モデルごとの特徴やサウンドキャラクターを一気に紹介

リスニング向けイヤホンの新基準! オーディオテクニカ「LS」シリーズ全5モデル聴き比べ

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オーディオテクニカ「LS」シリーズは、全くの新製品でありながらも「IM」シリーズの後継にも位置づけられ、同時にBAドライバー搭載のユニバーサルIEM(インイヤーモニター)「CK」シリーズを祖とする、根強い人気を保ち続けるカテゴリーの最新バージョンといえる製品となっている。

オーディオテクニカ「LS」シリーズ

オーディオテクニカ「LS」シリーズ

とはいえこのLSシリーズは、CKシリーズはもちろんのこと、IMシリーズとも異なるコンセプトを持つ新しい製品として作り上げられている。また、ラインアップも5モデルが用意されており、自分にとってどれがベストな製品なのか、外観やスペックだけでは判断し難い。

そこで、LSシリーズの概要を紹介するとともに、5モデルそれぞれの特徴やサウンドキャラクターなどを一気に紹介させていただこうと思う。この記事を読めばあなたも一躍LSマイスターになれる!?

LSシリーズの立ち位置を改めて確認

まず、LSシリーズがどのようなコンセプトの上に成り立ち、どういったキャラクターを与えられているかを把握するには、これまでオーディオテクニカがラインアップしてきたユニバーサルIEMの流れを、ほんの少し、概要でいいので知っておくと分かりやすい。

先にも紹介したように、オーディオテクニカはCKシリーズという名称で、BAドライバー搭載のユニバーサルIEMをラインアップしてきた。それは、フルレンジBAドライバーの「CK9」から始まり、続く「CK90PRO」ではデュアルBAドライバーへと発展。さらに、「CK100PRO」では3BAドライバーを搭載したほか、着脱式ケーブルも採用されることとなった。いっぽうで、CK5をスタートとするダイナミック型ドライバー搭載モデルもラインアップを続けており、それらCKシリーズ全体を統一するカタチで誕生したのが、LSシリーズの先代に相当する製品、IMシリーズである。

IMシリーズのフラッグシップモデルとなる「ATH-IM04」。高域×1、中域×1、低域×2の計4基のBAドライバーを搭載

ちなみに、このIMシリーズまでは、ユニバーサルIEMという肩書き通りといったイメージの製品だった。オーディオテクニカとしては希少な耳掛け型装着はもちろんのこと、音色傾向もモニターライクなキャラクターを目指していたのは確かだ(IMシリーズはモニターとリスニングの両用を目指していた感はあるが)。

しかしながら、LSシリーズはこれまでの製品とは異なり、完全にリスニング用途を主眼とした製品となっている。装着感やデザインなどでユニバーサルIEMならではのよさを取り入れつつも、サウンドに関しては音のリッチさや生き生きとした表現などを追い求めているのだ。

このように、LSシリーズからコンセプトがハッキリとしたのには理由がある。それは、新たにプロフェッショナル向けユニバーサルIEMとして、全く別のモデル、「E」シリーズが誕生したため。これによって、プロフェッショナル(とモニターライクなサウンドが好きなユーザー)はこちらを選べばよくなり、LSシリーズは“モニターユースを最優先に考えなければならない”という足かせから解放された。結果として、各製品がそれぞれに特徴的なサウンドを持つ、ユニークなシリーズへと進化することとなったのである。

実際、ダイナミック型ドライバー搭載モデルとBAドライバー搭載モデルとでは開発主任が異なっていたり、それぞれの個性をあえて“生かす”方向に作り上げられている。もちろん、オーディオテクニカらしい真面目な音作りは変わらないが、外観以上に中身=サウンドが異なっているのは確かだ。ということで、ここからは全5モデルの特徴とサウンドについて、ひとつひとつ紹介していこう。

ATH-LS200

ATH-LS200

ATH-LS200

IMシリーズの際にはシングルBAモデルもラインアップされていたが、LSシリーズではデュアルBAの「ATH-LS200」が(BA搭載モデルの中で)もっともスタンダードな製品となっている。

クリアレッドと呼ぶべき透明な筐体におさめられているドライバーは、LS200のために専用開発したスーパーツイーター+フルレンジという2基構成をチョイス。これに(こちらもLS200専用となる)ネットワークを組み合わせている。また、ステンレスと高耐久樹脂製のハイブリッド導管を採用することで、伸びやかな中高域と厚みのある低音を巧みにバランスさせている。なお、こちらはシリーズ共通となるが、オーディオ用A2DCコネクターを採用した着脱式ケーブルが付属されている。

サウンドに関しては、過去の2BAドライバー搭載モデルの直系、といったイメージのキャラクター。メリハリがハッキリしていて、キレもよく、特に低域のフォーカス感が高いため、グルーブ感溢れるハードロックが楽しめる。ボーカルは男性も女性も自然な歌声。やや奔放な表現も感じられるが、その分存在感が強くていい。ピアノの音色は、基音をしっかりと押し出しつつも、高域の倍音がほどよく美しく、のびのびとした演奏に感じられる。ロック系をメインに聴く人には、いちばんのオススメだ。

ATH-LS300

ATH-LS300

ATH-LS300

低域、中域、高域用のBAドライバーを各1基ずつ搭載。専用設計のネットワークでまとめ上げたモデル。ステンレスと高耐久樹脂製のハイブリッド導管を採用するほか、低域ドライバーを耳に対して平行に配置することで、ニュートラルな音色で豊かな表現の低音を追求している。筐体には、アルミニウム×特殊樹脂のハイブリッドハウジングを採用する。

バランスに秀でたサウンド。解像感が高く、細やかな音もしっかりと拾い上げて再現してくれるのだが、キレのよさもあわせ持ち、生き生きとしたリズミカルな演奏を楽しませてくれる。ハードロックからジャズ、クラシックに至るまで、不得意なジャンルのない、万能タイプといっていいサウンドキャラクターだ。

歌声は、女性ボーカルが印象的。ハリのある、力強い歌い上げによって、普段よりも感情が豊に感じられる。アコースティック楽器の表現もきめ細やかなうえ、音色が素直なため、聴いていて心地よい。幅広いジャンルの音楽を聴く人は、こちらがベストかもしれない。

ATH-LS400

ATH-LS400

ATH-LS400

「LS400」は、低域×2、中域×1、高域×1の合計4基のBAドライバーを搭載する、LSシリーズのフラッグシップモデル。ネットワークもLS400専用のものが組み合わされている。いっぽう、ハイブリッド導管はLS300のステンレスからチタンへと素材を変更し、高域特性をさらに向上させている。また、比較的小柄な筐体ながらも、中高域ドライバーを耳に対して平行に配置することで、4BAドライバーならではのワイドレンジ再生を巧みに引き出している。なお、筐体はステンレス×特殊樹脂のハイブリッドハウジングを採用する。

4BAドライバー構成の恩恵だろう、シリーズのなかでもっともリッチなサウンド。中域、高域に関してとても音数が多く、微細なニュアンスまでしっかり拾い上げてくれる。おかげで、リアリティの高い演奏や歌声が楽しめる。また、ボーカルの声の特徴もしっかりと再現してくれるので、3人4人とボーカルが重なる楽曲を聴いても、それぞれのメンバーを見失わず着実に追いかけることができる。

低域はボリューム多め。重心の低い落ち着いた音を楽しむことができるが、量感に関しては好みが分かれるかもしれない。もう少しウェルバランスがいい、という人にはLS300がオススメだ。とはいえ、この解像度の高さは大いに魅力。アコースティック楽器が多用されている演奏を存分に楽しみたい。

ATH-LS50

ATH-LS50

ATH-LS50

LSシリーズのなかでエントリークラスに位置するモデル。とはいえ、1つのユニット内に2つのダイナミック型ドライバーを2基レイアウトして同期駆動させる“Live Tuned”デュアル・シンフォニックドライバーを搭載。BAドライバー搭載モデルと同じくステンレス&合成樹脂のハイブリッド導管により高域特性を向上させるなど、随所に独自技術や専用設計が投入されたこだわりのモデルとなっている。

こちらにも、シリーズ共通となるオーディオ用A2DCコネクターの着脱式ケーブルを採用。ボディカラーは、ブラック、ネイビー、イエロー、レッドの4色が用意されている。

BA系とは打って変わり、パワフルかつソリッドな響きの低域と勢いのある中域が特徴のサウンド。ハードロックやアップテンポのジャズは、とてもパワフルで勢いのある演奏を楽しませてくれる。解像感がやや乏しいこと、楽曲によっては奔放すぎる鳴りっぷりに感じてしまうときもあるが、音楽をノリよく楽しく聴かせてくれる事に関してはシリーズ中1、2を争うレベル。BAシリーズとは全く方向性の違うサウンドだが、これはこれで魅力的だ。

ATH-LS70

ATH-LS70

ATH-LS70

「ATH-LS70」は、ATH-LS50の上位に位置付けられているモデルだ。搭載される“Live Tuned”デュアル・シンフォニックドライバーは8.8mmという口径こそ同じものの、こちらにはカーボンコーティングが施された振動板が採用されている。また、ボイスコイルもロングタイプに変更され、ドライバーの駆動力を向上させている。

サウンドキャラクターはATH-LS50とほぼ同じだが、音質においてかなりのグレードアップを果たしている。解像度がグッと向上し、音のキレも格段によくなったため、グルーブ感がずいぶんと高まったキレのある演奏を楽しむことができる。女性ボーカルの表現も豊か。ややハスキーな声質で、情感溢れる歌声を聴かせてくれる。さらに相性がよかったのが男性ボーカルだ。Nirvanaを聴くと、普段よりも感情過多なカートの歌声を堪能することができる。ギターもほどよく汚れた、厚みのある演奏が楽しめる。

さらに嬉しいのが、音楽ジャンルをいとわないこと。ポップスもロックも気持ちよく聴けるが、いっぽうでジャズや小編成のクラシックなども、心地よい響きのサウンドを楽しませてくれるのだ。LS300に比較すると中域重視、LS400に比較するとステージの距離が少し離れたかのような客観性はあるが、その分バランスのいい、それでいて熱気をしっかりと感じるメリハリのあるサウンドを聴かせてくれるのだ。LSシリーズの中でも、いやオーディオテクニカ製イヤホン全ラインアップのなかでも、かなりの完成度を誇る製品といえるだろう。

まとめ

このように、ひとことでLSシリーズといっても、決してひとくくりにはできない、それぞれが個性を持ち合わせた製品に作り上げられている。特に、BAドライバー搭載モデルとダイナミック型ドライバー搭載モデルとでは、ずいぶんとキャラクターが異なっているため、好みが分かれるかもしれない。ちなみに、筆者はLS200とLS70を楽曲や気分次第で使い分けていたりするので、どちらもそれぞれにいいと思える人も少なからずいるはずだ。

いっぽうで、コンパクトな筐体サイズや耳掛け型&着脱式ケーブルの採用など、ユニバーサルIEM然としたデザインを採用するシリーズ共通のメリットも持ち合わせているため、使い勝手で悩むことのないのは大変ありがたい。是非、店頭やイベントなどで全製品を試聴してみて、自分にとってのベストを見つけ出して欲しい。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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2017.9.20 更新
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