選び方・特集
高機能なハイエンドモデルから高コスパモデルまで!続々登場する最新機種も網羅!

《2020年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

14. JVC「HA-A10T」
エントリーモデルとは思えないサウンドクオリティに注目!

最近は完全ワイヤレスのラインアップ拡充にも力を注いでいるJVCから、いくつかの新製品が登場した。そのひとつ「HA-A10T」は、エントリークラスに位置するハイ・コストパフォーマンスモデルだ。

完全ワイヤレスとしてはとてもオーソドックスなデザインのイヤホン本体は、比較的コンパクトなサイズにまとめ上げられていて装着感もよく、ハウジング側に配置されているプッシュボタンもシンプルで操作しやすい。楽曲操作に加え、2クリックで音量調整(左が小、右が大)ができるのも嬉しい。また、専用ケースは今となってはやや大柄な部類になってしまうのかもしれないが、決して邪魔にならないサイズをキープしているし、何よりもイヤホン本体が取り出しやすくてありがたい。そのほか、連続再生時間は約4時間と必要十分なレベルはキープされ、15分の充電で約1時間の連続再生が可能なクイック充電にも対応している。防水性能も、IPX5が確保されている。

そして、この製品の最大の特長といえば、そのサウンドクオリティだろう。ダイレクト感の高い、メリハリに富んだサウンドを聴かせてくれるのだが、その質感が、価格帯を大きく上まわる良質さを持ち合わせているのだ。実際に聴いてみると、ボーカルは声の特徴をしっかり届けてくれるし、ギターはエッジの効いた演奏を楽しませてくれる。とても距離感の近い音なので、普段よりも音楽にのめり込んで聴くことができる。エントリーユーザーだけのものにしておくにはもったいない、Jポップやロックを楽しむためのサブ機として手元に置いておきたくなる、聴き応えのあるサウンドだ。

イヤホン重量(片耳):約5.2g
再生時間:最大4時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2.5回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC
カラーバリエーション:インディゴブルー、ブラック、ミスティグレイ、ダスティピンク

15. ソニー「WF-SP800N」
ノイキャンも重低音もあきらめない。防水対応スポーツモデル

いまや完全ワイヤレスイヤホンの定番モデルといえるアップル「AirPods」に先駆けて、いち早くノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホンをリリースしたソニー。スポーツモデルの完全ワイヤレスイヤホンにも、いち早くノイズキャンセリング機能を搭載してきた。それがこの「WF-SP800N」だ。

“ノイキャンも重低音もあきらめない。防水対応スポーツモデル”というコンセプトを持つ「WF-SP800N」だが、確かに、ノイズキャンセリング機能の重低音スポーツモデル、という、イマドキのニーズをすべて押さえた全部アリの欲張り製品と言えるかもしれない。とはいえ、造りが中途半端になってしまったり、一部の特徴がおざなりになったりすることはなく、トータルバランスのよい製品にまとめられている点は、ソニーならではの巧みさといえる。

まず、スポーツユースに関しては、IP55の防滴防塵性能を確保。イヤーフィンを付属することで、スポーツ中にポロリとこぼれ落ちることを防いでいる。実際に装着してみたが、装着時に下側が支点となってくれるイヤホン本体の形状とも相まって、良好な装着感を確認できた。

いっぽう、最大の注目であるノイズキャンセリング機能については、外音取り込み機能を含めたいくつかのモードを用意。ノイズキャンセリングの効き具合や、外音と音楽のバランスを調整することができる。また、ペアリングしているスマートフォンの加速度センサーを利用し、1.止まっているとき、2.歩いているとき、3.走っているとき、4.乗り物に乗っているときという4パターンの行動を検出し、あらかじめ設定しておいたモードに自動切り替えしてすることも可能となっている。電車を降りて徒歩で歩いているときなど、ついつい切り替えを忘れてしまう場合も多いので、なかなかなうれしい機能といえる。

バッテリー持続時間は、ノイズキャンセリング機能オン時で最長9時間、専用ケースからの1回分の充電を含めると、最長18時間使い続けることが可能となっている。ちなみに、ノイズキャンセリング機能オフ時は最長13時間(ケースからの充電含め最長26時間)と、どちらも十分なロングライフを確保している。そのほか、本体の左右それぞれがプレーヤー(やスマートフォン)と接続することで、高い接続安定性を確保。耳から外すと音楽が一時停止する装着検出機能や、音声アシスタント機能など、高い利便性を持ち合わせている。

さて、肝心の音質はというと、EXTRA BASSらしいボリューミーな低域を持つ、迫力のサウンドが楽しめる。それでいて、決してメリハリはラフになりすぎず、細やかな表現もしっかり聴こえてくる、なかなかにバランス感覚に秀でた絶妙なチューニングだ。EDMなどの音楽はもちろん、最新Jポップなども楽しい。いっぽう、女性ボーカルはかなりハスキーな印象となるので、多少好みが分かれるかもしれない。

イコライザー機能もあるので、好みや楽曲に合わせて帯域バランスを調整することもできるので、このあたりは積極的に調整したいところ。ソニーらしいというべきか、ユーザビリティにこだわった、とても高機能な製品といえる。

イヤホン重量(片耳):9.8g
再生時間:最大9時間(NC ON時、OFF時は最大13時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで1回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/ホワイト/ブルー/オレンジ

16. ゼンハイザー「CX400BT」
「MOMENTUM True Wireless 2」と同じドライバーユニットを搭載! 音にこだわった完全ワイヤレスイヤホン

ゼンハイザーより、完全ワイヤレスイヤホンの新モデルとして「CX 400BT True Wireless」が登場した。これまでゼンハイザー製完全ワイヤレスイヤホンは、「MOMENTUM True Wireless 2」など、MOMENTUMシリーズのみ、事実上ワンモデルでの展開を行ってきたが、「CX 400BT True Wireless」の登場によって2バリエーションでの展開をスタートさせることとなる。

実際、「CX 400BT True Wireless」と「MOMENTUM True Wireless 2」ではグレードやシリーズに基づくさまざまな違いが見られる。たとえば「MOMENTUM True Wireless 2」はアクティブノイズキャンセリング機能や近接センサーを搭載しているが、「CX 400BT True Wireless」は非搭載のスタンダード機。当然、採用されているBluetoothチップも異なっている。また、新モデルはハウジング部分がスクエアなデザイン形状となり、専用ケースもオーソドックスな樹脂素材の外観を持つ小型のものに変更されている。

とはいえ、それ以外はかなりの部分が共通している。たとえばイヤホン本体はハウジング形状こそ異なるものの、耳側サイドの形状やノズル部はほぼ同じものが使われており、搭載されている7mm口径のドライバーも変わらない。機能性は差別化されているが、音質に関してはほぼ妥協なく同じレベルのものを作り上げたハイコストパフォーマンス機、ともいえる存在だ。

いっぽう、機能面ではアプリも用意されており、イコライザーによるサウンド調整やタッチセンサーの操作種類をカスタマイズできるなど、利便性は十分に確保されている。また、専属再生時間は約7時間と十分なスペックを持ち合わせている。Bluetoothコーデックは、SBC、AACに加えてaptXにも対応しているなど、音質に対してのこだわりが垣間見られる。

さて、肝心のサウンドはというと、「MOMENTUM True Wireless 2」のほぼ共通のキャラクター。メリハリのハッキリした抑揚表現、フォーカスがよくタップとした量感もあわせ持つ躍動感あふれる低域、キレのよい高域表現など、ゼンハイザーならではのサウンドキャラクターを持ち合わせている。音質についても悪くない。女性ボーカルやアコースティックギターなどは、かえって「MOMENTUM True Wireless 2」以上に繊細なニュアンスが伝わってくる。

ゼンハイザーサウンドが好みのユーザーにとっては、パフォーマンスだけでなく、音質的にも十分な満足感を得られるなかなかに良質な製品だと言えよう。

イヤホン重量(片耳):12g
再生時間:最大7時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで1.8回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック/ホワイト

17. Technics「EAH-AZ70W」
機能性も抜群!Technicsブランド初の完全ワイヤレスイヤホン

アクティブノイズキャンセリング機能を搭載した、Technicsブランド初の完全ワイヤレスイヤホン。音質はもとより、ノイズキャンセリング機能や接続安定性の高さ、アプリによるカスタマイズが可能な点など、音質はもちろんのこと、機能性にもこだわっているのが特徴だ。

まず、機能面で最大の注目といえるのが、アクティブノイズキャンセリング機能だろう。「EAH-AZ70W」には、デジタル制御を採用するフィードフォワード方式(イヤホン外側のマイク配置)と、アナログ制御のフィードバック方式(イヤホン内側のマイク配置)を組み合わせた独自の「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」が採用されている。これは、どちらもデジタル方式を採用すると音質的なデメリットを生じてしまうことから、これを回避すべくフィードバックにアナログ制御のものをチョイスしたという。これによって、音質に与える影響を最小限に留めつつ、自然なノイズキャンセリング機能を実現しているという。

実際に試してみると、強烈な効きというよりも、自然な効き、といったイメージで、その分音色が自然に感じられる。なかなか好印象な音作りに感じた。ただし、アクティブノイズキャンセリング機能をオンオフすると、ほんの少し音楽の表現が変わる。オフにしているときのきめ細やかな表現に対して、オンにするとやや客観的な、ダイナミックレンジの幅を少しばかり狭めたかのような表現になる。確かに、ノイズキャンセリング機能オンが必要な環境だと、こちらのバランスの方が聞き取りやすいかもしれない。

もうひとつ、接続安定性に関する工夫にも注目だ。「EAH-AZ70W」では、イヤホン本体が左右それぞれ直接スマートフォンと接続する「左右独立受信方式」を採用し、人体(頭)を間に挟むことでどうしても不利になりがちな接続安定性を解消しているという。また、TWS Plusのような対応スマートフォンが限られた規格ではなく、大半のスマートフォンでこの接続が可能だという転もメーカーはアピールする。また、タッチセンサー配線などもアンテナ回路に利用した「タッチセンサーアンテナ」を新開発するなど、ワイヤレス関連にパナソニック製コードレス電話で培った技術を投入しているという。

実際、iPod touchに「EAH-AZ70W」を接続して屋外テストを行ってみたところ、見通しのよい場所であれば30m近く離れても音切れすることなく音楽再生が楽しめた。接続テストを行った場所が住宅街のため、どちらかといえば良好な環境ではあるが、なかなかに優秀な結果といえる。

なお、ノイズキャンセリング用に加え、会話用としても左右1ペアのMEMSマイク(Micro Electro Mechanical Systems)を搭載。風切り音を低減する「ラビリンス構造」と、送話の音声とそれ以外の音を区別しノイズを低減する「ビームフォーミング技術」とを組み合わせることで、明瞭な音声での通話が可能となっている。こちらもなかなかにうれしい気づかいだ。

ほかにも、専用アプリではノイズキャンセリングの効果を100段階で調整可能なほか、イヤホン単体で約6.5時間(NC ON/AAC時)〜約7.5時間(NC OFF/AAC時)の連続再生(充電ケースとあわせて約19.5時間〜約22.5時間)、IPX4の防滴機能など、最新モデルならではの隅々まで配慮されたユーザビリティを持ち合わせている。こと機能面に関しては、完成度の高い製品だ。

音質にこだわり、10mm口径のグラフェンコートPEEK振動板採用ドライバーを搭載したという「EAH-AZ70W」の音はというと、ひとことで表現するならばバランス派。いちばん得意とするのはアコースティック楽器だが、JポップやJロックもイケる、懐の深さが特徴となっている。特に女性ボーカルは、細かいニュアンスがしっかりと伝わるため、実体感の高いリアルな歌声が楽しめる。また、ピアノも高域側の倍音成分がしっかり整っているため、伸びやかな響きだ。

ノイズキャンセリング機能のオンオフで多少なり音色の変化はあるものの、どちらも中域重視のバランスにブレはないので、どちらも良好な聴き心地となっている。初めてリリースした完全ワイヤレスイヤホンとは思えない、優秀な製品だ。

イヤホン重量(片耳):7g
再生時間:最大6.5時間(ノイズキャンセリングON、AAC接続時)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/シルバー

18. Bang&Olufsen「B&O PLAY Beoplay E8 3rd Generation」
価格.comプロダクトアワード受賞の人気モデルがさらにコンパクトに進化!

ヤコブ・ワグナー (Jacob Wagner)のデザインによるスタイリッシュ&コンパクトなデザインと、上品な質感とが好評の「Beoplay E8」が、第3世代モデルへと進化した。

「Beoplay E8 3rd Gen」の特徴は、一新されたスタイルと、機能性の向上だ。イヤホン本体は3Dモデリングとユーザーテストを重ねることで、17%小型化され、重量も約7gから5.8gへと軽量化されたという。同時にフィット感も向上させていて、実際に装着してみると、かなりピッタリとした装着感をもたらしてくれるようになった。

いっぽうで、専用ケースのほうにも進化の様子が見られる。先代同様、本革とアルミニウムを組み合わせた専用ケースは、シックで上品なイメージこそ変わらないものの、ずいぶんとコンパクト化されており、いちだんと持ち運びしやすい印象になった。また、ワイヤレス充電にも対応しており、オプションのワイヤレス充電器「Beoplay Charging Pad」も用意されている。

また、機能面では連続再生時間が最大7時間と倍近くまで大きく向上。専用ケースからの4回分の充電を合わせるとトータル最大35時間使い続けられるようになった。通勤時に利用している人なども、まったく不満のない数値だろう。これはありがたい。

なお、付属品に関しても、SSサイズを含めた4サイズ+コンプライ・イヤーピースや、専用ケースの充電用に長めのUSB Type Cケーブルを同梱していたりと、細やかな配慮がうかがえる点はうれしいところだ。

新たにaptXコーデックに対応したという話なので、今回はOPPO Rino Aを使用し、aptX接続にてそのサウンドを確認してみた。外観そのままといった、上品なニュートラル志向のサウンド。ほんの少し中域重視だが、総合的にはナチュラルな帯域バランスを持ち、明瞭度の高いサウンドを聴かせてくれる。おかげで、ボーカルの歌声がとても自然だし、ギターの音色もイメージ通り。嫌なピークもなく、変な付帯音も感じず。スローな曲調の楽曲がとても情緒的なサウンドで楽しめる、聴きやすく心地よいサウンドだ。

それでいて、迫力がないわけではない。しっかりした量感の締まった低域を持ち合わせているので、演奏がとてもリズミカルに聴こえる。絶妙なセッティングといえるだろう。マテリアルもサウンドも良質な、オールラウンダーモデルだ。

イヤホン重量(片耳):5.8g
再生時間:最大7時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで4回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック/グレイミスト

19. ヤマハ「Empower Lifestyle TW-E7A」
ヤマハ初のノイキャン付き完全ワイヤレスイヤホンは、ボーカルの歌声がしっかり届く音の通りのよさに注目!

昨年、ヤマハから3モデルの完全ワイヤレスイヤホンが発表されたが、そのうちの最上位モデル、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載した「TW-E7A」の販売がいよいよスタートした。コロナの影響などもあって、発売日がかなり後ろにずれ込むことになったが、待望のヤマハ初のノイキャン付き完全ワイヤレスモデルだけに、その登場を待ち焦がれていた人は少なからずいることだろう。ということで、量産モデルを借用できたので、さっそくレビューをお届けしよう。

まず、「TW-E7A」「TW-E5A」「TW-E3A」という3モデルに関してのおさらいから。ヤマハ初の完全ワイヤレスイヤホン3モデルは、「Empower Lifestyle」と銘打ったシリーズに属していて、ユーザーのライフスタイルに寄り添うことをコンセプトとした製品に作り上げられているという。また、3モデルに共通しているのが、独自の音響補正機能「リスニングケア」を搭載していること。こちら、ヤマハのAVアンプ開発で培った技術を応用したもので、音量によって異なる聴こえ方を解析し、「耳の安全を守る」ことに配慮しつつ、ボリュームごとに最適な帯域バランスに補正してくれるのだという。こちら、専用再生アプリ「Headphones Controller」と連動し、設定された音量に合わせてイヤホン本体内のイコライジング機能(低域/中低域/中域/高域の4バンド)を自動調整することで実現している機能で、小ボリュームでも迫力を損なわないサウンドを作り上げてくれる。実際に、過去に「TW-E3A」で試聴させてもらったが、なかなかに聴き心地がよく、それでいて“通りのよい”音だと感心させられた。

話を元に戻そう。「TW-E7A」は、クアルコムの最新SoC「QCC5124」を採用することで、先に紹介した音響補正機能「リスニングケア」のほか、アクティブノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能「アンビエントサウンド」にも対応している。ちなみに、アクティブノイズキャンセリング機能はフィードフォワードによる2マイク方式で、これはフィードフォワード+フィードバックの4マイク方式だと音質的な問題点が生じる可能性があるという意見があり、ヤマハでもそれを回避するため2マイク式をチョイスしたようだ。このほかにも「QCC5124」採用の恩恵はさまざまで、TWS Plus対応、本体7時間+専用ケースからの充電含めて最大28時間の使用が可能なバッテリーライフ、SBC、AACに加えてaptXコーデックにも対応。さらに、IPX5の防水機能を備えるなど、音質だけでなく、使い勝手についても配慮がなされている。

ちなみに、専用ケースはコンパクト、といえるほど小さくはないが、持ち運びに不便のないサイズ感。フタを開けると左右それぞれの充電内容が分かるが、ケース自体の充電状況がケース内部中央と裏側の両方で分かるのがなかなかに便利だ。

ということで、実際のサウンドを確認してみよう。試聴には、OPPO「Reno A」とShanling「M6 Pro」を使用した。ひとことで表すならば、聴き心地のよさは格別。イヤホンにありがちな派手めな音作りとは対極の、とてもニュートラルなサウンドバランス、そして自然な伸びの高域、やわらかい響きの低域が組み合わされている。決してこもった音ではなく、力の抜けたニュートラルなサウンド、といったイメージだ。音色は、確かにヤマハ製AVアンプと共通する傾向があって、「CX-A5100」「MX-A5000」ペアを使っている筆者としては、違和感なく受け入れられる。また、音量を小さくしてもボーカルの歌声がしっかり届く音の通りのよさは、「TW-E3A」とかわらず。「リスニングケア」の良好さは、何度聴いても感心させられる。

当然ながら、クオリティ面でも満足感は高い。「TW-E3A」とは解像感や抑揚表現の幅広さが異なり、刺激的ではないのにとても臨場感の高いサウンドが楽しめる。デュランデュランのライブは普段よりもパワフルな演奏に感じられ、会場の盛り上がりもダイレクトに伝わってくる。それでいて、MYTH & ROID「VORACITY」のギターは分厚いだけでなく粒立ちがしっかりしていて、印象深い演奏に感じられる。米津玄師「LOSER」は突っ込み気味の演奏とやや抑えた歌声のアンバランスが楽しく、YOASOBI「夜に駆ける」はミックス、音場表現のユニークさが際立って聴こえる。音楽の本質を素直に表現してくれる、じょう舌なイヤホンだと思う。ニュートラルという表現がとても似合う、いい意味で力の抜けたサウンドだ。こういった音は、他ではまず楽しめない。そういった意味で、とても価値のある製品だ。

なお、ノイズキャンセリング性能に関しては、それほど強くはないものの、ファンノイズなどの暗騒音はしっかりマスクしてくれるため、音楽に集中することができた。これはこれで、ありだろう。

イヤホン重量(片耳):7g
再生時間:最大7時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック/ホワイト

20. ソニー「h.ear in 3 WF-H800」
機能満載の「h.ear」シリーズ初の完全ワイヤレスイヤホン

ソニー「h.ear」シリーズの完全ワイヤレスイヤホンとして誕生したのがこの「h.ear in 3 WF-H800」だ。

製品の特徴をひとことで表すならば、アクティブノイズキャンセリング機能“以外”全部入り、といった内容となっている。具体的には、圧縮音源の高音域を補完する「DSEE HX」、音声アシスタント機能(GoogleアシスタントやAmazon Alexaなどに対応)、装着検出機能による音楽再生のオンオフ、左または右だけの片側使用、左右同時伝送方式による高い接続安定性、アプリによるイコライザー調整など、最新モデルとしての多機能さを持ち合わせている。

また、バッテリーライフに関しては、イヤホン本体で最長8時間、専用ケースからは1回分の充電が行えるので、合計16時間程の使用が可能となっている。本体は十分以上だが、専用ケースはもう少しバッテリー容量が大きいとありがたかった。とはいえ、通勤などで頻繁に活用しても困ることのない、使い勝手のよさは十分に確保されている。

いっぽうで、デザインやカラーバリエーションなども「WF-H800」の魅力のひとつといえる。丸みを帯びたデザインは男女問わず幅広い層に好まれそうだし、片側約7.6g、かつ耳の3点で支える「エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー」デザインは、快適な装着感をもたらしてくれる。コントロールボタンも本体の上側に配置され、操作しやすい。人によっては“可愛らしすぎる”という意見が出てきそうだが、ことスタイルに関しては、まとまりのよさ、機能性ともに弱点のない巧みな造りといえるだろう。

専用アプリ「Headphones Connect」もなかなかに便利だ。5バンド式のイコライザー機能は、8種類のプリセットが用意されるほか、好みの設定にカスタマイズすることも可能。また、「DSEE HX」のオンオフ、接続タイプ(音質優先or接続優先)の切り替え、さらにはイヤホン本体ボタンのカスタマイズなど、幅広い機能性を持ち合わせている。メニュー表示も分かりやすく、なかなかに良好な使い勝手といえる。

なお、5色用意されているカラーバリエーションは、ウォークマンA100シリーズとの色調を合わせたものとなっている。とはいえ、全体的にポップなイマドキの色調が採用されているので、単体でも魅力的なカラーコーディネイトだと思う。

さて、肝心の音質はというと、中域の表現を重視した、バランスのよいサウンドにまとめ上げられているのが特徴だ。音色は刺激的過ぎず、曲によってはややライトな印象になるものの、その分音色表現の多彩な、最新のトレンドに近いサウンドが楽しめる。また、表現がていねいで、ボーカルの定位も近いため、表情豊かな歌声が楽しめるのもいい。聴いていてとても楽しい、良質なサウンドだ。

イヤホン重量(片耳):7.6g
再生時間:最大8時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで1回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:レッド/ブラック/アッシュグリーン/オレンジ/ブルー

21. パナソニック「RZ-S30W」
イヤホンが小さくて付け心地良好なお手軽モデル

Technicsブランドを含めると3モデルが同時発表されたパナソニック製の完全ワイヤレスイヤホンだが、その中でもこの「RZ-S30W」は末妹に位置するモデルで、唯一アクティブノイズキャンセリング機能が搭載されていないスタンダードモデルとなっている。そのため、コストの面で手頃さを感じる製品となっているが、いちばんのウリは価格ではなく、装着感であることが注目ポイントでもある。

ドライバーは、3モデル中最小口径となる6mmのダイナミック型ドライバーを採用。さらに、ハウジング形状に工夫を凝らすことでかなり小柄なイヤホン本体にまとめられており、女性でも違和感なく装着できるようになっている。確かに、他社製品を含めて装着感のよさはかなりのもの。筆者は耳穴サイズこそMで大丈夫なものの、使用中にこぼれ落ちやすい傾向があるのだが、「RZ-S30W」については、重量の軽さも手伝ってか、ピッタリとフィットし、試聴中にこぼれ落ちてしまうようなことはいっさいなかった。

また、ノイズキャンセリング機能が搭載されないかわりに連続再生時間が長くなっていて、イヤホン単体では約7.5時間(AAC)、充電ケースを合わせると約30時間(AAC)の使用が可能となっている。また、IPX4の防滴機能も用意。イヤーピースは、女性ユーザーを意識してか、他の2モデルとは異なるXSサイズを付属(XS〜Lの4サイズ)。細やかな気配りが行き届いた、魅力的なパッケージにまとめ上げられている。

いっぽう、上位モデルの「RZ-S50W」同様、左右それぞれにイヤホン本体が直接スマートフォンと接続する「左右独立受信方式」を採用したり、タッチセンサー配線などもアンテナ回路に利用した「タッチセンサーアンテナ」を搭載するなど、接続安定性や通話用マイクの明瞭さなどが、上位モデルと変わりない点もうれしいところだ。

さて、肝心の音はというと、3モデルの中ではいちばん聴き心地のよい、ポップで明るい印象のサウンドが楽しめた。音色傾向的にはニュートラルといえる範疇に位置するが、キレのよさから、とても軽快な歌声&演奏に聴こえるのだ。女性ボーカルはしっとりした落ち着きのある歌声だし、ピアノの演奏も軽やか。長時間でも聴きやすいサウンドだ。

ちなみに、上位モデル「RZ-S50W」はもう少し彫りの深い、抑揚に富んだサウンドとなっている。ドライバー口径の恩恵か、ワイドレンジさ、解像感の高さもこちらの方が有利。しかしながら、明るく楽しい「RZ-S30W」のサウンドを聴いていると、これはこれで魅力のある表現だと思える。「RZ-S30W」の音や装着感がとても魅力的なため、「RZ-S50W」とどちらを選ぶかは思っているほどには悩まないかもしれない。逆に、「RZ-S50W」はTechnicsブランドの「EAH-AZ70W」とどちらにするか悩む人が多くなりそうだ。

イヤホン重量(片耳):4g
再生時間:最大7.5時間(AAC接続時)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:グリーン/ブラック/ホワイト

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