選び方・特集
定番モデルにノイキャン対応の高機能モデル、高コスパモデルまで完全網羅!

《2021年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

8. Anker「Soundcore Liberty Air 2 Pro」
大人気Liberty Airシリーズ初のノイキャンモデルが登場!

Ankerの完全ワイヤレスイヤホンの中でも好評を博しているLiberty Airシリーズの最新版にして、ANC(ノイズキャンセリング)機能を搭載したモデル。とはいえ、デザインは(同じバーアンテナを持つタイプではあるものの)既存モデルとディテールが異なっているし、ケースに関してはまったくの別物となっている。“Pro”の名前が与えられていることからも、ひとつ上級に位置するモデルと考えるのが妥当そうだ。

注目のANC機能に関しては、イヤホンの外側と内側に配置した2つのマイクにより周囲の音を検知して雑音を除去する「ウルトラノイズキャンセリング」を搭載。「交通機関モード(乗り物のエンジン音や走行音など低周波ノイズを最小限に抑制)」「屋内モード(周囲の会話など中周波ノイズを低減)」「屋外モード(街中の環境音などを低減)」という、3つのノイズキャンセリングモードが切り替えられるほか、外音取り込み機能も用意されている。このあたりの機能性は、下位モデルの「Soundcore LIFE A2 NC」とほぼ変わらない。

もうひとつ、「Liberty Air 2 Pro」にはスマートフォン用アプリの機能として「イヤーチップ装着テスト」が用意され、ガイダンスにしたがってテストすると、最適な装着が行われているか確認することができる。ちなみに、イヤーピースは9種類ものサイズが同梱されているので、大半の人がベストな装着状態を実現できるはずだ。このほか、アプリからはイコライザー設定なども行えるようになっている。

連続再生時間はイヤホン本体のみで最大7時間 (ANCオン時は最大6時間)、専用ケースからの充電を含めると 最大26時間 (ANCオン時は最大21時間)と、十分なバッテリー性能を持ち合わせている。特に、ケースはかなり小柄な持ち運び重視タイプなので、それなりのバッテリー容量を搭載してくれているのはありがたい。また、15分間の充電で約3時間の音楽再生が可能な急速充電にも対応しているので、バッテリーまわりで不満に思うことはまずないだろう。なお、IPX4の防滴性能にも対応している。

ハイブリッド構成によって、ANCの効き具合はなかなかの効果を持ち合わせている。それほど“耳栓”感覚が強くない形状であるのにもかかわらず、効果のほどは結構ある。価格を考えると、十分以上の機能性と言える。

肝心のサウンドはというと、ジャズやクラシックなどアコースティック楽器との相性がよさそうな、ていねいな表現の中高域と量感たっぷりの低域との組み合わせが特徴。高域もそれなりの伸びやかさは持つものの、痛々しい鋭さがないので聴きやすい。ゆったりとした演奏のジャズや、ミドルテンポの名盤ポップスなどは、相当心地よいグルーヴ感を堪能させてくれる。音色も変な特徴がなく、自然な音色の歌声、アコースティックギター、ピアノが楽しめる。音場的な広がり感というか、情報量に欠ける嫌いはあるが、あまり気にならず、音色の気持ちよさが心に残る。このサウンドキャラクターが好きな人であれば、Jポップ、Jロックもイケる。装着感、ANCの効き、音質と、なかなかバランスのよい製品だ。

イヤホン重量(片耳):-
再生時間:最大7時間 (ANCオン時は最大6時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約3.5〜3.7回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/ホワイト

9. Jabra「Elite 75t」
ファームウェアアップデートでノイキャン機能が追加され、使い勝手がさらに向上!

ウェアラブルデバイスとしてだけでなく、オーディオ用イヤホンとしても評判の高いJabraから、「Elite」シリーズ第4世代となる完全ワイヤレスイヤホン「75t」が発売されたのは2019年のこと。前モデルに対してイヤホン本体と充電携帯ケースが一段とコンパクトになったほか、連続再生時間も約1.9倍に伸びたことで好評を博していたが、なんと先日、ファームウェアのアップデートによってノイズキャンセリング機能が追加されることとなったのだ。アップデートでノイキャンが追加されるのは、完全ワイヤレスイヤホンでは初めてのことかもしれない。ということで、あらためて「Elite 75t」の詳細を紹介していこう。

まずは外観から。イヤホン本体のハウジング部分、Jabraロゴの入った円形のボタン部分からマイクの備わった部分が横に(少し)伸びている独特のデザインは先代から受け継いでいるものの、全体的に小型化され軽快な装着感となった。その結果、左側のボタン左右で音量調整ができた(右端が音量アップ/左端が音量ダウン)が廃止され、音量アップは右側イヤホン本体のボタンを長押し、音量ダウンは左側イヤホン本体のボタンを長押し、というように変更された。とはいえ、ごく一般的な操作系に変更されただけなので、一度説明書を読めば迷わず操作できるはず。逆に、長押し操作でワンステップずつではなく連続して音量がアップダウンしてくれるので、なかなか便利だったりする。

ちなみに、ノイズキャンセリング機能の効き具合は、フィット感のよい本体とも相まって、暗騒音の解消をメインとしたしっかりとした効果が体験できる。追加機能とは思えない良質さだ。また、追加されたノイズキャンセリング機能には、「HearThrough」と呼ぶ外音取り込み調整機能も備わる。スライドボタンひとつで外音取り込みの状態が変更できるのは便利だ。

バッテリー持続時間は本体のみで最大5時間、専用ケースからの充電を含めると最大24時間となっている。ちなみに、ノイズキャンセリング機能をオフにすると、これまで同様に、最大7.5時間、専用ケースと合わせると最大28時間の再生が可能。また、15分の充電で最大1時間の音楽再生が可能な急速充電機能が備わっている。いっぽうで、IP55の防塵防滴性能や、4マイク搭載による方向性をしぼった外音取り込み、AlexaやSiri、Google Assistantなどの音声コントロール、アプリを使ったサウンド調整など、好評だった機能性、ウェアラブルデバイスとしての良質さはしっかりと受け継がれている。ちなみに、コーデックはSBCとAACの2つに対応している。

さて、肝心のサウンドはというと、先代から続く、明瞭快活ないい意味でのドンシャリという方向性は変わらず。シンバル、ハイハット系の音はクリアで鋭く、ピアノの音もタッチが軽やかな、ノリのよい演奏を聴かせてくれる。いっぽう、低域は十分な量感を備え、ドラムやベースの演奏はかなりの迫力を感じる。イマドキの最新モデルと比較すると楽曲によってはやや明瞭さに乏しい印象も持つが、それは静かな場所で視聴した際の印象で、屋外など騒音レベルの高い場所ではそれほど気にならなかった。総じてまとまりのよいサウンドチューニングといえる。アプリのイコライザーを使えばある程度は好みのサウンドバランスに調整できるので、機能性の多彩さと合わせて多くの人が満足できるはずだ。

イヤホン重量(片耳):6.75g
再生時間:最大5.5時間(ANC ON)/最大7.5(ANC OFF)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3.4回のフル充電が可能※ANC ON時)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/ゴールドベージュ/チタニウム

10. JVC「Victor HA-FX100T」
「ビクタースタジオ」のエンジニアが音質を監修した完全ワイヤレスイヤホン

ビクタースタジオのレコーディングエンジニアがサウンド監修を行った証である「Tuned by VICTOR STUDIO」ロゴが与えられた、初の完全ワイヤレスイヤホン。とはいえ、この「HA-FX100T」は“完全ワイヤレスイヤホンであっても高音質で楽しみたいというユーザーの要望に応えるため「ビクタースタジオ」に音質の監修を依頼した”という経緯を持つ製品であり、実際にビクタースタジオで利用されているスタジオモニターヘッドホン「HA‐MX100V」とは製品の成り立ちやビクタースタジオ監修の意味合いが異なっていたりする。プロが認めた音をいつでもどこでも手軽に楽しめるというのが「HA-FX100T」最大の魅力といっていいだろう。

実際、完全ワイヤレスイヤホンとしての機能性は最新モデルならではの充実度を持ち合わせている。(型番は非公表だが)最新のクアルコム製SoCを採用することでロングライフと接続安定性を両立。イヤホン本体で最大8時間、専用ケースからの充電を加えると最大28時間の連続再生時間を実現している。また、接続安定性に関しても、TWS Plusに対応しているほかLDSアンテナなども採用されており、あらゆる接続での安定性が追求されている。コーデックはSBC、AACに加えてaptXにも対応。IPX4相当の防滴性能も確保されている。

マイク性能に関しても、ちょっとしたこだわりが盛り込まれている。cVcテクノロジーと高性能MEMSマイクの組み合わせによってクリアな通話が追求されていることに加えて、自動で音質を切り替えて会話を聞き取りやすくなる「はっきり音声」機能も搭載。ハンズフリー機能や片側だけで使用可能な点など、さまざまな便利機能を持ち合わせている点も注目だ。装着感については、円筒から斜めにノズルか突き出したシンプルなデザインと、片側約4.5gの小型ボディによってなかなかに良好だ。また、JVCのイヤーピース「スパイラルドット」が標準添付されているので、音質での優位性もうれしいポイントとなっている。

さて、肝心のサウンドはというと、中域重視、メリハリのはっきりした表現が特徴。帯域バランス的には低域が強めとなっているが、あくまでも中域が主役のチューニングとなっていて、ボーカルなどのフロントラインが強い存在感を主張する。加えて、リアル志向の音色傾向も持ち合わせているため、ボーカルはもちろん、アコースティック楽器の演奏も心地よいサウンドが楽しめる。特にピアノは、ハンマーのノックからホールへと音の広がりまで、すべてが感じ取られるくらいに情報量が多く、それでいて聴き心地のよい素直な音色ともなっている。スタジオモニターヘッドホン「HA‐MX100V」もボーカル、特に女性ボーカルが熱気あふれる歌声を聴かせてくれる魅力的なサウンドだった。そういった点で、両者のサウンドは共通するキャラクターを持ち合わせており、確かに「Tuned by VICTOR STUDIO」の看板に偽りなし、すぐれたサウンドを持つ製品といえる。

ちなみに、「HA-FX100T」は傘の部分が短い交換用イヤーピース「スパイラルドットSF(ストレスフリー) EP‐FX11」もオプションで用意されている。こちらを試してみたところ、音質的にも装着感としてもなかなかに良好だった。定位感のしっかりしたサウンドへと変化するため、音場表現が豊かに感じられる。また、低域もフォーカス感が高まってくれるので、ハードロックなども聴きやすくなり、男性ボーカルは落ち着いた響きに変化する。この組み合わせはなかなかだ。しばらく標準添付の「スパイラルドット」イヤーピースで楽しんだのち、ぜひ「スパイラルドットSF EP‐FX11」も試してみてほしい。

イヤホン重量(片耳):4.5g
再生時間:最大8時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約2.5回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック

11. アップル「AirPods」(第2世代モデル)
「Siri」による音声操作に対応したAirPodsの第2世代モデル

完全ワイヤレスイヤホンの牽引役にして、ジャンル最大の販売数を誇るアップル純正モデル「AirPods」が新モデルへと進化した。本体に関して外観の変更はほとんど見られず、ケースも同じデザインながら、Qiによるワイヤレス充電に対応したこと(非対応ケース付属の製品も用意される)、LEDが外部に移動されて充電状況が外からわかりやすくなったことなど、いくつかの利便性向上が図られている。

とはいえ、イヤホン本体も情報をよく見てみると、いくつかの性能アップが盛り込まれているのがわかる。「AirPods」はもともと、取り出すだけでiPhoneと簡単に接続でき、左右を意識せず(実際形状的にはLRはあるが)装着するだけで音楽再生を楽しむことができるうえ、同じApple IDを登録したiPadやMacなどとペアリング情報が共有されるため、機器ごとに設定する必要もない。これまでもアップル製品のユーザーには、とても使い勝手のよい製品となっていたのだが、新世代の製品では声で音声アシスタント「Siri」を呼び出せるなど、いくつかの機能性アップも行われている。

これは、ワイヤレスモジュールの変更によって実現した機能性だと思われる。初代「AirPods」では「W1」というチップを採用していたが、新モデルでは「H1」へと変更され、低消費電力化や接続機器の切り替え速度向上など、主に使い勝手の面でグレードアップが行われている。使いやすさを重視した製品作りは、アップルらしい方向性だといえる。

しかしながら、「AirPods」も純然たるオーディオ機器であるのも確か。一番重要なのは、その音質だろう。ということで、さっそくiPhoneに接続して、そのサウンドをチェックしたが、初代「AirPods」に対して、ややニュートラルなサウンドキャラクターにシフトしたイメージだ。初代「AirPods」は、昔のBoseのようなアメリカ東海岸サウンドとも呼ぶべき音色傾向を持ち合わせていたが、最新の「AirPods」は、逆に中域重視のキャラクターが強まり、奔放さよりもまとまりのよさを重視したような印象となった。

ややウォーミーな音色傾向を持ち、女性ボーカルはいつもよりハスキーだが、高域への伸びやかさはしっかりと保たれていて、印象的な歌声を聴かせてくれる。ピアノの響きも伸びやかだ。解像感も高まってくれているのだろう、楽器の音色もリアリティが高まっている。音質については、確実なグレードアップを果たしている印象を持った。機能性といい音質といい、グっと完成度の高まった製品に生まれ変わったと思う。

インナーイヤー型なので、当然音漏れはある。また、街中で耳からポロリとこぼれ落ちた人を何人も見ている(そのうち2人の女性は線路に吸い込まれていった)。電車内で使用する際は音量に気を使う必要があり、歩きながらの使用は(こぼれ落ちるのを回避するためにも)避けてもらいたい製品だが、いっぽうでこの扱いやすさは大きな魅力といえる。特にアップル製品ユーザーにとっては、最有力候補となる製品だ。

イヤホン重量(片耳):約4g(片耳)
再生時間:最大5時間
充電方法:専用ケース(15分の充電で最大3時間の再生、内蔵バッテリーで24時間以上の再生が可能)
対応コーデック:SBC、AAC
カラーバリエーション:ホワイト

12. Beats by Dr. Dre「Powerbeats Pro」
最新AirPodsと同じApple H1チップ搭載した完全ワイヤレスイヤホン

Beats初の完全ワイヤレスイヤホンがこの「Powerbeats Pro」だ。現行「AirPods」にも搭載されているアップル社製「H1」チップを採用することで、iPhoneやiPadなどとの接続性、利便性を追求したモデルに仕上がっているのが特徴となっている。

イヤホン本体は、一般的なカナル型というよりも、スポーツモデルのようなイヤーフックを採用したスタイルとなっている。しっかりした装着を実現する太めのイヤーフックなど、外観は「Powerbeats3 Wireless」に近いイメージとなっているが、ディテールはかなり異なっていて、完全ワイヤレスイヤホン専用にデザインされているのがわかる。

操作系は、上側に音量の+/−が可能なボタンと、再生/停止/受話などが行えるハウジング部のbマーク(ちなみに2回押しが曲送りで3回押しが曲戻し)、ふたつがレイアウトされている。こちらの操作感は良好で、とても扱いやすかった。また、本体にはセンサーが付属しており、装着すると再生が始まり、外すと再生が停止するようになっている。こちらもなかなかに便利だ。

専属再生時間は最大9時間ほど。専用ケースからの充電を含めると、24時間以上の使用が可能となっている。さらに、5分の充電で約90分の再生が行えるようになる急速充電機能(BeatsではFast Fuel機能と呼んでいる)も持っているので、外出時にバッテリー切れで困ることはまずないはずだ。

そのほか、専用ケースを開けてiPhoneを近づけるだけでペアリングしてくれたり、ケースの接続端子がLightningだったり(製品にはLightning to USB-Aケーブルが付属)、Siriに対応していたりと、iPhone/iPadユーザーにはとても扱いやすい仕様となっている。とはいえ、このあたりはAndroidユーザーにとってはデメリットになることが多いので、あくまでもiPhone/iPadユーザーをメインとした製品といえる。

さて、そのサウンドはというと、カリッとした、ハリのある中高音が特徴。ヌケのよい、広がり感のある清々しいサウンドが楽しめる。いっぽう低域は、十分な量感を持つが、全体の帯域バランスを崩すようなことはなく、どこまでもクリアな、上質な印象を感じさせるサウンドにまとめ上げられている。解像感がそれほど高くはないが、そういった不足を感じさせない。絶妙なチューニングといえるだろう。

サウンドも使い勝手も満足できる内容となっている「Powerbeats Pro」だか、唯一残念なのが音漏れに関して。「Powerbeats Pro」は、かなり盛大に音漏れするため、電車内などではボリュームを大きく絞る必要がある。決して大げさな話ではなく、開放型ハウジング採用のインナーイヤーに近いのでは、と思えるほどの音漏れだったりするのだ。というのも、先日たまたま電車内で「Powerbeats Pro」ユーザーを目の前にしたのだが、こちらは座っていて、その人は立っているのにもかかわらず、どんな楽曲を聴いているのか丸わかりだった。ラッシュ時の電車などでは、まず使えないといっていいだろう。「AirPods」も含め、アップル社製イヤホンは音漏れについてあまり配慮していない傾向があるので、そのあたりはあらかじめ注意が必要だ。

イヤホン重量(片耳):-
再生時間:最大9時間
充電方法:専用ケース(イヤホン本体と合わせて24時間以上再生可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:アイボリー/ブラック/ネイビー/モス

13. ソニー「WF-1000XM3」
ノイキャン性能や接続安定性を高めたソニーのロングセラー完全ワイヤレスイヤホン

ノイズキャンセリングをはじめ、多彩な機能が搭載されたソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000X」がモデルチェンジ。「WF-1000XM3」へと生まれ変わった。

新モデルの特徴をひとことで表すならば、それはズバリ、コンセプトの完璧な実現、といったイメージだろうか。先代「WF-1000X」は、完全ワイヤレスイヤホンとして世界初となったデジタル・ノイズキャンセリング機能の搭載や、フラッグシップモデルらしい上質なサウンドで大いに人気を得ることとなったが、ソニーとしては初めて手がける完全ワイヤレスイヤホンだということもあってか、接続安定性や装着感などで、ユーザーから不満の声が上がることもままあった。そういった部分をすべてしらみつぶしに解消していき、フラッグシップモデルに相応しい“理想の”完全ワイヤレスイヤホンを作り出そうとした様子が、新モデル「WF-1000XM3」の随所からうかがえるのだ。

たとえば、イヤホン本体のデザインは、ハウジング部のオーバル形状など基本的なスタイルこそキープコンセプトであるものの、まったくの新造形となっているし、さらに耳側、ノズルまわりの形状はまったく異なるデザインへと変わっている。これによって、先代に対して格別となる、高い装着感を実現していることを確認できた。また、内部に目を移しても、Bluetoothチップセットを新規に開発するなど、徹底した改良が行われている。名前は“M3”だが、完全新作といっていいほどのブラッシュアップが行われているのは確かだ。

ちなみに、2代目なのに何故“3”なのか疑問に思ったのだが、その旨をたずねてみると、ノイズキャンセリング機能搭載ヘッドホン「WH-1000XM3」のイヤホン版という位置付けとなっているため、この名前を採用したようだ。正直、M3をマーク3と捉えると多少の違和感をもつが、ソニーとしてはマーク3の略と明言している訳ではなく、世代で製品名末尾をそろえるのは製品特徴として分かりやすい面もあるので、これはこれで分かりやすいかも、とも思えた。

いっぽう、機能面でも先代モデルに対しての進化がいくつも見られる。デジタル・ノイズキャンセリング機能は、新たにヘッドホンの外側と内側に配置した2つのマイクを配置した「デュアルノイズセンサーテクノロジー」を完全ワイヤレスイヤホンとして初めて採用。さらに、ヘッドホン「WH-1000XM3」用のノイズキャンセリングプロセッサー「QN1」を省電力/小型化した「QN1e」を新たに搭載することで、ノイズキャンセリング機能の精度も高めている。さらに、ノイズキャンセリング機能のオンオフに加え、「アンビエントサウンド(外音取り込み)モード」も、イヤホン本体のタッチパッドから操作できるようになった。もちろん、スマートフォン用アプリからの操作も引き続き行えるようになっていて、こちらは外音取り込みレベルを22段階で調整可能なほか、ボイスフォーカスをONにすることで外のノイズを低減しつつ人やアナウンス音のみを聞きやすくすることもできる。また、ペアリングしているスマートフォンの加速度センサーを読んで、止まっている時/歩いている時/走っている時/乗り物に乗っている時の4パターンを検出して、あらかじめ設定したノイズキャンセリング&外音取り込みのモードを自動で切り替えてくる「アダプティブサウンドコントロール」も健在。使い勝手については、大いに満足のいくレベルだ。

なお、付属の専用ケースは先代に比べると多少コンパクトになった印象だが、他社製品の最新状況を踏まえると、大柄と感じてしまうサイズかもしれない。とはいえ、NFC機能が付属してくれているのはとても便利だし、約3回分のフル充電が行えることを考えると、許容できる範囲かもしれない。ちなみに、バッテリー持続時間は、イヤホン本体で約6時間、ケースからの充電もあわせると最大24時間使い続けることができるようになっている。充分な数値といえるだろう。

さて、実際の使い勝手はというと、装着感についてはなかなかのもの。ホールド感がしっかりしていて、耳からポロリとこぼれ落ちることはまずない。先代では、安定した装着が適わなかった筆者としてはありがたいかぎり。また、接続安定性に関しても、特に気になるほどではなかった。ヘッドホンイベント会場という、かなり劣悪な環境でも試してみたが、他社製品に比べると優秀といえる接続安定性を示してくれた。もちろん、相当な悪環境だったので接続が切れることは何回もあったが、クアルコム社製「QCC3026」搭載モデルなど接続安定性をアピールする製品と同等か、それ以上のクオリティは持ち合わせていたように思う。

肝心のサウンドはというと、SBC、AACコーデックのみの対応とは思えないほど、質感のよい表現を持ち合わせている。ピアノはタッチのニュアンスがしっかりと伝わってくることに加えて、倍音がしっかりと乗っているので、のびのびとした演奏に感じられる。ボーカルも迫力のある、メリハリのよい歌声を聴かせてくれる。アコースティック楽器が得意だった先代に比べると、オールラウンダータイプにシフトしたというべきか。ボーカルの押し出し感や、ドラムやベースのグルーヴ感の高さなど、メリハリのしっかりしたサウンドとなっている。幅広いジャンルの音楽が楽しめるようになったのは嬉しいかぎり。これでSBC/AACコーデックのみの対応というのはもったいない、もしLDAC対応であればさらに良質なサウンドが楽しめただろうと、少々残念な気持ちにはなっている。とはいえ、「WH-1000XM3」の音質、機能性は一級品といえるもの。上級クラス完全ワイヤレスイヤホンのリファレンスといえる、とても優秀な製品だ。

イヤホン重量(片耳):約8.5g
再生時間:最大6時間(NC ON)/最大8時間(NC OFF)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/プラチナシルバー

14. ag「COTSUBU」
イヤホン本体もケースも超小さい! 豊富なカラバリにも注目

final監修のジャパンブランドとして2019年の誕生以来、矢継ぎ早に新製品をデビューさせ、ヒット作を生み出しているag。その第3世代の製品といえる、まったく新しいアプローチの新製品が登場した。それがこの「COTSUBU」だ。

こちらの製品、実はいままで通りの通し番号的な「TWS09R」という製品名も持っていて、フルネームを書くと「TWS09R COTSUBU」となる。とはいえ、基本的にはペットネームに相当する部分「COTSUBU」と呼ばれており、agとしては、初めて“名称”を与えられた製品となる。担当者に質問してみたところ「製品の特徴がわかりやすくなるよう、今回よりペットネームをメインの製品名とさせていただきました」とのこと。今後も、こういった“分かりやすい”名称を付けていく可能性があるようだ。

その名前から分かるとおり、「COTSUBU」は小型のイヤホン本体を持つことが最大の特徴となっている。これは、女性はもちろんのこと、男性であっても“耳から大きくはみ出している”完全ワイヤレスイヤホンが安定感としてもファッション的にもそれでいいのか、というアンチテーゼが込められたもの。実際に装着してみると、かなりのフィット感を持ち合わせていて、これだったら耳の小さい女性であっても大きくはみ出すことなく、スマートに装着できるはず。また、片側約3.5gという最軽量クラスの重量となっているため、装着感もかなり軽快なのもポイントだ。

また、小型軽量を最大の特徴としつつも、機能性や音質にいっさいの手抜かりがない点はagらしいといえるところ。Bluetoothチップにクアルコム「QCC3040」をチョイス。約5時間という連続再生時間を確保しつつ、aptXコーデックにも対応。アンテナ設計の改善とあわせて接続安定性を向上させ、加えてcVcマイク・ノイズキャンセル機能の採用により通話性能もクオリティアップを押し進めている。また、専用ケースもかなり小型なうえ角のないデザインを採用しているため、女性のバッグはもちろん、シャツの胸ポケットでもすんなり収まってくれるスマートさの魅力のひとつだ。

もうひとつ、「COTSUBU」にはagブランドならではのこだわりを持ち合わせている。それは、素材の質感とカラーバリエーションだ。表面は、指紋が付きにくく手触りのよい塗装が採用され、手に持っていても滑りにくい特徴がある。また、イヤホン本体は専用ケースとともに落ち着いたカラーリングが採用され、シックで上品な雰囲気を持つ。この価格帯の製品としては望外といえる上質さだ。しかも、現在7タイプのカラーバリエーションが発売されているが、今後はさまざまなカラーが登場予定だという。どうも、50色のカラーバリエーションが検討され、そのうち24色くらいは登場させたい、と考えているようだ。これはもう、これまでのイヤホンとはまったく異なるコンセプト、まったく別の商品性といえるだろう。

とはいえ、そのサウンドも重要なポイントといえる。スマートフォン(OPPO Rena A)にaptXコーデックで接続してみると、フォーカスのよいクリア志向のサウンドを聴かせてくれた。特にボーカルのヌケがよく、男性も女性も溌剌とした伸びやかな歌声を楽しむことができる。それでいて、高域は鋭くなりすぎず、ハイハットも金管楽器もわずかな煌びやかさに抑えられていている。明瞭さと聴き心地のよさが見事にバランスした、サウンドとなっている。

小柄なだけでなく、音も大いに魅力的な製品だ。今後のカラーバリエーション展開も、大いに期待したい。

イヤホン重量(片耳):3.5g
再生時間:最大5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:CREAM(クリーム)/BLACK(ブラック)/SAKURA(サクラ)/SNOW(スノー)/SKY(スカイ)/STONE(ストーン)/BROWNIE(ブラウニー)

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