選び方・特集
高機能なハイエンドモデルから高コスパモデルまで!続々登場する最新機種も網羅!

《2020年》完全ワイヤレスイヤホン一気レビュー!音質や装着感をイヤホンのプロが徹底検証

16. Noble Audio「FALCON」
カスタムIEMメーカーが本気で手がけた完全ワイヤレスイヤホン

Noble Audioは、オーディオロジスト(聴覚学者・聴覚専門医)でありポータブルオーディオファンからは“Wizard(魔術師)”の愛称で呼ばれているジョン・モールトン氏によって設立された米国のイヤホン専業メーカー。これまでカスタムIEMやハイエンドイヤホンなどを手がけてきた同社から、初の完全ワイヤレスイヤホンが登場。それがこの「FALCON」だ。実はこちらの製品、先にクラウドファンディングによる販売が行われ、目標金額を大幅に上回る1400万円超の支援を達成するなど大きな話題となっていた製品で、このたび一般販売がスタートした。

最大の特長といえば、やはりサウンドに対するこだわりだろう。「FALCON」では、「Dual-Layered Carbon Driver(D.L.C. Driver)」と呼ばれるドライバーユニットを開発して搭載。振動板の樹脂層の上にカーボンファイバー素材できたパーツを重ねた特殊な二層構造を採用することで、完全ワイヤレスイヤホンに搭載例の多いグラフェンドライバーに対して歪みを約1/2に抑制。伸びやかな広域表現が可能になっているという。

また、組み合わせるアコースティックダンパーの選定とDSPによる徹底したチューニングを実施。有線モデルの周波数特性を基準としつつ、超低域をシャープに減衰させることでマスキング現象を回避するなど、最適なサウンドを作り上げるべく繰り返し微調整を行ったという。

音質に関してはもうひとつ、イヤホン本体のデザインにも注目したい。いわゆるイヤーモニターライクなデザインなのだが、一般的なモデルに比べてノズルの部分が長く、耳穴の奥まで入り込んでくる。これは、イヤーモニターではよく使われる、遮音性を高めるための手段だが、完全ワイヤレスイヤホンでここまでのノズル長を持つものはほとんどない。その分、遮音性が高まってよりピュアなサウンドが楽しめるが、人によっては少々気になるかもしれない。筆者も、左耳側がSサイズイヤーチップを使っても理想位置まで入るギリギリの太さだった。普段からSサイズイヤーチップを使っている人など、耳穴の小さい人は購入前に装着テストをしてみることをおすすめする。

いっぽうで、通信の接続安定性にもかなり注力した様子がうかがえる。接続安定性に定評のあるクアルコム社製SoC「QCC3020」を搭載したことに加え、「High Precision Connect Technology」というアンテナ設計技術を導入。信号強度がもっとも減衰しにくい場所にアンテナを配置するなどの最適化により、通信の安定した接続を実現したとアピールする。実際に少しテストをしてみたが、障害物がある場合でも5m程は安定して接続できているなど、十分な接続安定性を保持していた。よほど環境の悪い場所でもないかぎり、音切れは発生しなさそうだ。

ちなみに、この「FALCON」に搭載されている「QCC3020」は、iOS/Androidの両OSからのOTAファームウェアアップデート機能をサポートした最新世代となっている。2019年内配信予定の専用アプリを活用することで、アップデートも行えるため、将来的にも安心といえる。

このほかにも、IPX7の防水性能や専用アプリによるボタンのカスタマイズ、イコライザー調整機能の提供など、使い勝手についても満足できるレベルが確保されている。なお、コーデックはSBCやAAC、aptXに対応している。

さて、ウォークマン「ZX300」とaptX接続してそのサウンドをチェックしたところ、音のクリアさ、ダイレクト感の高さについて大いに驚いた。ピアノやチェロなど、アコースティック楽器の音色はとても自然で、かつメリハリもしっかりしている。完全ワイヤレスであることを忘れてしまうほど、有線イヤホンと変わらない印象の音色であり、とても良質なサウンドを聴かせてくれる。女性ボーカルはほんの少し擦過音が目立つが、音色の変調もなく普段通りの魅力的な歌声を楽しませてくれる。

Jポップとの相性のよさも特筆だ。MYTH & ROIDを聴くと、ぶ厚いギターの音と伸び伸びとしたボーカルが巧みに融合して、独特の魅力を持つサウンドが見事に再生されている。いっぽうで、坂本真綾「逆光」は、坂本真綾ならではのやさしい声色の歌声とグルーヴ感あふれるキレのよい演奏との意外な組み合わせが持つ面白さを存分に楽しませてくれる。とにかく、音楽が“楽しい”サウンドであることは断言できる。

よくよく確認してみると、aptX接続の影響だろう、ハイレゾ音源を再現しきるまでの情報量は持ち合わせていないのだが、いっぽうで音色がとても自然で、各楽器のバランスが良好だったりと、普段のNoble Audioと何ら変わらないサウンドキャラクターを持ち合わせている。完成度の高さに思わず感心させられる、すばらしい製品だ。

イヤホン重量(片耳):約7g
再生時間:最大10時間(70%音量時)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで4回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック

17. パナソニック「RZ-S30W」
イヤホンが小さくて付け心地良好なお手軽モデル

Technicsブランドを含めると3モデルが同時発表されたパナソニック製の完全ワイヤレスイヤホンだが、その中でもこの「RZ-S30W」は末妹に位置するモデルで、唯一アクティブノイズキャンセリング機能が搭載されていないスタンダードモデルとなっている。そのため、コストの面で手頃さを感じる製品となっているが、いちばんのウリは価格ではなく、装着感であることが注目ポイントでもある。

ドライバーは、3モデル中最小口径となる6mmのダイナミック型ドライバーを採用。さらに、ハウジング形状に工夫を凝らすことでかなり小柄なイヤホン本体にまとめられており、女性でも違和感なく装着できるようになっている。確かに、他社製品を含めて装着感のよさはかなりのもの。筆者は耳穴サイズこそMで大丈夫なものの、使用中にこぼれ落ちやすい傾向があるのだが、「RZ-S30W」については、重量の軽さも手伝ってか、ピッタリとフィットし、試聴中にこぼれ落ちてしまうようなことはいっさいなかった。

また、ノイズキャンセリング機能が搭載されないかわりに連続再生時間が長くなっていて、イヤホン単体では約7.5時間(AAC)、充電ケースを合わせると約30時間(AAC)の使用が可能となっている。また、IPX4の防滴機能も用意。イヤーピースは、女性ユーザーを意識してか、他の2モデルとは異なるXSサイズを付属(XS〜Lの4サイズ)。細やかな気配りが行き届いた、魅力的なパッケージにまとめ上げられている。

いっぽう、上位モデルの「RZ-S50W」同様、左右それぞれにイヤホン本体が直接スマートフォンと接続する「左右独立受信方式」を採用したり、タッチセンサー配線などもアンテナ回路に利用した「タッチセンサーアンテナ」を搭載するなど、接続安定性や通話用マイクの明瞭さなどが、上位モデルと変わりない点もうれしいところだ。

さて、肝心の音はというと、3モデルの中ではいちばん聴き心地のよい、ポップで明るい印象のサウンドが楽しめた。音色傾向的にはニュートラルといえる範疇に位置するが、キレのよさから、とても軽快な歌声&演奏に聴こえるのだ。女性ボーカルはしっとりした落ち着きのある歌声だし、ピアノの演奏も軽やか。長時間でも聴きやすいサウンドだ。

ちなみに、上位モデル「RZ-S50W」はもう少し彫りの深い、抑揚に富んだサウンドとなっている。ドライバー口径の恩恵か、ワイドレンジさ、解像感の高さもこちらの方が有利。しかしながら、明るく楽しい「RZ-S30W」のサウンドを聴いていると、これはこれで魅力のある表現だと思える。「RZ-S30W」の音や装着感がとても魅力的なため、「RZ-S50W」とどちらを選ぶかは思っているほどには悩まないかもしれない。逆に、「RZ-S50W」はTechnicsブランドの「EAH-AZ70W」とどちらにするか悩む人が多くなりそうだ。

イヤホン重量(片耳):4g
再生時間:最大7.5時間(AAC接続時)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:グリーン/ブラック/ホワイト

18. AVIOT「TE-D01gv」
「QCC3040」を搭載してaptX Adaptiveにも対応した、 ベストセラーモデル「TE-D01g」の後継モデル

AVIOT最大のベストセラー完全ワイヤレスイヤホン「TE-D01g」に大幅なグレードアップを施したのが新モデル「TE-D01gv」だ。

名前も末尾に“v”の文字が追加されただけ、イヤホン本体の外観もほとんど変わらないため、単なるマイナーチェンジにも見えるが、実は「基本性能を高めた次世代完全ワイヤレスイヤホン」を目指して全面刷新を図ったというモデルで、内容的にはほとんど別物と呼べるモデルに仕上がっている。

まず、機能性や音質の肝となるBluetoothチップは、クアルコム社製SoC「QC3020」から最新の「QCC3040」へと変更されている。このチップが実際の製品に採用されるのは、この「TE-D01gv」が初めてかもしれない。

さて、「QCC3040」のメリットはいくつもあるが、特に注目なのが対応コーデックの幅広さだ。SBC、AACに加えて、aptX、さらにはaptX Adaptiveにも対応しており、対応スマートフォンと組み合わせることで高音質サウンドを楽しむことができる。なかでもソニーモバイル「Xperia 1 II」など、最新世代の5G対応スマートフォン向けSoC「Snapdragon 865」搭載モデルと組み合わせることで、96kHz/24bitでの伝送も実現。ハイレゾ級のサウンドをワイヤレスで楽しむことができる。aptX Adaptiveは高音質を実現できるだけでなく、低遅延も実現可能なため、TWS Plusとは異なり先々に渡って普及してくれそうな気配も見えるため、大いに期待できる。

加えて、接続安定性にもさらなる向上を果たしているという。実際に、スマートフォンOPPO「Reno A」との接続性を試してみたところ、接続安定性に不利なaptXであっても、見通しのよい(電波環境的にも良好な)市街地であれば20mほど離れても安定した接続を保持してくれた。さすがに駅周辺の電波環境が悪い場所では厳しいが、それでも、かなり良好な接続安定性は期待できるだろう。

いっぽうで、再生時間も長くなっている。イヤホン本体での連続再生が最大11時間へと向上したほか、専用ケースからの充電を合わせると最大50時間も使い続けることができる。ここまでの持続時間を持っていれば、1週間どころか、半月ほど充電なしでも使い続けられそうだ。また、専用ケースはUSB Type-Cポートを搭載し、15分の充電で最大3時間の再生が可能となる急速充電機能にも対応している。そのほか、IPX7の防水性能や別売のシリコンケースが用意されているなど、細やかな心づかいが細部まで行き届いている。こういった機能面だけでも、「TE-D01gv」はとても魅力的な製品だと思える。

そしてなんといっても、「TE-D01gv」の大きな魅力といえるのがサウンドの進化だろう。ミドルクラス製品ながら、完全ワイヤレスイヤホンではほとんど採用されていないaptX接続にも対応していることもあるだろうが、ドライバーの改善、チューニングの再検討などさまざまな改良によって、オリジナルモデルを凌駕する音質へと大きくステップアップしている。特に歪み感が大きく抑えられ、聴き心地のよいサウンドにシフト。おかげで、響きのよい、それでいて勢いのある明朗快活な歌声を楽しむことができる。あまりに音の通りがよいため、オリジナルとの比較試聴の時には「TE-D01gv」のほうの音量を数段階絞ったくらいだ。声も演奏もしっかりと耳に届いてくる、良質な表現だ。コストパフォーマンスの高さを含め、大いに魅力的な製品だと言える。

イヤホン重量(片耳):-
再生時間:最大11時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで5.5回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX/aptX Adaptive
カラーバリエーション:ブラック/コーディナルレッド/アイボリー/パールホワイト

19. Technics「EAH-AZ70W」
機能性も抜群!Technicsブランド初の完全ワイヤレスイヤホン

アクティブノイズキャンセリング機能を搭載した、Technicsブランド初の完全ワイヤレスイヤホン。音質はもとより、ノイズキャンセリング機能や接続安定性の高さ、アプリによるカスタマイズが可能な点など、音質はもちろんのこと、機能性にもこだわっているのが特徴だ。

まず、機能面で最大の注目といえるのが、アクティブノイズキャンセリング機能だろう。「EAH-AZ70W」には、デジタル制御を採用するフィードフォワード方式(イヤホン外側のマイク配置)と、アナログ制御のフィードバック方式(イヤホン内側のマイク配置)を組み合わせた独自の「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」が採用されている。これは、どちらもデジタル方式を採用すると音質的なデメリットを生じてしまうことから、これを回避すべくフィードバックにアナログ制御のものをチョイスしたという。これによって、音質に与える影響を最小限に留めつつ、自然なノイズキャンセリング機能を実現しているという。

実際に試してみると、強烈な効きというよりも、自然な効き、といったイメージで、その分音色が自然に感じられる。なかなか好印象な音作りに感じた。ただし、アクティブノイズキャンセリング機能をオンオフすると、ほんの少し音楽の表現が変わる。オフにしているときのきめ細やかな表現に対して、オンにするとやや客観的な、ダイナミックレンジの幅を少しばかり狭めたかのような表現になる。確かに、ノイズキャンセリング機能オンが必要な環境だと、こちらのバランスの方が聞き取りやすいかもしれない。

もうひとつ、接続安定性に関する工夫にも注目だ。「EAH-AZ70W」では、イヤホン本体が左右それぞれ直接スマートフォンと接続する「左右独立受信方式」を採用し、人体(頭)を間に挟むことでどうしても不利になりがちな接続安定性を解消しているという。また、TWS Plusのような対応スマートフォンが限られた規格ではなく、大半のスマートフォンでこの接続が可能だという転もメーカーはアピールする。また、タッチセンサー配線などもアンテナ回路に利用した「タッチセンサーアンテナ」を新開発するなど、ワイヤレス関連にパナソニック製コードレス電話で培った技術を投入しているという。

実際、iPod touchに「EAH-AZ70W」を接続して屋外テストを行ってみたところ、見通しのよい場所であれば30m近く離れても音切れすることなく音楽再生が楽しめた。接続テストを行った場所が住宅街のため、どちらかといえば良好な環境ではあるが、なかなかに優秀な結果といえる。

なお、ノイズキャンセリング用に加え、会話用としても左右1ペアのMEMSマイク(Micro Electro Mechanical Systems)を搭載。風切り音を低減する「ラビリンス構造」と、送話の音声とそれ以外の音を区別しノイズを低減する「ビームフォーミング技術」とを組み合わせることで、明瞭な音声での通話が可能となっている。こちらもなかなかにうれしい気づかいだ。

ほかにも、専用アプリではノイズキャンセリングの効果を100段階で調整可能なほか、イヤホン単体で約6.5時間(NC ON/AAC時)〜約7.5時間(NC OFF/AAC時)の連続再生(充電ケースとあわせて約19.5時間〜約22.5時間)、IPX4の防滴機能など、最新モデルならではの隅々まで配慮されたユーザビリティを持ち合わせている。こと機能面に関しては、完成度の高い製品だ。

音質にこだわり、10mm口径のグラフェンコートPEEK振動板採用ドライバーを搭載したという「EAH-AZ70W」の音はというと、ひとことで表現するならばバランス派。いちばん得意とするのはアコースティック楽器だが、JポップやJロックもイケる、懐の深さが特徴となっている。特に女性ボーカルは、細かいニュアンスがしっかりと伝わるため、実体感の高いリアルな歌声が楽しめる。また、ピアノも高域側の倍音成分がしっかり整っているため、伸びやかな響きだ。

ノイズキャンセリング機能のオンオフで多少なり音色の変化はあるものの、どちらも中域重視のバランスにブレはないので、どちらも良好な聴き心地となっている。初めてリリースした完全ワイヤレスイヤホンとは思えない、優秀な製品だ。

イヤホン重量(片耳):7g
再生時間:最大6.5時間(ノイズキャンセリングON、AAC接続時)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:ブラック/シルバー

20. ag「AG-TWS04K」
マニアのサブ機がさらに進化! 新時代を代表する完全ワイヤレスイヤホン

日本のイヤホンメーカーであるfinalがサウンドプロデュースする、agブランドの完全ワイヤレスイヤホン。昨年秋にagブランドの第1弾製品として登場したものの、あっという間に売り切れてしまった「AG-TWS01K」の後継として作り上げられたモデルとなっている。

agブランドとしては一番の上級に位置し、“final製品をはじめ本格派の有線イヤホンを持つ音質こだわり派のサブ機”をコンセプトとした製品だけあって、もっとも注力しているのは当然ながら音質だ。しかし、音にこだわりつつもユーザビリティを犠牲にせず、コストパフォーマンスにも配慮するなど、全方位でバランスのよい製品にまとめ上げられているのも「AG-TWS04K」ならではの特徴だったりする。

たとえばイヤホン本体は、「AG-TWS01K」とほぼ変わらない外観を踏襲しつつも、IPX7の防水機能を新たに搭載。このために、音質に影響を及ぼさない防水機構を新たに開発していたりする。また、専用ケースは一新され、レザー調の表面を持つ上品なものとなったほか、ケース内蔵のバッテリー容量も2600mAhへとアップ。約9時間というイヤホン本体の再生時間と合わせて、トータル180時間も使い続けることができるようになった。なお、専用ケースはモバイルバッテリー機能も追加され、スマートフォンなどに充電を行うこともできるようになった。もちろん、イマドキのスマートフォンを満充電することはできない容量ではあるが、困ったときにとても重宝する機能だったりする。

さらに、「AG-TWS04K」ではイヤーピースを一新。人気の高いfinal Eシリーズをベースに、高さが短く、感触のやわらかい完全ワイヤレスイヤホン用の新開発している。ちなみに、この新しい完全ワイヤレスイヤホン用Eシリーズは、単体発売も検討しているという。

さて、実際のサウンドはいかがなものだろうか。ポータブルDAPの「SHANLING M6」とaptX接続して試聴した。とても端正な、バランスのよい音。基本的には中域重視だが、低域もしっかりとした量感を保ち、高域は鋭すぎない絶妙な伸びやかさを持つ。そういった絶妙なサウンドチューニングのおかげか、Bluetooth接続とは思えないくらい聴感上の解像感が高く、細部のニュアンスまでしっかりと伝わってくる。結果として、チェロの音はとても繊細で、かつ堂々とした鳴りっぷりを聴かせてくれるし、コンプの強いJロック曲は、迫力そのままに破綻のない見事なバランスを保っている。たとえばMYTH & ROIDは、分厚いギターサウンドとKIHOWの歌声のどちらも存分に堪能することができる。

空間表現もすばらしい。イヤホンのなかには、ボーカルなどのセンターメンバーを“あえて”近い距離に感じられるようセッティングしている製品があり、それはそれで楽しい部分もあるが、この「AG-TWS04K」はもうちょっと客観的というか、ヘッドホンとあまり変わらない、ニュートラルに音場の広がりを持ち合わせている。決して遠くはなく、それでいて極端に近すぎない、左右方向にスムーズな広がり感を絶妙なバランスで保っているのだ。おかげで、音量を大きくして音楽に集中することも、BGM的に聞き流すことも、ウェルバランスな状態で楽しむことができる。こういった音場表現を持つ完全ワイヤレスイヤホンは、これまでほとんど存在していなかった。

完全ワイヤレスイヤホンも、新しいフェーズを迎えているのかもしれない。大げさに思えるかもしれないが、新時代を代表する完全ワイヤレスイヤホンであることは間違いない。その音に興味がある人は、ぜひ一度は試聴しておくことをオススメしたい。

イヤホン重量(片耳):-
再生時間:最大9時間(SBC/AAC接続時、aptX接続時は最大6時間)
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで19回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック

21. Air by MPOW「X6.2J」
コンパクトなイヤホン本体は女性にもピッタリ! 5,000円前後で買える高コスパ完全ワイヤレスイヤホン

これまでテクニクスブランドのオーディオ製品を手がけてきた山ア雅弘をはじめ、日本人エキスパートの手によって作り上げられているMPOWのスペシャルブランド、AIR by MPOW。ブランド上陸から、ノイズキャンセリングヘッドホンやノイズキャンセリングイヤホン、完全ワイヤレスイヤホンなど、機能性と音質、コストパフォーマンスが良好なバランスを保つ製品がいくつもリリースされている。そんなAir by MPOWの新モデルが、この「X6.2J」だ。

5,000円前後というプライスタグから、最大の魅力は価格! と思ってしまいそうになるが、実は外観へのこだわりや音質など、日本人が携わっている製品ならではの丁寧な製品づくりが最大の魅力だったりする。

まず外観をみると、イヤホン本体がかなりコンパクトにまとめられていることがわかる。サイズが小さく、重さも片側4.5gとなっているので、耳の小さい女性であっても、不満のてないサイズだ。また、イヤーフィンも付属しているため、装着感もしっかりしている。ケースも丸く小さく、持ち運びにとても便利そうだ。

もうひとつ、独特のカラーバリエーションも「X6.2J」ならではの特徴だ。日本の伝統色をリスペクトしたという、「藍」(あい)、「茜」(あかね)、「深葉」(しんよう)の3バリエーションが用意されているが、どれも明度の低い、落ち着いた雰囲気の色合いとなっている。実際に装着してみると、赤系の「茜」(あかね)であってもそれほど目立つことなく、さりげなく装着することができる。イヤホンもファッションのひとつという考えもあるが、こういった落ち着いた色調により、着回しや色合わせそれほど気を使わなくてよくなるため、女性にとってはうれしいを配慮となるかもしれない。

最大再生時間は5時間、ケースからの充電を含めるとトータル18時間ほどの使用が可能となっている。そのほかにも、IPX4相当の防滴性能や、専用ケースの充電端子にUSB Type-Cを採用(5Vのみの対応でクイックチャージにも対応していないが)、AACコーデック対応、音声認識(Siri、Googleアシスタント)対応など、十分以上の機能性を持ち合わせている。

さて、肝心のサウンドはというと、歪み感の少ない、聴き心地のよい丁寧な表現が特徴。女性ボーカルは、ちょっとだけハスキーな、やさしさあふれる歌声を聴かせてくれる。いくつかの楽曲を試してみたが、特にキャロル&チューズデイ「The Loneliest Girl」とのマッチングがすばらしかった。コンプの強い曲よりも、音数の少ないアコースティックな演奏の方が愛称がよさそうだ。

どちらにしても、この価格でこの音質を手に入れられるのはうれしいかぎり。トータル面でも、圧倒的なコストパフォーマンスの高さが魅力の製品と言えるだろう。

イヤホン重量(片耳):4.5g
再生時間:最大5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:藍/茜/深葉

22. JBL「TUNE 120TWS」
アンダー1万円! TUNEシリーズ初のエントリー向け完全ワイヤレスイヤホン

JBLはこれまで多目的用途の「Free X」やスポーツ向けの「ENDURANCE PEAK」「UA SPORT WIRELESS FLASH」などの完全ワイヤレスイヤホンをリリースしてきたが、新たに、販売価格が1万円を切るベーシッククラスの製品として「JBL TUNE 120TWS」が追加された。

こちらの製品、外観は(どちらかというと)「Free X」に近い、完全ワイヤレスイヤホンとしてはごく一般的なスタイルに見えるが、アウターハウジングと耳側を別色にしたり、耳側を一段すぼめた形にするなど、随所に独自の工夫が施されていたりする。このあたりは、装着性も含めたデザインづくりのように感じられる。また、専用ケースのデザインも薄型&幅広めの丸みを帯びたケースが採用されているが、こちらもカバンで邪魔になりにくいサイズ感だったりイヤホン本体が取り出しやすかったりと、“ファッション性に富んだデザイン”であると同時に、使い勝手についてもかなり熟考されている様子がうかがえた。

イヤホン本体は、最大で4時間ほどの連続再生が可能となっている。また、バッテリーを搭載する専用ケースもあわせると、最大で16時間の音楽再生が行えるため、実際の使用時にそれほど困ることはないだろう。ちなみに、約15分の充電で1時間ほどの音楽再生が可能な急速充電機能にも対応しているので、ありがたい。カラーバリエーションはブラック、ホワイト、グリーン、ピンクの4色を展開している。対応コーデックはSBCのみ。ハンズフリー通話はもとより、GoogleNowやSiriの呼び出しにも対応している。イヤホン本体のボタンから音量調整が行えない(ウォークマンでボリューム調整できない問題は修正ファームウェアを準備中)のが残念だが、この価格帯の製品だと意外と多いので、弱点といいきるのは酷だろう。

さて、肝心の音はというと、まさに旧きよき西海岸サウンドといったイメージの、明るくてカラッとしていてヌケのよい、清々しい音色傾向が特徴だった。メリハリはかなり強めで、かなり迫力よりの表現だったり、ピアノの音が伸びやかを越えてかなり鋭かったりするのだが、音色の明るさや音ヌケのよさが功を奏してか、耳障りどころか逆に気持ちいいと感じてしまう。とても印象的なサウンドだ。

ただ1点、イヤーチップの相性が少々シビアな傾向があり、筆者などは低域が抜けてしまい過ぎるバランスの悪いサウンドになってしまう傾向があった。今回の試聴では、SednaEarFitに交換して試聴を続けることとなったが、「低音があまり聴こえない」と感じる人がいたら、市販品のイヤーチップを試してみることをオススメしたい。

イヤホン重量(片耳):-
再生時間:最大4時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC(一部端末ではAAC対応)
カラーバリエーション:ブラック/ホワイト/グリーン/ピンク

23. ag「TWS03R」
特徴的な外装&カラーリングで女性にもぴったりな1台

finalがサウンド監修を行う新イヤホンブランド、agのエントリークラス完全ワイヤレスイヤホン。音質を最重要視した「TWS01K」に対して、「TWS03R」はデザインや使い勝手のよさに重点が置かれているのか、小型軽量なイヤホン本体やミニマムで扱いやすい専用充電ケース、落ち着いた印象のつや消し表面処理(粉雪塗装)、中間色調のポップさとシックさをあわせ持つカラーバリエーションなど、女性を意識した上品な印象の外観にまとめられているのが特徴となっている。その証拠に、イヤーピースは標準3サイズに加えてfinal製タイプEのSSサイズが付属している。

対応コーデックはSBCとAAC、続音楽再生時間は5時間程度(ケースからの充電込みで最大17時間)と、「TWS01K」に対しては音質もスペックも劣る部分はあるが、決して安かろう悪かろうというイメージはない。逆に、コンパクトなイヤホン本体&専用ケース、そして絶妙なカラーリングも含めて、積極的に使いたくなる&持ち運びたくなるのはこちらのほうが上かもしれない。

音質的にも悪くない。解像感は確かに「TWS01K」に劣るが、雑味のないクリアな印象のサウンドでまとめられている。加えて、ボーカルがグッと近い位置にいて、生き生きとした歌声を聴かせてくれる。特に女性ボーカルとの相性がよく、普段より幾分伸びやかな、張りのある歌声を聴かせてくれるので、聴いていてとても楽しい。Jポップなど最新曲との相性はとてもよい。手頃な価格も含めて、なかなか魅力的な製品といえる。

イヤホン重量(片耳):-
再生時間:最大5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2.4回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC
カラーバリエーション:BLACK/BLUE/GREEN/RED/CREAM/MOMO

24. オーディオテクニカ「SOLID BASS ATH-CKS5TW」
SOLID BASSシリーズ初の完全ワイヤレス!最大約15時間のロングバッテリーにも注目

オーディオテクニカから、完全ワイヤレスイヤホンの新モデル「ATH-CKS5TW」が登場した。こちら、CKRシリーズ「ATH-CKR7TW」、スポーツモデル「ATH-SPORT7TW」に続く同社にとって3モデル目の完全ワイヤレスイヤホン製品で、既存2モデルとは異なり重低音モデル、SOLID BASSシリーズに属するモデルとなっている。

「ATH-CKS5TW」最大の特徴といえば、SOLID BASSシリーズならではの、重低音に特化したサウンドチューニングだろう。完全ワイヤレスイヤホンで、ここまで重低音をアピールした製品はほとんど存在していないし、10mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載している製品は希少といえる。さらに、こちらの新設計ドライバーには硬度の異なる素材を組み合わせた2層構造の振動板を採用するなど、音質に対しても手抜かりがないところは、オーディオテクニカらしいこだわりといえるだろう。ちなみに、コーデックはSBC、AACに加えて、aptXにも対応している。

「ATH-CKS5TW」のイヤホン本体は大口径ドライバーを搭載しているため、最新完全ワイヤレスイヤホンのなかではやや大柄な本体サイズとなっているが、3Dループサポートを装備するほか、専用設計されたイヤピースを付属することで、安定した装着感を確保しているという。実際の製品を装着してみたところ、ピッタリとフィットし、首を振っても落ちることのない、アピール通りの安定した装着感を実現していた。

重低音サウンドにも並ぶ「ATH-CKS5TW」ならではの大きな魅力といえるのが、なんと、最新モデルのなかでも群を抜く、最大15時間というバッテリーライフだ。専用ケースからの充電も含めると最大45時間もの使用が可能となっている。これだけのロングライフっぷりは、嬉しいかぎりだ。

機能面では「オートパワーON/OFF」も便利だ。こちら、専用ケースからイヤホン本体を取り出すとパワーオン、収納するとパワーオフになるもので、他社製品でも多く採用されているが、「ATH-CKS5TW」は動作がとても安定している印象があった。特に初回時(接続したことのあるスマートフォンが範囲内にない場合も同じ動作となる)には、確実に自動的にペアリングモードに移行してくれるのでありがたい。また、本体上部に配置された小柄なマルチファンクションボタンは、音楽再生/一時停止(右側1回)、曲送り(右側2回)/曲戻し(右側3回)、音量調整(+は左側1回/−は左側2回)といった基本操作が行えるうえ、ブラインドでも押しやすく実際に試したところスムーズな操作が行えた。加えて、スマートフォン用アプリ「Connect」にも対応していて、このアプリから音楽再生のコントロールだけでなく、コーデックの切り替えや操作ボタンのカスタム、バッテリー残量の確認なども行うことができる。さらに、最後にBluetooth接続した場所を地図で確認することができる(イヤホンをなくした場合の参考になる)機能なども持ち合わせているので、大いに重宝しそうだ。

そのサウンドは、アピール通り量感豊かな重低音が特徴。ベースの音がとてもパワフルな、迫力のあるサウンドをとことん楽しむことができる。ベースやドラムの演奏はかなりパワフルで、圧倒的といいたくなるほどのグルーヴ感を楽しませてくれる。とはいえ、低域はディープ一辺倒ではなく、柔らかく広がる印象も持ち合わせているので、音の広がり、スケール感の壮大さも感じられるのは興味深い。いっぽうで中高域は、エッジのしっかりしたクリアとなっていて、女性ボーカルは、厚みのある、それでいて煌びやかな歌声を楽しませてくれる。

個性的でありながら、絶妙なバランスのサウンドにまとめ上げられた、絶妙な製品といえる。

イヤホン重量(片耳):約8g
再生時間:最大15時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで2回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック/ブルー/カーキ

25. オーディオテクニカ「ATH-ANC300TW」
オーディオテクニカ初のノイキャン付き完全ワイヤレスイヤホン

オーディオテクニカ初となる、ノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホン。型番の数字から想像するに、ミドルクラスに位置付けされている製品のよう。今後、この製品の評価次第で、上下のバリエーションや重低音モデルなどが検討されるのだろう。そういった点で、今後の展開の中心に位置付けされた重要な製品と言える。

実際、「ATH-ANC300TW」はかなり気合いの入った製品となっており、製品の完成度の高さ、造りのていねいさはなかなかのもの。まず、イヤーモニター然としたデザインのイヤホン本体は、いままで見たことのない個性的なデザインをしているし、そのおかげでフィット感もなかなかに良好。さらに、マッド系の表面加工がなされているため、質感も触感もよい。

いっぽう、最大のアピールポイントとなるノイズキャンセリング機能に関しては、クアルコム社製SoCを採用するとともに、フィードフォワード、フィードバックの4マイク構成をチョイス。ノイズキャンセリング用のマイクには小型のMEMSタイプを採用し、独自開発のノイズフィルター設計を搭載するなど、細部までかなりのこだわりが盛りこまれている。加えて、Airplane(航空機内のエンジン音などのノイズに特化)、On the go(外出時の騒音や話し声、物音など幅広いノイズに効果がある)、Office/Study(オフィス内や図書館など比較的静かな環境で気になるノイズに対応)という、環境に適した3つのノイズキャンセリングモードを切り替えて使用することができるようになっている。切り替えは、スマートフォン用アプリから簡単に行うことが可能だ。

そのサウンドは、近年のオーディオテクニカらしい、フォーカスよくスピード感のある、キレのよいサウンド。女性ボーカルは凜とした、クールで大人っぽい歌声を楽しませてくれる。男性ボーカルもややハリのある、それでいて落ち着いた歌声が好ましい。ちなみに、ノイズキャンセリング機能のオンオフでそれほど音力傾向が変わらず。この点についても好ましく感じた。

もうひとつ、「ATH-ANC300TW」の魅力は通話用マイクの質のよさだろうか。さすがマイク製造メーカーというべきか、単にクアルコムのcVc(Clear Voice Capture)テクノロジー任せな製品とは異なる、通りのよい明瞭な声を聴くことができる。実際、Zoom会議で利用したのだが、(「ATH-ANC300TW」を使用している)相手の声がとても聴こえやすく、ストレスなく会議を進めることができた。これは、マイク性能の優秀さによるものだが、イヤホン本体の音質調整の巧みさも寄与しているのだろう。テレワーク用途でも十分に重宝する、なかなかのすぐれものといえる。

イヤホン重量(片耳):-
再生時間:最大4.5時間
充電方法:専用ケース(内蔵バッテリーで3回のフル充電が可能)
対応コーデック:SBC/AAC/aptX
カラーバリエーション:ブラック

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