っぷり。炭火に手をかざして、勘と経験で温度を測る、みたいなのは、もうまったく不要なんです。
調理前の下味付けなども、アプリでステップごとに確認できるので、料理初心者でも心配不要!
さらに、本体に接続したプローブ(温度計)を食材にプスッと突き刺すことで、食材の中心温度まで管理が可能。
この温度情報をもとに、肉をひっくり返すベストなタイミングや、焼き上がりもスマホへの通知で知らせてくれるので、厚みのある塊肉でも常に最適な焼き上がりが得られるという仕組み。コツも経験も技術も不要です。
もちろん、肉の焼き加減としてレアやミディアムウェルダンのような設定も可能ですし、バーベキューにありがちな生焼け/焦げ焼きといった失敗も起こり得ません。間違いなくベストな焼き上がりになるのがすでに確定済み。
食材にプローブをブスリ。先端が外に出ると正しく温度が測れないので、真っ直ぐ中心に向けて挿すのがポイントです
プローブのケーブルを「Pulse 1000」本体に接続
余熱が完了したグリルに、食材を入れて調理スタート。もうこの時点で、肉の中心温度もモニターされています
焼き加減を常に見張っていなくても、ひっくり返すタイミングでスマホへ通知が来ます。意外と慌ただしいキャンプ調理において、これはありがたい
電気グリルって、どうしても温度が上がりきらないイメージがあったんですが、「Pulse 1000」は最高で316℃と、ほとんど石窯(いしがま)並みの高温を達成。短時間でしっかり火が入るので、どんな食材でも旨みを逃がさず焼き上げられるんです。
何より、ただダイヤルを回すだけの温度管理がラク過ぎ! 1度このラクさを覚えてしまうと、もう炭火とか面倒くさくて使ってらんねーわ、って感じ。
タイミングの難しい「レア過ぎず、それでいてジューシー」なミディアムな焼き加減がバッチリ! これは、テンション上がるー!!
野菜も高温で一気に焼けるので、みずみずしい仕上がりに。オリーブオイル+塩をパラリと振るだけで、ごちそうのでき上がりです!
石窯に近い300℃超えの高温グリルで、ピザもカリッサクッと焼き上がりました
ちなみに、電気グリルですから、当たり前ですが、電気が通っていない場所では使用不可。ただ、最近はキャンプサイトに電源が引かれていたり、コンパクトなアウトドア用発電機が一般的に使われていたりもするので、電化製品を使いやすくはなっているかと思います。
大自然の中でのバーベキュー&ビールなんて、“優勝間違いなし”のやつですが、個人的には白ご飯も欲しいところ。
しかし、メスティンや飯ごうを使った炊飯は、アウトドア調理における最初にして最大の壁と言ってよいほどてこずるもので、慣れないうちは失敗が多いもの。
じゃあ、失敗したくない場合はどうすればよいかというと、答えは簡単。炊飯器を使えばいいんです。
ミスなく野外炊飯が可能なガス炊飯器「HAN-go」(イワタニ)
イワタニの「HAN-go」は、何とカセットガスを使った炊飯器。
火力リソースがカセットガスボンベなのが異なるだけで、あとは自宅で電気炊飯器を使う感覚でお米が炊けます。水加減さえミスらなければ、失敗なんかほぼありえません。つまり、こちらもアウトドア調理のコツとか経験とか抜きで、誰でもおいしいご飯が炊けるわけです。
下部ユニットにおなじみのイワタニのガスボンベをセットしたら、上部ユニットのお釜にお米と水を入れて合体させます
使い方は、まず2層になった本体下部のパネルを開けて、ガスボンベをカチャッと装填。一般的なカセットガスコンロを使ったことがある人なら、まずとまどうこともないでしょう。
続いて、本体上部の釜に研いだお米(野外なら無洗米が圧倒的にラク)と水を入れて、火力調整レバーをお米の量に合わせてセットします。
今回は2合炊きなので、火力調整レバーを「2」に合わせます
点火レバーを押して、炊飯スタート。火加減は、中央の窓から確認できますが、特に監視の必要はなし。放っておくだけで、ご飯が炊けます
本体の上下を合体させてロックし、ガスの元栓をオープン。あとは点火レバーをガチャッと押し下げると、「チチチ……」という電気火花の音と共に、ガスがボッと点火します。
のぞき穴から見て点火が確認できたら、作業完了。メスティン炊飯の場合、バーナーの火力を調節したり、火が消えないように守ったり……といろいろと忙しいんですが、「HAN-go」はもう待つだけです。
気が付くと、ご飯が炊き上がっていました。今までメスティンで炊いていたのが馬鹿らしくなるほどの手間いらずっぷり……! ちなみに、炊飯時間は、1合約12分、3合約15分、5合約18分です
炊き上がると自動でガス火が消えて、点火レバーも「消」の位置に復帰します。そのまま15分ほど蒸らしてやれば、完成です。
さすがガスの強火でムラなく一気に加熱したため、ご飯がツヤッツヤ! 野外で食べているという感動を差し引いたとしても、間違いなく電気釜で炊いたいつものご飯よりおいしいと思います。ちなみに、電気釜より火力が強いので、料亭などではガス釜を採用しているお店も多いとか。
肉などの調理と炊飯をひとりで同時進行できるので、焼き立て+炊き立てのタイミング合わせもバッチリ!
本体重量約5kgという重さとサイズ感は確かにマイナス要素ですが、車に積んじゃえば問題ないし。さらに、ガスボンベで使えるので、災害時とかにも自宅に1台あるとかなり助かるんじゃないでしょうか。
バーベキューも白ご飯も食べたしで、もうお腹いっぱいな頃合いでしょうか。あとは、軽く何かつまみながら、ぼんやりのんびり呑むのが最高ですよね。そんな時、今やアウトドア調理の大定番の燻製とか、よいと思います。
5分足らずで燻製が作れる超お手軽スモーカー「おうちで簡単 卓上燻製器」(サンコー)
ただ、燻製はスモーカー(燻製用の鍋など)の準備などで意外と手間がかかるので、食後にわざわざ始めるのも面倒くさい。
こういう時は、サンコーの「おうちで簡単 卓上燻製器」がとても便利なんです。
なんせ準備と言えば、手のひらサイズの本体にひとつまみのスモークチップ(燻材)を入れるだけ。めちゃラク。
スモークチップを本体に軽く詰めたら、トーチで着火。電源を入れると、空気を取り込んで燃焼が始まります
食材を入れたジップ袋は、あっという間に煙でパンパンに
スモークしたい材料を大きめのジップ袋に入れて、本体からのびたゴムホースを差し込んで袋の口を閉じます。
そうしたら、チップにマイクロトーチなどで着火して、本体のスイッチをオン。すると、チップから出た煙がホースの先から吹き出して袋の中を満たすので、煙でパンパンになった頃合いでスイッチオフ。袋からホースを抜いて密閉し直したら、1〜5分ほど放置で簡単燻製の完成です。
あとはそのまま数分放置で、中の食材がスモーキーな燻製に
ポテチやナッツ類は、特にスモークフレーバーが付きやすいので、満足感が高い。おすすめです
もちろん、燻製としてはかなりの簡易版なので、そのまま食べられる食材にちょっと燻製フレーバーをつけたいな……程度の仕上がりと言えます。
なんですが、おつまみとしてなら間違いなくこれで十分!
たとえば、プロセスチーズやナッツ類、ちくわ、味付け卵、ポテトチップなんかは、極上おつまみに変身してくれます。あとは、バーベキューで余ったソーセージやベーコンなんかも、軽く煙をかけてやることで、とんでもない酒消費モンスターに化けてくれるはず。
食後のまったり呑みに燻製のおつまみ、止まらないです。しみじみウマい……
冒頭でも述べたとおり、アウトドアクッキングをミスなくこなすには、長年の経験と調理スキルが必須……なんですが、そういう面倒なのはもう道具でぜんぶ解決できるわけで。
キャンプ初心者でも確実に最高レベルの「アウトドアめし」が食べられる家電、これは導入しない意味がわかんないレベルで、おすすめします。
●撮影協力:「In the mood」(https://inthemood.club/)
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。