選び方・特集

《2022年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

21. DENON「AH-C830NCW」
デノンのHI-FIサウンドを思う存分楽しめるノイキャン搭載完全ワイヤレス

110年以上の歴史を持つ国産オーディオメーカー、デノンから、同ブラント初となる完全ワイヤレスイヤホンが2モデル登場した。そのうち、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載する上位機種「AH-C830NCW」は、多彩な機能を持ち合わせながらも2万円を切る実売価格が設定されている、コストパフォーマンスの良好なモデルとなっている。

まず、アクティブノイズキャンセリング機能に関しては、フィードフォワード+フィードバックのハイブリッド方式を採用。高精度なノイズキャンセリング機能を発揮しているという。また、同社が「周囲音ミックス機能」と呼ぶ外音取り込み機能も搭載。こちらがかなりの優秀さを誇っていて、周囲の音がまるでマイクの音ではなく直接聴いているかのような、とても自然な声や環境音を聴かせてくれるのだ。また、片側3つのマイクとビームフォーミング技術、エコーキャンセル技術などによって実現されたというマイク性能もなかなかのもので、人の声を明瞭に伝えてくれる質の高さもある。このほかにも、片側だけでの利用やIPX4の防滴性能、バッテリー持続時間の向上や音漏れ防止に効果的な装着センサーなど、日常的な使い勝手のよさにも十分な配慮がなされている。

なお、イヤホン本体のデザインに関しては、メインボディからスティックが伸びた、完全ワイヤレスイヤホンとしては主流のひとつといえるデザインを採用している。今となっては特に特徴的なスタイルではないのだが、ひとたび装着してみると、既存の製品に対して高いフィット感を持ち合わせていることに気がつく。メーカーの担当者に確認してみると、3Dシミュレーションを繰り返し、実物サンプルも24種類も試作するなど、徹底した検証を行ったのだという。加えて、片側5g前後というかなりの軽量コンパクトさにまとめ上げられていることも功を奏しているのだろう。首を強く振ってもまったく落ちる気配のない、とても良好なフィット感を持ち合わせていると思う。

とはいえ、デノン初のTWSだけに最も気になるのはその音質だろう。デノン製品のサウンドマスターである山内慎一氏がチューニングを担当したそのサウンドはというと、フォーカス感の高いハイスピードなサウンドが特徴。フォーカス感、解像度の高さ、ダイナミックレンジなど基礎体力の高さが目立ち、それらがデノンらしいサウンドキャラクターを作り上げているのだろう。スパッと立ち上がるキレのよい中高域と、クリアでフォーカスのよい低域によって、躍動感あふれるサウンドを楽しませてくれる。おかげで、アコースティック楽器は普段よりも生き生きとした演奏に感じられるし、ボーカルは距離感の近いリアルな歌声を楽しませてくれる。

完全ワイヤレスイヤホン、しかもAAC接続でここまで躍動的なサウンドを味わえるのはすばらしいかぎり。コーデックも重要だが、それ以上にドライバーをはじめとするハードウェアの作りがとても重要だということを実感させられる製品だった。

イヤホン重量(片耳):5.3g
再生時間:最大4.8時間(ANC ONの場合)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3.95回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ホワイト/ブラック

22. final「ZE3000」
音だけでなくデザインにもこだわったfinalブランド初の完全ワイヤレスイヤホン

これまで“監修”という形でagブランドの完全ワイヤレスイヤホンを手がけてきたfinalだが、このたび自社ブランドの完全ワイヤレスイヤホンを初リリースした。それが「ZE3000」だ。

実際にはエヴァンゲリオンとのコラボモデルという例外はあるものの、これまで有線イヤホン・ヘッドホンにこだわり続けたfinalが、本格的にワイヤレスモデルを手がけはじめる記念すべきファーストモデルとなったのがこの「ZE3000」だ。ちなみに、「ZE3000」という製品名はエントリークラス有線イヤホンのベストセラーモデル「E3000」からあやかったということだそうだが、フィット感の高いイヤーモニター型の独自デザインを採用するイヤホン本体は、「E3000」というよりも「A3000」に近い印象で、Aシリーズと同じ3点支持による高い装着感を実現しているという。実は、もっと小型にすることも可能だったのだが、装着感や取り外しのよさを考えてこのデザインに決定したのだという。さすがfinalというべきか、イヤホン本体のデザインひとつをとっても、徹底したこだわりが垣間見られる。

さらに、音質に対する徹底したこだわりが盛り込まれているのも、finalらしさといえる部分だろう。音質的には「A4000」同等のものを追求した様子で、それを実現するために「f-Core for Wireless」ドライバーを新開発。口径こそ既存モデルと変わらない6mmであるものの、新たにシリコンエッジを採用し射出成形によって振動板を形成。振動板の固定に接着剤を利用しないことで、振動板の有効面積が大きく(メーカー担当者によると9mm口径と同等の音質的なアドバンテージを保つという)、かつ個体差が格段に少ない音質的な優位性を確保しているという。加えて、IPX4という防滴性能を確保しつつ良サウンドを実現するため、イヤホン本体内部に「f-LINK dumping機構」を採用。ドライバー前後の空間取りやパイプ等を使用した繊細なエアコントロールによって、「f-Core for Wireless」ならではの実力を十分に発揮させることができたという。

機能面では、連続音楽再生時間がイヤホン本体で最大7時間、専用ケースからの充電を含めると最大35時間の使用が可能となっている。BluetoothコーデックはSBCやAAC、に加えて、aptX、96kHz/24bitのaptX Adaptiveにも対応している。カラーはブラックとホワイトの2色が用意されている。

さて、肝心のサウンドはというと、確かにfinal製の有線イヤホンに迫る実力を持ち合わせている。特に音色的な質感のよさ、帯域バランスのよさは(agブランドのTWSに対しても)格別で、とてもニュートラル、かつ表現力の高いサウンドを楽しませてくれる。言い方を変えると、余計なブーストはいっさいないのにメリハリがよく、ボーカルもバックの演奏もバランスを崩さずしっかり届いてくる、といったイメージだ。Jポップを聴くと、ハスキーでもファニーでもないニュートラルでありながら抑揚表現にすぐれたボーカルを聴かせてくれるし、ハードロックはグルーヴ感のよいノリノリな演奏を楽しませてくれる。クラシックも壮大なスケール感がしっかりと表現されている。質のよさとともに、楽しさを味わえる魅力的なサウンドだ。

23. ag「cotsubu ASMR」
世界初のASMR専用をうたう超個性派完全ワイヤレスイヤホン

final監修のジャパンブランドのagから、世界初となる“ASMR”専用の完全ワイヤレスイヤホン「COTSUBU for ASMR」が登場した。こちら、名前から分かるとおり、agの主力製品である「COTSUBU」(型番はTWS09R)をベースとしたバリエーションモデルで、基本的な部分はそのまま。耳穴にスッポリと収まる、片側約3.5gの小型軽量デザインのイヤホン本体が採用され、指紋が付きにくく手触りのよい塗装も変わりない。外見上はカラーバリエーションでの違いしかなく、「COTSUBU for ASMR」は明るめのバイオレットともいえるカラーバリエーション1色のみの展開となっている。

機能性についても「COTSUBU」と同じ内容を持ち合わせている。Bluetoothチップには、クアルコム「QCC3040」を採用。約5時間という連続再生時間を確保(専用ケースからの充電を含めると約20時間の連続再生が可能)し、アンテナ設計の改善と合わせて接続安定性を向上させている。また、cVcマイク・ノイズキャンセル機能の採用により通話性能も良好で、BluetoothコーデックはSBC、 AACに加えてaptXにも対応している。また、専用ケースもかなり小型かつ薄型なうえ、角のないデザインを採用しているため、女性のバッグはもちろん、シャツの胸ポケットでもすんなりと収まってくれるスマートさを持ち合わせている。

ノーマル「COTSUBU」との違いはそのサウンドだ。finalブランドで展開しているASMR専用有線イヤホン「E500」の音質をさらに進化させたというそのサウンドは、広がり感がスムーズなうえ、定位感のしっかりした音場表現が特徴。空間表現に強いこだわりを持つTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの楽曲を聴いてみると、まるでセッティングを突き詰めたスピーカーを聴いているかのような、左右方向、奥行き方向へと正しく広がるサウンドフィールドを実現していることが分かる。そのおかげか、ターゲットとされるASMRコンテンツを聴いてみると、確かに耳のすぐ脇から音が聴こえてくるかのような、同時に音源の移動がとてもスムーズなサウンドを楽しむことができる。

いっぽう、音色傾向としてはノーマル「COTSUBU」に対して若干ながら高域が鋭く感じられる。音楽を長時間楽しみたい人には、ウェルバランスな帯域特性を持つノーマルの方が好みにあうかもしれない。定位感やフォーカス感のよさをとるか、音色的な魅力をとるか、悩ましいところだ。価格をふまえれば、両方手に入れて使い分けるという方法もよさそうだ。

イヤホン重量(片耳):3.5g
再生時間:最大5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:パープル

24. Anker「Soundcore Liberty 3 Pro」
「ウルトラノイズキャンセリング 2.0」を搭載したAnkerのフラッグシップTWS

良質なサウンドや機能性と、手ごろな価格を両立させることで人気を集めているAnker「Soundcore」ブランドのフラッグシップ完全ワイヤレスイヤホン。最大の特長といえるのが、周囲の雑音の種類を自動検知して最適な強度のノイズキャンセリングに自動調整してくれるアクティブノイズキャンセリング機能「ウルトラノイズキャンセリング 2.0」だ。実際にテストしてみたが、効き具合の変化が想像していたよりもスムーズで、あまり(騒音の変化を)意識させないところに好印象を持った。このほかにも、同時に2台の機器と接続することが可能なマルチポイント機能、左右3つずつのマイクにより周囲の雑音を除去したクリアな音声を伝えることができるなど、この価格帯としては望外といえるほどに充実した機能性が盛り込まれているのも特徴といえるだろう。

連続再生時間はイヤホン本体で最大8時間(ANCオンで最大6時間)、専用ケースからの充電を含めると最大32時間(ANCオンで最大24時間)の必要十分なスペックを持ち合わせている。加えて、15分の充電で3時間の再生が可能なクイック充電機能を持ち合わせている点もうれしいところ。

とはいえ、「Soundcore Liberty 3 Pro」最大のアピールポイントとなっているのが、フラッグシップモデルならではの、ハイブリッド構成ドライバーによるサウンド面での表現力の高さだろう。ダイナミック型の中心にBA型を配置したドライバーレイアウトは前モデル「Soundcore Liberty 2 Pro」でも採用されていたが、完全一体型のハイブリッドドライバーだった先代に対して、「Soundcore Liberty 3 Pro」ではBA型をダイナミック型の前方(ノズル部分に近い位置)に配置する「A.C.A.A 2.0」と呼ぶユニットを採用。ワイドレンジ、かつ良質なサウンドを実現下のアピールしている。いっぽうで、96kHz/24bitに対応するLDACコーデックに対応するなど、機能面でも音質的なアドバンテージを持ち合わせている。

さて、肝心のサウンドはいかがなものだろう。ハイレゾDAPのAstell&Kern「SP2000T」とLDACコーデックで接続し、チェックしてみた。基本的なサウンドキャラクターは、メリハリのよいダイナミックな表現が特徴。それでいて、LDAC接続のおかげか、ディテール表現もきめ細やかで、ボーカルの表現がよく見えるのがうれしい。抑揚表現の幅広さもあいまって、臨場感のある、迫力にあふれたサウンドが楽しめる。特に洋楽ポップスとは相性がよく、リズムパートのパワフルさとボーカルのリアルさが巧みに両立された、聴き応えのあるサウンドが楽しめる。低域にわずかながらクセがあり、低域の締まりが重要なハードロックだとグルーヴ感がいつもと違って聴こえるなどの弱点もあるが、そのいっぽうで、クラシックは壮大なスケール感のサウンドが楽しめたりと、よく聴く音楽ジャンルによっては大満足の1台となってくれるだろう。アクティブノイズキャンセリングの効き具合の良質さも含めて、完成度の高い製品と言えるだろう。

イヤホン重量(片耳):-
再生時間:最大6時間(ANC ON時、OFF時は最大8時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/LDAC
カラーバリエーション:ミッドナイトブラック/クラウドホワイト/アイスブルー/ライトパープル

25. ソニー「WF-1000XM3」
ノイキャン性能や接続安定性を高めたソニーのロングセラー完全ワイヤレスイヤホン

ソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」の特徴をひとことで表すならば、それはズバリ、コンセプトの完璧な実現、といったイメージだろうか。先代「WF-1000X」は、完全ワイヤレスイヤホンとして世界初となったノイズキャンセリング機能の搭載や、上質なサウンドで大いに人気を得ることとなったが、ソニーとしては初めて手がける完全ワイヤレスイヤホンだということもあってか、接続安定性や装着感などで、ユーザーから不満の声が上がることもままあった。そういった部分をすべてしらみつぶしに解消していき、“理想の”完全ワイヤレスイヤホンを作り出そうとした様子が「WF-1000XM3」の随所からうかがえるのだ。

たとえば、イヤホン本体のデザインは、ハウジング部のオーバル形状など基本的なスタイルこそキープコンセプトであるものの、まったくの新造形となっているし、さらに耳側、ノズルまわりの形状はまったく異なるデザインへと変わっている。これによって、先代に対して格別となる、高い装着感を実現していることを確認できた。また、内部に目を移しても、Bluetoothチップセットを新規に開発するなど、徹底した改良が行われている。名前は“M3”だが、完全新作といっていいほどのブラッシュアップが行われているのは確かだ。

ちなみに、2代目なのに何故“3”なのか疑問に思ったのだが、その旨をたずねてみると、ノイズキャンセリング機能搭載ヘッドホン「WH-1000XM3」のイヤホン版という位置付けとなっているため、この名前を採用したようだ。正直、M3をマーク3ととらえると多少の違和感をもつが、ソニーとしてはマーク3の略と明言している訳ではなく、世代で製品名末尾を揃えるのは製品特徴としてわかりやすい面もあるので、これはこれでわかりやすいかも、とも思えた。

いっぽう、機能面でも先代モデルに対しての進化がいくつも見られる。ノイズキャンセリング機能は、新たにヘッドホンの外側と内側に配置した2つのマイクを配置した「デュアルノイズセンサーテクノロジー」を完全ワイヤレスイヤホンとして初めて採用。さらに、ヘッドホン「WH-1000XM3」用のノイズキャンセリングプロセッサー「QN1」を省電力/小型化した「QN1e」を新たに搭載することで、ノイズキャンセリング機能の精度も高めている。さらに、ノイズキャンセリング機能のON/OFFに加え、「アンビエントサウンド(外音取り込み)モード」も、イヤホン本体のタッチパッドから操作できるようになった。もちろん、スマートフォン用アプリからの操作も引き続き行えるようになっていて、こちらは外音取り込みレベルを22段階で調整可能なほか、ボイスフォーカスをONにすることで外のノイズを低減しつつ人やアナウンス音のみを聞きやすくすることもできる。また、ペアリングしているスマートフォンの加速度センサーを読んで、止まっている時/歩いている時/走っている時/乗り物に乗っている時の4パターンを検出して、あらかじめ設定したノイズキャンセリング&外音取り込みのモードを自動で切り替えてくる「アダプティブサウンドコントロール」も健在。使い勝手については、大いに満足のいくレベルだ。

なお、付属の専用ケースは先代に比べると多少コンパクトになった印象だが、他社製品の最新状況を踏まえると、大柄と感じてしまうサイズかもしれない。とはいえ、NFC機能が付属してくれているのはとても便利だし、約3回分のフル充電が行えることを考えると、許容できる範囲かもしれない。ちなみに、バッテリー持続時間は、イヤホン本体で約6時間、ケースからの充電もあわせると最大24時間使い続けることができるようになっている。

さて、実際の使い勝手はというと、装着感についてはなかなかのもの。ホールド感がしっかりしていて、耳からポロリとこぼれ落ちることはまずない。先代では、安定した装着が適わなかった筆者としてはありがたいかぎり。また、接続安定性に関しても、特に気になるほどではなかった。ヘッドホンイベント会場という、かなり劣悪な環境でも試してみたが、他社製品に比べると優秀といえる接続安定性を示してくれた。もちろん、相当な悪環境だったので接続が切れることは何回もあったが、クアルコム社製「QCC3026」搭載モデルなど接続安定性をアピールする製品と同等か、それ以上のクオリティは持ち合わせていたように思う。

肝心のサウンドはというと、SBC、AACコーデックのみの対応とは思えないほど、質感のよい表現を持ち合わせている。ピアノはタッチのニュアンスがしっかりと伝わってくることに加えて、倍音がしっかりと乗っているので、のびのびとした演奏に感じられる。ボーカルも迫力のある、メリハリのよい歌声を聴かせてくれる。アコースティック楽器が得意だった先代に比べると、オールラウンダータイプにシフトしたというべきか。ボーカルの押し出し感や、ドラムやベースのグルーヴ感の高さなど、メリハリのしっかりしたサウンドとなっている。幅広いジャンルの音楽が楽しめるようになったのは嬉しいかぎり。これでSBC/AACコーデックのみの対応というのはもったいない、もしLDAC対応であればさらに良質なサウンドが楽しめただろうと、少々残念な気持ちにはなっている。とはいえ、「WH-1000XM3」の音質、機能性は一級品といえるもの。上級クラス完全ワイヤレスイヤホンのリファレンスといえる、とても優秀な製品だ。

イヤホン重量(片耳):約8.5g
再生時間:最大6時間(NC ON)/最大8時間(NC OFF)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/プラチナシルバー

26. アップル「AirPods」(第2世代モデル)
「Siri」による音声操作に対応したAirPodsの第2世代モデル

完全ワイヤレスイヤホンのけん引役にして、ジャンル最大の販売数を誇るアップル純正モデル「AirPods」の第2世代モデル。本体に関して外観の変更は第1世代からほとんど見られず、ケースも同じデザインながら、Qiによるワイヤレス充電に対応したこと(非対応ケース付属の製品も用意される)、LEDが外部に移動されて充電状況が外からわかりやすくなったことなど、いくつかの利便性向上が図られている。

とはいえ、イヤホン本体も情報をよく見てみると、いくつかの性能アップが盛り込まれているのがわかる。「AirPods」はもともと、取り出すだけでiPhoneと簡単に接続でき、左右を意識せず(実際形状的にはLRはあるが)装着するだけで音楽再生を楽しむことができるうえ、同じApple IDを登録したiPadやMacなどとペアリング情報が共有されるため、機器ごとに設定する必要もない。これまでもアップル製品のユーザーには、とても使い勝手のよい製品となっていたのだが、新世代の製品では声で音声アシスタント「Siri」を呼び出せるなど、いくつかの機能性アップも行われている。

これは、ワイヤレスモジュールの変更によって実現した機能性だと思われる。初代「AirPods」では「W1」というチップを採用していたが、新モデルでは「H1」へと変更され、低消費電力化や接続機器の切り替え速度向上など、主に使い勝手の面でグレードアップが行われている。使いやすさを重視した製品作りは、アップルらしい方向性だといえる。

しかしながら、「AirPods」も純然たるオーディオ機器であるのも確か。一番重要なのは、その音質だろう。ということで、さっそくiPhoneに接続して、そのサウンドをチェックしたが、初代「AirPods」に対して、ややニュートラルなサウンドキャラクターにシフトしたイメージだ。初代「AirPods」は、昔のBoseのようなアメリカ東海岸サウンドとも呼ぶべき音色傾向を持ち合わせていたが、最新の「AirPods」は、逆に中域重視のキャラクターが強まり、奔放さよりもまとまりのよさを重視したような印象となった。

ややウォーミーな音色傾向を持ち、女性ボーカルはいつもよりハスキーだが、高域への伸びやかさはしっかりと保たれていて、印象的な歌声を聴かせてくれる。ピアノの響きも伸びやかだ。解像感も高まってくれているのだろう、楽器の音色もリアリティが高まっている。音質については、確実なグレードアップを果たしている印象を持った。機能性といい音質といい、グっと完成度の高まった製品に生まれ変わったと思う。

インナーイヤー型なので、当然音漏れはある。また、街中で耳からポロリとこぼれ落ちた人を何人も見ている(そのうち2人の女性は線路に吸い込まれていった)。電車内で使用する際は音量に気を使う必要があり、歩きながらの使用は(こぼれ落ちるのを回避するためにも)避けてもらいたい製品だが、いっぽうでこの扱いやすさは大きな魅力といえる。特にアップル製品ユーザーにとっては、最有力候補となる製品だ。

イヤホン重量(片耳):約4g(片耳)
再生時間:最大5時間
充電方法:専用ケース(15分の充電で最大3時間の再生、内蔵バッテリーで24時間以上の再生が可能)
対応コーデック:SBC、AAC
カラーバリエーション:ホワイト

27. ゼンハイザー「CX Plus True Wireless」
上位モデルと同じドライバーユニットでaptX Adaptiveにも対応する高コスパノイキャンTWS

夏に登場した「CX true Wireless」に続き、ゼンハイザーから新しい完全ワイヤレスイヤホン「CX Plus True Wireless」が発売された。これにより、ゼンハイザー製TWS(完全ワイヤレスイヤホン)は上級クラスの「MOMENTUM True Wireless2」とスタンダードクラスの「CX true Wireless」、そして、その中間に位置付けされるミドルクラス「CX Plus True Wireless」という3機種構成となった。

とはいっても、最新モデルだけあって単純にミドルクラスとは言い切れないいくつかの機能性を持ち合わせていたりもする。まず、外観についてはパッと見ただけでは「CX true Wireless」とほとんど変わりない。専用ケースもほぼ同じだ。しかしながら、わずかだかイヤホン本体が小型化されており、イヤーモニター然とした形状とも相まって、さらに良好な装着感を持ち合わせるようになった。

また、ANC機能に関しては、基本的に「Momentum True Wireless 2」と同じフィードフォワード(外側)マイクによるノイズキャンセリング機能となっているが、イヤホン本体やイヤーピースの形状を工夫することで遮音性を高め、フィードバックマイクなしでも高い遮音性を実現しているという。このほかにも、イヤホンを外すと音楽再生が停止されるスマートポーズや、通話時などに便利な片耳だけでの使用(「CX True Wireless」から実装されている)、外音取り込み機能、IPX4の防滴性能など、使い勝手の面ではなかなかの充実度を誇っている。

また、バッテリー性能はイヤホン単体で最大8時間(ANCオフ)、専用ケースからの充電を含めると最大24時間使用できると十分なスペックを持ち合わせている。こと機能面に関しては、まったくといっていいほど不満のない製品に仕上がっていると思う。

「Momentum True Wireless 2」と同じドイツ ハノーファー本社で開発した7mm径「TrueResponse(トゥルーレスポンス)トランスデューサー」を搭載し、新たにaptX Adaptiveにも対応したという「CX Plus True Wireless」のサウンドを確認すべく、Xiaomi「Mi 11 Lite 5G」と接続(もちろんaptX adaptiveの48kHz/24bitで)してみた。ダイレクト感の高さと、ニュートラルな音色とが絶妙にバランスしたサウンド。ボーカルの定位はかなり近く、とても力強い。Aimerなどと相性がよく、ほんのちょっとハスキーな、それでいて本来の大人っぽい雰囲気の歌声を聴かせてくれた。

高域はていねいな表現が特徴で、金管楽器やピアノなどはクリアネスな音色が心地よい。いっぽう、低域はかなり量感があり、ベースやドラムはかなり存在感を主張する。おかげで、ロックやジャズはノリのよい演奏が楽しめるし、クラシックも壮大なイメージのサウンドに思える。

さらに特徴的だったのが、音の広がり感のよさだ。aptX Adaptiveならではの解像感が生かされているのだろう。左右に大きく、奥行き方向にも距離感を持つサウンドステージが広がり、アーティストの意図が伝わる、臨場感溢れる演奏を楽しむことができる。この空間表現の巧みさは、aptX接続の「MOMENTUM True Wireless2」では敵わないところがある。こと音質に関しては、ゼンハイザーTWS製品3機種のうち、最も魅力ある製品に仕上がっているのは間違いない。

イヤホン重量(片耳):6g
再生時間:最大8時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX/aptX Adaptive
カラーバリエーション:ブラック/ホワイト

28. ag「COTSUBU」
イヤホン本体もケースも超小さい! 豊富なカラバリにも注目

final監修のジャパンブランドとして2019年の誕生以来、矢継ぎ早に新製品をデビューさせ、ヒット作を生み出しているag。その第3世代の製品といえる、まったく新しいアプローチの新製品が登場した。それがこの「COTSUBU」だ。

こちらの製品、実はいままで通りの通し番号的な「TWS09R」という製品名も持っていて、フルネームを書くと「TWS09R COTSUBU」となる。とはいえ、基本的にはペットネームに相当する部分「COTSUBU」と呼ばれており、agとしては、初めて“名称”を与えられた製品となる。担当者に質問してみたところ「製品の特徴がわかりやすくなるよう、今回よりペットネームをメインの製品名とさせていただきました」とのこと。今後も、こういった“分かりやすい”名称を付けていく可能性があるようだ。

その名前から分かるとおり、「COTSUBU」は小型のイヤホン本体を持つことが最大の特徴となっている。これは、女性はもちろんのこと、男性であっても“耳から大きくはみ出している”完全ワイヤレスイヤホンが安定感としてもファッション的にもそれでいいのか、というアンチテーゼが込められたもの。実際に装着してみると、かなりのフィット感を持ち合わせていて、これだったら耳の小さい女性であっても大きくはみ出すことなく、スマートに装着できるはず。また、片側約3.5gという最軽量クラスの重量となっているため、装着感もかなり軽快なのもポイントだ。

また、小型軽量を最大の特徴としつつも、機能性や音質にいっさいの手抜かりがない点はagらしいといえるところ。Bluetoothチップにクアルコム「QCC3040」をチョイス。約5時間という連続再生時間を確保しつつ、aptXコーデックにも対応。アンテナ設計の改善とあわせて接続安定性を向上させ、加えてcVcマイク・ノイズキャンセル機能の採用により通話性能もクオリティアップを押し進めている。また、専用ケースもかなり小型なうえ角のないデザインを採用しているため、女性のバッグはもちろん、シャツの胸ポケットでもすんなり収まってくれるスマートさの魅力のひとつだ。

もうひとつ、「COTSUBU」にはagブランドならではのこだわりを持ち合わせている。それは、素材の質感とカラーバリエーションだ。表面は、指紋が付きにくく手触りのよい塗装が採用され、手に持っていても滑りにくい特徴がある。また、イヤホン本体は専用ケースとともに落ち着いたカラーリングが採用され、シックで上品な雰囲気を持つ。この価格帯の製品としては望外といえる上質さだ。しかも、現在7タイプのカラーバリエーションが発売されているが、今後はさまざまなカラーが登場予定だという。どうも、50色のカラーバリエーションが検討され、そのうち24色くらいは登場させたい、と考えているようだ。これはもう、これまでのイヤホンとはまったく異なるコンセプト、まったく別の商品性といえるだろう。

とはいえ、そのサウンドも重要なポイントといえる。スマートフォン(OPPO Rena A)にaptXコーデックで接続してみると、フォーカスのよいクリア志向のサウンドを聴かせてくれた。特にボーカルのヌケがよく、男性も女性も溌剌とした伸びやかな歌声を楽しむことができる。それでいて、高域は鋭くなりすぎず、ハイハットも金管楽器もわずかな煌びやかさに抑えられていている。明瞭さと聴き心地のよさが見事にバランスした、サウンドとなっている。

小柄なだけでなく、音も大いに魅力的な製品だ。今後のカラーバリエーション展開も、大いに期待したい。

イヤホン重量(片耳):3.5g
再生時間:最大5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:CREAM(クリーム)/BLACK(ブラック)/SAKURA(サクラ)/SNOW(スノー)/SKY(スカイ)/STONE(ストーン)/BROWNIE(ブラウニー)

29. ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless 2」
音楽をじゃましないアクティブノイズキャンセリング機能に注目!

ゼンハイザー初の完全ワイヤレスイヤホン、「MOMENTUM True Wireless」のアップデートモデル。とはいっても、単純な進化版ではなく、新たにアクティブノイズキャンセリング機能が搭載された高機能モデルとなっている。

そのノイズキャンセリング機能については、静粛性を高めると同時に、音色傾向の変化や音質低下を最低限に抑え込むことで、より音楽に集中できる“ミュージックファースト”なポリシーによって作りあげられているという。実際、「MOMENTUM True Wireless 2」のノイズキャンセリング効果はとても自然な印象だ。

マイクはフィードフォワードのみの2マイク方式で、そこから拾った音をデジタル処理してノイズキャンセリングを行っている。また、マイクの収納位置に関しては、イヤホン本体にあけた9つの小さな穴を通してあけ、その内部にレイアウトするなど、独特の作り込みがなされているほか、マイク自身の性能にもこだわっているという。このあたりは、プロフェッショナル向けマイクメーカーでもあるゼンハイザーならではのこだわりか。その結果として、全体的に自然なバランスで環境音が押さえ込まれたノイズキャンセリングを実現している。これはいい。

同時に、装着感がよくなっているのもうれしいポイントだ。新モデルでは、外観デザインこそ初代とほぼ変わらないものの、よく見ると人体(耳)と接触する部分が最大部分は2mmほど小さくなっていて、ほぼ円形だったものがオーバル形状に変化。このわずかな違いによって、格段にフィット感が向上しており、快適な装着感を得られるようになっている。実際、筆者も初代はなんとかギリギリOKな装着感だったが、新モデルではまったく問題なし。女性ユーザーでも、よほど耳の小さい人でもないかぎり不満を持つことはないだろう。

また、接続安定性についてもこだわっていて、接続安定性の高さに定評のある米クアルコム製SoCを採用したほか、アンテナは受信性能の高いLDS(レーザーによる直接構造化を行う)をチョイス。特にアンテナは、デザインや配置はもちろんのこと、素材に銅や金を採用するなど徹底した最適化を行い、接続安定性を高めているという。今回、悪環境でのテストは行えなかったが、比較的良好な環境の住宅地とはいえ、10m離れていても音の途切れはまったくといっていいほど発生しなかった。十分な接続安定性といえるだろう。

このほかにも、イヤホン本体で約7時間、専用ケースからの充電も含めると28時間ものロングライフを実現。さらに、IPX4の防滴性能やGoogleアシスタント/Apple Siriへの対応など、さらなる利便性向上も追求されている。専用アプリ「Smart Control」も用意され、イコライジングだけでなく、タッチ操作のカスタムができたり、将来的にはファームウェアのアップデートにも対応しているという。まさに“全部のせ”の高機能、高性能モデルといえる存在だ。

そのサウンドは、ゼンハイザーならではのポリシーが感じられる、ニュートラルな音色と抑揚のはっきりした抑揚的な表現をあわせ持つキャラクターが特徴。しかも、クオリティ面では初代よりもさらに高まってくれている。基本的には、ボーカルやメイン楽器にフォーカスしたバランスで、距離感の近いボーカルが、抑揚に満ちたドラマティックな歌声を聴かせてくれる。息づかいの様子も普段より強めに伝わり、シンガーの存在がとてもリアルに感じられる。おかげで、YURiKA「鏡面の波 Orchestra Ver.」などは、普段よりも実体感のある歌声を楽しませてくれた。アコースティック楽器も得意で、チェロはやわらかく広がる低域が付帯する、心地よい響きを感じる。また、ヴァイオリンは普段よりほんのちょっと落ち着いた、重層的な音色が印象的だった。

いっぽう、低域は広がり感や聴き心地のよさが特徴。自然な広がり感を持つため、フロアタムの音色などは印象的に響きを聴かせる。それでいて、打音のキレはしっかり保たれている。ゼンハイザーの音に対するこだわりが十分伝わる、絶妙なチューニングといえるだろう。

イヤホン重量(片耳):6g
再生時間:最大7時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック/ホワイト

30. JVC「HA-A50T」
JVC初となるアクティブノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホン

JVC初となるANC(アクティブノイズキャンセリング)機能搭載の完全ワイヤレスイヤホン。ANC機能を搭載しながらも実売1万円前後という、比較的手頃な価格設定が大きな魅力となっている。

とはいえ、機能面、音質面でいっさいの手抜かりはない。ANC機能はフィードフォワード方式による2マイクシステムのようだが、低反発イヤーピースと組み合わせることで、良好な遮音性を確保。外音取り込み機能も備わっているため、シチュエーションに合わせて便利に活用することができる。いっぽう、バッテリー持続時間はイヤホン本体で約8時間、専用ケースからの充電を含めて約32時間の長時間再生を確保。10分の充電で約1時間の連続再生が可能なクイック充電にも対応しているので、日常での不便はまずない。さらに、IPX4相当の防滴性能を持ち、Bluetooth 5.0と位置を最適化したFPCアンテナによって安定した接続も実現しているとアピールする。

いっぽう、ドライバーユニットは10mm口径のダイナミック型を搭載する。スペース的な余裕の少ない完全ワイヤレスイヤホンでは、6mm前後のユニットが一般的だが、10mm口径を搭載することで、本来の音質はもちろん、ノイズキャンセリングの効果としても有用だという。実際にノイズキャンセリングをオンにしてみると、しっかりとした効き具合が感じられた。それほど強烈ではないが弱すぎることもなく、全体的に自然な騒音低減をしてくれるため違和感も少ない。また、ANCのオンオフでそれほど音の変化がない点も好ましい。

さて、肝心のサウンドはというと、ナチュラルな音色と押し出しの強いメリハリ表現をあわせ持っているのが特徴だ。解像感はそれほど高くないものの、ヴァイオリンやチェロなどの楽器が実体感のあるサウンドを楽しませてくれる。ピアノの音も、抑揚は浅いが心地よい響きだ。帯域バランス的には、低域の量感たっぷりのダイナミックな抑揚表現で、ポップスやロック系は普段よりも迫力満点のサウンドが楽しめる。ボーカルも歌声に力強さがある。音楽を存分に楽しむためのANC機能、という製品コンセプトを感じる、絶妙なサウンド設定といえる。

イヤホン重量(片耳):7.1g
再生時間:最大6時間(ANC ON時)/最大8時間(ANC OFF時)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで約3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/ブルー/トープ

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